この記事では、「新型コロナウイルスによって、マンション価格がどうなるのか?」について、供給面(業者は値下げするのか?)と需要面(買い手はどれだけ減るのか?)のそれぞれについて分析していきたいと思います。
【供給面】業者が値下げする可能性はあるのか?
価格高騰で、中古マンションの取引へ移動
マンション価格指数の推移を見ると、南関東圏(東京・神奈川)、名古屋圏、京阪神圏いずれも、アベノミクス以降で平均4〜6割上昇しており、昨年あたりからようやく横ばいとなっています。
このようにマンション価格はかなり高くなっているため、特に南関東圏においては、新築よりも安い中古マンション市場の取引件数が、ハッキリと増加しているように見えます。
*季節要因として、毎年3月に増加
そのため、新築マンションの販売戸数はかなり減っており、契約率も初月で50%を割る月も増えています。
そのため、「いずれ業者も値段を下げるのでは?」と期待している人も多いかと思います。
(参考:2019.11.18 読売新聞「首都圏新築マンション発売、3割減…契約率も5割切る」)
リーマンショックの時でも、1割しか下がらなかった
また、今回の新型コロナウイルスによる自粛によって、経済への影響も心配されています。
「リーマンショック級」とも言われる今回の不況ですが、先ほどの指数のグラフを見てもらっても分かる通り、リーマンショックの前後の2008〜2009年の間でも、価格は1割程度しか下がっていませんでした。
投資用のマンションや、郊外の人気のないマンション、倒産してしまった中小企業が建てたマンションなどは、かなり安い価格で取引されたりもしましたが、大手のマンションはさほど大きな影響を受けなかったのです。
貯金の多い大手が増えて、売れなくても焦っていない
また、現在のマンション開発業者は、財務内容の良い大手企業の販売シェアが6割に迫る勢いとなっています。
つまり、貯金が潤沢で、倒産する確率が低くなっているため、すぐに売却して資金を回収しなくても大丈夫なのです。
そのため、焦って値下げをして販売する必要がなくなっており、なかなか値下げが進まないんですね。
HARUMI FLAGの販売延期
オリンピック、パラリンピックの選手村跡地は、HARUMI FLAG(晴海フラッグ)として販売予定となっています。
すでに一部のエリアの住戸の販売がされており、価格も4,900〜22,900万円(61〜116㎡)と、周辺相場よりもかなり安めとなっています。
総戸数は4,145戸とかなりの規模だったため、順調にオリンピックが開催されていれば、マンションが欲しい人よりも戸数がだぶついてしまい、周辺相場は下落すると予想されていました。
(参考:2019.12.24 日経新聞「湾岸タワマンにたそがれ? 選手村が下落の引き金か」)
ところが、今回の新型コロナウイルスの影響で、オリンピックが1年延期となり、入居時期、販売時期ともにズレ込んでいます。
そのため、供給戸数がダブつくことでの価格下落は、1年程度遅くなる可能性があります。
新型コロナの影響で、企業の資金繰りが悪化
新型コロナによって、インフラや生活必需品を除く、ほぼ全ての産業でお金が動かなくなってしまいました。
これによって、業種によっては、月の売り上げが7〜8割減といったケースも出ています。
これほど売り上げが大きく減少してしまうと、たとえ大企業でも経営は安泰とは言えません。
というのも、売り上げが止まれば、お金が入ってこなくなるため、取引会社や従業員に支払うお金が足りなくなる可能性があるからです。
たとえば、日本の超優良企業であるトヨタ自動車でさえ、銀行から1兆円の融資枠を新たに設定してもらいました。
(参考:2020.3.27 日経新聞「トヨタ、1兆円の融資枠要請 新型コロナ長期化に備え」)
もともと不動産会社は、販売期間が長期になっても大丈夫なように、資金繰りをコントロールしています。
ですが、大手といっても、今回の新型コロナによって、財務内容が悪化してくる会社も出てきます。
そうすると、三菱、三井、住友などの超大手以外のマンションでは、徐々に値引きをしてくるところも出てくるでしょう。
【需要面】買い手への影響
ここまではマンション業者の側から見てみましたが、買い手の側から見ると、どのような影響が出てくるでしょうか?
リーマンショック時は、給与は減ったものの、取引件数はあまり減らなかった
新型コロナでリストラが加速すると同時に、多くの産業の売り上げが減少することで、サラリーマンの給与・ボーナスも減るでしょう。
参考になるのは、2008年9月に起こったリーマンショックです。この時の経済的な混乱によって、翌年2009年の平均給与は約5%の減少をしました。
しかし、リーマンショック時を見てみると、新築マンションの販売戸数も、2008年→2009年で2割減少しましたが、中古マンションの取引件数は、むしろ微増でした。
給与は下がったものの、それ以上に価格の調整もあったため、会社を辞めずに済んだ正社員の方々が購入したものと思われます。
日本の正社員は、企業が余程の赤字を計上しないと解雇が難しいため、本格的なリストラが始まるのは、まだ1〜2年後と予想されます。
特に子育て世帯であれば、景気の影響よりも、狭い賃貸住宅では子育てが難しいという状況に直面しているケースも多いでしょう。
新型コロナの今後の収束具合にもよりますが、価格面である程度下がれば、購入に踏み切る世帯は案外多いかもしれません。
もし、新型コロナが長期化したら?
現在、世界中の大都市が封鎖され、全国の商業施設で営業の自粛が続いていますが、このような状況が長引けば、倒産する会社はどんどん増えてくるでしょう。
特に、影響が大きい業界として、
- イベント会社(すでに自粛中のものが多いですよね)
- 旅行会社やホテルなどのインバウンド関係の業界(渡航制限で観光地は閑古鳥です)
- 飲食店やアパレル(ショッピングや飲み会が減っています)
- 航空・電鉄会社(利用者の利用が深刻です)
- 自動車・不動産(よほど必要でなければ、高額商品の買い控えは起きます)
- 広告業界(モノが売れなくなるので、企業の広告も減るでしょう)
などが思いつきます。
現在、政府が低所得者、失業者向けの対策を練っていますが、これらの政策は生きるための最低限を確保するためのものであり、経済全体を好転させることにはなりません。
(参考:日経新聞「首相、過去最大の緊急経済対策 個人・企業に現金給付」)
そのため、新型コロナの収束が長引けば長引くほど、マンション購入者の数は減少していくことになるでしょう。
ちなみに、新型コロナのワクチン開発には、1年〜1年半程度かかると言われており、ワクチン摂取による収束、消費者マインドの回復を考えると1年半〜2年程度はかかるのではないでしょうか。
(参考:2020.3.28 NHK「WHO事務局長「ワクチン開発 少なくとも1年から1年半」)
まとめ
以上、売る側、買う側から、思いつく要因について挙げてきましたが、まとめると以下のようになります。
- マンション業者は、大手の比率が高くなっており、財務内容が良好なため、焦って値下げをする必要がなかった
- 新型コロナの影響は長期化が予想されるが、リーマンショック時でも中古マンションの取引件数は落ち込んでおらず、価格条件に見合う物件があれば、購入したい潜在的な買い手は多くいる
- そのため、極端な値下がりは予想しにくく、あっても1割程度の調整となる可能性が高い(リーマンショック時を参考)
- ただし、雇用が不安定になることで、手放す人は増えるので、中古マンションの価格はもう少し下がる可能性がある
と言えます。
買うなら:単価の高いエリアは様子見、それ以外は買い
新型コロナウイルス、株式市場の暴落、そして不況の長期化と今後購入を検討している方は、なるべく慎重に購入を検討すべきと思います。
ただし、公務員や電力会社など、景気の良し悪しにあまり関係のない方であれば、購入を前向きに考えてもいいかもしれません。
その理由は2つあります。
①マンション価格の下落分よりも、待っている間の家賃の方が高くつく
これは、マンション価格の比較的安いエリアで言えるポイントなのですが、例えば、3,000万円程度のマンションであれば、1割下がっても300万円です。
現在のマンション業者は大手が占めるため、1年で1割下がることは考えにくいです。
2年かけて1割下がるとすると、1年あたり150万円となり、現在支払っている家賃と同程度になるで、その分を返済に充てた方が得という方も出てくると思います。
②異次元緩和で低金利の今がチャンス
また、現在は住宅ローンがかなり安いため、月々の返済負担が軽いのもチャンスです。
ですから、もしマンションを買おうと思っているのならば、マンション価格が下がるのを待つよりも、金利が上がる前の今のうちに買うのがベストな場合もあります。
ただし、購入を検討する場合には、今後の金利上昇を想定しておかないと大変なことになるので、「フラット35」か「10年以上の固定金利」でも返済ができるかどうかで予算を考えるべきでしょう。
非公開物件=安い物件
不動産を売る理由はさまざまですが、「周りに知られずに売却したい」という売主は一定の割合でいます。
そのような物件は、ネット上にも出回らず「非公開物件」として登録されます。
当然、このような物件は少ないお客さんにしか目にとまる機会がないため、相場よりも価格の安い可能性が高いです。
こちらの「タウンライフ」に登録すると、300社以上の不動産会社から、非公開物件を含めたマンション情報を教えてもらうことができます。
価格が下がるのを待ちたい人でも、こちらで格安物件を見つければ、「低金利」と「安い物件」の2つの美味しいところが狙えるでしょう。
売るなら:超低金利の今が1番のチャンス
ここまでマンション価格が上昇したのは、金利の低下が1番の理由ですが、この金利はこれ以上下がりようがありません。
また、新型コロナは長期化が予想されるため、早めに売却に動いた方が高く売れるでしょう。
不動産会社によって、売れる価格が大きく違う?
不動産の取引には、住所などの個人情報が含まれるため、ネット上で詳しい取引情報が開示されていません。
そのため、実際の取引では平均以上に高く、または安く取引されることがあります。
例えば、「久ヶ原(くがはら)」という、千鳥町駅から久ヶ原駅にかけて広がる住宅地があります。
こちらの公示地価と実際の取引を比べてみると、
- 公示地価:173万円/坪
- 実際の取引価格:110〜220万円/坪
と、公示地価の約0.6〜1.3倍で取引されていました。
最高価格は、最低価格の2倍です。
どちらも「第一種低層住居専用地域」と呼ばれる同じような街並みのエリアです。
駅からの距離は多少違いはありますが、これほどの価格差が考えられるでしょうか?
このような感じで、全国の公示地価と実際の取引を調べてみたのですが、やはり公示地価と実際の取引ではかなりの価格差があることがわかりました。
同じ地域なのに、
「公示地価の3割増し、場合によっては2倍以上の価格で取引されている」
といった取引がゴロゴロ見つかったのです。
都道府県 | 住所 | 公示地価/坪 | 取引価格/坪 | 公示地価の何倍? |
---|---|---|---|---|
東京都23区 | 千代田区神保町 | 485万円 | 300〜990万円 | 0.62〜2.04倍 |
東京都23区 | 中央区佃 | 644万円 | 530〜970万円 | 0.82〜1.51倍 |
東京都23区 | 港区白金台 | 409万円 | 240〜470万円 | 0.59〜1.15倍 |
東京都23区 | 新宿区下落合 | 189万円 | 190〜280万円 | 1.01〜1.48倍 |
東京都23区 | 文京区千石 | 241万円 | 85〜350万円 | 0.35〜1.45倍 |
東京都23区 | 台東区池之端 | 227万円 | 170〜300万円 | 0.75〜1.32倍 |
東京都23区 | 墨田区東向島 | 111万円 | 150〜290万円 | 1.35〜2.61倍 |
東京都23区 | 江東区永代 | 179万円 | 300〜390万円 | 1.68〜2.18倍 |
東京都23区 | 品川区東五反田 | 330万円 | 350〜520万円 | 1.06〜1.58倍 |
東京都23区 | 目黒区下目黒 | 229万円 | 200〜370万円 | 0.87〜1.62倍 |
東京都23区 | 大田区久ヶ原 | 173万円 | 110〜220万円 | 0.64〜1.27倍 |
東京都23区 | 世田谷区代沢 | 228万円 | 200〜310万円 | 0.88〜1.36倍 |
東京都23区 | 中野区東中野 | 187万円 | 220〜310万円 | 1.18〜1.66倍 |
東京都23区 | 杉並区松庵 | 170万円 | 200〜270万円 | 1.18〜1.59倍 |
東京都23区 | 豊島区千川 | 195万円 | 210〜290万円 | 1.08〜1.49倍 |
東京都23区 | 北区西ヶ原 | 151万円 | 48〜300万円 | 0.32〜1.99倍 |
東京都23区 | 荒川区西日暮里 | 190万円 | 220〜360万円 | 1.16〜1.89倍 |
東京都23区 | 板橋区高島平 | 108万円 | 96〜140万円 | 0.89〜1.3倍 |
東京都23区 | 練馬区石神井町 | 132万円 | 94〜160万円 | 0.71〜1.21倍 |
東京都23区 | 足立区谷中 | 99万円 | 140〜170万円 | 1.41〜1.72倍 |
東京都23区 | 葛飾区西亀有 | 125万円 | 74〜280万円 | 0.59〜2.24倍 |
東京都23区 | 江戸川区北葛西 | 111万円 | 95〜170万円 | 0.86〜1.53倍 |
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