米ドルを守るフリをして、米ドルを壊す、トランプ氏の基軸通貨戦略が、まるで進撃の巨人の初代レイス王がエルディア島に閉じこもる展開とそっくり | イエ&ライフ

米ドルを守るフリをして、米ドルを壊す、トランプ氏の基軸通貨戦略が、まるで進撃の巨人の初代レイス王がエルディア島に閉じこもる展開とそっくり

アメリカ

この記事では、「米ドルを守るフリをして、米ドルを壊す、トランプ氏の基軸通貨戦略が、まるで進撃の巨人の初代レイス王がエルディア島に閉じこもる展開とそっくり」ということについて、考察していきます。

 

1、進撃の巨人について(簡単に)

進撃の巨人というマンガをご存知でしょうか?

諫早創先生の大ヒット作で、2023年時点で1億4,000万部も発行されており、アニメやゲームでも引っ張りだこのレジェンド級の作品となっています。

 

進撃の巨人

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私もこの作品はとても好きで、たまに読み返すのですが、キングダムとタメを張るほどに、現実世界の理解の助けになっています。

 

読んだことのない方のために、ちょっとだけ、話の内容を解説すると、大きな壁に囲まれて、退屈な生活を送っていた主人公たちですが、いきなり巨大な怪物である巨人が街を破壊し、大切な人たちが犠牲になっていきます。

 

主人公は、巨人への復讐を誓うとともに、壁の外の世界の秘密を解き明かしていく、という流れになっています。

この本が売れた理由は、いろいろとあると思いますが、壁に囲まれて、鎖国状態で暮らしている主人公たちの状況に、現代の日本と同じような状況にあるという共感があったと思います。

 

そして、この主人公たちは、エルディア人という種族なのですが、敵対する勢力として、マーレ人という種族が出てきます。これが、ナチスドイツとアメリカを足して2で割ったような雰囲気なので、なんとなく、日本対アメリカという図式を思い浮かべながら、読んでいた人は多かったのではないかと思います。

 

2、トランプ氏の政策が、初代レイス王の展開とそっくり?

ところが、です。

今回11月の大統領選挙でトランプ氏が当選を果たし、これまでのアメリカの政策をひっくり返す可能性が出てきました。

 

そして、その政策と目的を考えてみると、なんと145代フリッツ王(初代レイス王)のやったこと、つまり、エルディア島に大きな壁をつくり、世界との関わりを絶ってしまったことと、そっくりなことをしようとしているのです。

 

それは、アメリカに大きな壁を作る、つまり、基軸通貨を捨てる、ということになります。

今回の動画では、このトランプ氏の基軸通貨を捨てようとしている根拠と、その目的について解説していきます。それでは、参りましょう。

 

(1)トランプ氏の政策

まず最初に、トランプ氏のトランプ氏の政策がどういうものなのか?について、簡単に触れたいと思います。

この点については、以前のこちらの動画で、かなり詳しく解説しているので、興味のある方は、こちらをチェックしてみてください。概要欄にリンクを貼っておきます。

 

 

 

それで、簡単にまとめると、以下のようになります。

  1. トランプ氏の政策の目的は、頑張れば報われる社会の復活であり、普通に働いている労働者が家庭を持ち、子供を育てられるぐらいの所得を得られるようにすること
  2. そのために、大企業に有利なルールを作る官僚の首を切り、政府の予算を3割削減し、戦争屋と呼ばれる人間を追放する
  3. そして、労働者の所得を増やすために、関税を上げて海外からの輸入を減らし、国内に工場を戻すように企業に促す

と、まあザックリしていますが、こんな感じになります。

 

このような政策の方向性が土台としてあった上で、トランプ氏は、12月1日、トゥルース・ソーシャルに、BRICS諸国が新通貨を作って、米ドルを介さない取引を行うならば、それらの国に対して100%の関税を課すと投稿しました。

 

BRICS諸国に100%の関税をかけると投稿するトランプ氏

(参考:Truth Socialのトランプ氏の投稿)

 

つまり、トランプ氏は、海外との貿易は、極力減らそうとしているのです。

「お前ら、俺の国から米ドルをどんどん持っていくんじゃない。でも、米ドルを使った貿易をしない国は、裏切り者だからな。もう取引は一切しないぞ。」みたいなことを言ってるのです。

 

いやいや、アメリカで稼ぎにくくなるのに、米ドル以外使うなって、無理があるでしょ?

明らかに、無理ゲーを押し付けようとしているのが、今回のトランプ氏の発言なのです。

 

日本を例にイメージしてみると?

例えば、日本の場合で、考えてみましょう。

日本は中東から95%以上の原油を輸入しています。おそらく、原油の決済は米ドルを使っていると思われます。

 

ですが、これからトランプ氏は、日本に対から入ってくる車や電子部品などに関税をかけてきます。そうすると、売り上げが下がるので、十分な米ドルが稼げなくなるかもしれません。

その時に、中東の産油国にどうやってお金を払うんですか?

 

どこかから米ドルを借金して、払うんですか?でも、米ドルを稼ぎにくくなるのに、どうやって返済するんですか?無理でしょ?

このような状況が、すべての国で起こるのです。

 

米ドルを稼ぎやすい、余裕のある国があれば、その国から借りるなんてこともできそうですが、そんな国は存在しないのです。

だって、すべての国に対して、関税を引き上げると言っているわけですから。

このように、基軸通貨を守ると言う、トランプ氏の政策は、他の政策と矛盾、というか両立がほぼ不可能だと、私は思っています。

 

(2)トランプ氏の政策の参考となっているプロジェクト2025とは?

また、トランプ氏の政策は、プロジェクト2025に書かれている内容を参考にされていると言われています。

プロジェクト2025とは、ヘリテージ財団という、保守的なシンクタンクが作成した政策案のことで、全部で900ページ以上の大著となっています。

 

project2025

(参考:Project2025)

 

この政策案は、多くの方が作成に参加しているのですが、今回のトランプ政権の長官クラスに指名されている人たちも、何人か参加しています。

 

例えば、連邦通信委員長のブレンダ・カー氏や、行政管理予算局の局長のラス・ボート氏、CIA長官のジョン・ラトクリフ氏、国境長官のトム・ホーマン氏などです。

ところが、このプロジェクト2025を読んでみると、全く基軸通貨についての政策方針が書かれていないのです。

FRBや財務省についての提言の中でも、基軸通貨をどう運営していくべきか?といった記載は、私が見た限り、ありませんでした。

 

ここまでのまとめ

ちょっと、話がとっちらかってきたので、一度まとめます。

  • トランプ氏の投稿や、共和党のマニフェストでは、「基軸通貨を守る」と明言している
  • ところが、政策を見てみると、国内に雇用を戻す、つまり海外に米ドルを流出させない政策にしようとしている
  • 海外の国々は、米ドルを稼ぎにくくなるため、ドル以外で決済をする必要性が高まる。ところが、トランプ氏は、ドルだけを使えと無茶振りをしてきている
  • さらに、共和党の政策の参考となっている、プロジェクト2025には、基軸通貨についての政策方針が見当たらない

これらのことから、今回のトランプ氏の、基軸通貨を守ろうとして投稿したことには、全く別の目的があるのではないか?と考えられます。

 

では、それは何なのか?

その目的とは、あくまで私の解釈ですが、「基軸通貨の米ドルを守るフリをして、むしろ、世界中が米ドルを使わない状況を作り出すための演技ではないか?」というのが、結論です。

 

タイバー家と裏で繋がって、わざと負けたフリをして、エルディア島に引っ込んでしまった、初代レイス王となんだか似てますよね。

 

2、なぜトランプ氏は基軸通貨を捨てたいのか?

なぜ、そう考えたのか?

その理由を3つ、詳しく解説していきます。

 

(1)基軸通貨は、一部のアメリカ人しか得しない

1つ目は、基軸通貨という制度が、一部のアメリカ人にしか得になっていないからです。

今回のトランプ政権は、働いても働いても、賃金は増えず、物価だけが上がっていくため、ホームレスをしながら働く人すら出ているような、そんな状況をなんとかしようとしています。

 

では、なぜこのようなことが起こってしまうかというと、日本も含めた、世界中の国が、アメリカドルを求めて、どんどんモノを輸出してくるからです。

例えば、原油などの資源の決済は、ほとんどがドルで行われていますので、電気や自動車のある現代の生活を維持するには、アメリカにどんどんモノを輸出してドルを稼ぐしかないのです。

 

基軸通貨は一部の人しか得をしない制度

 

その結果、他の国から安い商品がどんどん入ってくるため、製造業が衰退し、安い賃金の仕事か、金融やIT、医療などの、専門性のある職業とで、二極化が進んでしまっています。

 

なので、アメリカの労働者のことを考えれば、現在の基軸通貨を維持する意味はないのです。

しかし、「他の国に対して、米ドルなんか使わなくていいですよ。もう輸出してこないで下さいね。」なんて言おうモノなら、米ドルの価値が一気に下がってしまう可能性がありますから、建前として、「基軸通貨を守るんだ!」と言っているのではないでしょうか。

 

(2)米国企業の海外移転を止めたい

2つ目は、企業の海外移転を完全に止めたいから、です。

トランプ氏は、国内の労働者の給与を引き上げ、生活を豊かにすることを公約としています。

 

第1期のトランプ政権では、対中貿易戦争を仕掛けました。

その本当の理由は、「中国で安く作ってアメリカに輸出してくるな。アメリカで売るなら、アメリカで作れ」ということだと思います。

 

トランプ1期政権における、対中貿易戦争

(参考:ロイター)

 

ですが、中国を悪者扱いしたまでは良かったですが、多くの米国の企業は、他の人件費の安い国に、工場を移しました。

 

例えば、アップルは、中国からベトナムやインドへと工場を作って、「フレンドショアリング」をやってるとアピールしています。中国は、人権を無視する国だけど、ベトナムやインドならいいよね、というわけです。

ところが、これって、トランプ氏からすれば、全く意味がないのです。だって、国内に工場が戻ってきていないわけですから。

 

しかし、今回のBRICS諸国への関税引き上げが行われると、ほとんどの人件費の安い国において、工場を作ってアメリカで売ることのメリットが失われます。なんと言っても、関税が100%ですからね。

今までの倍の値段になってしまうわけですから、いくら人件費が安くても、これでは全く割に合わなくなってしまうでしょう。

 

というか、そういう風に仕向けることになるでしょう。

そうすると、これらの企業は、アメリカで作るしかありませんから、国内の雇用を増やすことができる、というわけです。

 

(3)アメリカのデフォルトで、周りに迷惑をかけたくない

3つ目は、アメリカドルのデフォルトの可能性です。

現在、アメリカの政府債務は36兆ドルにもなっており、年間利払いも1兆ドルを超えて、減っていく目処が立っていません。

 

アメリカがデフォルトする可能性についての記事

(参考:ブルームバーグ)

 

しかも、これからトランプ政権は、各国に対して関税を引き上げるわけですから、米ドルが海外に流れにくくなります。そうすると、世界各国が、米国債を購入することも難しくなるわけです。

 

一応、政府効率化省が、政府の役人の首を切ったり、予算や補助金を切り詰めることで、2兆ドル節約する計画のようですが、それで債務を返済できるのか?ちょっとよくわかりません。

 

そうすると、日本のように、新しく発行された米国債を中央銀行が買い取ることが考えられますが、それでは結局、借金が雪だるま式に増えていくだけですし、お金の量がどんどん増えるため、物価がさらに上がってしまいますから、労働者の生活が豊かになりません。

また、プロジェクト2025のFRBの項目を読んでみると、そもそもFRBいらなくね?という話すら出ています。リーマンショックの時もそうでしたが、無理やり救済しようとすると、誰かが損をして、誰かが得をするシステムが続いてしまうからです。

 

そのため、どこかのタイミングで、一度デフォルトを起こすのではないか?と考えられます。その時に、米ドルに依存している国は、大きな影響を受けてしまうわけです。

 

しかし、BRICS諸国が米ドルから切り離されれば、アメリカのデフォルトの影響も、小さくてすみます。

BRICS諸国がピンピンしていた方が、デフォルトした後の米国を立て直すことも、やりやすくなると思いますので、影響が広がらないように、一度、縁を切っておくということではないでしょうか?

 

3、日本への影響は?

そうなると、気になるのは日本ですよね。

私が思うに、おそらくですが、アメリカは日本を捨てるでしょう。そして、日本はブリックスに入るハメになると思います。

 

そもそも、日本の原油の輸入先は、95%以上が中東であり、BRICSサイドの国々です。

なので、そういった国々から原油を輸入していれば、トランプ氏は、アメリカから原油を買えとか、米ドルから離れたBRICSと取引するな、などの無理難題を言ってくるはずです。

 

日本をブリックスにご招待?

 

日本のアメリカからの輸入額は、1割程度であり、米ドルの利便性や、米軍基地に守られているというメリットを除けば、あまり影響は大きくありません。

また、プロジェクト2025を読んでみると、その考え方の土台にあるのは、「頑張る奴は報われるべきだ、ズルをする奴を贔屓してはダメだ」という公平さと、「政府に大きな権限を持たせるべきではない」という小さな政府への志向です。

 

トランプ氏や現在の共和党から見れば、今は国内の政治や経済の立て直し時期なので、日本やNATOのように、アメリカにぶら下がろうとする国々は、鬱陶しい以外の何者でもないでしょう。

なので、基軸通貨を維持するために、労働者に犠牲を強いる現在の制度や、世界を守るため、という大義名分で、世界180カ国に基地を展開するような、アメリカにとって特にもならない状況から撤退すると予想しています。

 

初代レイス王も、アメリカも、自分たちの強大な力で振り回されることに疲れた

ちなみに、進撃の巨人においても、初代レイス王は、戦争が続いてきた歴史に疲れ果て、エルディア島に引っ込んでしまいました。巨人の力(つまり軍事力)が、世界に脅威を与えることに、嫌気がさしたからです。

アメリカも同じです。基軸通貨や、強い軍事力が、全く普通のアメリカ人の生活をよくするものではなく、一部の資本家だけを儲けさせる仕組みとなってしまいました。

 

それらを捨て、世界への影響力を減らすために、高い関税と、役人の首をたくさん切ろうとしていると、私には見えてしまいます。

トランプ政権は、来年1月20日から発足ですので、今後もこのような感じで、アメリカの進捗動画を作成していきたいと思います。

この記事を書いた人
ゴトウ

証券会社で12年間勤務。営業と店舗マーケティングに従事後、2018年から当サイト「イエ&ライフ」を運営しています。

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