この記事では鹿児島県の
- 公示地価、基準地価
- 土地価格がこれまで上昇・下落した理由
- 今後どうなるのか?
の3点について解説しています。
(なお、本ページはプロモーションが含まれています。該当するサービスには、【PR】と表記しております)(※1)
1、鹿児島県の土地価格の動き
鹿児島県の住宅地は、アベノミクス以降の、この9年間で14.6%下落しました。
また、2021→22年の公示地価については、住宅地は前年比で1.0%のマイナス、商業地は1.3%のマイナスとなっていました。
今度は市区町村別に、この7年間の住宅地の上昇率を見てみましょう。
鹿児島県では、全ての市町村が下落
ご覧のように、市区町村単位で見ると、鹿児島市も含めて全ての地域で下落しています。
なぜ、鹿児島県ではこれほど下落しているのか?
最も大きな理由は、農地の宅地化です。
この10年で鹿児島県の農地は、約1万900ha(ヘクタール)も減少しているのです。
1haで約3,000坪ですので、30坪の戸建てに換算すると、約109万戸分の農地が住宅や、道路、工場、倉庫、ショッピングモールなどに変わっているのです。
その結果、農地からできた新しい住宅地に人気が集中してしまい、古くからある住宅地の買い手がつかず、土地価格の下落に歯止めがかからないわけですね。
姶良市では、人口が増えているのに土地価格が大幅下落
例えば、姶良市の土地価格の動きを見ると、この7年間で12.8%の下落と、ほぼ鹿児島県の平均と同じような動きをしています。
ところが、姶良市では、この7年間で人口が1,800人ほど増えていました。
(参考:総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」)
さらに、人口が増えている地区を調べてみると、駅の中心部に近いエリアで、増加しています。
姶良市の地区別の人口変化(2010.10〜2019.10)
増減:赤色(1,000人以上増加)>オレンジ色(500〜999人増加)>緑色(100〜499人増加)>青色の↙️(100〜499人減少)>紫色の↙️(500人以上の減少)
このように、中心部で人口が増えていれば、住宅地の需要も増えて土地価格が上昇していきそうな気がしますよね。
しかし、実際にはこれほど下落しているわけです。もちろん、理由は農地の宅地化によって、大規模な住宅地ができているためです。
これは姶良市に限らず、鹿児島市、霧島市、鹿屋市、薩摩川内市などにも当てはまります。
上昇している地域の特徴とは?
このように鹿児島県内では、ほとんどのエリアで下落が進んでいるわけですが、上がっているエリアがないわけではありません。
例えば、鹿児島市の中心部である鹿児島中央駅の周辺では、この7年間で10%以上の上昇をしている地域もあります。
鹿児島市の地価マップ:7年間の上昇率
*上昇率:赤色(30%以上)>オレンジ(10〜29.9%)>緑色(0〜9.9%)>青色(-9.9〜0%)>紫色(-10%以下)
その理由は、再開発事業です。
鹿児島市では現在4つの再開発事業が進んでいることもあって、かなり駅周辺の住環境が変わってきているのです。
具体的には、
所在地 | 完成予定 | |
超高層複合ビル(24階建) | 中央町19・20番(鹿児島中央駅前) | 2020年10月 |
複合商業施設(15階建) | 千日町1・4番街区(天文館周辺) | 2021年3月 |
鹿児島銀行新本店ビル(低層階に商業施設) | 鹿児島市金生町 | 2019年12月 |
キ・ラ・メ・キ・テラス(複合施設) | 鹿児島市交通局跡地 | 2022年春 |
などが予定されています。
また、鹿児島中央駅の周辺部は、官公庁や大企業のオフィスもあり、仕事場に近いところに住みたいという人は、その周辺に家を買うか、借りるかしなければいけません。
つまり、農地の宅地化による影響を受けにくいため、土地価格が上昇しているわけですね。
3、これからどうなるのか?
ここからは、鹿児島県の土地価格に影響を与えそうなポイントをいくつかご紹介します。
(1)そろそろ金利が上がりそう
日本では、低金利が長く続いているため、金利の上昇リスクを心配しない人が増えており、7割以上の人が、半年ごとに金利が変わる変動金利を選んでいます。
ですが、本当にこれからも金利は上がらないのでしょうか?
実は、10年〜30年までの長期金利については、すでに上昇し始めています。特にロシアのウクライナ侵攻が始まった2022年ごろから、本格的に上がって来ています。
(参考:財務省)
これによって、変動金利は低いままですが、ふらっと35などの固定金利は上昇を始めています。
なぜ上昇しているのかと言うと、世界的に物価が上昇しているからです。
例えば、アメリカでは、物価が一時、前年比で9%以上も上がったため、政策金利を0.25%→5.25%まで、1年間で5%も引き上げました。
ドイツでも、前年比で11%以上も上がっていたため、こちらも政策金利を0%→3.5%にまで、約1年間で3.5%も引き上げています。
その結果、欧米各国でも、住宅価格が下落をはじめています。
アメリカの先月の中古住宅価格は前の年の同じ月と比べた下落幅(-1.7%)がおよそ11年ぶりの大きさとなり、住宅価格の下落傾向が鮮明になっています。
急速な利上げに伴う住宅ローン金利の高止まりで需要が落ち込んでいることが背景にあります。
欧州連合(EU)域内で、住宅価格が2015年以来初めて四半期ベースで下落に転じた。借り入れコストの上昇(=金利の上昇)が10年近くに及ぶ住宅用不動産ブームに終わりをもたらしている。
EU統計局は4日、22年10〜12月期に住宅価格が前の期と比べ1.5%下落したと発表した。域内27カ国のうち15カ国で下がった。下落幅が最も大きかったのはデンマークとドイツで、それぞれ6.5%、5%低下した。
金利を引き上げたことで、住宅価格が下落しているのです。
ちなみに日本の物価上昇率は、前年比で3.0%の上昇です。
(参考:NHK「2022年度 消費者物価指数 前年度比3.0%上昇 41年ぶり水準」)
そして、日本でも、7月28日に、植田日銀総裁が、政策修正を発表し、事実上の利上げを行いました。
これまでは、10年国債の金利が0.5%以上に上がらないようにコントロールしてきましたが、それを1.0%まで引き上げたのです。
(参考:野村総合研究所 2023.7.28「日銀が長期金利の上昇を容認するYCCの運用柔軟化策を決定(日銀金融政策決定会合)」)
これによって、期間10年以上の固定金利については、今後、徐々に上がっていくことが予想されます。ふらっと35などの、長期固定の住宅ローン金利は上がるでしょう。
変動金利が上がる可能性は?
今回の事実上の利上げは、期間10年以上の長期金利への影響が大きいですが、変動金利への影響は、今のところ、ありません。
ですが、物価上昇が続くようであれば、いずれ短期金利も引き上げざるを得なくなるでしょう。
というのも、そもそも、金利を引き上げている理由は、お金を借りにくくすることで、モノの消費や生産をおさえ、物価上昇を止めるためだからです。
長期金利を引き上げても、物価上昇が止まらないのであれば、短期金利の引き上げも、いずれ視野に入ってくるはずです。
なお、日銀が見込んでいる、今後の物価上昇率は、2024年が年率1.9%で、2025年が年率1.6%です。
(参考:野村総合研究所 2023.7.28「日銀が長期金利の上昇を容認するYCCの運用柔軟化策を決定(日銀金融政策決定会合)」)
もし、今回の利上げでも、現在の年率3%の物価上昇率がおさまらなければ、さらに政策を修正する可能性は高く、その際には、変動金利型の住宅ローンにも、影響が出てくるかもしれません。
1%金利が上がると、不動産価格は15〜20%下がる可能性
ちなみに、金利が1%上がると、住宅ローンの利息は、35年で15〜20%増えます。
例えば、月に約10万円の返済を考えている人であれば、現在なら3,500万円の物件が買えますが、金利が1%上がると、毎月10万円の支払いで、3,000万円の物件しか買えません。
なお、すでに変動金利で組んでいる人については、5年ルールという、当初5年間は、返済額が固定(ただし、増えた利息はあとで支払う)というルールがあるため、すぐに払えなくなって投げ売りが始まるわけではありません。
しかし、新しくローンを組む人は、変動金利でも高い金利になるため、今まで通りの高い価格でローンを組むことが難しくなりますから、価格は下がりやすくなるでしょう。
(2)これから鹿児島県の人口はどうなるの?
国立社会保障・人口問題研究所が、今年発表した鹿児島県の人口の見通しによると、2030年までに14.7万人減少するそうです。
鹿児島県の人口は、2030年までに14.7万人減る
(出典:国立社会保障・人口問題研究所 平成30年度人口推計)
また、家を買う中心年代である20〜40代も、2030年までに4.2万人減る見通しです。
鹿児島県の20〜40代人口は、2030年までに4.2万人減少
(出典:国立社会保障・人口問題研究所 平成30年度人口推計)
家の買い手が今よりも2割近く減るので、これまで通りの上昇は見込めなくなるかもしれません。
結論:売るなら?買うなら?
というわけで、鹿児島県の今後の土地価格についての結論は、以下の通りです。
- 鹿児島県内では農地の宅地化が進んでいるため、人口が増えているエリアでも、土地価格が下落している
- ただし、農地がない鹿児島市の中心部だけは、再開発が進んでいることもあって、人口増加→土地価格の上昇が起こっている
- 今後は若い世代の人口減少が進むため、鹿児島市の中心部を除いて、土地価格の下落が加速していきそう
と言えそうです。
買うなら:商業地の周辺は様子見、それ以外は買い
新型コロナの影響が大きい商業地の周辺では、今後も影響が出ますので、坪単価が高いと感じられる場合には、まだ様子見の方がいいでしょう。
しかし、それ以外のエリアでは今が買い時の可能性が高いと思われます。
その理由は2つあります。
①土地価格の下落分よりも、待っている間の家賃の方が高くつく
例えば、坪30万円ぐらいの土地であれば、40坪でも1,200万円程度で買えます。
仮に数年で1割下げたとして120万円ぐらいしか安くなりませんから、その間の家賃を考えると、早めに買った方がトクになりますよね。
②異次元緩和で低金利の今がチャンス
また、現在は住宅ローンがかなり安いため、月々の返済負担が軽いのもチャンスです。
ですから、もし家を買おうと思っているのならば、土地価格が下がるのを待つよりも、金利が上がる前の今のうちに買うのがベストでしょう。
ただし、購入を検討する場合には、今後の金利上昇を想定しておかないと大変なことになるので、「フラット35」か「10年以上の固定金利」でも返済ができるかどうかで予算を考えるべきでしょう。
未公開物件=安い物件の可能性大
不動産を売る理由はさまざまですが、「周りに知られずに売却したい」という売主は一定の割合でいます。
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当然、このような物件は少ないお客さんにしか目にとまる機会がないため、相場よりも価格の安い可能性が高いです。
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売るなら:低金利のうちに売却を検討すべき
特に住宅地において、これから影響が出てくるのが金利の上昇です。金利が1%上がると、組める住宅ローンが15〜20%程度減るためです。
今は上昇率が小幅なため、まだ影響は小さいですが、これから物価上昇がさらにひどくなれば、アメリカやヨーロッパのように金利を引き上げて物価上昇を抑える政策を取る可能性があるため、早めの準備がおすすめです。
不動産会社選びを間違えると損する?
不動産会社によって、得意とするエリアや物件種類(戸建て・マンション)が違うので、実際の取引では、公示地価より高く、または安く取引されることがあります。
例えば、鹿児島市に「荒田(あらた)」という、鹿児島中央駅の東側に広がる住宅地があります。
こちらの公示地価と実際の取引を比べてみると、
- 公示地価:56万円/坪
- 実際の取引価格:35〜91万円/坪
と、公示地価の約0.6〜1.6倍で取引されていました。
最高価格は、最低価格の約2.6倍です。
【鹿児島市荒田の土地取引(過去2年間)】
- 鹿児島中央駅から徒歩15〜26分のエリアで、35〜91万円/坪で取引されている
- 基準地価も実際の取引も「第1種住居地域」という用途区分
なぜ、これほど売却価格が変わるのでしょうか?
その理由は、不動産会社によって、持っている取引情報に差があるからです。
不動産取引は、株式市場のように、全ての取引情報を管理しているところがないため、
- 自社でどれだけ取引情報を持っているか
- どれだけ買い手のリストを持っているか?
で、評価額も、売れる金額も変わってくるのです。
持っている取引情報が違うため、評価額・売却額が変わる
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(2022年実績:売り物件報告件数17.5万件 ÷ 土地取引件数152.5万件 = 11.4%)
また、不動産会社が持っている取引情報や、買い手のリストは、エリアや物件によって違いますから、いくつかの不動産会社に査定を申し込むことで、
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