この記事では、相続税の計算方法について、3分でわかるように解説します。
相続税の計算は4ステップ
相続税がかかるかどうかは、以下の4つのステップでわかります。
① 相続財産を調べる
相続税の対象となる財産を調べます。
対象となる財産はプラスの資産だけでなく、借金も対象になります。
借金の分だけ、プラスの財産から差し引くことができます。
では、プラスの財産はどのようなものかというと、以下の通りです。
資産の種類 | 評価方法 | 主な調べ方 |
預貯金・現金 | 額面通り | 通帳などで残高を確認 |
株式・債券・投信 | 時価評価 | 残高証明書や投資情報サイトなど |
生命保険 | 保険金相当額
(ただし非課税枠あり) |
保険証書 |
土地 | 路線価 | 国税庁HPの路線価図 |
家屋 | 固定資産税評価額 | 固定資産税の通知 |
ゴルフ会員権 | 取引価格の70% | 会員権の取引サイトなど |
その他(貴金属など) | 時価評価 | 買取サイトなど |
また、マイナスの財産は、借金や税金の滞納金、通夜や葬式にかかった費用などが対象となります(初七日、香典返しなどは不可)。
生命保険は、「法定相続人×500万円」まで非課税
死亡した時に受け取れる死亡保険金には、非課税枠があります。
「法定相続人 × 500万円」までが、その非課税枠になります。
例えば、奥さんとお子さん2人ならば、1,500万円分までの保険金には税金がかかりません。
もし、生命保険に加入しているのであれば、この非課税分は、相続財産から差し引いておいてください。
② 基礎控除額を調べる
相続税は、ある水準以上の財産を持っている人にかかります。
その水準の判断基準となるのが、この基礎控除額です。
この基礎控除額は、相続人の数によって変わります。その計算式は以下の通りです。
例えば、相続人が奥さんと子供2人の場合には、
3,000万円 + (3人 × 600万円)= 4,800万円
となります。
1人増えるごとに、600万円増えると考えてください。この額が、相続財産から差し引ける金額になります。
③ 相続税を計算する
ここからは相続税の計算になるわけですが、相続人ごとに税率を計算して出すことになります。
というのも、資産が多ければ多いほど、相続税率が高くなるからです。
税金を低く抑えるためにも、このような計算が必要なんですね。
では、どのようにして計算するかというと、まずは法定相続人を確定しなければいけません。
法定相続人と相続分を確定する
法定相続人の考え方は、2つのルールで決められています。
- 配偶者は必ず当てはまる
- まず子供→いなければ親→いなければ兄弟
法定相続人
また、それぞれの取り分は以下のようになります。
法定相続分
子供や父母、兄弟は、相続人の数でさらに分割することになります。
子供の法定相続分が1/2の場合、子供が2人いれば、それぞれの相続分は1/4になります。
それぞれの相続税を計算
こうして法定相続人と法定相続分がわかったところで、それぞれの相続税を計算するのです。
ちょっと面倒ですが、相続税を安くする為にはしょうがありません。
相続税率は、財産の額に応じて高くなります。
こちらが一覧表です。
例えば、奥さんと子供2人で、相続財産が5,000万円だったとします。
この場合のそれぞれの相続税は、
(奥さんの場合)
- 相続財産: 5,000万円 × 1/2 = 2,500万円
- 相続税 : 2,500万円 × 15% ー 控除額50万円 = 325万円
(それぞれ子の場合)
- 相続財産: 5,000万円 × 1/2 × 1/2(2人いるので)=1,250万円
- 相続税 : 1,250万円 × 15% × 控除額50万円 = 137.5万円
となるので、
325万円(奥さん) + 137.5 × 2(子供2人)= 600万円
つまり、600万円が支払うべき相続税となります。
この結果をもとに、実際に相続する財産の割合に応じて、割り当て額が決まります。
例えば、長男が財産の半分を相続するとすれば、300万円を支払うことになるわけです。
④ 特例が使えるかを確認する
ただし、ある条件を満たしている場合には、それぞれの相続人の相続税が減る可能性があります。
多くの人が当てはまる、代表的な特例を2つご紹介します。
1)配偶者が相続する場合は、1.6億円まで無税
配偶者が財産を相続する場合は、最大1.6億円までの資産について、税金がかかりません。
先ほどの例で言えば、仮に5,000万円の財産をすべて奥さんが相続するとすれば、相続税は一切かからない計算になります。
ただし、この場合には、相続税を支払う必要がない代わりに、相続税の申告書を提出する必要があります。
2)一緒に住んでいる場合は、宅地の評価が80%減になる
これは「小規模宅地等の特例」と呼ばれるもので、自宅の敷地330㎡(100坪)までについて、評価額を8割引きにすることができるのです。
基本的には、「一緒に暮らしていること」が条件になります。
例えば、宅地の評価が5,000万円だった場合でも、同居している家族が相続すれば、8割引の1,000万円で評価することができるのです。
介護などで同居をした家族が実家を相続すれば、かなり相続税を押さえることが可能になるんですね。
まとめ
というわけで、相続税の計算の流れをご紹介しましたが、だいたいのイメージはできたでしょうか?
ポイントは3つです。
- 配偶者が相続する場合には、1.6億円までは無税
- 法定相続人の数が多いほど、控除が増えて課税額が減る
- 財産の評価を調べるのは、けっこう大変
の3つです。
特に、ここでは触れませんでしたが、不動産の相続税評価は、路線価を使いますが、実際の話し合いの場(遺産分割協議)では時価評価を使います。
そうしないと、相続人同士でケンカになってしまいますからね。
時価評価の調べ方はいろいろありますが、不動産会社に査定をもらうのが、相続人同士で納得がいきやすいでしょう。
特に不動産の一括査定サービスでは、「机上査定」と呼ばれるメールで査定額を教えてくれるサービスがあるので、こちらを活用すると便利です。
一括査定サービスについては、こちらで詳しく解説しています。
気になる方は、1度確認してみてください。
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