この記事では、「トランプが日本に相互関税として24%かけることを決定。ドル円は、120円シナリオが加速しそう」ということで、やっていきたいと思います。
1、はじめに
このWEBサイト(YouTubeチャンネル)では、月に1度のペースで、1ドル120円シナリオについて検証しています。今回は、6回目になります。
昨年11月から始めて、ほとんど為替が動いていないので、無責任に「いつか円高なりますよ~」みたいな感じで話してきましたが、いよいよ始まりそうな雰囲気になってきました。
というのも、本日4月3日、日本時間の朝5時に、トランプ大統領が、各国に対して、相互関税をかけることを発表したからです。
YouTubeでも、こちらのニコ生で同時通訳で中継されていたので、ご覧になった方もいるかもしれませんが、日本に対して、アメリカは24%の関税をかけると決定しました。
わたしは、先月出したこちらの動画で、日本に対して25~35%の関税をかけるのではないか?と解説していましたので、ほぼ下限で当たった感じです。
この発表を受けて、この動画を作っている9時現在、日経平均は1500円安の34200円台にまで落ちてきており、ドル円も147円台に入ってきていますね。
今回のきじでは、この24%の関税が、どのような根拠で作られたものなのか?
そして、トランプ政権の狙いと、日本がおそらく取るであろう施策について、予想していきたいと思います。
なお、結論としては、円買い介入を行うことで、最低でも1ドル120円ぐらいにまで持っていくだろう、という、これまで通りのシナリオに変わりはありません。また、日本株も3万円台は割ってきそうな感じがします。
ただ、この記事を参考にして投資をして損をしても、責任は負えませんので、あくまでエンタメとしてご覧いただくのが、精神衛生上よろしいかと思います。
それでは、早速参りましょう。
2、今回の相互関税の内容について
まず最初に、今回の相互関税について、見ていきましょう。
トランプ氏は、今回の相互関税の決定に際して、大きく4つの項目を計算対象としています。それは、
①各国の関税率
②日本の消費税にあたる、付加価値税を通じた、企業への補助金
③通貨安政策
④その他の、各種規制を通じた、非関税障壁
の4点です。
これら4項目について、関税として計算すると、何%分になるのかを弾き出し、アメリカに対する、実際の関税率を算出し、それに対抗する形で、今回の相互関税率を発表したと思っていました。
こちらの表は、今日発表された、各国に対する相互関税率と、計算根拠となっている付加価値税や為替レートの変化率、貿易収支、対米輸出額が輸入額の何倍なのか?を整理したものです。
(参考:wikipedia(相互関税率)、GVC(各国の消費税)、米国経済分析局(対米貿易収支))
左側の2つの数値が、今回トランプ氏が発表したものであり、それより右側のデータは、こちらで調べて追加しました。
表面上の関税率は、日本ですと2%前後で、インドでも5%、EUも2%前後と、見た目の関税率は、各国ともに数%程度のレベルのため、今回は省きました。
日本は、今回24%の相互関税をかけられたわけですが、トランプ政権から見ると、日本はアメリカに対して、46%の関税をかけているそうです。なので、それに対抗して、でも半分ぐらいにまけて、24%にしたとしています。
私は、以前の動画で、ドル円のレートが第1期トランプ政権の頃から3割近く円安になっているので、これが関税としてカウントされるだろう、そして、消費税も加えれば35%ぐらいになると予想しました。
ですが、トランプ政権から見ると46%ということなので、さらに日本の関税効果が大きいと見込んでいるようです。
トランプ氏は、今回の発表の中で、日本では日本車の販売の比率が94%と高く、アメリカ車が入る余地がほとんどないと嘆いていました。
これには、アメ車がデカすぎて、日本の道路事情では走れないからだろと、ニコニコ動画でツッコミを入れているコメントが散見されました。私もこれは完全な言いがかりだとは思うものの、このような事実も含めて、規制が厳しいからだという非関税障壁として、別途、カウントされているのでしょう。
今回の関税の決め手は、輸出に対する輸入の割合
しかし、全体としても見ると、一番重要なのは、輸出に対する輸入の割合だと感じます。
この表では、一番右端のものになるのですが、要するに、アメリカに輸出はたくさんするけれども、アメリカからモノを買ってない国に対する関税率が高いのです。
この値が250%以上、つまり輸入よりも輸出が2.5倍以上の国では、軒並み相互関税率が30%を超えています。
これらの国の他の要素、例えば、付加価値税や、対ドルの為替レートの下落率などを見ても、それほど共通するものがありません。
例えば、台湾なんかは、今回相互関税で、32%と、日本よりも高い関税率をかけられていますが、付加価値税は5%でしかありませんし、対ドルの下落率で見ても、日本が4割以上下落しているのに対して、2割も下がっていません。
なのに、日本よりも関税率が高いのは、輸入よりも輸出の方が、2.7倍以上となっているからです。ちなみに、日本は1.9倍弱となっています。
また、EUなどを見てみると、私はEU各国の付加価値税が20%前後と、日本が10%なのに対して、2倍以上も高いため、EUの方が関税率が高いと予想していました。
ところが、フタを開けてみると、関税率は20%と、日本の24%よりも低くなっています。ドルに対する下落率が小さいからという解釈も成り立ちますが、やはり輸出額が、輸入額の1.6倍前後と、アメリカの商品をそれなりに買っていることが原因ではないかと思います。
それ以外ですと、イギリスの関税率が10%なのも、これで説明がつきます。付加価値税が20%と日本の倍もあるのに、関税率が最低なのは、対米貿易で赤字だからです。アメリカの方が儲かっているため、関税率が小さくて済んでいるんですね。
このように見ていくと、今回の関税率の違いは、アメリカから輸入しないくせに、輸出して儲けようとする国に対して、より厳しくなっていると思います。
なので、総じて、東アジア、東南アジアには厳しい内容になっていますね。わざわざアメリカから輸入しなくても、各国に工場がたくさんあるので、そこから輸入すればいいわけですからね。
3、トランプ相互関税の目的とは?
ということで、今回の相互関税について、詳しく見てきましたが、結局、トランプ政権は、何を望んでいるのでしょうか?
これは、このチャンネルで何度も言ってきたことなのですが、簡単にいうと、アメリカ国内に製造業を戻すことで、実体経済を復活させることです。
アメリカ国内でものを作れるようになることで、雇用を増やし、商品の品質を高め、海外に輸出できるようにしようとしているのです。
だからこそ、貿易収支で、アメリカからものは買わないくせに、輸出だけしてくる国に対して、高い関税をかけて、シャットアウトしようとしているのです。
2月の日米首脳会談でも、貿易赤字の解消という言葉が使われていました。
これも、輸出だけ多くて、輸入は少ない日本に対して、武器や液化天然ガスを買ってもらうことで、貿易赤字をチャラにする、という話でした。
このように、今回のトランプ政権は、まったくブレていません。
日本に対する関税引き上げは、免除されるのではないか?みたいなニュースが、オールドメディアからは、たくさん出ていましたが、そんな可能性は1ミリたりともなかったのです。
今回、トランプ政権は、相互関税政策を発表したことで、各国からたくさん交渉が来るだろうと話していますが、目的がアメリカへの産業回帰であれば、その多くが、ハネられることになるでしょう。
4、これからどうなるのか?
今回の動画は、主に為替と株価がテーマなので、日本はこうすべきだ、みたいな話はせず、純粋に今後の予想について、考えてみたいと思います。
(1)消費税廃止への根拠にはなれなかった、、残念
まず最初に、消費税が下がるのか?ということについてですが、残念ながら、財務省が今回の相互関税を受けて、消費税を下げることはないでしょう。減税を公約に掲げている野党が、国会でこの件を追及しても、難しいと思います。
というのも、最初に見てもらった表の通り、消費税を含めた付加価値税の影響よりも、アメリカにたくさん輸出しているくせに、輸入はしない国に対する攻撃の方が強いからです。
相互関税を引き下げるには、貿易赤字の解消につながる政策でなければ難しい
なので、日本が仮に関税の引き下げを交渉するのであれば、貿易赤字を解消する方法を提案しないことには、話が進まないでしょう。
選択肢は、大きく3つあると思います。
1つ目は、アメリカからもっとものを買うこと、
2つ目は、円買い介入による現在の円安を解消すること、
そして、3つ目が、アメリカへの輸出を減らすこと、です。
しかし、1つ目のアメリカからもっとものを買うことは、現段階では、ちょっと難しいと思います。
というのも、日本がアメリカから武器やLNGガスを買おうにも、他の国も同じ方法を取ろうとするため、アメリカも十分に他国へ売れるものがないからです。
なので、2つ目と3つ目を組み合わせた方法になってくるでしょう。
すでに、3つ目のアメリカへの輸出を減らすことについては、自動車メーカーを中心に、アメリカに新しく工場を作ることで、現地生産を進めようとしていますので、これで対応していくでしょう。
有力候補は、円買い介入による、貿易赤字の解消
しかし、すべてのメーカーが現地生産で対応できるわけではありませんので、円買い介入で円高へ誘導することで、関税障壁を減らそうとするのではないかと思われます。
今回の発表の中で、トランプ氏は、安倍首相とのエピソードを紹介しています。ここからが抜粋です。
「日米間の貿易が不均衡だ、何とかしなければならないと伝えた。彼は分かっていると答え、われわれは取引をまとめた。もっと良い取引になっていただろう」
トランプ政権第1期のドル円相場は、105円から115円ぐらいが中心的な相場でした。
この時期に、貿易赤字の解消について話し合っていたというエピソードを披露しているわけですから、日本に対して当時と同じぐらいのドル円レートを暗に求めているようにも見えます。
実際、現在のドル円は、当時に比べて4割前後も安いわけですからね。日銀や財務省としても、現在のドル円レートは、円安すぎると認識しているはずです。
昨年3月に行われた、日銀、財務省、金融庁との三者会合で、当時の151円前後のドル円を円安すぎると問題視していました。
そして、4月、5月、7月と3度の円買い加入を行い、ドル円は一時140円前後まで円高に触れました。しかし、その当時は、一緒に株価も大きく下がってしまい、一時は日経平均が31,000円台にまで下落し、世界的にちょっとした金融パニックとなりました。
この時の反応を受けて、日本発の金融恐慌は起こせないということで、その後の円買い加入が控えられたのではないかと思っています。
しかし、今回トランプ氏が相互関税を発動したことによって、ある意味、金融パニックをアメリカのせいにすることができるようになりました。
就任から2ヶ月にも満たないトランプ氏としても、現在のアメリカの経済の悪化は、バイデン政権による悪政のせいだと言えます。
また、政府職員のリストラと、アメリカの産業復活のための相互関税は不可避だと考えていますし、実際に実行に移しているわけですから、多少株価が下がったところで、バイデンのせいにしてやり過ごすでしょう。
なので、財務省としても、今回のトランプ関税の発動は、円買い介入の絶好のチャンスだと思っているのではないでしょうか?
もし、仮にそうだとすると、これから円買い介入によって、本格的に円高が進むのではないかと予想しています。
また、日経平均株価も、それに合わせて下落するでしょう。3万円割れは避けられず、25,000円ぐらいまで行っても、おかしくなさそうな気がします。
なお、これまで6回のドル円予想の記事・動画を出してきましたが、こういうタイミング系の話は、すべて外してきました。
元株屋なので、こういうでかいイベントがあると、それを境に、相場が大きく上がる、下がると、反射的に思ってしまう癖が抜けないようです。
なので、タイミングの話は、まあ、話半分で捉えてもらった方がいいと思います。この予想結果は、また1ヶ月後に改めて、動画で答え合わせをしたいと思います。
コメント