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この記事では千葉県の
- この11年間の土地価格の動き
- 今後どうなるのか?
の2点について解説しています。
また、この記事をもとに動画も作成しています。
文章よりも、動画の方がいい方は、こちらをご参考ください。
なお、売買でお得なサービスは、この記事の最後で紹介しています。
1、千葉県の不動産の動き
千葉県の土地価格は、この1年間で、住宅地で+4.3%、商業地も+5.3%と、大きく上昇しました。
また、2013→2024年の11年間で見ると、住宅地で+9.9%、商業地で+23.1%と、商業地の方が大きく上昇していますが、新型コロナ以降は、住宅地での上昇も始まっていました。
ですが、もちろん地域によって、動きに大きな差があります。
そこで、この5年間の住宅地の変化率を市区町村別に表してみました。
【住宅地】千葉県の11年間の土地価格の変化率
①市川市、船橋市、浦安市などの23区に近いエリアと、②木更津市、君津市などの内房エリアで大きく上昇していました。
逆に外房エリアや内陸の市町村では下落傾向にありました。
【商業地】千葉県の11年間の土地価格の変化率
商業地の方が、より内房エリアでの上昇が鮮明になっていますね。
商業地は、お店だけでなく、オフィスや高層マンションも立ち並ぶエリアですので、駅周辺や国道沿いなどの、人の集まる場所で上昇していることになります。
特に内房エリアは、東京方面への鉄道が走っていますので、通勤需要もあって、上昇率が高いのでしょう。
不動産価格が上昇している3つの理由
神奈川県の不動産が上昇している理由として、主に3つ挙げられます。
①金利が低下して、高い物件が買えるようになった
そもそも、不動産価格が上昇した最も大きな理由は、金利の低下です。
アベノミクスによる異次元緩和政策が始まった2013年から2020年ごろまでは、固定金利が2%台から0.82%まで、1%以上も下落したのです。
さらに、2022年に入ると、変動金利がさらに下がりました。それまで0.5%前後だった金利が、0.3%台にまで下がったのです。
新型コロナ以降も、都心部や大都市圏を中心に不動産価格は上がり続けていますので、それでも買いたい人が、変動金利を利用するようになり、ついに7割以上が変動金利を選ぶようになっています。
これによって、同じ返済額でも、買える物件の価格が大きく上がりました。
アベノミクスが始まる前の2012年ぐらいまでは、月に約10万円の返済(ふらっと35)で、約3,000万円の物件しか買えませんでした。
ですが、2023年現在、変動金利を選べば、約4,130万円の物件まで買えるようになっているのです。
月10.4万円の返済で、いくらの物件が買えるのか?
今の夫婦は、共働き世帯が多いですから、変動金利で、2人でそれぞれ月10万円を返済すると決めれば、なんと約8,200万円の物件が買えるわけです。
特に、マンション価格の上昇が続いているのは、富裕層や高所得層だけでなく、共働き世帯による購入もした支えしているのでしょう。
②建築費が上昇したため、中古住宅の価格も上がった
2つ目が、建築費の上昇です。
新型コロナの感染拡大や、ロシアのウクライナ侵攻によって、世界的にモノ不足が広がった結果、物価上昇が続いています。
日本の建築費も例外ではなく、特に新型コロナ以降は、マンション、戸建てそれぞれ2〜3割も上がっているのです。
建築費も例外ではなく、マンション・戸建てともに建築費が20〜30%も上昇しているのです。
マンションの建築費
木造戸建ての建築費
その結果、新築を買えない人が、中古住宅に流れ、中古マンション・戸建ての価格も上昇しました。
2018年から比べて、中古マンションでは約29.7%、中古戸建てでも約34%上昇しているのです。
このように住宅価格が上昇した結果、周辺の土地価格も連れ高しているわけです。
特に、昨年から今年にかけての土地価格の上昇率が、過去に比べて高いのは、建築費の上昇によるためでしょう。
③千葉県では、人口増加も追い風に
建築費が上がったといっても、買い手がつかなければ、土地価格も上がりません、
そこで、市町村別に転入超過数(市外から引っ越してきた人 ー 出て行った人)を調べてみた結果がこちらです。
特徴を整理すると、
- 流山市、柏市、船橋市などの、首都圏へ通勤しやすい市区町村で、人口が大きく増加
- 千葉市でも、東京方面への通勤に便利な美浜区、中央区などで人口が増加
- それ以外のエリアでは、減少傾向の市町村がほとんど
といったことがわかります。
特に住宅地においては、土地価格が上昇しているエリアと、人口が増えているエリアの傾向は、だいたい似たような形になっていました。
というわけで、千葉県の土地価格の傾向をまとめると、
- 金利低下、変動金利の利用増加によって、返済額を増やさずに、高い物件を買えるようになっている
- 建築費の上昇で、新築価格が上がり、中古価格にまで波及している
- 人口が増えているエリアでは、需要が増えていることもあって、土地価格も上がっているが、そうでない場所では、買い手がつきにくく、下落しているところも多い
という、土地価格の二極化が起こっていると言えるでしょう。
3、これからどうなるのか?
千葉県の土地価格に関して、今後注意すべきリスクをまとめました。
(1)いよいよ金利上昇が本格化しそう
ここ2年ぐらいで、建築費も3割ぐらい上がっていますが、給料が上がりにくい中で、高い物件を買えていたのは、変動金利を選択することで、支払い負担を減らす人が増えていたからです。
ですが、今年3月に日銀がマイナス金利を解除し、7月には政策金利が0.25%にまで引き上げると発表されたことで、変動金利もこれから上がってきます。
そのため、これまでは変動金利を選ぶことで、何とか高い物件を買えていた人たちも、利息負担が上がってくるため、返済が苦しくなってくる人が増えるでしょう。
また、ギリギリの枠でローンを組もうとする人も減るでしょう。
1%金利が上がると、不動産価格は15〜20%下がる可能性
ちなみに、金利が1%上がると、住宅ローンの利息は、35年で15〜20%増えます。
例えば、月に約10万円の返済を考えている人であれば、現在なら3,500万円の物件が買えますが、金利が1%上がると、毎月10万円の支払いで、3,000万円の物件しか買えません。
政策金利は少しずつ引き上げていくと思われますので、すぐに大きく価格が下落するわけではありません。
ですが、購入を検討されている方は、変動金利でギリギリのローンを組むのは危ないので気をつけてください。
(2)2024年問題で、建築費がさらに上がる
この2024年問題とは、簡単にいうと、
「建設業・運送業の従業員に対して、残業の規制が厳しくなることで、今まで以上に人件費の負担が上がることで、商品やサービスの価格が上がる」
という問題です。
4月1日から、施行されます。
建設業の労働時間の規制
そのため、資材の運搬や、建設の工期の長期化によって、建設費の上昇がほぼ確実に進むことになります。
戸建てやマンション価格がさらに上がるため、土地価格の連れ高は起こるかもしれませんが、買い手はさらに減っていくでしょう。
(3)これから千葉県の人口はどうなるの?
国立社会保障・人口問題研究所が、2023年に発表した千葉県の人口の見通しによると、2025→35年の10年間で人口は約18.2万人減少するそうです。
千葉県はこれから10年で約18.2万人減少
さらに、家を建てる中心年代の30〜40代人口は、2025→35年の10年間で約9.9万人減る見通しです。
千葉県の30〜40代人口は、これから10年で約9.9万人減る
そのため、今後はさらに買い手が減っていくことになります。
さきほどの転入超過数の通り、市外から人口が流入するエリアは限られていますので、人口流出エリアでは、さらに買い手がつきにくくなるでしょう。
4、千葉でこれから上がりそうな地域は?
千葉県内で、これから不動産価格が上昇しそうな場所は、大きく2種類に分けられます。
①東京方面への通勤に便利なエリア(市川市〜千葉市など)
1つは、東京方面への通勤に便利なエリアです。
都心部のマンション価格の高騰によって、23区から引っ越してくる人たちは、これらの市の駅近マンションを求める傾向にありますからね。
ここ数年の人口変化を見ても、これらのエリアの多くで、著しい人口の増加も見られますから、今後も住宅需要は増え続けると考えられます。
②木更津、君津、袖ヶ浦市周辺
2つ目が、木更津市や君津市、袖ヶ浦市の周辺です。
アクアラインの通行料が安くなったことで、神奈川方面からの観光客が増え、ショッピングモールを中心に賑わいを取り戻しています。
その影響もあって、特に君津市や木更津市では、ここ数年で土地価格が大きく上昇しました。
そして、その波は、袖ヶ浦市にまで広がって来ています。
ここ数年の人口変化を見ると、袖ヶ浦市は、2,000人以上も増えており、土地価格もあまり上がっていないため、1番の狙い目は袖ヶ浦市かもしれません。
結論:買うなら?売るなら?
というわけで、千葉県の今後の土地価格についての結論は、以下の通りです。
- 現在の不動産価格の高騰は、①金利の低下、②建築費の上昇、③人口の増加、が進んだことによって、引き起こされている
- ただし、その恩恵を受けているのは、東京方面への通勤に便利な市川市〜千葉市ぐらいまでのエリアであり、それ以外の大半のエリアでは、人口減少も進んでいるため、むしろ土地価格は下落している
- 今後も、一部のエリアへの人口集中は続きそうだが、金利が上昇して来ているため、高値で買える人は減っていきそう
と言えそうです。
買うなら:価格がかなり上がっているので、物件選びは慎重に
千葉県の不動産価格は、内房エリアを中心に、かなり上昇してきましたが、今後も変動金利の上昇、建築費の上昇などによって、さらに購入のハードルは上がっていきます。
そのため、ギリギリの返済計画で購入を検討するのはやめたほうがいいでしょう。
非公開物件=安い物件
不動産を売る理由はさまざまですが、「周りに知られずに売却したい」という売主は一定の割合でいます。
そのような物件は、ネット上にも出回らず「非公開物件」として、特定の不動産会社が取り扱っている場合があります。
当然、このような物件は少ないお客さんにしか目にとまる機会がないため、相場よりも価格の安い可能性が高いです。
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売るなら:低金利の今がチャンス
千葉県の不動産価格は、建築費の上昇に対して、買い手が変動金利を利用することで、なんとかついてこれていた状況でした。
ですが、今後は金利はむしろ上がっていきます。
そのため、低金利の今が売り時のエリアは多いと考えられます。
こんなに違うの?公示地価と実際の取引価格
ここまで、主に公示地価を中心に解説してきましたが、実際の取引では、かなり高く、または安く取引されているケースが多くあるので、注意が必要です。
例えば、柏市内に「今谷上町(いまやかみちょう)」という、南柏駅の南側のエリアがあります。
こちらの公示地価と実際の取引を比べてみると、
- 公示地価:49万円/坪
- 実際の取引価格:39〜85万円/坪
と、公示地価の約0.8〜1.7倍で取引されていました。
取引価格同士で比べると、2.2倍の価格差があります。
なぜ、同じ地域で、これほど取引価格が違うのか?
最も大きな理由は、不動産会社によって、持っている取引情報量が違うからです。
不動産の取引は、数千万〜数億円単位の大きな取引ですから、売り手はなるべく高く売りたいし、買い手はなるべく安く買いたいものです。
しかし、あまりに現実とかけ離れた希望を持っても、売ることも買うこともできません。
そこで重要なのが、過去の取引情報です。
例えば、実際に高い価格で取引されていることを知っていれば、売り手は強気で交渉できますからね。
ですが、不動産取引は、株式市場のように、全ての取引情報が分かる仕組みがないため、不動産会社によって、持っている情報量が違います。
持っている取引情報が違うため、評価額・取引価格が変わる
*REINSとは、不動産会社間でだけ共有できる物件情報・取引情報のサービスです。ただし、売主の承諾が必要なため、情報の共有率は、全体の取引の約11%程度となっています
(2022年実績:売り物件報告件数17.5万件 ÷ 土地取引件数152.5万件 = 11.4%)
そのため、
- そのエリアの取引情報を多く持っている
- 買い手・売り手の相談が多い
といった会社を探すことが重要なんですね。
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