今回の動画は、「なぜ日本が世界に必要なのか?エマニュエル・トッド教授が考える日本の独自性」ということで、やっていきたいと思います。
1、はじめに
うちのチャンネルでは、2024年に出版された「西洋の敗北」以降、トッド教授の新刊が出るたびに、紹介動画を出してきました。

そんな中でも今回は、①元外交官の佐藤優先生、②建築家の隈研吾さん、③文芸評論家の三宅夏帆さん、そして④国際政治学者の伊藤貫先生、の4人との対談が行われていて、なかなかに興味深い内容でしたので、どんな話がされたのか?について、ご紹介していきたいと思います。
知らない方のために、トッド教授について、簡単に紹介しておきますと、フランスの人口統計学者、 歴史学者、人類学者で、各国の家族構造から、その国の 文化や価値観、政治現象などを考察されてる人 です。

邦訳されてる著作も多く、けっこう予想も当たってまして、例えば、
- ソ連の崩壊
- 英国のEU離脱
- トランプ政権の誕生
など、けっこう驚くような予想を当てていたりします。
それで、トッド教授は日本との縁も深く、雑誌「文藝春秋」に寄稿することが多く、今回の書籍「なぜ日本が世界に必要なのか?」も 2025年10月~2026年6月までの内容がまとめられたものになってます。
具体的には、4人の対談と、イラン戦争開戦を受けてのトッド教授の解釈が、初めて書籍化されたものになっていますので、その辺りが注目すべきポイントかなと思いました。
今回の動画では、この書籍の内容を中心に、私が興味深いなと思ったポイントを5つ、ご紹介していきたいと思います。
それでは、参りましょう。
2、トッド教授の家族システム理論
まずは本書の内容に入る前に、トッド教授の「家族システム理論」について、簡単に解説しておきます。

(参考:アマゾン「エマニュエル・トッドで読み解く世界史の深層」)
トッド教授は、それぞれの国の家族形態の違いが、その国の価値観や世界観に大きく影響を与えていると考えています。
その分類方法は、親子関係と兄弟関係の2軸で4つに分類できまして、こちらのような図になります。
親子関係とは、大人になっても同居するかしないかで分けられ、同居する文化の国は、親の影響が強く、伝統重視、そして教育意識が高い傾向にあります。
一方で、大人になったら親と別居する文化圏では、自由放任的な価値観が広まる傾向にあります。
兄弟関係とは、相続する際の財産分与のルールで分けられ、長子相続が長く続いた文化圏では、不平等は当然と受け止められがちで、努力次第で結果が変わると考える傾向にあります。
その一方で、平等に相続する地域では、格差反対、分配重視になる傾向にあります。
そのような分類で分けた結果が、こちらの図で、日本は親と同居で、長子相続が長く続いた国ということで、直系家族と分類されています。
ここには、日本や韓国、北欧やドイツなんかが入りますね。
「うちは核家族だよ」と思う人もいるかもしれませんが、家単位の戸籍制度をもとに社会が作られているので、長期的に育まれた価値観があるんだ、ぐらいで捉えておいてください。
一方で、英米は、絶対核家族ということで、自由放任で格差を容認する文化圏になっています。
現在のグローバリズムは、自由放任、格差拡大を容認する考え方ですが、それは、このルールを作った英米が、まさに、このような価値観を受け入れる家族形態で成立した国だったからだと言えるでしょう。

(参考:wiki「プロテスタント宗教改革と対抗宗教改革における芸術」)
それで、現在の欧米先進国は、ポリコレとか、移民の大量受け入れとかで、社会が大混乱になって大変なことになっていますが、特にやべえ国というのが、英米ドイツあたりの、プロテスタントの国になっています。
では、なぜプロテスタントの国がやべえことになっているのか?というと、プロテスタントというのは、現世よりも死後の世界を重視する宗教だったからです。
現世では我慢しろ!そうしたら、死んだ時に天国に行けるから!というわけです。
そもそもプロテスタントは、ローマ教会が腐敗しまくっていたことにムカついて、出来た宗派でした。教会で司祭の話を聞くよりも、自分で聖書を読め!という原点回帰的な考え方を採用しました。
また、偶像崇拝とか、教会を美術品モリモリで飾りたいから、教皇とか司祭が調子乗って、金払えば救われるなんて、詐欺のお札を売るようになったんだろ?
ということで、教会美術を否定する聖像破壊運動が起こりました。
このように、現世での美しさとか、そういうのを否定して、死後の救済を求める宗教だったということは、宗教を信じなくなったら、どうなるでしょうか?
我慢する癖だけついて、目指す目標が何もないゾンビが大量に生まれたのです。
例えるなら、いい学校入れ!いい会社に入れ!と親に言われて、ゲームや友達との遊びを我慢して、大企業に入ったものの、「それから後はどうしたらいいの?」と途方に暮れてるサラリーマンみたいなものです。
そういうエリートは、今までの努力や我慢を無駄にしたくありませんから、とりあえず、周りから変な評価をされないように、周りに同調して、無難に生きようとします。
その結果、
- とりあえず金のためなら何でもやる、
- 一部のいかれたポリコレ勢を追認する、
- 移民が犯罪を起こしても、ポリコレで叩かれるから批判しない
みたいなことをやって、しっちゃかめっちゃかになっているのが、英米ドイツあたりなんですね。
3、新刊で興味深かった4つのポイント
では、ここからは、今回の書籍の中で面白いと思ったポイントを4つほど、ご紹介します。
(1)ドイツdisりが酷いw
面白かったポイントの1つ目は、シャレが通じないくせに、頭が空っぽなドイツ人へのディスりが酷いということです。
例えば、
- 昔、自分の息子がドイツ人の女性と付き合ったことはあったけど、イギリス人女性と結婚してほっとしたとか、
- 森鴎外の舞姫で、主人公がドイツ人女性と恋に落ちるなんて、ありえないとか、
- ドイツ人は、昔からジョークが通じない民族だったけど、ロシアと戦う姿勢を見せ始めてて、完全に狂ってきたとか、
結構、容赦がない感じになってました。

それで、こちらの地図は、ナチス支持者とプロテスタントの関係を表したものになります。
①赤が1932年選挙でナチスへの投票率が高い地域になります
そして、
②立体的に見えるエリアほど、カトリックの割合が高い地域になっています
この地図から分かることは、カトリックが少ない、平面的なエリアほど、ナチス支持が多い、赤色の地域になってる、ということです。
ルター派などのプロテスタントは、腐敗した教会にブチギレた結果できたので非常に潔癖で、偶像崇拝禁止で教会の美術品を破壊するなど、潔癖さのために暴力的になれる宗教でした。
ナチスが政権を取る前の1920年代のドイツは、第一次世界大戦の敗戦によって、1兆倍のハイパーインフレが起こって、財産が紙切れになって、その後にアメリカ資本が入ってきたことで、工場労働者は潤いましたが、高学歴の手に職を持ってない人間は、非常に燻った時期を経験しました。
また、敗戦とドイツ帝国の崩壊は、神がいるならなぜドイツが負けたのか?という深い絶望感や虚無感が広がって、信じるべき拠り所がなくなった時期でもあります。
カトリックであれば、現世に美や楽しみを見出す価値観がありましたので、ナチスにかぶれる人は少なかったようです。
ですが、天国に行きたいなら我慢しろと教わってきた人たちにとってみれば、神じゃなくて、ヒトラーが救ってくれるかも?ということで、すがる先を見つけたということだったのでしょう。
しかし、そうやってゲルマン民族の栄光を求めて、ヒトラーの言うことを信じたドイツは、第二次世界大戦で敗れ、ユダヤ人虐殺の汚名を着せられ、徹底的に反省を強いられたため、自国の素晴らしさを見つけよう、肯定しようというナショナリズム的な考え方が禁じ手になってしまいました。
戦後の復興期であれば、もっと豊かになろうという社会の発展が原動力になったと思いますが、欧州の中でも最も工業力の高い国となって、EU諸国内でも一人勝ちの国になった2010年代以降は、もう目標らしい目標なんてありません。

現在のドイツは、中東からの移民を大量に受け入れて、それに反発する白人のドイツ人を言論弾圧し、若い女性の性被害を隠蔽し、さらに意味のない環境規制を押し付けることで、産業を破壊しまくるという、気狂いの政治家と官僚しかいない、しょうもない国に成り下がっていますが、
それは国家としての目標が失われたことによって、金とポリコレという英米の価値観に従うだけの、機械人間だらけの国になってしまったということなのでしょう。

ただ、うちのチャンネルでも、これまで何回かドイツを取り上げて動画にしていまして、基本的には、その自滅っぷりをバカにしているものが多いですが、今のドイツは3種類の人たちがいるように思います。
具体的には、
1つ目は、英米に洗脳されたアホなポリコレ勢ですね。EUに統合されたい。移民に蹂躙されたいというマゾなキチガイで、高学歴のリベラルに多い感じです
2つ目は、AfDのような、ドイツとしての独立を求める人たちです。この人たちは、堂々とドイツという国家を大事にすると言ってるので、マゾなポリコレ勢から叩かれまくってます。
そして3つ目が、とにかく、英米から独立したい元奴隷エリートたちです。
この人たちは、バカなポリコレ勢に噛み付かれるのが嫌で、表に出てきませんが、
例えば、トランプ当選のたった数時間後に、ショルツ政権が政権を放り出して、解散総選挙へと突入していったのですが、これなんかは、もう痴呆老人みたいなバイデンのアメリカの言うことなんか聞きたくないと、投げ出した人たち言えるでしょう。
そしてさらに、メルツ政権になって、3分の2以上の賛成が必要となる財政拡大法案を簡単に超党派で可決したのは、軍事費を上げることで、米軍が撤退しやすいようにすれば、対米自立のチャンスと見た議員がかなり多かったからだと思います。
メルツはそれ以降もロシアに噛み付いて、軍備を拡張しようとしてはいますが、高市政権が中国に噛み付いているのと似ていなくもありません。
どちらも大量の米軍が駐留している国ですので、軍事費を大幅に引き上げることで米軍を撤退させるために、ロシアや中国を口実にしているように見えますね。
(2)つまんねえ建築だらけになった理由
面白かったポイントの2つ目は、つまんねえ建築だらけになった東京やアメリカに対する分析です。

今回の新書では、建築家の隈研吾氏とトッド教授の対談もあって、日本の直系家族という家族システムが持つ文化的な特性についての考察が興味深かったです。
隈氏によると、アメリカは、1985年のプラザ合意以降、建築が面白くなくなったらしいです。その理由は、「モノとしての建築」から「金融資産としての建築」になってしまったからと言います。
つまり、「美」に向かう建築から、「金(言い換えると、市場とか、他人の評価)」に向かう建築へ変わったことで、つまんねえ建築家しかいなくなった、と言うわけです。
今の東京も、タワマンだらけになってつまらない街になった、という批判をされてる方の動画をいくつか見たことがありますが、それに通じる批判のように思いますね。

それで、対談の中では、アメリカの建築家のフランク・ロイド・ライトの話が出てきます。
ライトは、旧帝国ホテルを設計したことで有名な建築家で、ライトは、1893年のシカゴ博覧会で日本建築の鳳凰殿を見て以降、作風が一変したと言われています。
また、ライトは、日本の木版画のコレクターでもあって、生涯に6000点以上も収集して、木版画に関する論文を書くほどの、日本文化に影響を受けた人でした。
こちらの記事では、そんなライトの言葉がいくつか紹介されているのですが、一部抜粋しますと、
「この研究(木版画)で理解すべき最も重要な事実は、その非形式的な優雅さにもかかわらず、日本美術は徹底的に構造的な芸術であるということ…」
「(構造とは)有機的な形態、つまり部分や要素を非常に明確な方法でより大きな統一体、すなわち生命力のある全体へと組織化したもの」
以上です。
ライトは、日本の美に構造とか、有機的な、生命を感じさせる何かを見ていたようですね。
それで、このライトをモデルにした小説がありまして、それがアメリカの作家のアイン・ランドの「水源」です。

ランドの代表作としては、「肩をすくめるアトラス」の方が有名ですが、こちらもなかなかに読み応えのある、素晴らしい作品になっています。
この作品の主人公のハワード・ロークが、ライトをモデルというか、参考にした作家だと言われてまして、作中で、ライトが言いそうなセリフを言ってます。
一部ご紹介しますと、
「(建築物は)用途に、敷地に、材料が形を決定します。もし一貫した一つの理念で作られないのならば、その理念があらゆる細部に行き届かないのならば、何ものも合理的ではないし、美しくもならないのです。建築物は生き物です。人間のように。」
以上です。
ライトは、日本の美に対して、生命を感じさせる構造を見出していましたが、
ハワード・ロークも、建築について、立地や周囲の環境などから、最も適したテーマ、目的に従うことで導き出される、理想の建物を建てようとすることで、建物に生命が宿ると考えていました。
一方で、現代の建築物は、生命が宿ってるようなモノを作ることではなく、転売を視野に入れた、市場価値という他人の評価に振り回される金融資産に成り下がってしまった。
それというのも、英米のグローバリストが、プロテスタントという宗教心を捨てた結果、通帳の残高を増やすことだけが趣味になってるような、くだらない金の亡者を生み出す世界になってしまったからだ、というわけです。

今回の新書のタイトルは「なぜ日本が世界に必要なのか」ですが、その根拠として、日本には、抽象に逃げ込まないで、具体で勝負しているから、ということが挙げられています。これをトッド教授は、自然人と表現してますね。
奈良時代から現代にかけての日本文学の特徴について考察している書籍として、加藤周一先生の「日本文学史序説」があるのですが、ここで日本文学の特徴として挙げられているのが、
- 具体的・実際的な思考への傾向
- 包括的な体系ではなく、個別的な特殊性に注目する習慣
- 超越的な原理はなく、カミは現世の過去と繋がっている(記紀など)
ということで、昔から日本人は、抽象を嫌い、具体を好んできました。
そして、こちらの表でまとめたように、日本の傾向というのは、まだ抽象ではなく、具体の方に向いていると思います。
抽象に行ってるのは、ステータス目的でタワマン買ってる一部の東京人と、善悪を騒いでるリベラルぐらいでしょう。
また、英米は逆に具体を捨て、抽象だけを選んだため、おかしなことになっているのだと思います。特に宗教については、抽象すら捨ててますので、何も残ってないニヒリズムへ陥っているのでしょう。
こんな感じで、隈氏とトッド教授の対談は、なかなかに興味深かったのですが、実際にこの新書で紹介されていた隈氏の建築の良さは、私にはよくわかりませんでした。

左の画像は、フランスのサン・モーリス大聖堂の入り口部分のコンペで、赤枠の部分が、隈氏の事務所が勝ち取ったデザインだそうなのですが、16世紀に建てられた教会の入り口がこんなんでええんか?調和しているのか?と言われると、よくわからんなあと感じてしまいました。
(3)イギリスがクズな理由
3つ目は、英米は、外から吸収しないと成立しない国だという考察についてです。

英米の家族構造は、図の右下にあたる「絶対核家族」に分類されまして、
①親子関係は、自由放任
②兄弟関係は、長子相続で不平等が基本
という特徴があります。
この考え方が社会にまで拡張されると、
①伝統は軽視する一方で、新しいものを受け入れやすい
②自由放任な一方で、自己責任なので、自立が求められる、
という社会になります。
つまり、伝統から解放されてる反面、親や社会からの知識などの継承が少ない分だけ、それを補うために、外から吸収することが求められる社会といえます。
なので、イギリスは他国から吸収するために、世界中に侵略を続けましたし、アメリカは研究開発を通じて、新しい技術を手に入れ、未来に進もうとしてきました。
どちらも過去という後ろから受け取れないので、イギリスは領土拡張という形で、横に広がろうとし、アメリカは新しい技術で未来を変えることで、前に進もうとしたわけです。

それで、イギリスという国は、日本のように敗戦を経験していないため、国全体として懲りるということがなく、今も国連や気候変動枠組条約、自由貿易体制、ICCなど、世界的な枠組みを自分たちの都合のいいようにすることで、他国を支配下に置こうとしています。
最近のAI危機も、イギリスのコントロールAIという団体が、アメリカ民主党、そしてイギリス労働党から、AI規制法案を出させています。
つまり、相変わらず、他人を支配したいという、帝国主義的な考え方から抜け出せないのです。
それは、イギリスのエリートが傲慢なくせに、新しいものを作ろうとするガッツがないヘタレだからだ、ということなのでしょうが、もうこんなイカれた頭で何世紀も過ごしているので、直そうにも直せないのでしょう。
そのため、プーチンやトランプは、ウクライナ戦争、イラン戦争を長期化することで、欧州の経済を破綻させ、イギリスという国家そのものを潰すということをやっているように見えるのですが、別の方法も同時並行で行っているように思います。
それが、イギリスのイスラム化です。
イギリスが絶対核家族という分類の家族形態なために、今の帝国主義的な考え方が抜けないのならば、イスラム化して、家族システムを変えればいいじゃないか?というわけです。
本当にこれが計画されたものだったとしたら、考えた人は天才ですね。
トッド教授のファンだったのかもしれません。
(4)なぜ日本の男は、ヘタレなのか?
4つめは、なぜ日本の男はヘタレなのか?ということです。
これは、文芸評論家の三宅夏帆さんと、トッド教授との対談で話されていたテーマなのですが、日本やドイツなどの直系家族システムは、親との関係が強いので、息子の役は上手くこなせるけど、リーダー的役割の父親や、対等なパートナーとしての夫の役割がこなせない人が多いらしいです。

というのも、父系支配、家父長制とは、男が強いということではなく、男の集団の力が強い社会だからです。
上司の言うことに従う部下みたいな人間集団が強い力を持つ社会であって、個人としての男性が強いわけではないので、自立していない。自分の頭で考えられない、集団に所属しないと生きていけないと思ってる男が多い、と言うわけです。

2021年にみずほ銀行が相次ぐシステム障害で、金融庁から業務改善目令を下されたのですが、この不祥事を金融庁が調べた結果、みずほ銀行の体質をこのように批判していました。
「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢」
以上です。
みずほ銀行といえば、日本のトップ3に入る都市銀行であり、高学歴の社員がたくさんいる、日本の超大企業の一つです。
それが、金融庁から
「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢」
とブチギレられたのです。
言われてることが、まるでガキでしょ?
誰も判断しない。誰も責任も取らない。でも、集団としてのみずほ銀行は、超大手銀行なので、取引先は怖くて文句は言えない。
そういうハリボテの中で、偉そうにしているときは、誰も言わないけど、不祥事が起こって検査を受ければ、小学生のガキでも言われないような、恥ずかしいレベルの低い指摘を受けてしまう。
それが日本の家父長制、つまり上下関係の、階層型組織の中の日本人というわけです。
ただ、私も証券会社の本社部門で何年か働いてて感じたことなのですが、本社というのは、基本的に稼がない、管理部門が大半なので、やって当たり前、失敗したら減点という、リスクをとった者が負ける世界になっています。
そのため、勇気を持てないヘタレが量産されてしまう、わかっちゃいるけど、止められない、みたいな感じになってるケースが多いようには思います。
トッド教授は、日本やドイツなどの直系家族の国の男性は、親や上司などの組織に守られているため、子供だと言ってますが、リスクを取らなくても済んでいる、やらなくても責任を取らないで済んでいるというのは、まさに組織が守ってくれてるからですよね。
なので、日本の組織人の男性のメンタリティというのは、他の国に比べて子供じみていて、自立していないように思われているようです。

それで、三宅夏帆さんとトッド教授の対談の中では、日本が共働きの社会になったことで、余計に男のヘタレ具合が顕在化していると言う話をしてまして、なるほどなと思わされました。
結局、田舎の長男が家業を継ぐノリで、親の言うことを聞いて、いい大学、いい会社に入ってるのが、結構な割合の日本の男性であり、親や会社が敷いたレールを歩いている間は、ずっと上下関係の中で生きているようなものなのです。
ところが、共働きで結婚すると、夫婦関係は対等になります。
昭和の頃であれば、男は仕事、女は家で済ませられていたでしょうが、共働きであれば、家事も育児も仕事も分担、つまり対等な関係での話し合いが必要になります。
しかし、それが上手くできないと。母親の役割を求めたり、息子の役割を演じたがるので、辟易している女性が多いと言うことのようですね。
うちの嫁さんは、結構年上なので、たまにマミーと呼んだりするのですが、「あんたの母親じゃない!」とすごいウザがられますから、母親扱いされるのは、女性にとって、本当に嫌なことなんでしょうね。
4、トッド教授のトランプ批判について
ということで、ここまで新刊で興味深いと思ったことを4つご紹介してきましたが、実はこの本は、イラン戦争やトランプ政権批判の割合の方が多いです。

しかし、その部分にフォーカスを当ててしまうと、結構ゲンナリする人もいると思うので、私の解釈で、ちょっと解毒させてもらいます。
今回のトッド教授の著作は、初めてイラン戦争について語っているものになっています。これより以前にYouTubeや文藝春秋への寄稿文や対談では語っていましたが、書籍としては初公開なのです。
それで、トッド教授は、アメリカがイラン戦争を仕掛けた理由として、2通りの解釈の可能性があると考えていました。
1つ目は、ウクライナ戦争で負けてることの目眩しであり、
2つ目は、アメリカのエリートが価値基準を失って、暴走しているのではないか?という可能性です。
そして、イランは負けないだろうから、アメリカは世界の覇権国家の地位から降りるだろうと予想しています。
それで、トッド教授は、この2つの可能性のうち、どうも2つ目の、アメリカが暴走しているのではないか?という可能性に対して、危機感を持っているようです。

というのも、トランプ政権のイラン戦争での言動は、思いっきりぶん殴ってやる!と脅したかと思えば、もうすぐ和平に向かうよ!と言ったりと、訳がわからない展開が続いているからです。
トッド教授は、20年以上前からアメリカ政府の批判をしてきた人なので、今のトランプ政権も相変わらず、イカれたことしかやってないように見えてるようです。
なので、トランプが日本に台湾有事のために軍拡を迫るのは、非常に危険なので、ちゃんとNO!と言え、それと核武装して、アメリカから自立しろ!というのが、本書での、結構強めの主張となっています。
本書では、伊藤貫先生との対談も入っていますが、そこでは、この核保有についての議論を結構突っ込んで話してましたね。

それで、私はこんな感じで、引きこもって動画を作ったり、パソコンパチパチやってる人間なので、運動不足の解消のために、近くの本屋までパトロールに行くのですが、最近の政治系の新刊を見ると、トランプが狂ったとか、イランに負けるとか、そういう系の本が増えているように思います。
また、動画でもトランプは狂った、みたいな内容のものも増えてきてる感じがしますね。トッド教授も、その中の一人に入っているようです。
おそらく、トランプは選挙中にウクライナ戦争をやめさせるとか、そういうかっこいいことを言ってたのに、全く逆のことをやり始めたので、「これはあかん」と見限ってしまった人は多いのだと思われます。
そのため、今回の新刊を読むと、アメリカの暴走に日本が巻き込まれるように思えてくるので、ちょっとゲンナリする人はいそうな気がしますね。

しかし、現在のイラン戦争やウクライナ戦争は、「イギリス潰し」だと捉えると、全く違って見えてくると思います。
実際、トッド教授もこの本の中で、こんなことを言ってます。
「私はヨーロッパ人として、米国の指導層が欧州を侮辱する光景を日々、目にしています。米国は欧州を憎悪しているのです。」
「とくにロシアが注視しているのは、ホルムズ海峡の封鎖が欧州経済を破壊しつつあることです。」
以上です。
ここまでわかってるのなら、トランプが狂ってるのではなく、イギリスや欧州を潰すためだと気づいても良さそうなものですが、世の言論人界隈には、イギリスをディスってはいけないという縛りがあるのでしょうか?
トッド教授と佐藤優先生の対談は、イラン戦争前のものなのですが、佐藤先生は「トランプの政策を断固支持する」と述べています。
その理由は、なんだかわかるようなわからないような、煙に巻かれた感じのことを言ってるのですが、ソ連やロシアがイギリスにやられたことを知ってない訳がないので、佐藤先生もあえてイギリス潰しとは言わないような感じがしますね。
ちなみに、上の画像は、これまで私がイギリスがいかにやべえ国なのか?トランプがイギリス潰しのために、イラン戦争をやってる可能性について、考察した動画の一部になります。
もし、イラン戦争で世界がとんでもない方向に行くのか?と心配されてる方は、これらの動画をご覧になって、心のバランスをとることをお勧めします。
というわけで、ここまでをまとめると、こんな感じになります。


という感じですね。
正直、国際政治や世界史に関する書籍を見ていると、日本語のものだと、イギリス悪玉論はほとんど見つけられません。知識人界隈で、何か縛りがあるんですかね?
ですが、洋書の歴史研究本だと、結構真面目に、イギリスがいかにやべえ国なのかを論じているのを見つけられるので、その辺りを少しずつ読み進めています。
この辺のことについては、限定動画で多めに出しています。







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