この記事では、「トランプ相互関税ショックから、株価は回復へ。日経平均25,000円シナリオはどうなった?」ということで、やっていきたいと思います。
1、はじめに
私は、以前にこちらの動画で、日経平均が3万円割れとか、25,000円ぐらいまで下げるんじゃないか?と予想してました。
この動画では、4月の相互関税は絶対にやるし、関税率も25~35%ぐらいになるんじゃないか?そして、株価も3万円割れまでいくんじゃないか?と予想してました。
そうしたら、本当に関税は24%の引き上げと発表されて、日経平均株価も3万円割れはしませんでしたが、3万円台まで下げましたので、まあまあニアピン賞というところだったとは思います。
ですが、問題はこれからですよね。
この記事を作っているのは、5月9日ですが、現在の日経平均は37,000円台にまで、安値から2割以上も戻していますし、なんなら3月に出した動画の時よりも上がっています。
確かに、4月に下げはしたけど、これからどうなっていくんだ?と思っている人は、それなりにいると思います。
そこで、この動画では、今後の株価の予想について、あれこれ話していきたいと思います。
なお、私の動画での株価予想は、「あくまでトランプ政権の政策が、株価も為替にも影響を与える」という視点からのものになっています。
企業の業績がどうだとか、テクニカル的にどうだ、という話ではないので、ご了承ください。なので、エンタメ感覚で見てもらうのが、精神的にいいと思います。
それでは、参りましょう。
2、日米の株価が下がると考えていた理由
まず最初に、3月に出した動画での、私が日米の株価が下がると考えていた理由について、簡単にご説明します。
そもそも、トランプ氏の政策が、世界中のマーケットに大きな影響を与えると、私が考えているのは、「トランプ氏が、これまでの米ドルを中心とした基軸通貨体制をひっくり返そうとしている」と思っているからです。
というのも、現在のアメリカは、米ドルを刷り散らかして、海外から好き勝手にものが入ってくるような経済システムになってはいるものの、その副作用として、製造業の衰退が止まらないからです。
1番わかりやすいのは、iPhoneですよね。
2012年に、当時のオバマ大統領が、スティーブ・ジョブズに「アメリカでiPhone作ってくれよ」とお願いしてみたところ、アメリカにはそんな技術も工場も人材もいないから無理、と断ったというのは、有名な話です。
それ以降も、新型コロナで世界中が混乱したら、マスクが手に入らなくなったり、ウクライナ戦争で、ウクライナを支援すると決めたものの、砲弾がろくに作れなくて、足りなくなったりと、
世界中で「民主主義を広げるんだ!」と、クーデターやら軍事介入やらを吹っかけている割には、いざ攻め込まれたら、本当に大丈夫なのか?と言えるぐらいの、軍事力、そして製造業の衰退が止まらなくなっているのです。
なので、トランプ政権は、第1期の頃から、特に米国企業に対して、中国やメキシコなどの、人件費の安い国で物を作って、アメリカに持ってくるのではなく、アメリカに工場を持ってきて、雇用を増やせと言ってきました。
しかし、第1期トランプ政権は、いわゆる「名ばかりの共和党」と呼ばれる、RINOの政治家がたくさんいて、大企業の味方をしていたので、うまく国内への工場の回帰が進みませんでした。
なので、昨年の大統領選挙そして、議会選挙では、そういった大企業の味方をする議員をどんどん減らして、自分の考えに賛同する議員を集めて、大統領選挙にも当選した、というわけです。
そのため、今期のトランプ政権は、容赦無くアメリカ国内の製造業を復活させるための政策を推し進めようとしています。
その一つが、相互関税であり、だからこそ、3月の時点で、私は絶対にトランプ氏の関税は、アメリカに雇用を戻すためにやるんだから、かなりインパクトがデカくなるはずだし、マーケットも、おかしくなるぞと予想したんですね。
なぜ株価が戻っているのか?
ところが、4月に大きく日米の株価は暴落と言っていいほどの下落をしたものの、ずいぶん戻してます。
これは、どういうことなのでしょうか?
まず、4月2日の相互関税を発動して、株価が暴落した後の4月9日に、トランプ政権は90日間の相互関税の延長を宣言しました。
これによって、各国はアメリカとの交渉に入り、日本も自動車やコメなどの関税について、協議をしているようです。
また、5月9日時点で、トランプ政権は、イギリスとの貿易交渉が合意に達したと発表しました。イギリスは、アメリカに対して貿易赤字の国なので、話がしやすかったからでしょう。
アメリカとの主要貿易相手国は、17カ国あるようですが、日本も含めた、これらの国々においても、少しずつ合意に向かうだろうと思われています。
なので、足元のニュースを追っかけてみると、
「トランプ関税は確かに影響はでかい。でも、壊滅的なものにはならなそうだ」
という見方に変わってきているように思います。
これまでの株式市場がそうでしたが、最初に一発やばいニュースが出て、みんなアタフタするものの、思ったよりも大丈夫そうだ、と分かると、いつの間にか以前よりも高値をとっていくパターンが多かったと思います。
新型コロナもそうですし、ロシアのウクライナ侵攻もそうですね。
さらに、今回のイギリスとの貿易交渉が合意に至ったということで、トランプ氏が「今株を買っておけば、儲かるぞ」なんて言ってますので、さすがに何かまた、次にすごい話が出てくるような期待というか、不安があるじゃないですか?
そのため、株式市場の回復も、思っている以上に大きく回復しているのかな、と思います。
3、7月に暴落する可能性について
ですが、私が思うに、本番はこれからだと見ています。おそらく、ここから、株価の下落が本格化するのではないか?と見ています。
その理由は、今回の相互関税が、ただ単に、アメリカが他の国から関税という形で、金を踏んだくるという目的だけではなく、中国やBRICSとの絶縁を視野に入れていると思うからです。
トランプ政権は、4月9日に90日間の関税延長を宣言し、それから、主な貿易相手国との交渉を始めました。一番手が、先日合意に至ったイギリスです。
今の所、報復関税をかけている国は、中国以外にありませんが、着々と予定している地域があります。それがEUです。
EUはアメリカと6月に交渉を行う予定ということですが、交渉が決裂した場合には、950億ユーロ、約14兆円規模の商品に報復関税をかけるとしています。
さらに、EUと中国は、今回の相互関税の後に、中欧投資協定を結びました。
これによって、EVなどの関税を撤廃し、貿易関係をさらに深めるとしています。そして、7月にブリュッセルで行われる予定だった中欧首脳会議を北京で行うとしています。
つまり、中国と欧州は、トランプ相互関税を機に、同盟を結んだような状況なのです。
アフリカはもうアメリカから離れそう
これだけではありません。
今回の相互関税は、アメリカの貿易赤字を輸入額で割ったものなので、貿易額が小さくても、割合が高ければ、高い関税をかけられています。
例えば、南アフリカの北側に位置するレソトという国は、世界最貧国の1つと言われていますが、そこが50%の関税をかけられています。
輸出品は、繊維業が90%で、アメリカにはリーバイスのジーンズを輸出していますが、これに対して50%の関税をかけられれば、それは死を意味すると言われています。
また、これに先立って、今年2月に、G20の外相会合、そして財務省・中央銀行総裁会議が、南アフリカで行われたのですが、「南アフリカは、白人を差別している」とトランプ氏が批判したことを受けて、それぞれアメリカの長官が欠席しています。
さらに11月の首脳会議でも、トランプ氏は不参加を表明しています。
トランプ大統領は、第1期の頃から、中南米やアフリカに対して、侮辱的な発言を繰り返してきましたが、今回もその傾向は変わっておらず、むしろ、エスカレートしているのです。
では、なぜトランプ政権は、こんな人でなしのようなことをやっているのか?
それは、基軸通貨を辞めたいからです。米ドルを欲しがるな、お前らが貧困で困っているなら、他の国と商売して、助けて貰えばいいじゃないか、というわけです。
なので、アフリカ諸国をわざと怒らせるようにして、米ドルを使わないで貿易をするようにと、促していると考えられます。
東南アジアでも
東南アジアでも、ラオスやミャンマー、インドネシアなんかが、それに近い状況となっています。
アメリカから別にモノは必要ないから輸入はしないけど、原油などの資源を輸入するためにドルを稼がなければいけないので、アメリカへの輸出はする、という国に対して、30%以上の高い関税率がかけられました。
そのため、中国はこれらの東南アジアに訪問し、協力関係を確認しています。おそらく、アメリカが拒絶しても、中国がなんとかするからね、ということなのでしょう。
また、つい先日の5月8日に、南米のコロンビアが、一帯一路に参加を表明し、大統領が訪中するという報道が流れています。
なので、本音としては、アメリカから拒否されたのであれば、そして、ドル以外の通貨で、中国や近くの国と貿易ができれば、それで問題ないと考えている国は、かなり多いと思われます。
このように考えると、おそらくですが、特に、東南アジアやアフリカは、アメリカではなく、BRICSが作る経済圏に参加していくことになると予想されます。
しかも、これを狙っているかのように、相互関税の延長期限が切れる7月8日の前日、前々日には、BRICSサミットがブラジルで開催されます。
昨年10月のBRICSサミットでは、5カ国から9カ国に拡大することが発表され、今年に入ってさらにインドネシアが加盟しています。
このように、BRICS経済圏が拡大し始めたところでのサミットなので、新通貨や、トランプ相互関税を受けての、新しい貿易ルールなどについての発表があるでしょう。
そうした場合、トランプ政権は、米ドル以外の通貨を使っての貿易国に対して、100%以上の報復関税をかけるでしょう。
以前から、そういった発言をしていますからね。
4月2日には、相互関税の高さが想像以上だったこともあって、米国株、債券、そしてドルのトリプル安になりました。
もし、7月にこのような流れが起こったとすると、これはアメリカとBRICS諸国の絶縁宣言のようなものになるため、4月以上の混乱が起こるのではないかと思います。
なお、ここ最近までの米国株と日本株の動きを見てみると、やはりほぼ同じような動きになっています。
日本は、BRICS側ではなく、アメリカ側になると思うのですが、7月の時点では、どういった立ち位置になるのか?よくわからないままだと思いますので、おそらく、米国株が下落していけば、日本株も連れ安していくことは避けられないのではないでしょうか?
ただし、BRICSサミットや関税の延長期限は7月ですので、まだ2ヶ月弱ありますし、日本や台湾などの、アメリカ寄りの国の貿易交渉の合意についても、いろいろと出てくると思いますので、すぐに暴落が始まるということではなさそうに思います。
おそらく、今後のマーケットのニュースは、アメリカと各国の貿易交渉が話題の中心となると思いますが、あまり目立たない形で、中国がそれ以外の国々との関係構築を進めていくはずです。
なので、その辺の情報が溜まってきたら、改めて、このシナリオ通りに進んでいるのかの途中経過を記事(動画)にしていきたいと思います。
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