この記事では愛知県の
- 公示地価、基準地価
- 土地価格がこれまで上昇・下落した理由
- 今後どうなるのか?
の3点について解説しています。
(なお、本ページはプロモーションが含まれています。該当するサービスには、【PR】と表記しております)(※1)
1、過去5年間の愛知県の不動産の動き
愛知県の土地価格は、この1年間で、住宅地で+2.3%、商業地も+3.4%と、大きく上昇しました。
また、2018→2023年の5年間で見ると、住宅地で+4.7%、商業地で+12.5%と、商業地での伸びが大きかったようです。
ですが、もちろん地域によって、動きに大きな差があります。
そこで、この5年間の住宅地の変化率を市区町村別に表してみました。
愛知県の5年間の土地価格の変化率(住宅地)
名古屋市の中心部である中区や、その周辺で大きく上昇している以外にも、刈谷市や安城市などの西三河エリアでも、大きく上昇していました。
しかし、名古屋〜西三河以外では、下落しているところが、けっこうありますね。
名古屋市と西三河地区だけ上昇しているのか?
その理由をザックリ言うと、
「建築費の上昇によって住宅価格が上昇しているため、土地価格も連れ高している。しかし、同時に農地の宅地化も進んでいるため、農地が多く、買い手が少ないエリアでは下落している。」
ということになります。
建築費が上昇
特に新型コロナ以降にですが、ロシアのウクライナ侵攻なども重なって、いろいろな商品の値上げが続いています。
建築費も例外ではなく、マンション・戸建てともに建築費が20〜30%も上昇しているのです。
マンションの建築費
木造戸建ての建築費
そのため、新築が高くて手が出せない人が、中古マンション・戸建ての購入に流れた結果、愛知県の中古マンション・中古戸建ての価格も上昇しています。
2018〜23年で見ると、中古戸建てで4.8%、中古マンションでは、なんと15.4%も上昇しているのです。
一方で、農地の宅地化も進んでいる
しかし、このように価格が上昇しているのは、買い手がつくエリアだけです。
そして、農地が多く残っているエリアでは、農地の宅地化が進んでいることによって、古くからある住宅地の買い手が減っています。
愛知県の農地は、年々減少傾向にあり、2010〜20年の10年間でも、約9,000haも減っているのです。
1ha=約3,000坪ですので、30坪の戸建てで、約90万戸分の土地が、農地から宅地または工場などに変わっているわけです。
名古屋市は、一部の郊外に農地が集中しており、駅近エリアはマンションや戸建てで埋まっています。
また、西三河エリアでも、農地は残っているものの、それ以上にトヨタ関連企業の業績が好調なこともあって、住宅需要が強く、土地価格の上昇が続いているわけです。
逆に、それ以外のエリアでは、若い人が仕事を求めて引っ越していきますし、農地の宅地化も進んでいるため、買い手がつきにくく、下落しているエリアが多いわけですね。
3、これからどうなるのか?
愛知県の土地価格に関して、今後注意すべきリスクをまとめました。
(1)そろそろ金利が上がりそう
日本では、低金利が長く続いているため、金利の上昇リスクを心配しない人が増えており、7割以上の人が、半年ごとに金利が変わる変動金利を選んでいます。
ですが、本当にこれからも金利は上がらないのでしょうか?
実は、10年〜30年までの長期金利については、すでに上昇し始めています。特にロシアのウクライナ侵攻が始まった2022年ごろから、本格的に上がって来ています。
(参考:財務省)
これによって、変動金利は低いままですが、ふらっと35などの固定金利は上昇を始めています。
なぜ上昇しているのかと言うと、世界的に物価が上昇しているからです。
例えば、アメリカでは、物価が一時、前年比で9%以上も上がったため、政策金利を0.25%→5.25%まで、1年間で5%も引き上げました。
ドイツでも、前年比で11%以上も上がっていたため、こちらも政策金利を0%→3.5%にまで、約1年間で3.5%も引き上げています。
その結果、欧米各国でも、住宅価格が下落をはじめています。
アメリカの先月の中古住宅価格は前の年の同じ月と比べた下落幅(-1.7%)がおよそ11年ぶりの大きさとなり、住宅価格の下落傾向が鮮明になっています。
急速な利上げに伴う住宅ローン金利の高止まりで需要が落ち込んでいることが背景にあります。
欧州連合(EU)域内で、住宅価格が2015年以来初めて四半期ベースで下落に転じた。借り入れコストの上昇(=金利の上昇)が10年近くに及ぶ住宅用不動産ブームに終わりをもたらしている。
EU統計局は4日、22年10〜12月期に住宅価格が前の期と比べ1.5%下落したと発表した。域内27カ国のうち15カ国で下がった。下落幅が最も大きかったのはデンマークとドイツで、それぞれ6.5%、5%低下した。
金利を引き上げたことで、住宅価格が下落しているのです。
ちなみに日本の物価上昇率は、前年比で3.0%の上昇です。
(参考:NHK「2022年度 消費者物価指数 前年度比3.0%上昇 41年ぶり水準」)
そして、日本でも、7月28日に、植田日銀総裁が、政策修正を発表し、事実上の利上げを行いました。
これまでは、10年国債の金利が0.5%以上に上がらないようにコントロールしてきましたが、それを1.0%まで引き上げたのです。
(参考:野村総合研究所 2023.7.28「日銀が長期金利の上昇を容認するYCCの運用柔軟化策を決定(日銀金融政策決定会合)」)
これによって、期間10年以上の固定金利については、今後、徐々に上がっていくことが予想されます。ふらっと35などの、長期固定の住宅ローン金利は上がるでしょう。
変動金利が上がる可能性は?
今回の事実上の利上げは、期間10年以上の長期金利への影響が大きいですが、変動金利への影響は、今のところ、ありません。
ですが、物価上昇が続くようであれば、いずれ短期金利も引き上げざるを得なくなるでしょう。
というのも、そもそも、金利を引き上げている理由は、お金を借りにくくすることで、モノの消費や生産をおさえ、物価上昇を止めるためだからです。
長期金利を引き上げても、物価上昇が止まらないのであれば、短期金利の引き上げも、いずれ視野に入ってくるはずです。
なお、日銀が見込んでいる、今後の物価上昇率は、2024年が年率1.9%で、2025年が年率1.6%です。
(参考:野村総合研究所 2023.7.28「日銀が長期金利の上昇を容認するYCCの運用柔軟化策を決定(日銀金融政策決定会合)」)
もし、今回の利上げでも、現在の年率3%の物価上昇率がおさまらなければ、さらに政策を修正する可能性は高く、その際には、変動金利型の住宅ローンにも、影響が出てくるかもしれません。
1%金利が上がると、不動産価格は15〜20%下がる可能性
ちなみに、金利が1%上がると、住宅ローンの利息は、35年で15〜20%増えます。
例えば、月に約10万円の返済を考えている人であれば、現在なら3,500万円の物件が買えますが、金利が1%上がると、毎月10万円の支払いで、3,000万円の物件しか買えません。
なお、すでに変動金利で組んでいる人については、5年ルールという、当初5年間は、返済額が固定(ただし、増えた利息はあとで支払う)というルールがあるため、すぐに払えなくなって投げ売りが始まるわけではありません。
しかし、新しくローンを組む人は、変動金利でも高い金利になるため、今まで通りの高い価格でローンを組むことが難しくなりますから、価格は下がりやすくなるでしょう。
(2)2022年問題で、都市の農地が宅地になる
2022年問題をご存知でしょうか?
「都市部にある税金を優遇されていた農地(生産緑地)が、優遇期間が切れることで宅地として放出され、土地価格に影響を与える」
という問題です。
(出典:ウィキペディア cory.2005.Seisan Ryokuchi)
では、愛知県ではどうなっているのか?
市区町村別に色分けしてみました。
愛知県の生産緑地の分布図:名古屋市が最も多く、次いで一宮市、豊田市、岡崎市の順
(参考:国土交通省 都市計画区域、市街化区域、地域地区の決定状況)
ご覧のように、名古屋市や一宮市では100ha単位で残っています。
1ha=3,000坪ですから、30坪の戸建てが100件建つと計算すると、100haならば1万軒分の土地になります。
その全てが農地になるわけではありませんが、数年で1〜2割は宅地へと変わるでしょう。
生産緑地制度が始まった時に、この制度を使わなかった農地がそれぐらいの割合で宅地へと変わったからです。
また、この問題で影響を受けるのは、駅から少し離れた郊外のエリアでしょう。
駅前の農地はほとんど宅地に変わっていますし、郊外に残っているケースが大半だからです。
郊外の土地への需要は、これまでずっと減り続けてきましたが、さらに追い討ちを受けることになりそうです。
4、愛知でこれから上がりそうな地域は?
これまで見てきたように、①建築費の高騰、②トヨタ関連企業の業績好調、によって、名古屋市〜西三河地区で、土地価格の上昇が見られています。
特に名古屋市港区や南区、中川区などの、名古屋市の南部では、コロナ前まで、ほとんど変化がなかったため、割安なままで放置されていました。
そのため、「名古屋市内は土地価格が高すぎて、手が出にくい」という方であれば、この辺りを探してみてもいいかもしれません。
結論:売るなら?買うなら?
というわけで、愛知県の今後の土地価格についての結論は、以下の通りです。
- 在宅ワークの広がりや、建築費の高騰を受けて、名古屋市〜西三河地区では上昇しているものの、それ以外では下落、という二極化が進んでいる
- 今後は、金利の上昇リスク、生産緑地の解禁、ロシアのウクライナ侵攻による建築費の上昇などから、なるべく安く、広い家に住みたいという動きが広がりそう
と言えそうです。
買うなら:低金利なのでチャンスだけれど、、、
本来であれば、低金利は家を購入するチャンスな訳ですが、建築費が上がっているため、家を建てるハードルも上がっています。
なので、いい物件を探すことがポイントになってきます。
非公開物件=安い物件
不動産を売る理由はさまざまですが、「周りに知られずに売却したい」という売主は一定の割合でいます。
そのような物件は、ネット上にも出回らず「非公開物件」として、特定の不動産会社が取り扱っている場合があります。
当然、このような物件は少ないお客さんにしか目にとまる機会がないため、相場よりも価格の安い可能性が高いです。
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売るなら:割安な物件が注目されつつある
愛知県の土地価格は、新型コロナ以降は特に、インフレによる建築費の上昇によって、不動産価格が底上げされてきました。
しかし、今後は異次元緩和政策の終了によって、金利の上昇が予想されます。建築費の上昇に加えて、住宅ローンの負担が増えれば、一般世帯でもさすがに現在の価格で購入できる人は減ってしまいます。
そのためので、今のうちに売却の準備をし始めた方がいいかもしれません。
公示地価を信じると損をする?
この記事では公示地価をもとに解説していきましたが、公示地価は「その地域の平均的な価格」なため、実際の取引ではこれ以上に高く、または安く取引されることがあります。
例えば、岡崎市に「大和町(だいわちょう)」という、西岡崎駅の近くの住宅地があります。
こちらの公示地価と実際の取引を比べてみると、
- 公示地価:37万円/坪
- 実際の取引価格:43〜51万円/坪
と、公示地価の約1.1〜1.4倍で取引されていました。
取引価格同士で比べると、1.2倍の価格差があります。
なぜ、これほど売却価格が変わるのでしょうか?
その理由は、不動産会社によって、持っている取引情報に差があるからです。
不動産取引は、株式市場のように、全ての取引情報を管理しているところがないため、
- 自社でどれだけ取引情報を持っているか
- どれだけ買い手のリストを持っているか?
で、評価額も、売れる金額も変わってくるのです。
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(2022年実績:売り物件報告件数17.5万件 ÷ 土地取引件数152.5万件 = 11.4%)
また、不動産会社が持っている取引情報や、買い手のリストは、エリアや物件によって違いますから、いくつかの不動産会社に査定を申し込むことで、
- どれだけの評価額になるのか?
- どこの会社が、自分の不動産を高く売ってくれるのか?
を知ることができます。
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