この記事では岡山県の
- 公示地価、基準地価
- 土地価格がこれまで上昇・下落した理由
- 今後どうなるのか?
の3点について解説しています。
(なお、本ページはプロモーションが含まれています。該当するサービスには、【PR】と表記しております)(※1)
1、岡山県の土地価格の動き
岡山市の土地価格は、この1年間で、住宅地で-0.3%、商業地で+1.6%と、商業地でのみ上昇しました。
また、2018→2023年の5年間で見ると、住宅地で-2.0%、商業地で+3.3%と、商業地は上昇しているものの、住宅地では下落が続いていました。
では、具体的にどのあたりが上がっているのか?
まずは市区町村別に、上昇しているエリア(住宅地)を確認してみましょう。
*白色のエリアは、データなし
赤色が濃いほど、上昇率が高くなります。岡山市北区、中区、南区、総社市、早島町で上昇していました。
岡山市の中心部と、その周辺だけが上昇し、それ以外では下落が進んでいるようです。
なぜ、岡山市周辺だけが、上昇しているのか?
その理由は大きく2つあります。
①建築費が上昇
1つ目の理由は、建築費の上昇です。
新型コロナ以降に、建築費が2〜3割上昇しているため、新築マンション・戸建てともに、価格が跳ね上がっているのです。
マンションの建築費
木造戸建ての建築費
そのため、新築が高くて手が出せない人が、中古マンション・戸建ての購入に流れた結果、岡山県内の中古マンションの価格も上昇しています。
2018〜23年で見ると、中古戸建ては-0.7%と少し下がっているものの、中古マンションでは+13.3%と、かなり大きく上昇していました。
中古マンションの多くは、岡山市や倉敷市などの大都市の駅周辺に集中しているため、中心部ほど土地価格が上昇したわけです。
②岡山市周辺への一極集中で、他のエリアでは買い手が減っている
しかし、価格を引き上げたとしても、実際に買い手がつかなければ、上昇したとは言えません。
そこでポイントとなるのが、他市町村からのの引越しの状況です。
各市町村の転入超過数(引っ越して来た人 ー 出て行った人)を見てみると、岡山市中区と総社市、赤磐市などで増加しているものの、それ以外のエリアでは、減少していました。
(参考:総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」)
岡山駅前にあるイオンモールの人気が強すぎるため、中区に多くのマンションが建設されており、引っ越してくる人が増えているのでしょう。
また、土地価格が高い岡山市や倉敷市から、安く家が持ちたいという子育て世帯が、近隣の総社市や赤磐市に引っ越してきているようです。
全国の地方県で共通してみられるのが、県庁所在地とその周辺への人口集中です。
少子高齢化や、公共事業の減少によって、地元での条件の良い仕事がどんどん減っているため、岡山市のような県庁所在地に仕事を求める人が増えているのです。
そして、その結果、それ以外の地方都市では、人口減少・土地価格の下落が進んでいるわけです。
3、これからどうなるのか?
岡山県の土地価格に影響がありそうなリスクをまとめました。
(1)そろそろ金利が上がりそう
日本では、低金利が長く続いているため、金利の上昇リスクを心配しない人が増えており、7割以上の人が、半年ごとに金利が変わる変動金利を選んでいます。
ですが、本当にこれからも金利は上がらないのでしょうか?
実は、10年〜30年までの長期金利については、すでに上昇し始めています。特にロシアのウクライナ侵攻が始まった2022年ごろから、本格的に上がって来ています。
(参考:財務省)
これによって、変動金利は低いままですが、ふらっと35などの固定金利は上昇を始めています。
なぜ上昇しているのかと言うと、世界的に物価が上昇しているからです。
例えば、アメリカでは、物価が一時、前年比で9%以上も上がったため、政策金利を0.25%→5.25%まで、1年間で5%も引き上げました。
ドイツでも、前年比で11%以上も上がっていたため、こちらも政策金利を0%→3.5%にまで、約1年間で3.5%も引き上げています。
その結果、欧米各国でも、住宅価格が下落をはじめています。
アメリカの先月の中古住宅価格は前の年の同じ月と比べた下落幅(-1.7%)がおよそ11年ぶりの大きさとなり、住宅価格の下落傾向が鮮明になっています。
急速な利上げに伴う住宅ローン金利の高止まりで需要が落ち込んでいることが背景にあります。
欧州連合(EU)域内で、住宅価格が2015年以来初めて四半期ベースで下落に転じた。借り入れコストの上昇(=金利の上昇)が10年近くに及ぶ住宅用不動産ブームに終わりをもたらしている。
EU統計局は4日、22年10〜12月期に住宅価格が前の期と比べ1.5%下落したと発表した。域内27カ国のうち15カ国で下がった。下落幅が最も大きかったのはデンマークとドイツで、それぞれ6.5%、5%低下した。
金利を引き上げたことで、住宅価格が下落しているのです。
ちなみに日本の物価上昇率は、前年比で3.0%の上昇です。
(参考:NHK「2022年度 消費者物価指数 前年度比3.0%上昇 41年ぶり水準」)
そして、日本でも、7月28日に、植田日銀総裁が、政策修正を発表し、事実上の利上げを行いました。
これまでは、10年国債の金利が0.5%以上に上がらないようにコントロールしてきましたが、それを1.0%まで引き上げたのです。
(参考:野村総合研究所 2023.7.28「日銀が長期金利の上昇を容認するYCCの運用柔軟化策を決定(日銀金融政策決定会合)」)
これによって、期間10年以上の固定金利については、今後、徐々に上がっていくことが予想されます。ふらっと35などの、長期固定の住宅ローン金利は上がるでしょう。
変動金利が上がる可能性は?
今回の事実上の利上げは、期間10年以上の長期金利への影響が大きいですが、変動金利への影響は、今のところ、ありません。
ですが、物価上昇が続くようであれば、いずれ短期金利も引き上げざるを得なくなるでしょう。
というのも、そもそも、金利を引き上げている理由は、お金を借りにくくすることで、モノの消費や生産をおさえ、物価上昇を止めるためだからです。
長期金利を引き上げても、物価上昇が止まらないのであれば、短期金利の引き上げも、いずれ視野に入ってくるはずです。
なお、日銀が見込んでいる、今後の物価上昇率は、2024年が年率1.9%で、2025年が年率1.6%です。
(参考:野村総合研究所 2023.7.28「日銀が長期金利の上昇を容認するYCCの運用柔軟化策を決定(日銀金融政策決定会合)」)
もし、今回の利上げでも、現在の年率3%の物価上昇率がおさまらなければ、さらに政策を修正する可能性は高く、その際には、変動金利型の住宅ローンにも、影響が出てくるかもしれません。
1%金利が上がると、不動産価格は15〜20%下がる可能性
ちなみに、金利が1%上がると、住宅ローンの利息は、35年で15〜20%増えます。
例えば、月に約10万円の返済を考えている人であれば、現在なら3,500万円の物件が買えますが、金利が1%上がると、毎月10万円の支払いで、3,000万円の物件しか買えません。
なお、すでに変動金利で組んでいる人については、5年ルールという、当初5年間は、返済額が固定(ただし、増えた利息はあとで支払う)というルールがあるため、すぐに払えなくなって投げ売りが始まるわけではありません。
しかし、新しくローンを組む人は、変動金利でも高い金利になるため、今まで通りの高い価格でローンを組むことが難しくなりますから、価格は下がりやすくなるでしょう。
(2)これから岡山県の人口はどうなるの?
国立社会保障・人口問題研究所が、2018年に発表した岡山県の人口の見通しによると、2025→35年の10年間で10.5万人減少するそうです。
岡山県の人口は、2025→35年で10.5万人減る
(出典:国立社会保障・人口問題研究所 平成30年度人口推計)
また、家を買う中心年代である30〜40代も、2025→35年で4.1万人減る見通しです。
岡山県の30〜40代人口は、2020→35年までに4.1万人減少
(出典:国立社会保障・人口問題研究所 平成30年度人口推計)
家の買い手が今よりも1割近く減るので、岡山市周辺への一極集中は、さらに進むでしょう。
結論:売るなら?買うなら?
というわけで、岡山県の今後の土地価格についての結論は、以下の通りです。
- ①建設費の高騰、②岡山市周辺への人口集中、などの理由により、岡山市とその周辺では、土地価格の上昇、それ以外では下落、という二極化が進んでいる
- 今後も人口減少は進むため、岡山市とその周辺への人口集中は続きそう
と言えそうです。
買うなら:慎重な物件選びが重要
金利・建築費が上昇傾向にあるため、ギリギリの返済計画での購入は危ないです。
そのため、物件選びを慎重に行うことで、なるべく安い条件のものを探す努力が必要でしょう。
あまり価格が上がっていないメーカーもある
日本の住宅は、海外からの輸入材が8割以上を占めているため、輸入材を使っているメーカーほど、価格が上昇している傾向にあります。
一方で、国産材は円安の影響を受けないため、それほど値上がりしていませんので、国産材を得意とするメーカーを利用すれば、費用を抑えて家を建てることが可能です。
非公開物件=安い物件
また、不動産を売る理由はさまざまですが、「周りに知られずに売却したい」という売主は一定の割合でいます。
そのような物件は、ネット上にも出回らず「非公開物件」として、ある特定の住宅メーカーが取り扱っている場合があります。
当然、このような物件は少ないお客さんにしか目にとまる機会がないため、相場よりも価格の安い可能性が高いです。
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売るなら:低金利のうちに売却を検討すべき
特に住宅地において、これから影響が出てくるのが金利の上昇です。金利が1%上がると、組める住宅ローンが15〜20%程度減るためです。
今は上昇率が小幅なため、まだ影響は小さいですが、これから物価上昇がさらにひどくなれば、アメリカやヨーロッパのように金利を引き上げて物価上昇を抑える政策を取る可能性があるため、早めの準備がおすすめです。
不動産会社選びを間違えると損する?
不動産会社によって、得意とするエリアや物件種類(戸建て・マンション)が違うので、実際の取引では、公示地価より高く、または安く取引されることがあります。
例えば、岡山市北区に「田中(たなか)」という、北長瀬駅の南側に広がる住宅地があります。
こちらの公示地価と実際の取引を比べてみると、
- 公示地価:33万円/坪
- 実際の取引価格:35〜47万円/坪
と、公示地価の約1.0〜1.4倍で取引されていました。
取引価格同士で比べると、1.4倍の価格差があります。
【岡山市北区田中の土地取引(過去2年間)】
- 北長瀬駅から徒歩18〜23分のエリアで、35〜47万円/坪で取引されている
- 公示地価も実際の取引も「第2種中高層住居専用地域」という用途区分
なぜ、これほど売却価格が変わるのでしょうか?
その理由は、不動産会社によって、持っている取引情報に差があるからです。
不動産取引は、株式市場のように、全ての取引情報を管理しているところがないため、
- 自社でどれだけ取引情報を持っているか
- どれだけ買い手のリストを持っているか?
で、評価額も、売れる金額も変わってくるのです。
持っている取引情報が違うため、評価額・売却額が変わる
*REINSとは、不動産会社間でだけ共有できる物件情報・取引情報のサービスです。ただし、売主の承諾が必要なため、情報の共有率は、全体の取引の約11%程度となっています
(2022年実績:売り物件報告件数17.5万件 ÷ 土地取引件数152.5万件 = 11.4%)
また、不動産会社が持っている取引情報や、買い手のリストは、エリアや物件によって違いますから、いくつかの不動産会社に査定を申し込むことで、
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