この記事では、「大阪府の土地価格の、①この5年間の動きと、②今後の見通し」について、解説します。
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1、大阪府の土地価格の推移
まずは、大阪府の土地価格の推移について、見ていきましょう。
国土交通省が毎年発表している地価公示をもとに、アベノミクスが始まった2013年以降の住宅地、商業地の土地価格の変化について見ていきましょう。
それがこちらです。

商業地がどんどん上がっている一方で、住宅地はほとんど動きがありませんね。
ですが、住宅地は2023年から24年ごろから、上昇し始めているような感じがあります。
市町村別の変化
次に、市区町村別で、もう少し詳しく見てみましょう。
まずは、住宅地について見ていきます。

昨年から今年にかけての変化率を色分けしてみました。
オレンジ色が2%以上の上昇エリアで、以下、黄色、薄い黄色と続きます。緑や青は下落エリアです。
大阪市を中心に北は北摂地域、南は堺市周辺ぐらいまで、大きく上昇していました。
ですが、南部や奈良県寄りのエリアでは、下落しているところが多い印象です。
次に、5年前の、2019年から20年にかけての変化率も見てみましょう。

オレンジ色は、大阪市の中心部と、堺市の中心部だけと、かなり限定されていますし、緑や青の下落エリアも、かなり広範囲に広がっていました。
このように、住宅地においては、この5年間で上昇エリアがかなり拡大しているということがわかりますね。
では、商業地はどうでしょうか?

左側の地図が、昨年から今年にかけてのものですが、オレンジ色のエリアは、かなり広範囲に広がっていることがわかりますね。

一方で、右側の図が5年前のものです。こちらは、黄色が2%以上の上昇を示しており、オレンジが4%以上と、ややこしいのですが、この黄色とオレンジの分布を見ると、やはり、5年前よりも今年の方が、上昇エリアの範囲が広がっているようです。
ですが、新しく建てられた住宅の戸数も、土地の取引を伴う不動産登記件数も、この5年間で見ると、横ばいかむしろ減少傾向にあります。

買い手が増えているから、土地価格が上がっているというわけではないのです。
では、なぜこれほど、土地価格が上昇し、しかも、その範囲が広がっているのでしょうか?
土地価格の上昇の理由はインフレ
その理由は、インフレです。
特に、2022年からのロシアのウクライナ侵攻あたりから、木材や鉄鉱石、原油などの資源価格が上がってきたことで、建築費がこの3年ぐらいで3割上がっているのです。

これによって、戸建て、マンションともに、新築価格が大きく上がっており、中古の戸建て・マンションの価格も連れ高しています。
2020年から25年までの5年間で、中古マンションが約31%、中古の戸建ても約28%上がっています。

最初にご紹介した、大阪府の土地価格においても、住宅地は2023年あたりから、上昇率が大きくなっていますので、建築費の高騰が、中古住宅の値上がりにつながり、土地価格も連れ高しているというわけです。
特に戸建ては、駅周辺などの一部のエリアではなく、かなり広範囲にありますから、それらの戸建ての評価額が上がったことで、広範囲の市町村で、土地価格の上昇が見られる、というわけです。
2、各都市ごとの土地の変化
ここからは、各都市の土地価格の変化率を地図上に落としてみましたので、どのあたりが上がっているのかを見ていきましょう。
(1)大阪市
こちらは大阪市全域です。
濃い赤色のマークが、2020年から25年の5年間で50%以上の上昇をしているエリアで、以下、ピンク、オレンジ、黄緑と続きます。

マイナスの地区は、青の矢印のマークのものになります。
梅田からなんばにかけての、中心部での上昇率の高さが目立ちますね。
ですが、なんば駅周辺では、下落しているところもあり、これは主に商業地の下落です。
オリンピック前に、大阪市は外国人観光客に人気のエリアとなり、バンバンホテルが建って、中心部の商業地の上昇が凄まじかったですが、その時の勢いまでは、まだ戻っていないということなのでしょう。
また、主に南側の区では、緑色や青色の地区が目立ちますね。駅から遠いエリアの住宅需要はあまり強くないので、価格も上がりにくいのでしょう。
(2)堺市と東大阪市
次は、大阪の隣の堺市と東大阪市を見てみましょう。

堺市は、中百舌鳥駅の周辺や、堺駅の周辺など、主要駅の周辺では、大きく上昇しているところもありますが、下落地区もちらほらみられますね。特に、南側のエリアほど、下落地区が増えているような印象です。
東大阪市は、北側半分のエリアで、満遍なくオレンジ色の地区が見られますが、駅周辺だから高いといった傾向は見られませんね。
また、東側の山沿いの地区では、大きく下落しています。
この辺りは、道幅が狭かったり、駅からも遠かったりと、通勤に不便なことから、敬遠されているのかもしれません。
(3)北摂地域
次は、大阪市の北側の北摂地域です。
豊中市は、緑地公園駅や豊中駅など、こちらも駅周辺ほど、オレンジ色の、上昇率が高い地点が集中している印象です。

駅から少し離れると、10%未満の上昇エリアである、緑色の地点が増えていく傾向は、大阪市や堺市などと変わりませんね。
吹田市も、江坂駅や吹田駅、千里山駅、南千里駅などの駅周辺ほど、上昇率が高い傾向にあります。
茨木市もそうですね。茨木駅や茨木市駅のあたりでは、30%以上の上昇している地区もあります。再開発の話も出ているようなので、その影響かもしれません。
また、北側のエリアでは、下落しているところもちらほら見られました。
(4)北東部
次は、寝屋川市などの北東部です。
寝屋川市も、寝屋川駅、香里園駅、萱島駅などの駅周辺に、オレンジ色の地区が集中しており、それ以外は緑色のエリアが広がっています。

高槻市もそうですね。高槻市駅の周辺で、オレンジ色が広がっていますが、鉄道沿線から離れるほどに、下落する地区が増えています。
枚方市も同様です。枚方市駅の周辺で大きく上昇し、駅から離れた、特に東側の地区では、下落しているところも多く見られます。
なお、市の中心部のあたりで、濃い赤色の地区がいくつかありますが、こちらは工業地です。工業地は、全国的にネット通販の普及によって、物流施設が増えており、利便性の良い工業地では、価格が上昇傾向にあるようです。
これら3市に共通するのは、駅周辺が上昇しているのもそうですが、駅から離れたところでは、けっこう下がっている住宅地がチラホラ見られる点です。
大阪市から遠いため、車通勤の需要も少なく、郊外の戸建てエリアは、下落しやすい環境にあるようですね。
(5)南部エリア
そして、最後は南部エリアを見ていきましょう。
和泉市で目立って上昇しているのは、和泉中央駅の周辺ですね。駅周辺ほど、上がりやすい傾向は他地域と変わりませんが、駅から離れると下落している地域も結構見られます。

岸和田市は、東岸和田駅の周辺で10%以上の上昇エリアがあります。
JR線と南海線に挟まれたエリアでは、上昇していますが、沿岸部と、内陸部では、下落しているような印象です。
貝塚市は、貝塚駅の周辺で上昇してはいますが、それ以外のエリアは、ほぼ横ばいか、下落しているところが多いですね。
内陸部へ向かって走る水間線の沿線では、下落しているところが多い印象です。
と言うわけで、ざっと見てみた印象では、大阪市とその近郊での土地需要は強いため、これらの地域では結構上がっています。
ですが、それ以外のエリアでは、駅周辺は安定しているものの、駅から離れると、結構下がっているところが多いような感じですね。
3、これからどうなるのか?
ここまで大阪府内の土地価格の動きについて見てきましたが、今後はどうなっていくのでしょうか?
基本的には、ここまで各都市について、ご紹介してきたように、大阪市とその近郊では、さらに上昇または安定するでしょうが、そうでない地域は下落しやすいという、二極化が進むと思われます。
その理由は3つあります。
(1)大阪市への人口集中
1つ目は、大阪市への人口集中です。
圏外から引っ越してきた人と、出ていった人を差し引いた、転入超過数というデータがあります。

大阪府全体で見ると、関西の中心部ということもあって、若い人の人口流入が継続的にありますが、最近は外国人がさらに増えているようです。
青色の部分が、15から29歳の若い世代で、灰色が外国人となっています。青色、灰色、いずれも大きくプラスになっていますね。
また、大阪市だけでみてみると、この傾向は変わりません。ただ、外国人と若い人の割合は、半々ぐらいにまで縮まっているような感じですね。

一方で、お隣の堺市と東大阪市では、増えているのは外国人だけで、日本のほとんどの世代において、マイナスとなっています。
ただ、東大阪市だけは、ここ1、2年で、子育て世帯が出ていく数が減っており、若い世代もむしろ増加傾向にあります。大阪市内の不動産価格が上がりすぎて、こちらに流れてきているのかもしれません。

また、北摂地域を見ると、若い世代だけでなく、子育て世帯の増加も目立ちますね。この地域は、マンション建設も盛んですので、持ち家を求めて移住する人が多いのでしょう。

そして、こちらは北東エリアですが、大阪市よりもさらに距離が遠いので、若い世代の人口流出が続いていますが、子育て世帯は増えているような感じです。

最後に、南部エリアですが、全体的に市外へ人が流れていっている感じですね。和泉市は、和泉中央駅の周辺で開発が進んでいるので、子育て世帯を惹きつけているのかもしれません。
というわけで、各都市ごとの人口の入りと出を見てきましたが、大阪市とその周辺では人口流入が続いているものの、そこから離れるほどに、大阪市やその周辺に引っ越す人が増えてしまい、住宅の需要が減ってしまっていることがわかります。
これらのエリアでは、駅から離れた住宅地で、すでに下落が始まっていましたが、それは買い手となる若い人たちが、そもそもいないということで、価格が下がりやすくなっているのでしょう。
ただ、全国的に、大学や専門学校への進学率は、年々上がっていますので、多くの学校が集まっている大阪市には、西日本からの若い人たちが引っ越してきます。この傾向は今後も変わらないでしょう。
そのため、大阪市周辺の住宅需要は、今後も強いと考えられます。
(2)未婚化、少子化が進むので、住宅需要はさらに減る
2つ目は、未婚化、少子化がさらに進むので、家の需要はさらに減っていくということです。
2018年から23年までの5年間で、大阪府では出生数が16%減ってます。私の地元の岩手は、5年で29%も減ってしまってて、かなり悲惨なのですが、それと比べると、まだマシなものの、それでも出生数の減少は止まりません。
結婚する人も、子供を産む人も減っているわけですから、持ち家の需要はさらに減っていきます。
昨年、政府が5年に1度の人口推計を出しましたが、この推計のメインシナリオでは、合計特殊出生率が1.3倍がずっと続くことを想定したものでした。
ですが、実際にはすでに1.15倍となっており、すでに現実と予想が乖離しています。

こちらのグラフは、今のペースで、年率5%程度の出生数の減少が続いた場合の、0~14歳の人口の予想です。
青が政府予想で、赤が私が作成したものですが、このままいくと、これから10年で2割以上減ると考えられます。
人が家を買う理由は、結婚や出産で、今の住居が狭くなってきたからということが大きいでしょう。
ですが、そのような人がさらに減っていくわけですから、住宅に対する需要はさらに減っていくと考えられます。
(3)死亡者数、相続件数の増加で、売り物が増える
3つ目が、死亡者数、相続件数の増加です。
今年は2025年問題ということで、団塊世代が75歳以上の後期高齢者に突入したことで、医療費や介護などの社会保障費用の増加がさらに進むと騒がれています。

それとともに、日本国内では、死亡者数も増えています。高齢化が進んでいるわけですから、亡くなる人が増えるのは自然なことと言えます。
ですが、死亡者が増えるということは、もし相続人が一緒に住んでいなければ、その家は空き家になってしまいます。
ここ数年の不動産価格のさらなる上昇によって、不動産の相続税評価はさらに上がっています。
そのため、相続税を支払う人の割合は、約1割にまで増えています。
おそらく、この傾向はさらに進むので、相続税を支払わなければいけない人は、これからさらに増えるでしょう。
買い手がつくような人気エリアであれば、問題ありませんが、そうでないエリアであれば、売るに売れなくなってくる困った人は、今後増えていくと予想されます。
結論
というわけで、結論です。

大阪府の土地価格についてまとめるとこうなります。
・若い人や外国人が大阪市に移住する流れは変わらず、家賃は上がりやすく、銀行も金を貸すので、人気エリアほど、価格が上がりやすい状況は続く
・その一方で、未婚化、少子化がさらに進むため、買い手はさらに減っていく
・さらに、死亡者もさらに増えるため、売り物件は増えていく
つまり、売り手は増えるけど、買い手は減っていくので、買い手がつきにくいエリアはさらに増えるというわけです。
なので、人気エリアではない、駅から遠い戸建てほど、今後はさらに厳しくなっていくでしょう。
買うなら?売るなら?
最後に、このような予想を踏まえると、住宅購入または売却を考えている人は、どうしたらいいのか?について、考えてみます。
買うなら?
まずは、買いたい人についてですが、人気エリアのマンションや戸建ては、比較的、需要も高いため、価格の大きな値崩れは、当分期待はできないと思います。
大阪市の中心部や、大阪市近郊の町の駅周辺などは、なかなか下がらないでしょう。

しかし、それ以外の戸建てについては、買い手は減ってきていますし、今後はさらに減っていくでしょうから、人気エリアを選ばなければ、安く買える可能性はあるでしょう。
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売るなら
次に売りたい人についてですが、大阪市周辺では、住宅の需要は強いので、高く売れる可能性は高いでしょう。
ですが、基本的に、今後増えるのは、地方からの若い世代と外国人ですので、主に賃貸需要です。
婚姻数の減少や出生数の低下はさらに進みそうですので、持ち家の需要は下がりますから、賃貸物件を建てやすい場所であれば、まだまだ上がるかもしれませんが、そうでなければ、買い手を探すのに苦労する可能性は上がっていきそうですね。
また、大阪市周辺ではない場合は、今後さらに買い手の減少と、売り手の増加によって、売れない戸建ては増えていくと考えられます。
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周りで売り土地がそのまま放置されているとか、新しい家が立たないとか、人口が減少しているなどのエリアでは、公示地価を参考にしても、なかなか売れないといったこともあるので、注意が必要です。

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