(画像出典:wikimedia commons Zairon, vegetated House in Minato, Tokyo/Tokyo Prefecture, Japan)
この記事では、東京都港区の
- 新築のマンション価格
- 中古マンション価格の動き
- マンション価格の今後の見通し
の3点について、詳しく解説していきます。
(本ページはプロモーションが含まれています。該当するサービスには、【PR】と表記しております) (※1)
1、港区のマンション価格
(1)新築マンション価格
*2024年3月現在
*面積・価格は概算(100万円単位)
マンション名 | 価格(万円) | 面積(㎡) | 最寄駅(徒歩) | 総戸数 | 入居時期 |
---|---|---|---|---|---|
アトラス白金台レジデンス | 11998-14898 | 61-66 | 高輪台(3分) | 44 | 2024年8月 |
グランドヒルズ南青山 | 11500-24500 | 42-80 | 表参道(12分) | 105 | 2025年4月 |
シティタワー虎ノ門 | 20000-21500 | 60-65 | 神谷町(2分) | 144 | 2025年5月 |
アトラス麻布十番 | 未定 | 43-74 | 麻布十番(4分) | 44 | 2025年11月 |
三田ガーデンヒルズ | 未定 | 29-104 | 麻布十番(5分) | 1002 | 2026年4月 |
リビオタワー品川 | 未定 | 42-130 | 品川(13分) | 815 | 2026年10月 |
シティタワー東京田町 | 未定 | 43-112 | 田町(10分) | 180 | 2027年7月 |
(2)中古マンションの取引価格(70㎡換算)
*対象物件:①40〜120㎡、②駅距離15分以内、③未改装のもので集計
全体的に上昇傾向にありますが、特に、築21〜30年の物件の価格上昇が大きいですね。築11〜20年のものとの価格差がほとんどなくなっています。
70㎡あたりの価格が、築30年以内だと1億〜1.5億円しますので、上場企業の共働き世帯でも、よほどの高収入でなければ、手が出ないレベルにまで上がっています。
2、なぜ港区のマンションは、これほど上昇しているのか?
今後の予想をする上で、これまで上昇してきた理由を知っておいた方がスッキリ理解できます。
なので、これまで上昇してきた主な理由を3つ、解説します。
①金利が低下して、高い物件が買えるようになった
そもそも、不動産価格が上昇した最も大きな理由は、金利の低下です。
アベノミクスによる異次元緩和政策が始まった2013年から2020年ごろまでは、固定金利が2%台から0.82%まで、1%以上も下落したのです。
さらに、2022年に入ると、変動金利がさらに下がりました。それまで0.5%前後だった金利が、0.3%台にまで下がったのです。
新型コロナ以降も、都心部や大都市圏を中心に不動産価格は上がり続けていますので、それでも買いたい人が、変動金利を選ぶようになりました。
そして、中古マンションでは、8割以上が変動金利を選ぶようになっています。
これによって、同じ返済額でも、買える物件の価格が大きく上がりました。
アベノミクスが始まる前の2012年ぐらいまでは、月に約10万円の返済(フラット35)で、約3,000万円の物件しか買えませんでした。
ですが、2023年現在、変動金利を選べば、約4,130万円の物件まで買えるようになっているのです。
月10.4万円の返済で、いくらの物件が買えるのか?
今の夫婦は、共働き世帯が多いですから、変動金利で、2人でそれぞれ月10万円を返済すると決めれば、なんと8,000万円以上の物件が買えるわけです。
東京の都心部では、マンション価格が8,000万〜1億円ぐらいして驚きますが、それにはこのような理由があるからなんですね。
②世帯数の増加している
2つ目は、世帯数が増加している点です。
港区では、新型コロナ以降は一時期、人口・世帯数が減少していましたが、昨年22年に急回復しています。
(参考:総務省統計局 「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」)
世帯数が増えていると言うことは、それだけ住居に対する需要も増えますので、戸建てやマンション価格の上昇につながっているわけですね。
③海外の投資家が購入を増やしている
そして3つ目の理由が、海外投資家による購入を増やしているからです。
外資系の不動産会社であるCBリチャードエリスのレポートによると、2020年の海外投資家は、日本の住宅用不動産を2019年の1.7倍購入していたそうです。
一方で、海外投資家による累計投資額(注:2020年1〜9月)は9,900億円で、対前年同期比103%増加。
(中略)
海外投資家によるアセットタイプ別の投資額割合は、住宅が39%、オフィスが30%、物流施設は17%となった。特に住宅の投資額は前年の1.7倍に達した。
そして、その後もこの傾向は続いていたようですので、さらに日本のマンションが買われています。
海外投資家による投資額は1兆3,300億円と、前年に比べて30%増加。
投資額は2年連続で1兆円を超えた。世界的な低金利政策が続くなか、運用難に直面した海外の機関投資家の資金が、相対的に利回りが高い不動産投資に流入している。
2020年比で30%増ということですので、6,000億円以上が国内のマンション購入に使われたことになります。
というわけで、まとめると、
- 金利低下、変動金利を選ぶ人が増えていることで、同じ返済額でも高い物件を買えるようになっている
- 港区の世帯数は増加しており、戸建て・マンションに対する需要が増え続けている
- さらに海外投資家が、都心部のマンション投資に参入してきた
といった理由から、新築・中古ともにマンション価格が上昇しているわけですね。
3、これからどうなる?気になる2つのポイント
では、ここからは、「今後の港区のマンション価格に影響を与えるかも?」と気になる2つのポイントについて検証していきましょう。
(1)いよいよ金利上昇が本格化しそう
低金利によって、住宅ローンが組みやすい状況が続いていますが、2024年以降は、この環境がいよいよ変わってきそうです。
すでにフラット35などの長期固定の住宅ローンは金利が上がってきていますが、変動金利もそろそろ上昇に転じてきそうなのです。
(参考:ARUHI、住信SBIネット銀行、SBI新生銀行)
なぜ金利が上がってきているのか?、というと、物価が上がってきているからです。
戦争によって、海外から安い商品が入りにくくなり、円安が進んだことで、さらに物価が上昇しているのです。
この物価上昇をおさえるためには、消費を減らさないといけません。
そのため、日銀は、まず10年国債などの金利を引き上げました。これによって、フラット35などの固定金利のローンが影響を受けています。
ですが、物価上昇は止まらず、前年比で3%前後の上昇を続けています。
そのため、現在マイナス0.1%のままである政策金利も引き上げると見られています。
2024年2月現在、経済関係のメディアを見てみると、だいたい4月前後ではないか?という予想が多いですね。
メディア名 | 時期・利上げ幅などの内容 | リンク先 |
ブルームバーグ | 3月にマイナス金利解除。年内に+0.25%へ | 参考記事 |
野村総合研究所 | 4月か10月か | 参考記事 |
東京財団政策研究所 | 4月 | 参考記事 |
日経新聞 | 3〜4月 | 参考記事 |
ロイター | 4月は早すぎる | 参考記事 |
そうなると、変動金利にも影響が出てきますので、一般世帯が現在の価格で住宅を購入することは、難しくなってくるでしょう。
高額マンションをギリギリの住宅ローンで買っている人がやばい
変動金利の上昇によって、影響を受けそうなのが、ここのところ大きく上昇している大都市圏の駅近マンションです。
というのも、新築・中古マンションの購入者の7〜8割が、変動金利を利用しているからです。
今までは、ネット銀行で申し込めば、0.3%台という、かなり安い条件で住宅ローンを組めてきたわけですが、今後はこの条件が厳しくなってきます。
異次元緩和政策が始まる前の2012年ごろまでは、変動金利も1%前後でした。そのため、今後数年かけて、1%前後の水準にまで引き上げていくと予想されます。
1%金利が上がると、不動産価格は15〜20%下がる可能性
ちなみに、金利が1%上がると、住宅ローンの利息は、35年で15〜20%増えます。
例えば、月に約10万円の返済を考えている人であれば、現在なら3,500万円の物件が買えますが、金利が1%上がると、毎月10万円の支払いで、3,000万円の物件しか買えません。
政策金利は少しずつ引き上げていくと思われますので、すぐに大きく下落するわけではありません。
ですが、購入を検討されている方は、変動金利でギリギリのローンを組むのは危ないので気をつけてください。
(2)子育て世帯が出て行っている
港区の転入超過数(引っ越して来た人 ー 出て行った人)を見てみると、2020年以降は、若い世代と外国人以外は、港区外に出て行っていました。
(参考:総務省統計局 「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」)
夫婦二人で住宅ローンを組んでも、1億円以上の物件に手が出る人はそうそういませんので、高所得者か資産家でなければ、まず手が出ない価格にまできています。
そのため、景気悪化や株価下落が起こると、影響が大きくなりそうです。
4、結論:買うなら?売るなら?
以上のことから、港区のマンション価格は、
- ①低金利や変動金利を選ぶ人が増えたこと、②世帯数の増加、③海外投資家の参入が増えたこと、で高値を更新している
- ただし、子育て世帯を中心に、郊外へ出ていく動きが進んでいるため、投資家や富裕層などの、限られた層だけが購入できる状況になってきている
- 株式市場は堅調な間は、富裕層や投資家による購入が続きそうだが、一般世帯が購入する1億円以下の物件については、変動金利の上昇による影響が出てきそう
と言えるでしょう。
買うなら:下落を待つよりも低金利の今がチャンス?
23年4月に日銀総裁が交代しましたが、金利の上げ幅はまだ小幅なため、価格への影響はまだ出てきていないようです。
今後、購入を検討する場合には、今後の金利上昇を想定しておかないと大変なことになるので、「フラット35」か「10年以上の固定金利」でも返済ができるかどうかで予算を考えるべきでしょう。
売るなら:超低金利の今が1番のチャンス
港区のマンション価格は、1億円を超えることも珍しくなく、富裕層や共働きの高年収世帯、海外投資家などの、一部の限られた人しか手が届かない状況です。
そのため、株式市場や金利動向に大きく影響を受けやすいです。
もし、お持ちの物件が富裕層・高所得者向けであれば、株価の上昇に合わせて上がっていくかもしれません。
ですが、一般世帯向けの物件であれば、変動金利の上昇の影響を受けるため、今が高値となる可能性が高いでしょう。
不動産会社によって、売れる価格が違う?
マンション価格は、間取りが似ているため、どこの不動産会社に頼んでも、だいたい同じぐらいの金額で売れると考える方が多いですが、一概にはそうは言えません。
というのも、戸建てやマンション、エリアによって得意な会社が異なるからです。
また、不動産会社同士で取引情報の共有をほとんどしていないため、「依頼した不動産会社が、実はあなたの物件を取り扱ったことがない」ということも起こりえます。
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