不動産・マンションの暴落待ちの人が注目すべき2つのポイント | イエ&ライフ

不動産・マンションの暴落待ちの人が注目すべき2つのポイント

コラム

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2013年以降、大都市圏の不動産価格は、上昇し続ける一方だったため、

「今買ってしまったら、高値掴みで大損するのではないか?」

「そろそろ売った方がいいのでは?」

とモヤモヤしながら暴落を待っている(心配している)人もいると思います。

 

ですが、どのようなことが起これば、暴落が始まるのでしょうか?

そして、そのような兆候があるのでしょうか?

 

この記事では、不動産価格の暴落を待っている(心配している)人に向けて、注意すべき2つのポイントについて解説します。

 

1、2024年は、株価暴落の可能性あり

ここ10年ぐらいの日本の不動産価格、特にマンション価格を見てみると、株価の上昇とかなり似たような動きとなっています。

 

都心3区の中古マンション価格と日経平均

(参考:東日本不動産流通機構)

 

そして、日本の株価は、アメリカの株式市場の影響を強く受けています。

外国人投資家の比率が3割を超えており、アメリカの株式市場が上昇した翌日は、だいたい日本でも上がっていますよね。

 

日経225とS&P500

(参考:Yahoo Finance US)

 

そのため、アメリカの株式市場が暴落すれば、「日本の株価も暴落→日本のマンション価格も暴落」という可能性が十分にあります。

実際、2008年9月に起こったリーマンショックでは、日本でも株価の暴落とともに、マンション価格も下がりました。

 

2008年1月〜2009年12月までのマンション価格の下落率

  高値(万円/㎡) 安値(万円/㎡) 下落率
都心3区 99.2 74.5 -24.9%
城北地区 52.0 44.6 -14.3%
城西地区 70.8 61.3 -13.4%
城南地区 66.2 55.9 -15.6%
城東地区 46.3 39.4 -15.0%

(参考:東日本不動産流通機構 「マーケットデータ」)

 

問題は、アメリカが今、リーマンショック級のやばい経済状況なのか?ということですよね。

 

ですが、思い出してみてください。

2023年の3〜5月に、シリコンバレー銀行、ファーストリパブリック銀行などの、アメリカの中堅銀行が相次いで破綻しました。

 

また、スイスでは、世界的な金融機関であるクレディ・スイスがUBSに吸収合併され、実質破綻しました。

筆頭株主のサウジ・ナショナル・バンクは、出資額の約8割(1,600億円)の損失を出して、会長が辞任しています。

 

2023年3〜5月に破綻した主な銀行

  所在国 破綻日(2023年) 総資産(概算)
シルバーゲート銀行 アメリカ 3月8日 1.6兆円
シリコンバレー銀行 アメリカ 3月10日 28兆円
シグネチャー銀行 アメリカ 3月12日 14兆円
クレディ・スイス銀行  スイス 3月20日 80兆円
ファーストリパブリック銀行 アメリカ 5月1日 31兆円

 

ちなみに、リーマンショックの時に、アメリカで総資産が最も大きな銀行の破綻は、ワシントンミューチュアルの約34兆円でした。

投資銀行のリーマンブラザーズは、約67兆円です。

 

クレディ・スイスが事実上の破綻(UBSに吸収された)だったことを考えると、ほぼ同程度の規模だったことがわかります。

その後は、大きな銀行破綻もないため、金融不安は落ち着いたと思われていますが、その火種はくすぶっているのです。

 

特に危ないのが、オフィスやホテル、ショッピングモールなどの、商業用の不動産です。

リモートワークが普及したことで、大都市のオフィスに高い家賃を払う企業が減り、空室率の上昇が続いているのです。

 

オフィスの空室率が高い都市ランキング

都市名 州名 2023年の空室率(前年比) 人口(万人)
サンフランシスコ カリフォルニア州 18.85%(+4.18%) 81.5
ヒューストン テキサス州 18.64%(+0.43%) 228.8
ダラス テキサス州 17.93%(+0.35%) 128.8
オースティン テキサス州 16.11%(+3.87%) 96.4
ワシントンDC コロンビア特別区 15.87%(+0.46%) 71.3
フェニックス アリゾナ州 15.78%(+1.57%) 162.5
シカゴ イリノイ州 15.62%(+0.36%) 269.7
デンバー コロラド州 15.34%(+1.13%) 71.2
ロサンゼルス カリフォルニア州 14.99%(+1.32%) 384.9
アトランタ ジョージア州 14.58%(+0.76%) 49.6

(参考:全米不動産業者協会)

 

オフィスの空室率が高い都市のランキングを見ると、人口で2位のロサンゼルス、3位のシカゴなど、大都市に多い傾向にあります。

2割近い空室率で、かつ現在のアメリカは利上げによって高金利になっていますので、利息の返済に困っている企業が、日に日に増えている可能性が高いのです。

 

奇しくも、リーマンショックが起こったのも、大統領選挙のあった2008年でした。

その前の2007年から、サブプライム(信用力の低い人向けのローン)問題が騒がれていましたが、今回も商業用不動産という火種を抱えていますので、これが弾ける可能性は十分にあります。

 

2、急激な物価上昇→政策金利の引き上げ

実は、大都市圏の不動産価格が上がりすぎているのは、日本に限った現象ではありません。

アメリカはもちろんのこと、お隣の韓国やカナダ、ドイツなどでも、不動産価格が上がりすぎたことで、社会問題になっています。

 

しかし、2022年から23年にかけて、これらの国でも、不動産市場の下落が始まっています。

 

その理由は、政策金利の引き上げです。

新型コロナやロシア・ウクライナ戦争によって、モノの供給が減ってしまった結果、激しく物価上昇しているため、金利を引き上げることで消費を抑えようとしたのです。

 

先進国の政策金利

(参考:外為どっとコム)

 

その結果、多くの国で、不動産価格の下落が始まっています。

 

ドイツは1年で約12%の下落

こちらはドイツのマンション価格指数です。政策金利が4.5%も上がってしまったため、1年間で約12%下落しています。

 

ドイツのマンション価格指数とEUの政策金利

(参考:europace外為どっとコム)

 

韓国のソウルでは、一時は3割近い暴落

また、お隣の韓国でも、ソウル中心部のマンション価格の高騰が社会問題となっていましたが、2022年からの政策金利の引き上げによって、一時は3割近い暴落をしていました。

 

ソウル中心部のマンション価格と政策金利

(参考:韓国不動産院外為どっとコム)

 

また、日本の平成の土地バブルも、日銀による金利引き上げと、大蔵省による総量規制(銀行の不動産融資を制限させた)によって暴落しました。

世界各国で起こっていることは、過去の日本でやったことの焼き直しとも言えます。

 

日本でも金利の引き上げが始まっている

このように、世界各国では急激な利上げを行ったのに対して、日本では、ほとんど利上げを行わなかったことで、不動産価格の暴落が起きていません。

ですが、2023年4月から植田総裁に代ってからは、少しずつですが、金利を引き上げる動きが出てきています。

 

実際、2023年12月の日銀の政策決定会合で、植田総裁はさらに次のステップへ行くことを匂わせる発言をしています。

 

年末から来年にかけて一段とチャレンジングになると思っているので、情報管理の問題もきちんと徹底しつつ、丁寧な説明、適切な政策運営に努めていきたい」

(参考:NHK 「総裁の“チャレンジング”発言受けた日銀の決定会合の焦点は」)

 

この発言を受けて、金融市場では「利上げが本格化する」「マイナス金利が解除される」といった思惑から、1ドル=147→141円台にまで、急激に円高が進みました。

 

その後の会見では、具体的なことは言ってませんが、市場が大きく反応しないように、少しずつ政策変更を行なって行くのでしょう。

そのため、2024年は、さらなる長期金利の上昇と、短期金利がマイナス金利の状態を解除していくことになるでしょう。

 

物価上昇率が、今後の利上げの鍵を握る

しかし、日本の物価上昇率は、現在3%程度であり、アメリカやイギリスのように10%近い上昇をしているわけではありません。

そのため、現在のペースでの物価上昇が続くのであれば、急激な利上げが行われる可能性は低く、韓国やドイツなどのように、マンション価格が暴落するようなことはないでしょう。

 

しかし、物価上昇率が大幅に上がってきた場合には、話が変わってきます。

最近であれば、中東地域の情勢がかなり怪しくなってきており、イエメンのフーシ派が、イスラエルに関係のある船を攻撃していることによって、バブ・エル・マンデブ海峡を事実上の封鎖状態へと追い込みました。

 

バブ・エル・マンデブ海峡

 

これによって、スエズ運河〜紅海を通る船が、南アフリカの希望峰を通って大きく迂回しなければならなくなったため、アジア・ヨーロッパ間の貿易コストが跳ね上がると言われています。

つまり、ヨーロッパからの商品の価格が、これから大きく上がっていくことが予想されているのです。

 

最悪のシナリオは、ホルムズ海峡の封鎖です。

日本の原油輸入は、中東への依存度が高まっており、約96%が中東から来ているのですが、ホルムズ海峡を通ってきます。

ここが、中東紛争の拡大によって封鎖されるような事態になれば、間違いなく物価上昇率は跳ね上がります。

 

その時には、大幅な利上げによって消費を抑えるしかなく、マンション価格の暴落が起こるでしょう。

(といっても、「そういう状況で不動産を買いたくなるか?」と言われると微妙ですが、、、)

 

3、まとめ

というわけで、①株価の暴落、②金利の大幅な引き上げ、による不動産・マンション価格の暴落のシナリオを考えてみました。

個人的には、あり得るのは①のシナリオだと思っています。

2024年は、金融市場に注目しておくと良いかもしれませんね。

 

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この記事を書いた人
ゴトウ

証券会社で12年間勤務。営業と店舗マーケティングに従事後、2018年から当サイト「イエ&ライフ」を運営しています。

不動産価格の動きの理解や今後の予想は、金融マーケットの知識があると理解しやすいため、読者のお役に立てるのではないかと、サイトを運営しています。

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