この記事では、台湾有事が起こった場合の日本の不動産への影響について解説します。
1、台湾有事が起こったら、何が起こるのか?
(1)沖縄から、本州へ避難してくる人が増える
1つ目は、戦場に近い沖縄の人が、本州へ大量に避難してくることが想定されます。
沖縄県の人口は、約145万人ですので、これだけの人が、九州や本州の各地に避難することになります。
東日本大震災の時は、最大で約47万人が避難所で生活を送りました。
無事だった体育館や学校、公民館などの公共施設や、民間のアパート、仮設住宅の設営などで生活を送っていたとのことです。
もし、沖縄から本州へ避難する場合には、飛行機による避難者が大半を占めるでしょうから、本州各地に分散して受け入れを行うことになるでしょう。
また、戦場となる台湾からも脱出する人は増えると思いますが、アメリカと日本は台湾を支援する、いわば準交戦国になりますから、東南アジア方面へ避難するケースが多いと考えられます。
(2)日本の原油輸入がストップする
そして、次に考えられるのが、日本の原油輸入が止まることです。
現在、日本の原油の輸入は、中東地域への依存度が高まっており、2023年1-10月で約95.6%に上昇しています。
2022年にロシアがウクライナへ侵攻した後、ロシアからの原油輸入をストップしたため、ほぼ中東からの輸入に頼っている状況です。
そして、原油の輸入は船で運んでくるわけですが、台湾有事になった場合には、この貿易ルートが邪魔される可能性が高いわけです。
(参考:北海道石油共同備蓄株式会社 「2_石油はどこで採れて日本に来るの?」PDF)
台湾有事が起これば、日本はアメリカと共に台湾への支援を行う可能性が高く、中国にとっては敵となります。
中国としては、日本の原油輸入を邪魔することで、台湾への支援を止めさせる可能性は高いでしょう。
日本の石油備蓄は、約8ヶ月
では、原油が入ってこなくなった場合、日本はどれだけ保つのでしょうか?
現在の原油の備蓄量を確認してみると、約8ヶ月とのことです。
この8ヶ月の間に、台湾有事が終われば、あまり影響はないわけですが、ロシアとウクライナの戦争のように長期化すれば、日本でも現在の生活を続けることは難しくなるかもしれません。
(3)生活必需品の輸入もストップする
輸入が止まるのは、原油だけではありません。
現在、日本の商品の多くが、外国からの輸入に頼っています。
例えば、日本の食料自給率は、カロリーベースで約38%と言われています。6割以上が海外からの輸入品に頼っているんですね。
台湾有事が起こった場合、中国からの輸入は無くなりますし、東南アジアやオーストラリア方面からの輸入も、海上封鎖によって激減するでしょう。
そうすると、北米からの輸入に頼らざるを得ないわけですが、アメリカやカナダから輸入できているのは、小麦やとうもろこし、大豆などの穀物類が大半を占めています。
ちょっとデータは古いですが、アメリカやカナダの分だけ見てみると、牛肉は1/3に、豚肉も約半分に、そして水産物は1割程度しか入って来なくなるでしょう。
こうなると、自給できる場所に引っ越す人も増えてくるでしょうし、都市部のスーパーでは、商品が届かなくなることもありそうです。
2、タワーマンションが1番危ない
避難者の増加や、原油輸入の停止以外にも、いろいろと経済的な混乱が起こるはずですが、誰でも住む場所は必要なので、住宅の需要が下がることはありません。
ですが、環境が変わることで、求められる住宅の形も大きく変わるでしょう。
最も危ないのが、タワーマンションです。
タワーマンションは、エレベーターはもちろんのこと、水・トイレ・お風呂(電動ポンプで水を組みます)など、電力の利用で生活が成り立っていると言っても過言ではありません。
「そんなのどこに行っても一緒だ」と思われるかもしれませんが、普通のマンションの場合、電気が止まったら、階段で外に出ればいいですが、20〜30層に住んでいる場合は、地上まで降りるのにも一苦労することになります。
また、トイレが使えなくなると、災害用の使い捨てトイレを利用することになりますが、同じ階にあるゴミ置き場も、電気が使えなければ、利用ができなくなります。
臭いがきついと言って、ベランダに置いておくことができるマンションも少ないでしょう。
そうなると、毎回1階まで降りていかなければならないため、かなりの手間になりますし、近くのスーパーで買い物をするにも、最悪の場合、「モノがほとんどない」という状況も可能性として出てきます。
このような不便な物件を購入する人は、あまりいないでしょう。
電気が止まらなくても、そのリスクが上がるだけで、投資家は売却へ動く
また、タワーマンションは、「資産性が高い」「節税対策に使える」といった理由から、国内外の富裕層の投資対象となっているケースが多く、危ないと思ったら、さっさと売却してしまう、逃げ足の速い資金が含まれています。
そのため、実際に電気が止まらなくても、「中国が日本への原油輸入ルートを封鎖」といったニュースが出てくると、ある程度の投資家は売却に動くでしょう。
そのような時期に、あえて高い価格で買いたい人はいませんので、かなり価格を下げての取引となることが予想されます。
株価が下がると、マンション価格も下がる
また、現在の日本のマンション価格は、株価とかなり似たような動きとなっています。
特に都心部の高額マンションで顕著なのは、国内外の富裕層や投資家、REIT(不動産投資信託)と呼ばれる金融商品で、運用対象とされているためです。
(参考:東日本不動産流通機構、Yahoo finance US)
台湾有事は、日本にとって、決して対岸の火事ではなく、原油輸入ができなくなるという大きなリスクがあります。
そのため、株式市場も下落する可能性が高く、マンション価格も連れ安してしまうでしょう。
3、起きるとしたら、いつ頃か?
では、もし仮に、台湾有事が起こるとしたら、それはいつ頃なのでしょうか?
アメリカ政府は、「それは2027年ではないか?」と考えているようです。
アメリカ政府は、ことし3月、国家情報長官室が世界の脅威を分析した年次報告書を公表。2027年という具体的な数字に触れました。
「中国は習近平指導部が3期目に入る中、台湾に統一を迫るとともに、台湾へのアメリカの影響力を弱らせようとする」としたうえで、
「台湾有事の際にアメリカの介入を抑止できるだけの軍の態勢を2027年までに整えるという目標に向けて取り組みを進めている」
と指摘したのです。
この予想が当たらないことを祈りたいものですが、わたしたちの知らないところで世界は動いています。
特に、投資目的やいずれ売却を検討している人であるならば、頭の片隅に入れておいて、その時期をじっくりと考えてみてはいかがでしょうか?
なお、2024年のマンション価格については、こちらの記事も参考になると思います。
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