(画像出典:wikimedia commons 金沢市, 望湖台)
この記事では石川県の
- 公示地価、基準地価
- 土地価格がこれまで上昇・下落した理由
- 今後どうなるのか?
の3点について解説しています。
(なお、本ページはプロモーションが含まれています。該当するサービスには、【PR】と表記しております)(※1)
1、石川県の土地価格の動き
石川県の住宅地は、アベノミクス以降の、この9年間で2%下落しました。
また、2021→22年の公示地価については、住宅地は前年比で0.6%のプラス、商業地も0.8%のマイナスとなっていました。
金沢市では外国人観光客がかなり増えて、土地価格も上昇していますが、石川県全体で見ると、逆にマイナスになっています。
一体、何が起こっているのでしょうか?
そこで、今度は市区町村別に、この7年間の住宅地の上昇率を見てみましょう。
コロナ前:金沢市とその周辺でのみ上昇
一部だけですが、金沢市とその周辺の野々市市、津幡町だけが上昇しており、それ以外のエリアは下落していました。
なぜ、金沢市の周辺だけが上昇しているのか?
最も大きな理由は、少子化でしょう。
石川県では、少子化によって10年間で小学校が1割以上も減っているのです。
金沢市では、この10年間で62校→56校と6校減りました。
特に石川県では、共働き比率が56.1%と全国4位の高さ(平成29年度調査)となっており、子供の送迎も難しいため、なるべく学校に近い場所に家を購入する傾向になります。
郊外の人口減少エリアでは、廃校になる可能性も高いため、子育て世帯であれば、なるべく人口の多い、通学にも便利な場所が好まれるようになります。
ただし、金沢市は、北陸新幹線の開通や、オリンピック決定による外国人観光客の増加もあって、中心部では、かなり土地価格が上がりました。
そのため、金沢市へ通学、通勤に便利で、土地価格の安い津幡町や野々市市の人気が高まったと考えられます。
コロナ後:金沢市周辺への一極集中が進んだ
新型コロナ以降は、さらに金沢市への一極集中が進みました。
飲食店や観光業への影響は大きかったものの、県外への移住が難しくなった結果、県内で就職・進学をする人が増え、金沢市への一極集中がさらに進んだと考えられます。
2、これからどうなるのか?
石川県の今後の土地価格に影響がありそうなポイントをまとめました。
(1)そろそろ金利が上がりそう
日本では、低金利が長く続いているため、金利の上昇リスクを心配しない人が増えており、7割以上の人が、半年ごとに金利が変わる変動金利を選んでいます。
ですが、本当にこれからも金利は上がらないのでしょうか?
実は、10年〜30年までの長期金利については、すでに上昇し始めています。特にロシアのウクライナ侵攻が始まった2022年ごろから、本格的に上がって来ています。
(参考:財務省)
これによって、変動金利は低いままですが、ふらっと35などの固定金利は上昇を始めています。
なぜ上昇しているのかと言うと、世界的に物価が上昇しているからです。
例えば、アメリカでは、物価が一時、前年比で9%以上も上がったため、政策金利を0.25%→5.25%まで、1年間で5%も引き上げました。
ドイツでも、前年比で11%以上も上がっていたため、こちらも政策金利を0%→3.5%にまで、約1年間で3.5%も引き上げています。
その結果、欧米各国でも、住宅価格が下落をはじめています。
アメリカの先月の中古住宅価格は前の年の同じ月と比べた下落幅(-1.7%)がおよそ11年ぶりの大きさとなり、住宅価格の下落傾向が鮮明になっています。
急速な利上げに伴う住宅ローン金利の高止まりで需要が落ち込んでいることが背景にあります。
欧州連合(EU)域内で、住宅価格が2015年以来初めて四半期ベースで下落に転じた。借り入れコストの上昇(=金利の上昇)が10年近くに及ぶ住宅用不動産ブームに終わりをもたらしている。
EU統計局は4日、22年10〜12月期に住宅価格が前の期と比べ1.5%下落したと発表した。域内27カ国のうち15カ国で下がった。下落幅が最も大きかったのはデンマークとドイツで、それぞれ6.5%、5%低下した。
金利を引き上げたことで、住宅価格が下落しているのです。
ちなみに日本の物価上昇率は、前年比で3.0%の上昇です。
(参考:NHK「2022年度 消費者物価指数 前年度比3.0%上昇 41年ぶり水準」)
そして、日本でも、7月28日に、植田日銀総裁が、政策修正を発表し、事実上の利上げを行いました。
これまでは、10年国債の金利が0.5%以上に上がらないようにコントロールしてきましたが、それを1.0%まで引き上げたのです。
(参考:野村総合研究所 2023.7.28「日銀が長期金利の上昇を容認するYCCの運用柔軟化策を決定(日銀金融政策決定会合)」)
これによって、期間10年以上の固定金利については、今後、徐々に上がっていくことが予想されます。ふらっと35などの、長期固定の住宅ローン金利は上がるでしょう。
変動金利が上がる可能性は?
今回の事実上の利上げは、期間10年以上の長期金利への影響が大きいですが、変動金利への影響は、今のところ、ありません。
ですが、物価上昇が続くようであれば、いずれ短期金利も引き上げざるを得なくなるでしょう。
というのも、そもそも、金利を引き上げている理由は、お金を借りにくくすることで、モノの消費や生産をおさえ、物価上昇を止めるためだからです。
長期金利を引き上げても、物価上昇が止まらないのであれば、短期金利の引き上げも、いずれ視野に入ってくるはずです。
なお、日銀が見込んでいる、今後の物価上昇率は、2024年が年率1.9%で、2025年が年率1.6%です。
(参考:野村総合研究所 2023.7.28「日銀が長期金利の上昇を容認するYCCの運用柔軟化策を決定(日銀金融政策決定会合)」)
もし、今回の利上げでも、現在の年率3%の物価上昇率がおさまらなければ、さらに政策を修正する可能性は高く、その際には、変動金利型の住宅ローンにも、影響が出てくるかもしれません。
1%金利が上がると、不動産価格は15〜20%下がる可能性
ちなみに、金利が1%上がると、住宅ローンの利息は、35年で15〜20%増えます。
例えば、月に約10万円の返済を考えている人であれば、現在なら3,500万円の物件が買えますが、金利が1%上がると、毎月10万円の支払いで、3,000万円の物件しか買えません。
なお、すでに変動金利で組んでいる人については、5年ルールという、当初5年間は、返済額が固定(ただし、増えた利息はあとで支払う)というルールがあるため、すぐに払えなくなって投げ売りが始まるわけではありません。
しかし、新しくローンを組む人は、変動金利でも高い金利になるため、今まで通りの高い価格でローンを組むことが難しくなりますから、価格は下がりやすくなるでしょう。
(2)これから石川県の人口はどうなるの?
国立社会保障・人口問題研究所が、2018年に発表した石川県の人口の見通しによると、2025年までに5万人減少するそうです。
石川県の人口は、2025年までに10万人減る
(出典:国立社会保障・人口問題研究所 平成30年度人口推計)
また、家を買う中心年代である30〜40代も、2025年までに55,000人減る見通しです。
石川県の30〜40代人口は、2025年までに約55,000人減少
(出典:国立社会保障・人口問題研究所 平成30年度人口推計)
家の買い手が今よりも1割以上減るので、これまで通りの上昇は見込めなくなるかもしれません。
結論:売るなら?買うなら?
というわけで、石川県の今後の土地価格についての結論は、以下の通りです。
- 新型コロナ以降は、金沢市とその周辺への一極集中がさらに進んでいる
- 今後は金利が上昇し始めていることと、若い世代の人口減少が進むため、金沢市周辺でも土地価格の上昇は難しくなりそう
と言えそうです。
買うなら:低金利の今がチャンス
石川県内の土地価格は、一部のエリアを除いて下落しそうですが、今のタイミングで購入した方がいい場合もあります。
その理由は2つあります。
①土地価格の下落分よりも、待っている間の家賃の方が高くつく
例えば、坪30万円ぐらいの土地であれば、40坪でも1,200万円程度で買えます。
仮に数年で1割下げたとして120万円ぐらいしか安くなりませんから、その間の家賃を考えると、早めに買った方がトクになりますよね。
②異次元緩和で低金利の今がチャンス
また、現在は住宅ローンがかなり安いため、月々の返済負担が軽いのもチャンスです。
ですから、もし家を買おうと思っているのならば、土地価格が下がるのを待つよりも、金利が上がる前の今のうちに買うのがベストでしょう。
ただし、購入を検討する場合には、今後の金利上昇を想定しておかないと大変なことになるので、「フラット35」か「10年以上の固定金利」でも返済ができるかどうかで予算を考えるべきでしょう。
あまり価格が上がっていないメーカーもある
日本の住宅は、海外からの輸入材が8割以上を占めているため、輸入材を使っているメーカーほど、価格が上昇している傾向にあります。
一方で、国産材は円安の影響を受けないため、それほど値上がりしていませんので、国産材を得意とするメーカーを利用すれば、費用を抑えて家を建てることが可能です。
非公開物件=安い物件
また、不動産を売る理由はさまざまですが、「周りに知られずに売却したい」という売主は一定の割合でいます。
そのような物件は、ネット上にも出回らず「非公開物件」として、ある特定の住宅メーカーが取り扱っている場合があります。
当然、このような物件は少ないお客さんにしか目にとまる機会がないため、相場よりも価格の安い可能性が高いです。
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売るなら:低金利の今がチャンス
石川県内の土地価格は、人口減少がさらに進むことから、エリアによっては、さらに買い手がつきにくくなりそうです。
また、金利が上昇し始めていることから、今が1番高いケースがほとんどでしょう。
公示地価を信じると損をする?
この記事では公示地価をもとに解説していきましたが、公示地価は「その地域の平均的な価格」なため、実際の取引ではこれ以上に高く、または安く取引されることがあります。
例えば、金沢市内に「泉野町(いずみのまち)」という地区があります。
北陸鉄道石川線の野田駅の南側に広がる住宅地です。
この泉野町の公示地価と実際の取引価格は、
- 公示地価:35万円/坪
- 実際の取引価格:24〜45万円/坪
と、公示地価の約0.7〜1.3倍で取引されていました。
最高価格は、最低価格の約1.9倍です。
【金沢市泉野町の土地取引(過去2年間)】
- 金沢駅から徒歩30〜60分のエリアで、24〜45万円/坪で取引されている
- 公示地価も実際の取引も「第1種中高層住居専用地域」という用途区分
なぜ、これほど売却価格が変わるのでしょうか?
その理由は、不動産会社によって、持っている取引情報に差があるからです。
不動産取引は、株式市場のように、全ての取引情報を管理しているところがないため、
- 自社でどれだけ取引情報を持っているか
- どれだけ買い手のリストを持っているか?
で、評価額も、売れる金額も変わってくるのです。
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(2022年実績:売り物件報告件数17.5万件 ÷ 土地取引件数152.5万件 = 11.4%)
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