今回の動画は、「ゴルゴ13に学ぶ世界史その5。①KGBの工作員、②ペガサス計画、③KKK」ということで、やっていきたいと思います。
1、はじめに
ゴルゴ13を読んでいきながら、話の背景にある世界史を解説していくシリーズの第5回目です。

今回は文庫版の14~16巻までをやっていきます。
作品の発表された年は、1972~73年ということで、まだまだ50年以上前の話になりますが、当時の設定が今現在も生きているということに驚かされました。
具体的には、ロシアの工作員の話がそれです。
2010年にアメリカでロシア工作員が大量に逮捕されてるのですが、その実態が、当時のゴルゴ13の世界そのままだったのです。スパイの世界というのは、全く昔の話ではないということに気付かされます

それと、こんな感じで動画を作るために、何度も読み返すようになると、ゴルゴの無表情、無言が余白となって、勝手にいろいろと想像できてしまう面白さを感じています。
例えば、こちらのように、スパイ組織に連れて行かれて、「今受けている依頼をやめてくれ、じゃないと殺す」と脅されることが、たまにあるのですが、ライター型の小型爆弾を取り出して、殺すつもりなら道連れにすると脅して、危機を乗り切ることがあります。
それで、その後にタバコを吸ってるシーンが入ったりするのですが、まるで、そのシーンが、「ああ、危なかった」と、ホッとしてるように見えるんですよね。
さいとう先生も、ゴルゴだって、たまにはドキドキしてるのよ、と教えてくれてるような気がしました。
ということで、ここからが本題です。
2、ゴルゴ13から見える世界の裏側

今回も、文庫版1冊につき、1つの世界史解説をしていきます。
(1)KGBの工作員
まず1つ目は、KGBの工作員についてです。
第63話「モスクワ人形(ドール)」の依頼内容は、KGBの養成機関に潜入し、育成されたA級スパイを処理すること、だったと思われます。

*文庫版は、Amazonで中古しかなく、品切れもあるようなので、リンクはコミック版のみとさせてもらいます
コミック版は15巻、文庫版は14巻に収録されていて、1972年11月に掲載されています。
今回の依頼内容が曖昧な理由は、ゴルゴが主人公ではなく、ロシア人のミーナと言う女性視点で描かれているからです。ゴルゴは出てきますし、依頼をこなしてはいますが、依頼主からの正式な依頼内容は明かされません。
それで、このミーナという女性は、KGBにスカウトされ、アメリカ国防総省の中将秘書のアンジェラ・カーターという女性と入れ替わるために、アメリカ人としての振る舞いを叩き込まれるのですが、その際にKGBの養成機関の実態が、細かく描かれていきます。
それで、今回のモデルとなっているのは、おそらく、レイノ・ヘイハネンではないかと思います。

ヘイハネンは、1920年生まれで、ソ連KGBの諜報員で、フィンランド人の血を引いていてフィンランド後が堪能だったことから、ソ連のフィンランド占領に活躍した人間です。
そして戦後、1948年にアメリカへのスパイの任務を受け、英語、スパイ技術を学び、フィンランドで数年間働き後にアメリカに潜入したのですが、1957年にソ連への帰国命令に背きアメリカに亡命した人物でもあります。
今回のモスクワドールでは、ミーナが訓練所で英語やアメリカ文化を学び、フィンランド経由でアメリカに入国する予定だったのですが、ここでゴルゴに始末されてしまい、任務は失敗で結末を迎えます。
それで、こんな感じでソ連、ロシアのスパイがアメリカに潜入するという事件や人物はたくさん出てくるのですが、実はつい最近の2010年にも、アメリカでロシア人スパイ10名が逮捕されるという事件が起きました。

しかも、この10名のうち8名は偽装夫婦だったということで、中には子供を産んで育てているスパイもいました。これって、偽装じゃなくて、すでに本物の夫婦なのでは?と思ってしまいますが、それぞれスパイとしての任務もこなしていたようですから、スパイ夫婦ということなのでしょう。
また、この事件で面白かったのは、隣近所の人たちは、彼らのことを「名前はアメリカ人なのに、ロシア語訛りや、ユーゴスラビア訛りが酷い」と気づいていたということです。
ゴルゴ13の世界のような、英語ペラペラ、アクセントも完璧みたいな感じで乗り込んでいたわけではなかったようなんですね。
今のアメリカは、世界中から移民が入りまくってますから、訛りが酷くても、周りの人たちも気にしなかったということなのかもしれません。
(2)ベガサス作戦
2つ目は、ペガサス作戦です。
第64話「ペガサス計画」の依頼内容は、ベトナム戦争で捕虜として捕まったリッチモンド大佐の救出、できなければ始末すること、というものでした。

しかし、こちらの画像のように、難攻不落の要塞で捕虜になっており、アメリカの特殊部隊がなん度もチャレンジするも返り討ちに会ってしまったため、ゴルゴへ依頼が回ってきたという形です。
コミック版は16巻、文庫版は15巻に収録されていて、1972年12月に掲載されています。

それで、このモデルについてなんですが、おそらくケサン包囲戦ではないかと思います。
ケサン包囲戦とは、ベトナム戦争中に米軍が構築したケサン戦闘基地が、北ベトナム軍に包囲されたために、アメリカ軍が爆撃を行いつつ、陸軍、海兵隊による支援物資を届けるなどして、北ベトナム軍の包囲網を破るために行われた戦闘のことを指します。包囲しているのは、北ベトナム軍だったんですね。
特に、支援物資を届ける作戦は「ペガサス作戦」と呼ばれ、最終的に基地の海兵隊との合流に成功しました。
ゴルゴ13の「ペガサス計画」とは、包囲する側、される側の立場が逆ですが、作戦名や、目的が救出作戦というところで、参考にした可能性は高いと思われます。

ただ、世界史的に、このケサン包囲戦に何の意味があったのか?というと、実は何の意味もなかったのではないか?というか、アメリカは単に北ベトナムの陽動作戦にまんまと引っかかったのではないか?と言われています。
このケサン包囲戦は、1968年1月から始まったのですが、ほぼ同時期に、テト攻勢という、北ベトナムと南ベトナム解放戦線が、南ベトナムの各都市で一斉に攻撃するという大作戦をやっており、一時は首都サイゴンのアメリカ大使館も占領されかけるほどの劣勢に追い込まれました。
ケサン包囲戦には、アメリカの陸軍や海兵隊などが外から爆撃やら救出作戦やらで、結構な戦力をここに投入していましたので、他が手薄になった分だけ、テト攻勢がそこそこ成功したのでは?というわけです。
しかも、このケサン包囲戦は、一応、アメリカ軍が外から救援物資を基地に届けたので、作戦は成功したのですが、なんとその後、この基地を引き払っています。
米軍内でも、この作戦って意味ないんじゃねえの?さっさと撤退しようぜという意見が、作戦前からあったようなのですが、ここで責任者のウェストモーランド将軍が、会社の中にもいる手の負えない役員みたいな感じで、「意地でも守る」とゴネたために、みんな付き合わされたような作戦だったようなんですね。
この作品は、1972年末に掲載されたもので、ベトナム戦争はまだやっていた最中で、どちらが勝つか負けるか、まだわからなかった時期のものです。
なので、米軍上層部の描写も、勝てるか負けるかわからない緊張感の中で、作戦を立てている雰囲気が感じられます。今のように、アメリカだから勝つみたいな雰囲気は、微塵もない感じが、当時の作品の魅力の一つの思いました。
(3)クー・クラックス・クラン(KKK)
3つ目は、クー・クラックス・クランです。
第67話「Dabbie!」の依頼内容は、クー・クラックス・クランという白人至上主義団体の幹部の処分です。

コミック版は16巻、文庫版も16巻に収録されていて、1973年1月に掲載されています。
それで、クー・クラックス・クラン KKKとは、アメリカの白人至上主義の極右グループのことで、中学や高校時代の世界史で学んだ記憶がある人もいると思いますが、白い布を頭からかぶって、黒人を迫害するという、やべえ感じの組織のイメージがありますね。

このKKKは、大きく3つの期間に盛り上がりを見せました。
第1期は、南北戦争が終わった1865年で、戦争に負けた南軍の将校6名によって結成され、暴れたのですが、1871年に執行法が可決され、沈静化しました。
第2期は、1915年ごろからで、映画「國民の創生」でKKKを賛美し、黒人への憎悪を煽った結果、全米で会員が増え、なんと300~800万人にまで膨れ上がりました。この頃がKKKの最盛期でしたが、1930年代に衰退、40年代には消滅しました。
そして第3期が、1950~60年代に盛り上がった公民権運動に対する反発から再度、復活しましたが、現在の会員数は3000~8000人程度と推定されます。

それで、一番盛り上がった第2期に、大きく貢献したのが、「國民の創生」という映画です。
これはデビッド・ウォーク・グリフィスという監督が作ったもので、グリフィスは映画の父なんて呼ばれたりするのですが、とんでもない黒人差別映画でした。
私はこの映画を見たことはありませんが、こちらの映画評論サイトの「天衣無縫に映画をつづる」では、内容を詳しく解説してくれてまして、
特に黒人の描かれ方が酷いということでした。
例えば、南北戦争後の奴隷解放宣言を受けて、自由になれた黒人が、白人に対して生意気な態度をとっている、というように描かれていました。
さらに、こちらの画像のように、これは紛れもない事実です。みたいなテロップも入れたり、さらに当時の大統領のウィルソンが、この映画の試写会をホワイトハウスでやったりして、その内容に対して否定するコメントも出さなかったために、
全米の映画館でも、「これってうちで流してもいいってことだよな?」と安心し切ってしまい、全米でこれを目にする人が増えて、ブチギレた白人が増えた結果、KKKの会員が何百万人と増えてしまったのです。
さらに、ウィルソンは、大統領になるや否や、人種隔離命令を出して、政府職員としての黒人の処遇を引き下げて、黒人の生活をぶち壊しました。
なので、ウィルソンというのは、アメリカの大統領の中で、史上最悪の大統領だったのです。
第一次世界大戦にイギリスの子分として参戦するは、黒人差別制度を復活させるは、FRBを作って、金融政策をイギリスにコントロールさせるは、と何一ついいことをやらなかった大統領だと言えるでしょう。

それで、ゴルゴ13では、ディープサウスと呼ばれる、フロリダを除いたアメリカの南東部のルイジアナとかジョージア州あたりの白人を非常に閉鎖的で暴力的で、黒人差別がひどい人間として描かれています。
これは、1969年に公開されたイージーライダーという映画でも、閉鎖的で暴力的な雰囲気で描かれてましたので、当時の南部というのは、そんな感じだったのでしょう。
しかし、元を辿ると、このディープサウスの黒人差別が強まった時期というのは、全て民主党時代でした。
南北戦争前の南部は、ずっと民主党が支配してて、奴隷制度をフル活用して綿花を輸出しまくってましたし、第1期から第3期までのKKKの盛り上がった時期も全て、民主党が支配していたのです。
これが今のように共和党支持になったのは、1970年代以降で、定着したのは、1980年代のレーガン政権以降です。
つまり、白人による黒人差別というのは、民主党が作ったのです。
ゴルゴ13のこちらの「Dabbie!」が描かれた頃は、まだ民主党政権時代の南部だったわけですが、今のように、アメリカの民主党と共和党の違いについては、あまり明らかになっていなかったのでしょう。
そのため、黒人差別が強いディープサウス、自由なNYやLAみたいな感じで、地域的な特色として、黒人差別が描かれることが多かったのかなと思いますね。
しかし、歴史的な経緯を見れば、民主党かどうかの方が影響が強かったというわけです。
それで、ハリウッドや、リベラルは、これを説明しません。

グリフィスの「國民の創生」が、ハリウッドによる黒人差別を助長する映画だったように、ネットフリックスが作った映画「13Th」でも、白人による黒人差別が酷かった、ということを告発はしていますが、それが民主党によって作られたということは、1mmも匂わせてませんでした。
もっと言うと、白人による黒人差別、原住民差別は、イギリスの植民地が酷いことも語っていません。
例えば、豪州のアボリジニ迫害、南アのアパルトヘイト、アメリカの黒人差別、全部イギリスの影響によるものです。
ところが、ネットフリックスは、単に白人が悪だ!としか言わず、そうやって叫んでる人間の多くが民主党支持という、歴史を知ってる人から見れば、「お前ら頭おかしいんじゃねえの?」と思うようなことを平気でやってるように思いますね。
ちょっと脱線しましたが、この、「アメリカの黒人差別は、イギリスや民主党が作った」というテーマについては、改めて動画にしたいと思っています。
3、名言集・迷言集・いつもの勝敗

ここからは、文庫版14~16巻までの中での、ゴルゴの名言集、迷言集?そして勝敗の結果について、ご紹介していきます。
(1)第61話「アクシデンタル」
1つ目は、14巻、第61話「アクシデンタル」からです。

この話は、ゴルゴが狙撃をやろうとしたところ、弾が不発弾だったために失敗してしまうというところから始まります。
それで、なんやかんやあって、武器を現地調達した際に利用した武器商人が、100発渡した弾薬の中に1つだけ不発弾を混ぜていたということを突き止めて、白状させた後に言ったセリフがこちらになります。
「、、、おまえも、元プロだ、、、
その結果が、、、どういうシーンを作り出すかはわかっていたろうな、、、」
以上です。
実は、この武器商人が白状しなかったら、始末されずにそのままゴルゴは去っていました。不発弾をわざと紛れ込ませたという証拠はないし、知らぬ存ぜぬと言われたら、それ以上は追及できなかったからです。
しかし、この武器商人は、プロのゴルゴにちょっと意地悪をしてみたくなったみたいなんですね。それで失敗したらどんな顔をするだろうか?と思ったのでしょう。
自分がやったと白状し、それで仕事はどうなったのか?ということも教えてもらいました。
しかし、プロというのは、やったことの結果は自分が引き受けるものだと考えているのが、ゴルゴです。
そのため、先ほどのようなセリフを言って、この商人を始末しました。撃たれた武器商人も「さすが、あんたは超プロフェッショナルだ」と言って、絶命しました。
(2)第64話「ペガサス計画」
2つ目は、15巻第64話「ペガサス計画」からです。
運転の腕は超一流ですが、性格が暴れ馬みたいな米軍兵士のビッグ・ジョーとの共同作戦の決行直前のセリフがこちらです。

「飛び上がった以上、やめることはできない、、、それに、、、ジープの走行距離が短い!頼んだぞ、ビッグ・ジョー!、、、」
以上です。
なんのことはないセリフなのですが、これを受けて、ビッグ・ジョーは、なんとゴルゴの肩をポンと叩いて、作戦に臨みます。
ゴルゴは、たとえイチャコラやった後の女性でも、後ろに立たれると殴りかかるようなヤベえ人間なのですが、ビッグ・ジョーには信頼し切ってるような雰囲気が出ています。
後ろを振り向いて、ジョーの位置を確認してセリフを言ってるので、OKということなのかもしれませんが、なかなか珍しいシーンだなと思い、ご紹介させてもらいました。
(3)第69話「動作(アクション):24分の4」
3つ目は、16巻第69話「動作(アクション):24分の4」からです。
依頼人のマフィアのボスが死んだことで、奥さんがもう依頼は中止してもらって構わない。逆に相手に相当やばいことがわかったから、逃げて生き延びてくれとお願いしたところでの、このセリフです。

「仕事にはいった以上、依頼者以外の者の話を聞く気はない、、、車を止めてくれ。」
以上です。
ゴルゴにとって依頼とは神聖なものであり、依頼者以外からの要望には、たとえ肉親であっても、決して変えることはしないということなのでしょう。
冒頭でご紹介したように、スパイ組織に捕まって「依頼をやめないと殺す」と脅されても、自爆してでも断ろうとしたゴルゴのプロ意識が、ここでも表現されていることがわかりますね。
今回の勝敗
それで、おまちかねの、今回の3冊での女性関係を集計した結果がこちらです。

61話から70話で、
①ゴルゴ13と話で絡んだ女性:7人
②そのうち、イチャコラした女性:5人
③①のうち、◯した女性:3人/7人中
④②のうち、◯した女性:1人/5人中
ということで、回を追うごとに、女性との絡みが減っている感じです。
また、ゴルゴは、いろいろな女性とイチャコラに入るのですが、最後まで致さないことが、たびたびあります。
それなのに、なぜゴルゴは、イチャコラするのか?非常に哲学的なテーマが入ってくるような、こないような難問だと感じています。
誰か知っていたら、教えてください。







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