(画像出典:wikimedia commons そらみみ, 佐賀駅付近より望む佐賀市役所)
この記事では佐賀県の
- 公示地価、基準地価
- 土地価格がこれまで上昇・下落した理由
- 今後どうなるのか?
の3点について解説しています。
(なお、本ページはプロモーションが含まれています。該当するサービスには、【PR】と表記しております)(※1)
1、佐賀県の土地価格の動き
佐賀県の住宅地は、アベノミクス以降の、この9年間で6.5%下落しました。
また、2021→22年の公示地価については、住宅地は前年比で0.9%のプラス、商業地は0.2%のプラスとなっていました。
今度は市区町村別に、この7年間の住宅地の上昇率を見てみましょう。
全体的に5〜10%以上の下落エリアが多い
ご覧のように、市区町村単位で見ると、鳥栖市以外は全域で下落していました。
そもそも、今回の「不動産バブル」は、何が理由なのか?
そもそも、今回の「不動産バブル」は、2013年4月から始まった日銀の異次元緩和が原因です。
それまでの銀行の商売は、わたしたちから100万円預かったら、それで国債を買って、国から利息として1万円もらう代わりに私たちには100円ぐらいの利息をつけてて稼ぐ、ということをやっていました。
ですが、こんなことをしても、ちっとも景気も良くなりません。
そこで、日銀が銀行から国債を買い取ってしまい、「その浮いたお金を使って、どこかに貸して本業で稼ぎなさい!」
とやってしまったのです。
それで困った銀行は、不動産業者に融資をすることにしました。
この7年間で、企業や個人がお金を稼ぐために銀行から借りたお金(設備資金と言います)は、なんとその8割近くが不動産関連だったのです。
製造業はわずか1.7%、そのほとんどが不動産関係
お金が借りやすくなった企業や個人は、そのお金でバンバン、アパートやマンションを建てました。
その一部が、「かぼちゃの馬車」や「サブリース問題」「スルガ銀行の不正融資」などで個人の不動産投資家が餌食になっているんですね。
低金利によって、買い手の購買力が上がった
それに加えて、住宅地でも大きな追い風がありました。
それが金利の低下です。
異次元緩和によって、住宅ローンが約1%下がったのです。
(参考:ARUHI住宅ローン フラット35金利の推移 財務省 国債金利情報)
ザックリ言うと、この7年間で買い手は、同じ返済額で2割高い物件を買えるようになったということです。
例えば、フラット35で期間35年・3,000万円の住宅ローンを組んだ場合、月々の返済額は1.4万円も減りました。
異次元緩和前後のフラット35の返済額
*融資手数料:2.16%として計算
①緩和前 (2013年3月) | ②緩和後 (2019年1月現在) | ②ー① | |
フラット35の金利 (団信込み) | 2.27% | 1.33% | -0.94% |
月々の支払額 | 103,500円 | 89,400円 | -14,100円 |
総支払額 | 4,415万円 | 3,819万円 | -596万円 |
ご覧の通り、返済額で月1.4万円、総額で約600万円減った計算になります。
言い換えると、月々10.4万円の返済で、3,000万円の物件から3,500万円の物件まで買えるようになったことになります。
金利の低下によって、高い物件が買えるようになった
つまり、金利が下がったことで、買い手の購買力が上がったため、値上げにも簡単に応じられてきたわけです。
なぜ、これほど下がっているのか?
理由は2つあります。
①公共事業の減少で土地価格が下落した
1つ目は、公共事業の減少です。
佐賀県の住宅地のピークは、1999年ごろになりますが、本格的な下落は2002年ごろからでした。
その理由は、公共事業の予算があまり減らなかったからです。
県内で仕事がたくさんあったので、働く人の給料もその当時まではあまり下がらなかったんですね。
佐賀県の公共事業は、この20年でほぼ半分に
しかし、「不良債権」という言葉が話題になり始めた2001年ぐらいから、公共事業がどんどん減っていきました。
そのため、地方ではどんどん仕事がなくなってしまい、給料が減り、そして土地価格が下落していったのです。
②人口が減って、家を買う人が減った
2つ目が、人口の減少です。
家を建てる中心年代である20〜40代の人口は、1996年ごろをピークに、ずっと減り続けているのです。
家を買う年代が減れば、家を建てる人は減ります。
そのため、佐賀県全域で見ると、土地価格が上がりにくくなっていったんですね。
上昇している地域の特徴とは?
しかし、一部の地域では上昇しているところも出てきました。
例えば、佐賀駅の周辺では、住宅地を中心に広範囲で上昇している地点が見られます。
この5年間で金利が1%下がりましたので、共働き世帯を中心に、保育園や買い物に便利で職場にも近い中心部に家を買う人が増えたからです。
地価マップ:H25~R2の上昇率
*上昇率:赤色(30%以上)>オレンジ(10〜29.9%)>緑色(0〜9.9%)>青色(-9.9〜0%)>紫色(-10%以下)
また、鳥栖市でも、駅周辺で上昇している地点がチラホラ散見されますが、福岡市にも近い立地条件のため、移り住んでくる人がいるからです。
仕事のある大都市、またはそのベッドタウンのエリアでは、このように一部上昇している地点も見られるんですね。
2、これからどうなるのか?
佐賀県の土地価格に影響を与えそうなリスクをまとめました。
(1)そろそろ金利が上がりそう
日本では、低金利が長く続いているため、金利の上昇リスクを心配しない人が増えており、7割以上の人が、半年ごとに金利が変わる変動金利を選んでいます。
ですが、本当にこれからも金利は上がらないのでしょうか?
実は、10年〜30年までの長期金利については、すでに上昇し始めています。特にロシアのウクライナ侵攻が始まった2022年ごろから、本格的に上がって来ています。
(参考:財務省)
これによって、変動金利は低いままですが、ふらっと35などの固定金利は上昇を始めています。
なぜ上昇しているのかと言うと、世界的に物価が上昇しているからです。
例えば、アメリカでは、物価が一時、前年比で9%以上も上がったため、政策金利を0.25%→5.25%まで、1年間で5%も引き上げました。
ドイツでも、前年比で11%以上も上がっていたため、こちらも政策金利を0%→3.5%にまで、約1年間で3.5%も引き上げています。
その結果、欧米各国でも、住宅価格が下落をはじめています。
アメリカの先月の中古住宅価格は前の年の同じ月と比べた下落幅(-1.7%)がおよそ11年ぶりの大きさとなり、住宅価格の下落傾向が鮮明になっています。
急速な利上げに伴う住宅ローン金利の高止まりで需要が落ち込んでいることが背景にあります。
欧州連合(EU)域内で、住宅価格が2015年以来初めて四半期ベースで下落に転じた。借り入れコストの上昇(=金利の上昇)が10年近くに及ぶ住宅用不動産ブームに終わりをもたらしている。
EU統計局は4日、22年10〜12月期に住宅価格が前の期と比べ1.5%下落したと発表した。域内27カ国のうち15カ国で下がった。下落幅が最も大きかったのはデンマークとドイツで、それぞれ6.5%、5%低下した。
金利を引き上げたことで、住宅価格が下落しているのです。
ちなみに日本の物価上昇率は、前年比で3.0%の上昇です。
(参考:NHK「2022年度 消費者物価指数 前年度比3.0%上昇 41年ぶり水準」)
そして、日本でも、7月28日に、植田日銀総裁が、政策修正を発表し、事実上の利上げを行いました。
これまでは、10年国債の金利が0.5%以上に上がらないようにコントロールしてきましたが、それを1.0%まで引き上げたのです。
(参考:野村総合研究所 2023.7.28「日銀が長期金利の上昇を容認するYCCの運用柔軟化策を決定(日銀金融政策決定会合)」)
これによって、期間10年以上の固定金利については、今後、徐々に上がっていくことが予想されます。ふらっと35などの、長期固定の住宅ローン金利は上がるでしょう。
変動金利が上がる可能性は?
今回の事実上の利上げは、期間10年以上の長期金利への影響が大きいですが、変動金利への影響は、今のところ、ありません。
ですが、物価上昇が続くようであれば、いずれ短期金利も引き上げざるを得なくなるでしょう。
というのも、そもそも、金利を引き上げている理由は、お金を借りにくくすることで、モノの消費や生産をおさえ、物価上昇を止めるためだからです。
長期金利を引き上げても、物価上昇が止まらないのであれば、短期金利の引き上げも、いずれ視野に入ってくるはずです。
なお、日銀が見込んでいる、今後の物価上昇率は、2024年が年率1.9%で、2025年が年率1.6%です。
(参考:野村総合研究所 2023.7.28「日銀が長期金利の上昇を容認するYCCの運用柔軟化策を決定(日銀金融政策決定会合)」)
もし、今回の利上げでも、現在の年率3%の物価上昇率がおさまらなければ、さらに政策を修正する可能性は高く、その際には、変動金利型の住宅ローンにも、影響が出てくるかもしれません。
1%金利が上がると、不動産価格は15〜20%下がる可能性
ちなみに、金利が1%上がると、住宅ローンの利息は、35年で15〜20%増えます。
例えば、月に約10万円の返済を考えている人であれば、現在なら3,500万円の物件が買えますが、金利が1%上がると、毎月10万円の支払いで、3,000万円の物件しか買えません。
なお、すでに変動金利で組んでいる人については、5年ルールという、当初5年間は、返済額が固定(ただし、増えた利息はあとで支払う)というルールがあるため、すぐに払えなくなって投げ売りが始まるわけではありません。
しかし、新しくローンを組む人は、変動金利でも高い金利になるため、今まで通りの高い価格でローンを組むことが難しくなりますから、価格は下がりやすくなるでしょう。
(2)これから佐賀県の人口はどうなるの?
国立社会保障・人口問題研究所が、今年発表した佐賀県の人口の見通しによると、2030年までに5.3万人減少するそうです。
佐賀県の人口は、2030年までに5.3万人減る
(出典:国立社会保障・人口問題研究所 平成30年度人口推計)
また、家を買う中心年代である20〜40代も、2030年までに4万人減る見通しです。
佐賀県の20〜40代人口は、2030年までに4万人減少
(出典:国立社会保障・人口問題研究所 平成30年度人口推計)
家の買い手が今よりも2割近く減るので、これまで通りの上昇は見込めなくなるかもしれません。
結論:売るなら?買うなら?
というわけで、佐賀県の今後の土地価格についての結論は、以下の通りです。
- 今回の土地価格の上昇は、日銀の異次元緩和がきっかけ
- 佐賀県内では人口の減少が進んでいるため、土地価格はむしろ下がってしまった
- 新型コロナの長期化によって、商業施設での売り上げが減少するため、商業地の土地価格は下落する
- 1番気をつけたいのは「金利」。特に日銀の異次元緩和が終了すれば、金利上昇で土地価格はさらに下がる
と言えそうです。
買うなら:商業地の周辺は様子見、それ以外は買い
新型コロナの影響が大きい商業地の周辺では、今後も影響が出ますので、坪単価が高いと感じられる場合には、まだ様子見の方がいいでしょう。
しかし、それ以外のエリアでは今が買い時の可能性が高いと思われます。
その理由は2つあります。
①土地価格の下落分よりも、待っている間の家賃の方が高くつく
例えば、坪30万円ぐらいの土地であれば、40坪でも1,200万円程度で買えます。
仮に数年で1割下げたとして120万円ぐらいしか安くなりませんから、その間の家賃を考えると、早めに買った方がトクになりますよね。
②異次元緩和で低金利の今がチャンス
また、現在は住宅ローンがかなり安いため、月々の返済負担が軽いのもチャンスです。
ですから、もし家を買おうと思っているのならば、土地価格が下がるのを待つよりも、金利が上がる前の今のうちに買うのがベストでしょう。
ただし、購入を検討する場合には、今後の金利上昇を想定しておかないと大変なことになるので、「フラット35」か「10年以上の固定金利」でも返済ができるかどうかで予算を考えるべきでしょう。
あまり価格が上がっていないメーカーもある
日本の住宅は、海外からの輸入材が8割以上を占めているため、輸入材を使っているメーカーほど、価格が上昇している傾向にあります。
一方で、国産材は円安の影響を受けないため、それほど値上がりしていませんので、国産材を得意とするメーカーを利用すれば、費用を抑えて家を建てることが可能です。
非公開物件=安い物件
また、不動産を売る理由はさまざまですが、「周りに知られずに売却したい」という売主は一定の割合でいます。
そのような物件は、ネット上にも出回らず「非公開物件」として、ある特定の住宅メーカーが取り扱っている場合があります。
当然、このような物件は少ないお客さんにしか目にとまる機会がないため、相場よりも価格の安い可能性が高いです。
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売るなら:低金利のうちに売却を検討すべき
特に住宅地において、これから影響が出てくるのが金利の上昇です。金利が1%上がると、組める住宅ローンが15〜20%程度減るためです。
今は上昇率が小幅なため、まだ影響は小さいですが、これから物価上昇がさらにひどくなれば、アメリカやヨーロッパのように金利を引き上げて物価上昇を抑える政策を取る可能性があるため、早めの準備がおすすめです。
不動産会社選びを間違えると損する?
不動産会社によって、得意とするエリアや物件種類(戸建て・マンション)が違うので、実際の取引では、公示地価より高く、または安く取引されることがあります。
例えば、佐賀市内に「兵庫北(ひょうごきた)」という、佐賀駅の東側に広がる住宅地があります。
こちらの公示地価と実際の取引を比べてみると、
- 公示地価:21万円/坪
- 実際の取引価格:16〜31万円/坪
と、公示地価の約0.8〜1.5倍で取引されていました。
最高価格は、最低価格の約1.9倍です。
【佐賀市兵庫北の土地取引(過去2年間)】
- 佐賀駅から徒歩24〜25分のエリアで、16〜31万円/坪で取引されている
- 基準地価も実際の取引も「第1種中高層住居専用地域」という用途区分
なぜ、これほど売却価格が変わるのでしょうか?
その理由は、不動産会社によって、持っている取引情報に差があるからです。
不動産取引は、株式市場のように、全ての取引情報を管理しているところがないため、
- 自社でどれだけ取引情報を持っているか
- どれだけ買い手のリストを持っているか?
で、評価額も、売れる金額も変わってくるのです。
持っている取引情報が違うため、評価額・売却額が変わる
*REINSとは、不動産会社間でだけ共有できる物件情報・取引情報のサービスです。ただし、売主の承諾が必要なため、情報の共有率は、全体の取引の約11%程度となっています
(2022年実績:売り物件報告件数17.5万件 ÷ 土地取引件数152.5万件 = 11.4%)
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