この記事では沖縄県の
- 公示地価、基準地価
- 土地価格がこれまで上昇・下落した理由
- 今後どうなるのか?
の3点について解説しています。
(なお、本ページはプロモーションが含まれています。該当するサービスには、【PR】と表記しております)(※1)
1、沖縄県の土地価格の動き
沖縄県の土地価格は、この1年間で、住宅地で+3.6%、商業地で+2.7%と、大きく上昇しました。
また、2018→2023年の5年間で見ると、住宅地で+26.8%。商業地で+29.5%と、毎年上昇が続いていますね。
では、具体的にどのあたりが上がっているのか?
まずは市区町村別に、上昇しているエリア(住宅地)を確認してみましょう。
*白色のエリアは、データなし
赤色が濃いほど、上昇率が高くなります。
那覇市などの南側の市町村に、大きく上昇しているエリアが集中していますね。
データのあるエリアは全域で上昇しているものの、名護市や本部町などの北部では、あまり上がっていませんでした。
なぜ、南部だけがこれほど上昇しているのか?
理由は大きく3つあります。
①金利低下によって、買い手の購買力が上がった
今回の土地価格の上昇のきっかけは、金利の低下でした。
ご覧のように、2013年4月以降、日銀が国債を買い占める、異次元緩和政策を行うことで、金利を下げてきました。
日銀が国債を買い占めて、金利を下げた
(参考:ARUHI住宅ローン フラット35金利の推移 財務省 国債金利情報)
ザックリ言うと、この8年間で買い手は、同じ返済額で2割高い物件を買えるようになったということです。
例えば、フラット35で期間35年・月々の返済額が10.4万円とした場合、購入できる不動産は3,000万円から3,500万円まで上がったのです。
同じ返済額で購入できる物件価格が2割上昇した
月々の支払額は増やさずに、約2割高い物件を買える。しかもその物件が人気化しているとなれば、値段が高くても買おうとする人は増えますよね。
そのため、人気のエリアほど、土地価格が上昇してきたのです。
そのため、沖縄県全体としても、土地価格が上がりやすい環境にあったわけです。
②外国人観光客の増加も追い風に
また、外国人観光客数の増加も、土地価格上昇の追い風となりました。
2013年9月に東京でオリンピックが開催されることに決定したことで、2013年からコロナ前の2019年にかけて、149→775万人へと、宿泊客数が5倍以上に増えたのです。
その結果、那覇市などの南側のエリアを中心に、ホテルや商業施設への設備投資が大きく増加し、土地価格が大きく上昇したのです。
③建築費が上昇して、周辺市町村に引っ越す人が増え、土地価格の上昇エリアが広がった
3つ目の理由は、建築費の上昇によって、那覇市周辺の市町村に人が流れ、土地価格の上昇エリアが広がったためです。
新型コロナで観光客が激減し、沖縄経済も打撃を受けました。普通に考えれば、不動産価格は下落すると思うでしょう。
ところが、この間に、建築費の上昇が起こりました。建築費が2〜3割上昇しているため、新築マンション・戸建てともに、価格が跳ね上がってしまったのです。
マンションの建築費
木造戸建ての建築費
そのため、新築が高くて手が出せない人が、中古マンションを買ったり、那覇市以外の周辺市町村へ引っ越して家を建てる人が増えました。
例えば、中古マンションの価格を見ると、2019〜23年の間に、中古戸建ては-0.4%とほとんど変わらなかったものの、中古マンションも+12.6%と、大きく上昇していました。
また、沖縄県内の転入超過数(引っ越して来た人 ー 出て行った人の数)を調べてみたところ、この5年間で那覇市から約7,000人が市外に出て行きました。
その一方で、うるま市や中城村、南城市、八重瀬町などの、那覇市の周辺市町村では、1,000〜2,000人が引っ越してきていました。
(参考:総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」)
実際、南城市や八重瀬町でも、前年比で3〜4%前後の上昇をしています。
那覇市で前年比で+2.2%でしたので、周辺市町村の方が、土地価格の上昇率が高くなっているのです。
このような動きによって、沖縄県の土地価格の上昇の波が、広がっているわけですね。
3、これからどうなるのか?
ここからは、沖縄県の土地価格に影響を与えそうなポイントをいくつかご紹介します。
(1)そろそろ金利が上がりそう
日本では、低金利が長く続いているため、金利の上昇リスクを心配しない人が増えており、7割以上の人が、半年ごとに金利が変わる変動金利を選んでいます。
ですが、本当にこれからも金利は上がらないのでしょうか?
実は、10年〜30年までの長期金利については、すでに上昇し始めています。特にロシアのウクライナ侵攻が始まった2022年ごろから、本格的に上がって来ています。
(参考:財務省)
これによって、変動金利は低いままですが、ふらっと35などの固定金利は上昇を始めています。
なぜ上昇しているのかと言うと、世界的に物価が上昇しているからです。
例えば、アメリカでは、物価が一時、前年比で9%以上も上がったため、政策金利を0.25%→5.25%まで、1年間で5%も引き上げました。
ドイツでも、前年比で11%以上も上がっていたため、こちらも政策金利を0%→3.5%にまで、約1年間で3.5%も引き上げています。
その結果、欧米各国でも、住宅価格が下落をはじめています。
アメリカの先月の中古住宅価格は前の年の同じ月と比べた下落幅(-1.7%)がおよそ11年ぶりの大きさとなり、住宅価格の下落傾向が鮮明になっています。
急速な利上げに伴う住宅ローン金利の高止まりで需要が落ち込んでいることが背景にあります。
欧州連合(EU)域内で、住宅価格が2015年以来初めて四半期ベースで下落に転じた。借り入れコストの上昇(=金利の上昇)が10年近くに及ぶ住宅用不動産ブームに終わりをもたらしている。
EU統計局は4日、22年10〜12月期に住宅価格が前の期と比べ1.5%下落したと発表した。域内27カ国のうち15カ国で下がった。下落幅が最も大きかったのはデンマークとドイツで、それぞれ6.5%、5%低下した。
金利を引き上げたことで、住宅価格が下落しているのです。
ちなみに日本の物価上昇率は、前年比で3.0%の上昇です。
(参考:NHK「2022年度 消費者物価指数 前年度比3.0%上昇 41年ぶり水準」)
そして、日本でも、7月28日に、植田日銀総裁が、政策修正を発表し、事実上の利上げを行いました。
これまでは、10年国債の金利が0.5%以上に上がらないようにコントロールしてきましたが、それを1.0%まで引き上げたのです。
(参考:野村総合研究所 2023.7.28「日銀が長期金利の上昇を容認するYCCの運用柔軟化策を決定(日銀金融政策決定会合)」)
これによって、期間10年以上の固定金利については、今後、徐々に上がっていくことが予想されます。ふらっと35などの、長期固定の住宅ローン金利は上がるでしょう。
変動金利が上がる可能性は?
今回の事実上の利上げは、期間10年以上の長期金利への影響が大きいですが、変動金利への影響は、今のところ、ありません。
ですが、物価上昇が続くようであれば、いずれ短期金利も引き上げざるを得なくなるでしょう。
というのも、そもそも、金利を引き上げている理由は、お金を借りにくくすることで、モノの消費や生産をおさえ、物価上昇を止めるためだからです。
長期金利を引き上げても、物価上昇が止まらないのであれば、短期金利の引き上げも、いずれ視野に入ってくるはずです。
なお、日銀が見込んでいる、今後の物価上昇率は、2024年が年率1.9%で、2025年が年率1.6%です。
(参考:野村総合研究所 2023.7.28「日銀が長期金利の上昇を容認するYCCの運用柔軟化策を決定(日銀金融政策決定会合)」)
もし、今回の利上げでも、現在の年率3%の物価上昇率がおさまらなければ、さらに政策を修正する可能性は高く、その際には、変動金利型の住宅ローンにも、影響が出てくるかもしれません。
1%金利が上がると、不動産価格は15〜20%下がる可能性
ちなみに、金利が1%上がると、住宅ローンの利息は、35年で15〜20%増えます。
例えば、月に約10万円の返済を考えている人であれば、現在なら3,500万円の物件が買えますが、金利が1%上がると、毎月10万円の支払いで、3,000万円の物件しか買えません。
なお、すでに変動金利で組んでいる人については、5年ルールという、当初5年間は、返済額が固定(ただし、増えた利息はあとで支払う)というルールがあるため、すぐに払えなくなって投げ売りが始まるわけではありません。
しかし、新しくローンを組む人は、変動金利でも高い金利になるため、今まで通りの高い価格でローンを組むことが難しくなりますから、価格は下がりやすくなるでしょう。
(2)これから沖縄県の人口はどうなるの?
国立社会保障・人口問題研究所が、2018年に発表した沖縄県の人口の見通しによると、2025→35年の10年間で約2,000人減少するそうです。
沖縄県の人口は、2025→35年で約2,000人減る
(出典:国立社会保障・人口問題研究所 平成30年度人口推計)
また、家を買う中心年代である30〜40代も、2025→35年で3.7万人減る見通しです。
沖縄県の30〜40代人口は、2020→35年までに3.7万人減少
(出典:国立社会保障・人口問題研究所 平成30年度人口推計)
家の買い手が、今よりも約1割減るので、今後は住宅の需要は落ち着いていくでしょう。
結論:売るなら?買うなら?
というわけで、沖縄県の今後の土地価格についての結論は、以下の通りです。
- 建設費の上昇によって、中古マンションが高くなっていることから、那覇市の周辺エリアへの移住が増えており、土地価格の上昇の波が広がっている
- 今後は、若い世代の人口がこれから減少していくため、今後は土地価格の上昇も限定的になりそう
- ただし、外国人観光客が回復してくれば、ホテルや商業施設などの建設需要が盛り上がってくる可能性あり
と言えそうです。
買うなら:商業地の周辺は様子見、それ以外は買い
新型コロナの影響が大きい商業地の周辺では、今後も影響が出ますので、坪単価が高いと感じられる場合には、まだ様子見の方がいいでしょう。
しかし、それ以外のエリアでは今が買い時の可能性が高いと思われます。
その理由は2つあります。
①土地価格の下落分よりも、待っている間の家賃の方が高くつく
例えば、坪30万円ぐらいの土地であれば、40坪でも1,200万円程度で買えます。
仮に数年で1割下げたとして120万円ぐらいしか安くなりませんから、その間の家賃を考えると、早めに買った方がトクになりますよね。
②異次元緩和で低金利の今がチャンス
また、現在は住宅ローンがかなり安いため、月々の返済負担が軽いのもチャンスです。
ですから、もし家を買おうと思っているのならば、土地価格が下がるのを待つよりも、金利が上がる前の今のうちに買うのがベストでしょう。
ただし、購入を検討する場合には、今後の金利上昇を想定しておかないと大変なことになるので、「フラット35」か「10年以上の固定金利」でも返済ができるかどうかで予算を考えるべきでしょう。
あまり価格が上がっていないメーカーもある
日本の住宅は、海外からの輸入材が8割以上を占めているため、輸入材を使っているメーカーほど、価格が上昇している傾向にあります。
一方で、国産材は円安の影響を受けないため、それほど値上がりしていませんので、国産材を得意とするメーカーを利用すれば、費用を抑えて家を建てることが可能です。
非公開物件=安い物件
また、不動産を売る理由はさまざまですが、「周りに知られずに売却したい」という売主は一定の割合でいます。
そのような物件は、ネット上にも出回らず「非公開物件」として、ある特定の住宅メーカーが取り扱っている場合があります。
当然、このような物件は少ないお客さんにしか目にとまる機会がないため、相場よりも価格の安い可能性が高いです。
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売るなら:金利が上がる前に売った方がいい
金利が上昇してきているため、少しずつですが、買い手のローン負担が重くなり、高値でも買いたいと言う人は減ってきています。
そのため、不動産を売るなら、金利がまだ低い水準の今が、チャンスと言えます。
公示地価を信じると損をする?
この記事では公示地価をもとに解説していきましたが、公示地価は「その地域の平均的な価格」なため、実際の取引ではこれ以上に高く、または安く取引されることがあります。
例えば、那覇市内に「首里石嶺町(しゅりいしみねちょう)」という住宅地があります。
こちらの公示地価と実際の取引を比べてみると、
- 公示地価:42万円/坪
- 実際の取引価格:31〜46万円/坪
と、公示地価の約0.8〜1.1倍で取引されていました。
最高価格は、最低価格の約1.5倍です。
【那覇市首里石嶺町の土地取引(過去2年間)】
- 31〜46万円/坪で取引されている
- 公示地価・実際の取引ともに「第1種低層住居専用地域」という似たような街並みのエリア
なぜ、これほど売却価格が変わるのでしょうか?
その理由は、不動産会社によって、持っている取引情報に差があるからです。
不動産取引は、株式市場のように、全ての取引情報を管理しているところがないため、
- 自社でどれだけ取引情報を持っているか
- どれだけ買い手のリストを持っているか?
で、評価額も、売れる金額も変わってくるのです。
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(2022年実績:売り物件報告件数17.5万件 ÷ 土地取引件数152.5万件 = 11.4%)
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