残クレアルファードとZ世代の共通点 | イエ&ライフ

残クレアルファードとZ世代の共通点

youtube原稿

今回の動画は、「残クレアルファードとZ世代の共通点」ということで、やっていきたいと思います。

*この記事は、YouTube動画の元原稿です。

 

1、はじめに

今年もあと残り少なくなってきて、この1年の振り返りネタを語るような時期に入ってきました。今年の流行語大賞には、高市首相の「働いて働いて働いて働いて働いて参ります」が入っているようですが、ここに入ってないのがおかしいという声が出ているのが、「残クレ・アルファード」です。

 

 

今年のYouTubeでは、AIによる音楽生成コンテンツが爆発的に広がった年だったと思いますが、その中でも、群を抜いてネタになったのが、この残クレアルファードでした。

関連動画をいろいろと調べて見たのですが、この画像の左上のものが、残クレアルファードをネタにした歌で、なんと920万再生もされていたのです。

 

さらに、その下にある、別のチャンネルが作った曲も、183万再生されており、残クレアルファードの解説動画も数十万から数百万再生のものが続出するという、かなりの当たりネタだったことがわかります。

 

 

それで、今年の紅白の参加者とその曲の再生回数を調べて見たのですが、紅組女性陣については、石川さゆりや坂本冬美などのレジェンドは例外として、若いミュージシャンのものは、数千万再生のものが多いのです。

ですが、白組男性陣については、残クレアルファードの再生回数に遠く及ばないアイドルもチラホラいて、だったら、残クレアルファードを出したほうが盛り上がるんじゃね?と思ってしまいました。

 

(参考:ナビクル)

 

一応、この残価設定クレジット、通称残クレについて、簡単に説明しておくと、毎月の支払いは少なくしながらも、好きな車に乗れるという契約のことで、大体期間は5年ぐらいで、期間満了まで支払い続けたら、あとは次の車で同じ契約をするか、車を返却してしまうか、残りの分を払って買い取るかの3つの選択肢があります。

しかし、この契約では、車体総額に金利が3~5%かかり、所有権は契約する会社の側にあるため、傷つけた時の修理代が高かったり、いろいろと落とし穴がある契約となっており、情弱向けの悪徳契約みたいな評価が広がっている印象です。

 

 

それで、この残クレアルファードとは、車体価格が600万円ぐらいするアルファードという車が、日本中でたくさん走っているのは、この契約で乗ってるマイルドヤンキー家族が多いからだという、イメージで作られた曲になっています。

 

その歌の内容を箇条書きにしてみると、

・ヤンキー上がりのいかつい親父と美人の嫁さん夫婦

・子供は多めで、ライト、アポロ、ダイヤみたいなキラキラネーム

・契約のことはよくわからんけど、月々の支払いは少なくて乗れるから、飛びついた

・夜のドンキホーテでよく見る

・見栄で契約したけど、月々の支払いが結構きつくて、契約満了時に追加費用で詰んで、ご苦労さん

みたいな感じです。

 

 

これらの動画のコメント欄を見ると、本当にこういうイカついヤンキー家族がアルファード乗ってるのよく見るとか、イオンやドンキで見たあれは残クレだったのか、とか、まあ車社会の地方都市では、あるあるのようですね。

それほど収入が高くないであろう地方都市で、600万円ぐらいするアルファードがビュンビュン走っている違和感を説明しやすいのは、確かに残クレですので、その身の丈の合わなさの結末として、ざまあというオチをつけるのは、不自然ではないかなと思いますし、それが笑いとして成立するのもわかるような気がします。

個人的には、現代のネタで作った落語のような面白さを感じました。

 

2、なぜこれほど、残クレ・アルファードが流行ったのか?

 

しかし、今年は生成AIで作ったネタ曲が流行った年だったとは言え、900万回以上の再生数というのは、尋常ではありません。

アサシンクリードシャドウズという、日本を舞台にしたアクションゲームの主人公を、無理やり黒人にしたことで炎上しましたが、その時に作られた「弥助やないかい」という歌が無茶苦茶バズったものの、今見てきたら、それでも419万再生でした。

 

それほど、残クレアルファードというネタが、多くの人に刺さった理由は、いったい何だったのでしょうか?

この点について、いろいろと考えてみたのですが、3つほど理由を思いつきました。

 

(1)スカッとする人が多かった

1つ目の理由は、曲を聴いていて、スカッとした人が多かったから説です。

 

 

大きな車に乗っていると、気が大きくなって、運転が乱暴になる人というのは、一定数いるようです。

また、アルファードは車体がでかいですから、実際に近づいて来られたら、その恐怖は、軽自動車が近づいてくるのとは訳が違います。

 

なので、そういう怖い車、迷惑な人たちが、実は借金でヒイヒイ言ってそうだ、そりゃ稼ぎがそれほど多くないはずなのに、こんなデカい車乗ってたら、残クレに違いないよね、という説得力もあって、ツッコミどころが見つかってスカッとした人が多いのでしょう。

 

(2)日本のエグい社会の仕組みが、楽しく学べた

2つ目の理由が、日本のエグい社会の仕組みを学ぶ、いい教材となったから、つまり、知的好奇心を刺激したから説です。

 

(参考:日経新聞)

 

これまで日本では、不動産投資や株式投資などの、投資系の詐欺が何度も起こってきました。かぼちゃの馬車事件や、最近ですと、みんなで大家さんが、ほぼ詐欺確定のような展開となっているようです。

ですが、こういった詐欺事件というのは、カモられた被害者がどんな人なのか?よくわかりません。なので、そういうのに興味のない人にとっては、まあそういう業界に近づかなければ、いいよね、ぐらいでスルーされて終わりです。

 

そして今回の残クレアルファードの話も、よくよく調べてみるとエグい話です。

人気車種だったアルファードを、ディーラーが現金一括支払いでの納車を拒み、残クレでしか契約しにくくしたことも、問題の一端として指摘されています。そのため、アルファードなどの人気車種の残クレ利用率は、半分近くだと言われています。

 

また、携帯ショップのように無駄なオプションをつけないと契約できないとか、そういうエグいこともやっていたディーラーもあったようです。

しかも、この悪質な携帯ショップ見たいな契約で、警告を受けた会社は、なんとトヨタの100%子会社でした。完全にトヨタ本社とグルだったのです。

このようなエグい話って、メディアでも取り上げられますが、普通は一部の人たちが見て終わりです。

 

ところが、今回のカモられた残クレ勢は、「イカついヤンキー家族」として、かなり強烈なインパクトでキャラクター化され、ネタ化されました。

架空な存在ではあるものの、本当にいそうな残クレ勢を茶化しながら、楽しく社会の仕組みを学べる、日本社会のえぐさも覗き込める、そういうちょっと役に立つ知識も入っていたのが、受けた理由だったのではないでしょうか?

 

(3)マイルドヤンキーの価値観が新鮮だった

そして3つ目の理由が、マイルドヤンキーの価値観がはっきりとわかったことが、新鮮だったのではないか?ということです。

 

 

このように、茶化され、小馬鹿にされてる感がある、残クレ・アルファードですが、コメントを見ていると、ごく一部ではありますが、「でも、こういう家族の方が幸せなんだよな」という感じの、好意的な感想も見られました。

かくいう私も、35の時に会社を辞めて、今みたいなPCパチパチの引きこもり生活になっていますが、当時は子供が小1でしたので、今思うと、残クレ勢のイカつい親父よりもリスキーなことをやってたなと思います。

だって、イカつい親父は、仕事辞めてませんからね。

 

それに、今の若い世代は、残クレ家族であろうが、独身のZ世代であろうが、どちらもお金がないという点で共通しています。

婚姻率も、出生率も激減していますし、そんな中で、オラつきながらも、家族のために身の丈以上の借金を作って、綱渡り的な生活をしている人たちに対して、自分は絶対にやりたくないけど、これはこれでアリかもなと思う人は、一定数いるのではないでしょうか?

 

3、残クレ勢とZ世代の共通点

 

そんなことを考えながら、残クレ勢と、特にZ世代の消費行動をまとめてみたのですが、結構共通点があることがわかりました。

ただ、価値観がちょっと違うので、まるでワンピースのキャラの「何かあった未来」のように見えます。もしかしたら俺も、あっち側だったかもしれないと思える程度には、共通しているように思いました。

 

そこで、Z世代と残クレ勢の共通点と違う点について、見ていきましょう。

なお、ここでいう残クレ勢というのは、YouTube上でオモチャになっている、マイルドヤンキー的な家族が残クレを使ってアルファードみたいな高級車を買って、月々の支払いでヒーヒー言ってるという、実在しているのかどうかわからないけど、きっとそうだろうとみんなが想像している、イマジナリーな存在のことを指します。

 

なぜイマジナリーな存在だと思うかというと、地元で結婚した家族なら、親からの援助が期待できるからです。

特にアルファードは、残クレじゃないといつ納車されるのかわからん、みたいな売り方をしてるディーラーもあったようですから、仕方なく残クレで契約した人も、それなりにいそうですからね。

なので、ノリとしては、ツチノコってこんな感じじゃね?という想像と一緒だと思ってください。

 

 

それで、こちらの表は、共通点と違う点についてまとめたものです。

まずどちらにも共通するのは、Z世代も残クレ勢も、稼ぎがあまり多くありません。

なので、消費行動においても、所有よりも利用を選ぶ傾向にあります。

 

ただ、Z世代は所有はめんどいからレンタルとかサブスクでいいや、彼女もめんどいから、レンタル彼女で、みたいな傾向なのに対して、残クレ勢は、所有したいけど金がないから利用を選んでいるという違いがあります。

また、将来よりも今を優先する傾向はZ世代も残クレ勢も共通していると思いますが、Z世代は払える範囲で金を使うのに対して、残クレ勢は借金してでも利用するという違いがありますね。

 

それで、お金を何に使うのか?というと、残クレ勢は家族や見栄のために使いますので、昭和の価値観に近いです。

その一方で、Z世代は、自分の感情やストレス軽減に使う傾向にあるようです。

 

(参考:労働基準調査会)

 

例えば、ここ数年で、退職代行というサービスが広がってきています。この退職代行は、3万円前後のお金を払うと、代行会社が退職の意思を伝えてくれるサービスです。

利用者が使う理由は、

①引き止められそうだから、

②言い出せる環境ではないから、

③トラブルになるのが怖い、

の3つが多いそうですが、要するに、退職したいと言って、会社とごちゃごちゃしそうなのがストレスだということですよね。

 

そういう心理的なストレスを避けるために、3万円前後のお金を払うのって、おそらく、残クレ勢にとっては考えられないお金の使い方でしょう。

なんで?ただ辞めたいですっていうだけじゃん?と言いそうですよね。

メンタル強そうなんで。

 

(参考:Knit)

 

また、こちらはアメリカの話ですが、ドアダッシュというウーバー・イーツのようなサービスがあるのですが、このアプリの利用者は18~24歳のZ世代が最も多いのだそうです。

このような宅配アプリを使うと、通常、お店で買えば15ドルぐらいで済むのに、家に届けてもらうだけで、チップ代なども込みで30ドルを超えてしまいます。日本円で5000円近い注文です。そういうお金の使い方を稼ぎが少ないであろう、Z世代が週に何度も使っているというのです。

 

そのため、Z世代の学生に調査したところ、約8割の人が所得の大半を食費に使っていることがわかりました。その額は平均760ドル、約12万円にもなります。日本と物価も時給も違いますので、単純比較はできませんが、稼ぎの半分が食費というのは、割合的に結構高いのではないでしょうか?

では、なぜこのようなウーバー・イーツのような宅配サービスを使うのか?というと、わざわざお店に行くのめんどい、一人で飯食うのに、外出たくない、店員とのやりとりがうざいなど、ストレスの回避にお金を使っているのではないかと分析されています。

 

(参考:RT)

 

そんなことで?と思うかもしれませんが、現在のアメリカは、Z世代にとって、

 

①モノが高すぎて所有できない、新車の平均価格は5万ドル前後で、750万円します

②貯蓄は無意味(特に家賃が高いので貯金できないし、物価が上がり続けていて、貯金しても目減りしていく)

③大学はクソ(いい大学を出ても就職できない。特に、就職で有利だと思われていたコンピューター工学の大卒失業率は、他学部と比べても、3番目に高い失業率となっているようです)

④就職しても、リストラに怯えて、出世は見えない(大手IT企業が数万人規模のリストラを実施しており、明日は我が身の人も多い)

 

ということで、全く将来が見えない人が増えているのです。

そのため、お金を貯めて将来に備えることの意味が見出せず、だったらストレスとか、我慢とか、そういうことからはなるべく逃げて、自分のメンタルを守ることにお金を使ったほうが良くね?自分の感情が盛り上がる推し活に金使った方が良くね?という、現在の社会に適応した消費行動になっているという訳です。

 

Youtubeでは、ウーバーイーツの広告をよく見かけますが、日本でも売り上げが伸びていて、今後は展開する都市の数も増やしていくそうです。

なので、日本のZ世代も、アメリカの後に続いているのかもしれません。

 

ちなみに、これは、ハイパーインフレでお金が紙切れになった第1次大戦後からナチスドイツにかけての頃の、若いドイツ人の消費行動や、17世紀のイギリスの労働者の金の使い方に似ているそうです。

当時のイギリスは、労働者は給料の10~25%をビール代に注ぎ込んでいたと言いますが、それは、お金を貯めてもいい暮らしになるわけでもなく、キャリアアップの道が開けるわけでもない、硬直的な社会だったため、だったら稼いだ金は飲み代に使っちまおうぜという気分だったのでしょう。

 

江戸時代にも、「宵越しの金は持たねえ」とか、「金は天下の回りもの」とか、そういう言葉が生まれましたが、身分が決まっていた時代ですから、そういう時代には、金なんて溜め込むもんじゃなくて、さっさと使ってしまった方が粋だという価値観だったのでしょう。

 

日本でも、特に大都市圏では、物価や家賃の上昇が止まりませんし、給料は上がってきてはいますが、よほどの年収でなければ、都内に家は買えませんし、黒字でリストラをする大企業も増えてきました。

独身者の割合も増えていますから、アメリカのZ世代や、江戸っ子のように、貯金なんかしないで、好きなように使えば良くね?という人は増えていきそうな気がしますね。

 

このように、Z世代と残クレ勢は、給料は上がらないし、将来にもあまり希望が持てないので、今を大事にするしかないという価値観を共有している一方で、

残クレ勢が、昭和の価値観を続けるために、無茶な借金を作って自爆する無理ゲーに突入しているとしたら、先進国のZ世代は、将来を諦めて江戸っ子に戻ろうとしていると、言えるのではないでしょうか?

 

(参考:Funcarlabo)

 

来年2026年は、残クレ利用者が増えた2023年式アルファードの3年契約が満期になるということで、中古車市場にアルファードが大量に流れ込み、値崩れするのではないか?と予想されています。

 

YouTubeで話題となっている、支払いがきつい残クレ勢がどれぐらいいるのか?の答え合わせが始まるわけですが、もし本当に多くの人が、残クレで自爆してしまったとしたら、おそらく、トヨタにも飛び火するでしょう。

そうなったら、今度はイカついヤンキーファミリーを小馬鹿にする曲ではなく、エグいトヨタの手口をネタにした曲が出回ることになるのではないか?と予想しています。

 

この記事を書いた人
ゴトウ

証券会社で12年間勤務。営業と店舗マーケティングに従事後、2018年から当サイト「イエ&ライフ」を運営しています。

不動産価格の動きの理解や今後の予想は、金融マーケットの知識があると理解しやすいため、読者のお役に立てるのではないかと、サイトを運営しています。

また、2024年からYoutubeチャンネルも始めました。
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