埼玉県の土地価格の今後の見通し|なぜこの7年間で上昇したのか? | イエ&ライフ

埼玉県の土地価格の今後の見通し|なぜこの7年間で上昇したのか?

埼玉県の土地価格の今後の見通し|なぜこの7年間で上昇したのか?埼玉県

(画像出典:ウィキペディア 掬茶, さいたま新都心駅、東口より)

 

この記事では埼玉県の

  1. この7年間の土地価格の動き
  2. 新型コロナの影響を含め、今後どうなるのか?

の2点について解説しています。

 

1、過去7年間の埼玉県の不動産の上がり方の特徴とは?

まずはじめに、2013年から始まった異次元緩和以降、この7年間で埼玉県内の不動産が、どのように上昇してきたのかをザッと見ていきましょう。

 

この7年間の埼玉県の公示地価(住宅地)を調べてみると、東京都では約15%上昇していますが、埼玉県ではわずか2.6%の上昇しかしていませんでした。

これは埼玉県に限らず、千葉、神奈川にも共通しています。

 

埼玉県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

ですが、エリアによって、上がっている地域、逆に下がっている地域で分かれています。

そこで、今度は市区町村別に、この7年間の住宅地の上昇率を見てみましょう。

 

埼玉県で住宅地が上昇しているエリアは、都心に近い南部に集中

埼玉県の工事地下の変化率マップ

(参考:国土交通省 地価公示)

 

ご覧のように、都心への通勤しやすい街ほど上昇しています。

また、私鉄よりもJRの沿線の方が上昇率が高い傾向にありますね。

 

なぜ埼玉県では、南側のエリアしか上がっていないのか?

最初に結論をまとめておきます。

  1. 金利が低下したことで、同じ返済額でより高い物件が買えるようになった
  2. 宿泊客数が回復してきたことで、商業地の土地価格も上昇してきた
  3. その一方で、人口の減少は進んでいるため、郊外の土地価格は下落傾向にある

という、中心部と郊外で、土地価格の二極化が進んでいたと考えられます。

 

では、これから1つずつ詳しく解説していきます。

 

①金利低下によって、買い手の購買力が上がった

そもそも、全国的に土地価格が上昇しているのは、金利の低下によるところが大きいです。

2013年4月から始まった日銀の異次元緩和によって、金利が大きく低下したのです。

 

住宅ローンの金利

(参考:ARUHI住宅ローン フラット35金利の推移 財務省 国債金利情報)

 

ザックリ言うと、この7年間で買い手は、同じ返済額で2割高い物件を買えるようになったということです。

例えば、フラット35で期間35年・月々の返済額が10.4万円とした場合、購入できる不動産は3,000万円から3,500万円まで上がったのです。

 

同じ返済額で購入できる物件価格が2割上昇した

 

月々の支払額は増やさずに、約2割高い物件を買える。しかもその物件が人気化しているとなれば、値段が高くても買おうとする人は増えますよね。

そのため、人気のエリアほど、土地価格が上昇してきたのです。

 

なので、そもそも埼玉県内の市町村でも、上がりやすい環境にあったのです。では、なぜ南側のエリアしか上がっていないのでしょうか?

 

②農地から宅地への転用が進んでいる

その最も大きな理由は、農地の宅地化です。

実は、この10年で、埼玉県内の農地は、約0.9万ヘクタール(ha)も減っているのです。

 

埼玉県の農地面積

(参考:農林センサス 「2−8 経営耕地の状況」)

 

1haで約3,000坪ですので、30坪の戸建てに換算すると、約90万戸分の農地が住宅や、道路、工場、倉庫、ショッピングモールなどに変わっているのです。

 

農地の宅地化によって、今ある住宅地の人気が低下

農地の宅地化

 

都心に近いさいたま市より南側の市町村、特に駅周辺の住宅地では、農地がほとんど残っていないため、家を購入したい人は、売り出されている中古住宅や、駅近のマンションを購入しないといけません。

そのため、土地価格が上昇しやすいのです。

 

一方で、都心への通勤には時間がかかる市町村では、駅を利用したい人の数が少なく、むしろ郊外の農地が宅地化されている新しい住宅地に人気が集中したりします。

そうすると、郊外の古くからある住宅地を欲しがる人は減りますので、土地価格が上がりにくくなってしまうんですね。

 

③家を建てる若い世代の人口が減少している

また、家を購入する若い世代が減少していることも、土地価格の下落に拍車をかけています。

埼玉県の30〜40代の人口を見ると、この7年間で約11万人も減っていました。

八潮市以外の全ての市町村で若い世代の人口が減少しているため、住宅を建てる件数も減っているのです。

 

埼玉県の新設戸数と30〜40代人口

(参考:総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」)

 

そのため、市町村単位では土地価格が上昇しているように見えるさいたま市や川口市などの南部のエリアでも、駅から離れた郊外では下落している地点も多くあるのです。

 

2、新型コロナの影響はどうなのか?

埼玉県では、都内に近いエリアほど影響が少ない

公示地価は、1月1日現在の土地価格であるのに対して、基準価格は7月1日現在の価格です。

そして、一部の土地については、1月と7月のどちらの価格も算出されているので、それらを比較することでコロナの影響を確認できます。

 

基準地価(7月の価格)公示地価(1月の価格)コロナの影響

 

埼玉県のコロナの影響(1月→7月の変化率)

変化率:赤色(+0.1〜1%)>緑色(変化なし)>青色の↙️(-0.1〜0.9%)>紫色の↙️(-1.0〜1.9%)>黒色の↙️(-2%以下)

(参考:国土交通省 「土地総合情報システム」)

 

ご覧の通り、川口市や戸田市などの都内に近いエリアでは、むしろ上昇しており、さいたま市は影響なし、それ以外のエリアでは、都内に近い和光市や朝霞市でも下落率が大きくなっていました。

 

今回のコロナは、飲食店や観光業などの一部の業種で大きく影響がでていますが、IT系や通販系、金融系の企業では、むしろ売り上げが伸びているところも出ています。

そのような企業の多くは、都内にある企業なので、都内に近いエリアほど通勤需要が落ちておらず、土地価格がむしろ上昇しているのでしょう。

 

また、北部の市町村では、もともと下落傾向にあったエリアが多く、人気のない郊外のエリアでの下落率の大きさが目立ちますが、コロナの影響とは言えません。

むしろ、東武線、西武線の沿線での下落が気になるところですね。

 

3、その他のリスク

新型コロナ以外にも、どんなリスクがあるのかをまとめました。

 

(1)この低金利はいつまで続くのか?

地域によって上がった場所、下がった場所の違いはあるものの、日銀の異次元緩和政策で生まれたこの超低金利は、土地価格を押し上げるプラス要因でした。

そして、これ以上は、金利が下がらない水準まで来ています。

むしろ、その副作用の方が話題になることが増えました。

 

例えば、預金者のお金を国債で運用していた地銀は、この異次元緩和によって、金利が低下したことで利息収入が減り、半数以上が赤字になっています。

 

赤字の地銀がどんどん増えている

地銀の決算状況

(金融庁:地域金融の課題と競争のあり方)

 

赤字が続けばいずれ倒産してしまいますから、いつまでも続けるわけにはいきません。

 

では、具体的にあとどれぐらいなのか?

2018年6月に、ブルームバーグが経済の専門家45人にアンケートをしたところ、半数以上が2〜3年以内に限界が来ると予想していました。

つまり、2020〜2021年ごろと考える専門家が半数以上もいたのです。

 

「日銀の低金利政策はいつ頃まで続きますか?(2018年6月)」

異次元緩和はいつ終わるか?

(参考:ブルームバーグ「2年以内で限界」が半数弱、現行の長短金利操作-日銀サーベイ)

 

ちなみに、長く続かないと考えられている理由は、

  • 日本の借金が1,000兆円を超えてきており、国債を買おうという投資家がいなくなるから
  • 超低金利を続けると、地銀が潰れてしまい、経済が大混乱するから

あたりでしょう。

 

金利が上昇すると、住宅ローンの返済額が増えるため、価格は確実に下がります。

 

金利が上がると、同じ返済額でも買える価格が下がる

金利上昇で下落

 

そのため、今後の経済状況次第では、金利上昇による不動産価格の下落も考えておいた方がいいでしょう。

 

 

(2)2022年問題で、都市の農地が宅地になる

2022年問題をご存知でしょうか?

「都市部にある税金を優遇されていた農地(生産緑地)が、優遇期間が切れることで宅地として放出され、土地価格に影響を与える」

という問題です。

 

生産緑地

(出典:ウィキペディア cory.2005.Seisan Ryokuchi)

 

では、埼玉県ではどうなっているのか?

市区町村別に色分けしてみました。

 

埼玉の生産緑地の分布図:都心に近いエリアほど多く残っている傾向

埼玉県の生産緑地面積

(参考:国土交通省 都市計画区域、市街化区域、地域地区の決定状況)

 

実は、今回上昇している南側のエリアに生産緑地が集中しているんですね。

特にさいたま市は、352ヘクタールもの生産緑地が残っていて、全国2位の規模なので、かなり影響が大きいでしょう。

 

この問題で影響を受けるのは、駅から少し離れた郊外のエリアです。

駅前の農地はほとんど宅地に変わっていますし、郊外に残っているケースが大半だからです。

郊外の土地への需要は、これまでずっと減り続けてきましたが、さらに追い討ちを受けるになりそうです。

 

今後、戸建てを買おうと計画しているのであれば、2022年以降にお宝物件が見つかるかもしれませんね。

 

4、埼玉でこれから上がりそうな地域は?

ここまで、ちょっと悲観的な見通しばかり書いてきましたが、「逆に上がりそうな地域はないのか?」も気になりますよね。

新型コロナで「駅近の商業地を中心に土地価格が上がる」というシナリオが崩れ、在宅勤務(リモートワーク)が増えていく流れを考えると、住環境を重視していく方向へと進んでいくはずです。

 

先ほど、1月→7月の土地価格の変化率から、埼玉県内のコロナへの影響を確認しましたが、たとえコロナが長期化したとしても、この傾向は続きそうですので、大宮やさいたま新都心、浦和、川口、戸田などの駅近エリアでは、これからも人気が継続しそうです。

 

というのも、通勤に便利である駅近エリアは、同時に買い物にも子育てにも便利なエリアだからです。

共働き世帯が増えていく流れは変わりませんし、一時的に商業施設が減っても、その後はマンションができるでしょうから、土地価格は下がりにくいと考えられます。

 

結論:売るなら?買うなら?

 

というわけで、埼玉県の今後の土地価格についての結論は、以下の通りです。

  • 今回の土地価格の上昇は、日銀の異次元緩和がきっかけ
  • 金利の低下が追い風となって土地価格の上昇するエリアが増えたが、人口が減少している北側〜西側のエリアでは土地価格が下落する二極化が進んでいる
  • 新型コロナが長期化しても、共働きと都内への通勤需要に変化はないため、さいたま市、川口、戸田あたりの駅近エリアでは、土地価格も安定しそう

と言えそうです。

 

買うなら:商業地の周辺は様子見、それ以外は買い

新型コロナの影響が大きい商業地の周辺では、今後も影響が出ますので、坪単価が高いと感じられる場合には、まだ様子見の方がいいでしょう。

しかし、それ以外のエリアでは今が買い時の可能性が高いと思われます。

その理由は2つあります。

 

①土地価格の下落分よりも、待っている間の家賃の方が高くつく

例えば、坪50万円ぐらいの土地であれば、30坪でも1,500万円程度で買えます。

仮に数年で1割下げたとして150万円ぐらいしか安くなりませんから、その間の家賃を考えると、早めに買った方がトクになりますよね。

 

②異次元緩和で低金利の今がチャンス

また、現在は住宅ローンがかなり安いため、月々の返済負担が軽いのもチャンスです。

ですから、もし家を買おうと思っているのならば、土地価格が下がるのを待つよりも、金利が上がる前の今のうちに買うのがベストでしょう。

 

ただし、購入を検討する場合には、今後の金利上昇を想定しておかないと大変なことになるので、「フラット35」「10年以上の固定金利」でも返済ができるかどうかで予算を考えるべきでしょう。

 

非公開物件=安い物件

不動産を売る理由はさまざまですが、「周りに知られずに売却したい」という売主は一定の割合でいます。

そのような物件は、ネット上にも出回らず「非公開物件」として登録されます。

また、売主はあまり相談する相手を広げたくないため、まずは建てたメーカーに相談する場合が多いです。

 

非公開物件の実態

 

当然、このような物件は少ないお客さんにしか目にとまる機会がないため、相場よりも価格の安い可能性が高いのです。

 

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売るなら:金利が上がる前に売った方がいい

 

アベノミクス以降のこの7年間は金利の低下によって、買い手が月々の返済額を引き上げなくても値上がりした家を買える時期でした。

不動産を売るなら、金利の低い今が1番のチャンスと言えます。

 

特にコロナショックの影響は、長期間になる可能性もあり、景気が悪化するほど買い手が減っていきますので、今のうちに準備をしておいた方が後悔しないはずです。

 

公示地価を信じると損をする?

 

この記事では公示地価をもとに解説していきましたが、公示地価は「その地域の平均的な価格」なため、実際の取引ではこれ以上に高く、または安く取引されることがあります。

 

例えば、川越市に「石原町(いしはらちょう)」という地区があります。

川越市駅から北に2kmほど行ったところにある住宅地です。

 

この石原町の公示地価と実際の取引価格は、

  • 公示地価:37万円/坪
  • 実際の取引価格:33〜47万円/坪

と、公示地価の約0.9〜1.3倍で取引されていました。

取引価格同士で比べると、1.4倍の価格差があります。

 

【川越市石原町の公示地価】

川越市石原町の公示地価

  • 川越市駅から2,100mの距離、徒歩約26分(1分=80m)
  • 111,000円/㎡ × 3.3(㎡/坪) =37万円/坪

(参考:国土交通省地価公示・都道府県地価調査)

 

【川越市石原町の土地取引(過去2年間)】

川越市石原町の土地取引

  • 徒歩24〜26分のエリアで、33〜47万円/坪で取引されている

(参考:国土交通省 不動産取引価格情報検索)

 

このような感じで、全国の公示地価と実際の取引を調べてみたのですが、やはり公示地価と実際の取引ではかなりの価格差があることがわかりました。

 

同じ地域なのに、

「公示地価の3割増し、場合によっては2倍以上の価格で取引されている」

といった取引がゴロゴロ見つかったのです。

 

都道府県住所公示地価/坪取引価格/坪公示地価の何倍?
埼玉県さいたま市浦和区北浦和113万円78〜160万円0.69〜1.42倍
埼玉県川口市差間43万円42〜61万円0.98〜1.42倍
埼玉県川越市石原町37万円33〜47万円0.89〜1.27倍
埼玉県上尾市上町52万円71〜75万円1.37〜1.44倍
埼玉県所沢市久米49万円22〜76万円0.45〜1.55倍
埼玉県鴻巣市氷川町27万円21〜33万円0.78〜1.22倍
埼玉県草加市高砂64万円79〜110万円1.23〜1.72倍
埼玉県朝霞市岡55万円32〜89万円0.58〜1.62倍
埼玉県戸田市上戸田83万円77〜110万円0.93〜1.33倍
埼玉県和光市白子69万円62〜100万円0.9〜1.45倍
埼玉県越谷市東越谷40万円39〜60万円0.98〜1.5倍

 

つまり、あなたの不動産はもっと高い評価額の可能性があるのです。

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新型コロナの影響は、長く続けば続くほど、土地価格にも影響を与えることになりますので、早めの準備が成功につながります。

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市区町村別の土地価格はこちら

個別の都市についての分析は、こちらにまとめてあります。

 

市町村

 

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