今回の動画は、「日本経済を潰す新聞。なぜホンダと日産は、勝率0%のEV蟻地獄にハマったのか?」ということで、やっていきたいと思います。
1、はじめに
3/12に、ホンダは2026年3月期の決算で、6,900億円の赤字になると発表しました。
2021年に、「2040年までに脱エンジンして全部EV(とFCV)にします!」と宣言していましたが、これが大失敗だったと認めて、来期もEV関連の損失処理に追われるとしています。

その結果、トータルの損失は2.5兆円規模になるということで、この動画を作っている3月16日現在と比べると、発表前から約7%の下落となっています。

また、それに先立って、日産も2月に決算の見通しを発表しているのですが、昨年6,700億円の赤字を計上して社長が交代しましたが、今年も6,500億円の赤字ということで、やはりこちらもEVの損失処理に追われている模様です。

その一方で、トヨタの決算は思ったよりも酷くなくて、純利益が3.5兆円へと上方修正されていました。今期の自動車メーカーは、トランプ関税によって北米での販売数や利益率の低下が予想されていましたが、ハイブリッドが思いの外、好調だったため、予想してたよりも減収幅が小さくて済んだようですね。

また、軽自動車やインドに強いスズキも、純利益はそれほど減らなかったようです。日本とインドが好調だったとのことでした。そして、マツダやスバル、三菱自動車の決算についても、赤字のところもありますが、思ったほど酷くない印象です。
やはり、目立つのはホンダと日産で、EVに全振りしたかどうかが、明暗を分けたと言えるでしょう。
このチャンネルでは、1年以上前になりますが、自動車メーカーがどんな状況に置かれているのか?日産とホンダの統合はうまくいくのか?ということを考察したことがあります。
それで、今回の動画では、その時に調べたり考えたことなんかを踏まえながら、
なぜ日本車メーカーの二位、三位に位置する日産とホンダが、こんなアホなことになっているのか?について、考察していきたいと思います。
それでは、参りましょう。
2、なぜ、こんなことになっているのか?
日本の自動車メーカーが、こんなことになっているのは、欧州の対米貿易政策が遠因となっていると思います。

最近はドル離れなんて話も出てきていますが、とりあえずこれまでの世界経済、特に先進国を中心とした経済においては、ドルが基軸通貨として絶対的に強くて、ドルを稼ぐことで、中東の原油や、他の国の資源を輸入することができていました。
なので、各国はいかにして、アメリカからの輸入を減らして、自国の輸出を増やすか?の知恵比べをしてきたといえます。
それで昔から欧州でやっていたのは、消費税の引き上げです。
消費税には大きく2種類あって、最終消費者だけが払う売上税と、業者間での取引でもかかる付加価値税があるのですが、アメリカは前者の売上税で、それ以外のほとんどの国が後者の付加価値税、Value Added Tax になっています。
この税制の違いをついて、自国の消費税率を引き上げることで、輸出企業に補助金を出すことができ、アメリカからの輸入したものを割高にすることが可能になります。
この辺の話は、以前にこちらの赤枠の動画で解説したので、興味のある方は、概要欄からチェックしてみてください。
(参考:YouTube)
それで、欧州諸国はこの付加価値税をさっさと20%ぐらいにまで上げることで、アメリカからの輸入をとめ、自国の輸出を増やしてきたというわけです。
そして、もう1つが、1990年代からの環境規制です。
1997年に京都議定書で、CO2の削減ルールを作って、各国の自動車メーカーは、CO2を削減するために頑張りましょう!ということになりました。
日本とアメリカでは、EVやハイブリッドなどの技術開発を進めていったのですが、欧州では、もっと楽な方法があるやん、ということで、ディーゼル車を推進しました。
1997年当時の欧州のディーゼル車の比率は10%程度だったのですが、現在では5割以上に上がっています。
しかし、ディーゼル車はガソリン車よりもCO2の排出量が少ないのですが、排ガスが汚いので、健康被害が社会問題化しました。
そのため、欧州の自動車メーカーは、排ガスをキレイにするようにアレコレ頑張ってみたのですが、あんまり上手くいかなかったため、「検査の時だけいい数字が出るソフトを作れば良くね?」ということで、ズルをしてやり過ごしてきました。
大体2006年ぐらいから、そういう告発が出ていたようなのですが、メーカーの経営陣は全部それを無視して、10年ぐらい不正を押し通してきました。
しかし、こういう環境規制というのは、年々厳しくなっていきますし、検査項目も増えていきますから、ソフトウェアでいい数字を出すだけでは、誤魔化しきれなくなっていきました。

それで2015年に、フォルクスワーゲンはギブアップして、アメリカの環境保護庁にごめんなさいをして、事件が発覚したというというわけです。
この事件は、ディーゼルゲート事件と呼ばれています。
これによって、フォルクスワーゲンやジープ、ベンツなどが不正をしていたことがバレて何兆円というお金が罰金やら和解金やらでかかったわけですが、
その2年後の検査でも、テスト対象になった40台のディーゼル車のうち、38台が不合格だったということで、バレてから真面目にやり始めても、ろくな車が作れなかったということで、ディーゼル車の神話が完全に崩壊しました。
こうなってくると、欧州メーカーとしても、ディーゼル車で建て直しは難しいですし、日本のようにハイブリッド車を作ろうにも、周回遅れで勝てそうにありません。
そこで欧州メーカーと各国政府が考えたのが、EV政策です。
EVだったら、エンジン車じゃないので、日本車メーカーとも同じ土俵で戦うことができますから、やりようによっては追いつけます。

(参考:Green-alliance.org *PDFファイル)
その結果、欧州各国では、ディーゼルゲート事件があった2015年の翌年の2016年か、翌々年の2017年に、相次いでEV政策を発表しました。
その内容は、2030年代から40年あたりまでに、新車販売をEVだけにするという内容でした。ハイブリッド車は締め出されており、トヨタなんかも追い出された形です。
なので、欧州のEV政策というのは、単にエンジン車に強い日本車メーカーを追い出すための作戦でしかなかったのです。
しかし、この作戦に中国やインドも参戦してきて、特に中国は石炭発電で電気代が安いこともあって、国内でEVが普及して、作られすぎて低価格となり、欧州のEVシェアを掻っ攫っていってるという状況です。
そして、欧州だけでなく中国やインド、そしてアメリカでもカリフォルニア州などでのEV規制が作られたことで、2021年に菅首相時代に、日本政府もゆるい電動化を宣言しました。

これには、ハイブリッドや燃料電池車も含まれているので、EVだけ作れみたいな話ではありませんでしたが、世界的に脱炭素とか、EVこそ正義みたいな空気が作られていきました。
さらに、環境活動家が調子に乗り始めました。
グリーンピースなどの、頭がイカれた環境団体が、毎年のように「脱炭素してる自動車メーカーランキング」を公表しては、トヨタやホンダ、日産などの日本車メーカーをこき下ろし始めたのです。

このランキングでは、ハイブリッドによる燃費低減効果とか、そういうのは考慮されずにEVしか見てませんから、いくらでもツッコミどころはあるのですが、頭が空っぽの日本の新聞はただただそれを垂れ流すことしかせず、日本車メーカーをイメージダウンさせることしか考えていませんでした。

これに加えて、テスラなどのEVメーカーの株価が、2020年以降に大きく上がり始めました。テスラの株式時価総額が、トヨタの何倍もある、みたいな報道が何度もされてましたが、これによって、EVやってるテスラカッケー、それに比べて日本車は~、みたいな報道が、経済メディアを中心に広がっていきました。
とまあ、こんな感じで、政府も環境団体も、投資家も、新聞などのメディアも、みーんなEV!EV!と大合唱してきたのです。

そのため、ホンダは2021年にとうとう、「2040年までにエンジン車を全部廃止する」と発表しました。
しかし、この記者会見は二部構成になっていて、一部では、こういう宣言をしたものの、二部の記者からの質問コーナーでは、具体的な話は何も決まってないし、EVに全振りするのは、技術的にかなり難しいこともわかってますという、とても現実的な回答をしていました。
現在も社長をやってる三部社長は、大学時代からエンジンについて研究していて、会社でもエンジン関係の研究開発に携わってきた、ゴリゴリのエンジニアです。
なので、EVがどんだけやべえのか、エンジン車を辞めることがどんだけやべえのかもわかっていたと思います。
ですが、当時はバイデン政権になって、アメリカでもEV押しになっていくことは目に見えてましたので、もうダメだと腹を括ったのではないかと思います。
そして、今回、トランプ政権になって、アメリカのEV政策が撤廃されたり、それを受けて欧州でも腰が引けてきている状況を見て、スパッと諦めたのではないかと思いますね。
なので、三部社長は、2兆円という大損はこいたものの、内心ほっとしているのではないかと思います。

では、日産はどうかいうと、これはカルロス・ゴーンの呪いが続いているようですね。
ゴーンは、2006年ごろからEVやろうぜ!ということで、ハイブリッド車の研究ではなく、EVに舵を切っていました。
そのおかげもあって、2010年にEVのリーフが発売されたわけですが、航続距離が200kmと、かなりニッチな車になってしまったため、売れ行きは低迷し続けました。
2018年に刑事事件があって、その後レバノンに脱出したため、追放できましたが、今更ハイブリッド車を始めるにも周回遅れでしたし、そのままEVに全ツッパして大爆死という状況のようです。
大株主のルノーも欧州のメーカーなので、EVで頭がイカれてたでしょうから、余計に逃げ道がない状況だったのでしょう。ラシーンみたいな洒落た車は、もう出てこないのでしょうかねえ。
3、日本を潰す新聞を見限る企業と国民

それで、今期の決算では、余計にトヨタのEVに特化しない、マルチパスウェイ戦略が光っていたと思うのですが、このような姿勢を国内外の新聞やテレビ、WEBメディアは叩いてきました。
そのため、トヨタは2019年に自社メディアのトヨタイムズを立ち上げて、新聞メディアをガン無視するようになりました。
ネットが普及して、新聞やテレビ、雑誌などのオールドメディアの凋落が著しくなっていますが、その理由の一つとして、ろくに頭を使わずに、環境!環境!EV!EV!と、記事を垂れ流してきたことも大きいと思います。

こちらのグラフは、オールドメディア向けの広告費の推移なのですが、2012年と2024年を比べると、全体では2割減なのに対して、自動車関連企業による広告出稿は、ほぼ半分にまで減っています。
さらに、2019年にトヨタイムズができたことで、翌年の2020年に大きく減っているのもわかりますね。トヨタがトヨタイムズを作って、新聞やテレビへの広告出稿を思いっきり減らしているのでしょう。
私は、新聞を定期購読はしていませんが、証券マン時代に上司から「元旦の新聞はどんな業界が広告を出稿しているかをチェックしとけよ。元旦の広告は、ご祝儀みたいなものだから、どこが調子がいいのかがわかるから」と教えられたこともありまして、元旦だけは、読売や朝日、日経あたりから、適当に1紙だけ買って、広告をチェックしています。
それで、ここ5、6年ぐらいの傾向として面白いと思っているのが、自動車メーカーの広告出稿がほとんどないのです。
あるのはトヨタだけで、しかも、一昨年までは、トヨタイムズでした。
ユーザーの興味を惹きそうな記事のタイトルやキーワードが、たくさん散りばめられているような、両面ブチ抜きの広告の年が多かったと記憶しています。
「ツマラナイ新聞なんて読むよりも、トヨタイムズ見た方が面白いよ」
と言ってるようで、いつも笑ってしまっていました。

それで、広告費はこのように、自動車業界からの見捨てられっぷりがひどい状況ですが、新聞読者からの見捨てられっぷりも、それ以上に酷いです。
2009年までは5000万部あった新聞の発行部数も、2024年は2500万部を割って、ここ5、6年ぐらいは、年率5~6%のペースで減っていってます。
若い人が新聞を読まなくなってるのはもちろんですが、おそらく、新聞購読してたシニアやサラリーマンの人たちも、新聞をとる意味がないと感じる人が増えているのでしょう。
日本のメディアは、これまで日本の空気を作ってきたと思うのですが、その空気作りが、国民にとっても、企業にとっても、ろくな結果にならないことが明らかになったことで、見捨てられつつあるのだと思います。
ホンダと日産は、これからイバラの道が待っているとは思いますが、多分、エンジンに戻るしかないとわかった分だけ、やることが絞られてくるはずです。
なので、何年かはかかるでしょうが、復活する可能性は十分にあるのではないかなと思っています。







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