熊本県の土地価格の今後の見通し

熊本県の土地価格の今後の見通し熊本県

この記事では熊本県の

  1. 公示地価、基準地価
  2. 土地価格がこれまで上昇・下落した理由
  3. 今後どうなるのか?

の3点について解説しています。

(なお、本ページはプロモーションが含まれています。該当するサービスには、【PR】と表記しております)(※1)

 

 

1、熊本県の土地価格の動き

熊本県の土地価格は、この1年間で、住宅地で+1.9%、商業地で+1.9%と、大きく上昇しました。

また、2018→2023年の5年間で見ると、住宅地で+5.4%。商業地で+10.2%と、特に商業地で順調に上昇が続いていました。

 

熊本県の公示地価

(参考:国土交通省 地価公示)

 

では、具体的にどのあたりが上がっているのか?

まずは市区町村別に、上昇しているエリア(住宅地)を確認してみましょう。

 

熊本県の公示地価の変化率図

*白色のエリアは、データなし

(参考:国土交通省 地価公示)

 

赤色が濃いほど、上昇率が高くなります。

熊本市とその周辺の市町村で、大きく上昇していますね。

熊本市内では、中央区での上昇が目立ちます。また、熊本市近郊では、合志市、大津町、菊陽町、嘉島町などで、10%以上の上昇をしていました。(濃い赤色のエリア)

 

その反面、熊本市から離れているエリアでは、下落が進んでおり、熊本市とその周辺エリアへの一極集中が進んでいるようです。

 

なぜ、熊本市周辺だけが、これほど上昇しているのか?

その理由は大きく3つあります。

 

①建築費が上昇

1つ目の理由は、建築費の上昇です。

新型コロナ以降に、建築費が2〜3割上昇しているため、新築マンション・戸建てともに、価格が跳ね上がっているのです。

 

マンションの建築費

マンションの建築費

(参考:一般財団法人 建築物価調査会)

 

木造戸建ての建築費

木造の建築費

(参考:一般財団法人 建築物価調査会)

 

そのため、新築が高くて手が出せない人が、中古マンション・戸建ての購入に流れた結果、熊本県の中古マンション・中古戸建ての価格も上昇しています。

2018〜23年で見ると、中古戸建てで+10.5%、中古マンションも+17.7%と、かなり大きく上昇しているのです。

 

熊本県の中古マンション、戸建ての価格推移

(参考:東日本不動産流通機構)

 

そのため、中古住宅の土地評価も、それに合わせて上昇しやすい環境にあるのです。

 

②熊本市への一極集中で、他のエリアでは買い手が減っている

しかし、価格を引き上げたとしても、実際に買い手がつかなければ、上昇したとは言えません。

そこでポイントとなるのが、他市町村からのの引越しの状況です。

 

各市町村の転入超過数(引っ越して来た人 ー 出て行った人)を見てみると、熊本市の周辺で増加しているものの、それ以外のエリアでは、減少していました。

 

熊本県の転入超過数(2018-23)

(参考:総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」)

 

熊本市の中心部では、JR熊本駅や駅前広場の再開発や、繁華街の桜町地区に複合商業施設「サクラマチクマモト」ができたことで、周辺の土地価格が上昇しています。

その結果、マンション価格も上昇しているため、価格の安い郊外に移り住む人が増えているのでしょう。

 

中央区や北区では、転出超過(引っ越す人の方が多い)なものの、その周辺では増加していることからも、そのような傾向がうかがえます。

特に南区や合志市、菊陽町などの、ちょっと郊外の人口増加が目立ちますね。

 

全国の地方県で共通してみられるのが、県庁所在地とその周辺への人口集中です。

少子高齢化や、公共事業の減少によって、地元での条件の良い仕事がどんどん減っているため、熊本市のような県庁所在地に仕事を求める人が増えているのです。

そして、その結果、それ以外の地方都市では、人口減少・土地価格の下落が進んでいるわけです。

 

(3)菊陽町にTSMCの半導体工場が建設中

また、台湾の半導体受託製造企業のTSMCが、菊陽町に1兆円規模の半導体工場を建設しており、24年には生産を開始する予定となっています。

そのため、工場建設に関わる仕事が増え、周辺の住宅需要が増え、周辺市町村の土地価格も上昇しているわけですね。

(参考:朝日新聞「『まるでバブル』TSMC工場建設の熊本 山林の価格は2年で4倍に」)

 

3、これからどうなるのか?

熊本県の土地価格に影響を与えそうなリスクをまとめました。

 

(1)そろそろ金利が上がりそう

日本では、低金利が長く続いているため、金利の上昇リスクを心配しない人が増えており、7割以上の人が、半年ごとに金利が変わる変動金利を選んでいます。

 

ですが、本当にこれからも金利は上がらないのでしょうか?

実は、10年〜30年までの長期金利については、すでに上昇し始めています。特にロシアのウクライナ侵攻が始まった2022年ごろから、本格的に上がって来ています。

 

国際金利推移 202306

(参考:財務省

 

これによって、変動金利は低いままですが、ふらっと35などの固定金利は上昇を始めています。

 

なぜ上昇しているのかと言うと、世界的に物価が上昇しているからです。

例えば、アメリカでは、物価が一時、前年比で9%以上も上がったため、政策金利を0.25%→5.25%まで、1年間で5%も引き上げました。

ドイツでも、前年比で11%以上も上がっていたため、こちらも政策金利を0%→3.5%にまで、約1年間で3.5%も引き上げています。

 

その結果、欧米各国でも、住宅価格が下落をはじめています。

アメリカの先月の中古住宅価格は前の年の同じ月と比べた下落幅(-1.7%)がおよそ11年ぶりの大きさとなり、住宅価格の下落傾向が鮮明になっています。
急速な利上げに伴う住宅ローン金利の高止まりで需要が落ち込んでいることが背景にあります。

(参考:NHK 2023.5.19「アメリカ 4月の中古住宅価格 下落幅 約11年ぶりの大きさに」)

 

欧州連合(EU)域内で、住宅価格が2015年以来初めて四半期ベースで下落に転じた。借り入れコストの上昇(=金利の上昇)が10年近くに及ぶ住宅用不動産ブームに終わりをもたらしている。

EU統計局は4日、22年10〜12月期に住宅価格が前の期と比べ1.5%下落したと発表した。域内27カ国のうち15カ国で下がった。下落幅が最も大きかったのはデンマークとドイツで、それぞれ6.5%、5%低下した。

(参考:日経新聞 2023.4.14「[FT]欧州住宅価格、四半期で15年以来の下落 ブームに幕」)

 

金利を引き上げたことで、住宅価格が下落しているのです。

ちなみに日本の物価上昇率は、前年比で3.0%の上昇です。

(参考:NHK「2022年度 消費者物価指数 前年度比3.0%上昇 41年ぶり水準」)

 

そして、日本でも、7月28日に、植田日銀総裁が、政策修正を発表し、事実上の利上げを行いました。

これまでは、10年国債の金利が0.5%以上に上がらないようにコントロールしてきましたが、それを1.0%まで引き上げたのです。

(参考:野村総合研究所 2023.7.28「日銀が長期金利の上昇を容認するYCCの運用柔軟化策を決定(日銀金融政策決定会合)」)

 

これによって、期間10年以上の固定金利については、今後、徐々に上がっていくことが予想されます。ふらっと35などの、長期固定の住宅ローン金利は上がるでしょう。

 

変動金利が上がる可能性は?

今回の事実上の利上げは、期間10年以上の長期金利への影響が大きいですが、変動金利への影響は、今のところ、ありません。

ですが、物価上昇が続くようであれば、いずれ短期金利も引き上げざるを得なくなるでしょう。

 

というのも、そもそも、金利を引き上げている理由は、お金を借りにくくすることで、モノの消費や生産をおさえ、物価上昇を止めるためだからです。

長期金利を引き上げても、物価上昇が止まらないのであれば、短期金利の引き上げも、いずれ視野に入ってくるはずです。

 

なお、日銀が見込んでいる、今後の物価上昇率は、2024年が年率1.9%で、2025年が年率1.6%です。

(参考:野村総合研究所 2023.7.28「日銀が長期金利の上昇を容認するYCCの運用柔軟化策を決定(日銀金融政策決定会合)」)

 

もし、今回の利上げでも、現在の年率3%の物価上昇率がおさまらなければ、さらに政策を修正する可能性は高く、その際には、変動金利型の住宅ローンにも、影響が出てくるかもしれません。

 

1%金利が上がると、不動産価格は15〜20%下がる可能性

ちなみに、金利が1%上がると、住宅ローンの利息は、35年で15〜20%増えます。

例えば、月に約10万円の返済を考えている人であれば、現在なら3,500万円の物件が買えますが、金利が1%上がると、毎月10万円の支払いで、3,000万円の物件しか買えません。

 

金利上昇で下落

 

なお、すでに変動金利で組んでいる人については、5年ルールという、当初5年間は、返済額が固定(ただし、増えた利息はあとで支払う)というルールがあるため、すぐに払えなくなって投げ売りが始まるわけではありません。

 

しかし、新しくローンを組む人は、変動金利でも高い金利になるため、今まで通りの高い価格でローンを組むことが難しくなりますから、価格は下がりやすくなるでしょう。

 

 

 

(2)これから熊本県の人口はどうなるの?

国立社会保障・人口問題研究所が、2018年に発表した熊本県の人口の見通しによると、2025→35年の10年間で11.4万人減少するそうです。

 

熊本県の人口は、2025→35年で11.4万人減る

熊本県の人口予測

(出典:国立社会保障・人口問題研究所 平成30年度人口推計)

 

また、家を買う中心年代である30〜40代も、2025→35年で5.9万人減る見通しです。

 

熊本県の30〜40代人口は、2020→35年までに5.9万人減少

熊本県の30〜40代人口の人口予測

(出典:国立社会保障・人口問題研究所 平成30年度人口推計)

 

家の買い手が今よりも1割以上減るので、熊本市周辺への一極集中は、さらに進むでしょう。

 

(3)菊陽町にできる半導体工場の恩恵は?

菊陽町にTSMCの半導体工場ができることで、半導体関連企業が、その周辺に工場を建てて、仕事をもらおうとしています。

ところが、菊陽町には、工場に転用できる農地が今のところないため、企業からの進出を断っている状況なのです。

 

「町内の土地の多くは農地を守るために開発が厳しく制限された農業振興地域に指定されているため、企業進出に必要なまとまった規模の空いている土地はほとんどないのです。

そのため問い合わせは多くいただいていますが、(TSMC以降に)新たに進出が決定した企業は今のところありません。なんとかニーズにお応えできるように取り組んでいきたいとは思っていますが、すぐというわけにはいかないですね」(菊陽町商工振興課)

(参考:東洋経済「『土地がない』熊本・菊陽町、半導体バブルで悲鳴」

 

このような状況のため、合志市や大津市などの、近隣の安い土地が残っていそうな自治体に、企業誘致がされる可能性が出てきました。

菊陽町からちょっと離れている八代市でも、企業誘致へのアピールが始まっているようです。

 

そのため、菊陽町に限らず、他のエリアでも工場誘致による地域活性化・土地価格の上昇の可能性がありそうです。

 

結論:売るなら?買うなら?

というわけで、熊本県の今後の土地価格についての結論は、以下の通りです。

  • ①建設費の高騰、②熊本市周辺への人口集中、③菊陽町での半導体工場の建設、などの理由により、熊本市とその周辺で、土地価格の上昇が起こっているが、それ以外では下落、という二極化が進んでいる
  • 今後も人口減少は進むため、熊本市とその周辺への人口集中は続きそう
  • ただし、菊陽町以外のエリアでも、半導体関連企業の工場建設の可能性はあるため、特に菊陽町周辺の市町村では、今後恩恵があるかもしれない

と言えそうです。

 

買うなら:慎重な物件選びが重要

金利・建築費が上昇傾向にあるため、ギリギリの返済計画での購入は危ないです。

そのため、物件選びを慎重に行うことで、なるべく安い条件のものを探す努力が必要でしょう。

 

あまり価格が上がっていないメーカーもある

日本の住宅は、海外からの輸入材が8割以上を占めているため、輸入材を使っているメーカーほど、価格が上昇している傾向にあります。

一方で、国産材は円安の影響を受けないため、それほど値上がりしていませんので、国産材を得意とするメーカーを利用すれば、費用を抑えて家を建てることが可能です。

 

非公開物件=安い物件

また、不動産を売る理由はさまざまですが、「周りに知られずに売却したい」という売主は一定の割合でいます。

そのような物件は、ネット上にも出回らず「非公開物件」として、ある特定の住宅メーカーが取り扱っている場合があります。

 

非公開物件の理由

 

当然、このような物件は少ないお客さんにしか目にとまる機会がないため、相場よりも価格の安い可能性が高いです。

 

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売るなら:低金利のうちに売却を検討すべき

特に住宅地において、これから影響が出てくるのが金利の上昇です。金利が1%上がると、組める住宅ローンが15〜20%程度減るためです。

 

今は上昇率が小幅なため、まだ影響は小さいですが、これから物価上昇がさらにひどくなれば、アメリカやヨーロッパのように金利を引き上げて物価上昇を抑える政策を取る可能性があるため、早めの準備がおすすめです。

 

不動産会社選びを間違えると損する?

不動産会社によって、得意とするエリアや物件種類(戸建て・マンション)が違うので、実際の取引では、公示地価より高く、または安く取引されることがあります。

 

 

例えば、熊本市北区に「武蔵ヶ丘(むさしがおか)」という、武蔵塚駅の北側に広がる住宅地があります。

 

こちらの公示地価と実際の取引を比べてみると、

  • 公示地価:21万円/坪
  • 実際の取引価格:15〜32万円/坪

と、公示地価の約0.7〜1.5倍で取引されていました。

最高価格は、最低価格の約2.1倍です。

 

【熊本市北区武蔵ヶ丘の公示地価】

熊本市北区武蔵ヶ丘の公示地価

  • 武蔵塚駅から700mの距離、徒歩約27分(1分=80m)
  • 64,800円/㎡ × 3.3(㎡/坪) =21万円/坪

(参考:国土交通省地価公示・都道府県地価調査)

 

【熊本市北区武蔵ヶ丘の土地取引(過去2年間)】

熊本市北区武蔵ヶ丘の土地取引

  • 徒歩9〜14分のエリアで、15〜32万円/坪で取引されている
  • 公示地価も実際の取引も「第1種中高層住居専用地域」という用途区分

(参考:国土交通省 不動産取引価格情報検索)

 

なぜ、これほど売却価格が変わるのでしょうか?

その理由は、不動産会社によって、持っている取引情報に差があるからです。

 

不動産取引は、株式市場のように、全ての取引情報を管理しているところがないため、

  1. 自社でどれだけ取引情報を持っているか
  2. どれだけ買い手のリストを持っているか?

で、評価額も、売れる金額も変わってくるのです。

 

持っている取引情報が違うため、評価額・売却額が変わる

査定額が違うイメージ

 

*REINSとは、不動産会社間でだけ共有できる物件情報・取引情報のサービスです。ただし、売主の承諾が必要なため、情報の共有率は、全体の取引の約11%程度となっています

(2022年実績:売り物件報告件数17.5万件 ÷ 土地取引件数152.5万件 = 11.4%)

 

また、不動産会社が持っている取引情報や、買い手のリストは、エリアや物件によって違いますから、いくつかの不動産会社に査定を申し込むことで、

  1. どれだけの評価額になるのか?
  2. どこの会社が、自分の不動産を高く売ってくれるのか?

を知ることができます。

 

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