この記事では、「愛知県の土地価格の、①この5年間の動きと、②今後の見通し」について、解説します。
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1、愛知県の土地価格の推移
まずは、愛知県の土地価格の推移について、見ていきましょう。
国土交通省が毎年発表している地価公示をもとに、アベノミクスが始まった2013年以降の住宅地、商業地の土地価格の変化について見ていきましょう。
それがこちらです。

住宅地、商業地ともに上昇が続いていますね。
新型コロナで、2020年、21年は下げましたが、また復活して、むしろ上昇率は、以前よりも高くなっています。
市町村別の変化
次に、市区町村別で、もう少し詳しく見てみましょう。
まずは、住宅地について見ていきます。

名古屋市を中心に南は安城市、北は春日井市あたりまでが、かなり上がっています。
全体的に、名古屋市に近いエリアほど、上昇率は高めとなっていますが、離れていても、豊橋市や一宮市などの大都市では、上昇していました。
次は商業地を見てみましょう。

商業地も名古屋市を中心に上昇エリアが広がっているという構図は変わりません。
ただし、商業地は、駅周辺に集中していることが多く、通勤に便利なエリアの上昇率が高めとなっています。
特に大府市から安城市あたりにかけての上昇率がかなり高いですね。
ですが、新しく建てられた住宅の戸数も、土地の取引を伴う不動産登記件数も、この5年間で見ると、横ばいかむしろ減少傾向にあります。

買い手が増えているから、土地価格が上がっているというわけではないのです。
では、なぜこれほど、土地価格が上昇しているのでしょうか?
土地価格の上昇の理由はインフレ
その理由は、インフレです。
特に、2022年からのロシアのウクライナ侵攻あたりから、木材や鉄鉱石、原油などの資源価格が上がってきたことで、建築費がこの3年ぐらいで3割上がっているのです。

これによって、戸建て、マンションともに、新築価格が大きく上がっており、中古の戸建て・マンションの価格も連れ高しています。
愛知県の中古住宅を見てみると、2020年から25年までの5年間で、中古戸建ては3%上昇と、ほぼ横ばいですが、中古マンションが約12%上がっていました。

マンションは、駅周辺に立地しているものが多いので、そのマンション価格が上昇することで、駅近の住宅地の価格も連れ高しています。
そのため、傾向的には、駅周辺ほど、土地価格があがりやすくなっているようです。
2、各都市ごとの土地の変化
この点を確認するために、各都市の土地価格の変化率を地図上に落としてみましたので、チェックしていきましょう。
(1)名古屋市
こちらは名古屋市全域です。
濃い赤色のマークが、2020年から25年の5年間で50%以上の上昇をしているエリアで、以下、ピンク、オレンジ、黄緑と続きます。

マイナスの地区は、青の矢印のマークのものになります。
ごちゃっとしていますが、赤やピンクが大きく上昇しているものとしてみてください。
名古屋駅周辺から、東にピンクの地点が続いていますが、東山線の星ヶ丘駅のあたりまで、大きく上昇していました。
また、それ以外のエリアでも、南は金山駅や、神宮前駅のあたりも高いですね。中心部ほど高いことと、駅周辺ほど高い傾向にあることがわかります。
(2)名古屋近郊・北部(春日井、小牧、犬山)
次は、名古屋の北側、春日井市から犬山市にかけてのエリアを見てみましょう。
春日井市は、勝川(かちがわ)駅の周辺が高いですね。駅周辺もそうですが、名古屋市に近い南側のエリアほど、上昇率が高い感じです。

小牧市は、北側にオレンジの地点が2つありますが、こちらはいずれも工業地です。
物流施設の需要が強いので、ここ数年は、工業地も高値で取引されているようです。それ以外は、全部緑なので、わかりにくいですが、小牧駅の周辺は、10%近い上昇をしているところもあるので、駅周辺ほど、高いという傾向は変わりません。
そして、犬山市です。犬山市でも、犬山駅の周辺は上昇していますが、そこから離れると、下落しているところが多いですね。
名古屋に近いほど、そして駅に近いほど、上昇しているという傾向が見て取れました。
(3)名古屋近郊・東部(長久手、尾張旭、瀬戸)
今度は、名古屋の東側、長久手市から瀬戸市にかけてのエリアを見てみましょう。
長久手市は、全体的にオレンジ色のエリアが多いですが、リニモの駅である杁ヶ池公園(いりがいけこうえん)駅や長久手古戦場駅の周辺ほど、上昇率が高めとなっていました。

尾張旭市は、印場駅や三郷(さんごう)駅の周辺が高いですね。
瀬戸市でも、瀬戸市駅の周辺では上昇していますが、ここまで名古屋から離れると、下落している地点もちらほら出てきています。
やはり、名古屋に近いこと、駅に近いほど、上昇しやすいという傾向と言えるでしょう。
(4)西三河地区①(刈谷、知立、安城)
次は西三河地区のうち、刈谷から安城にかけての、名古屋に近いエリアです。
刈谷市では、刈谷駅に近いところで、ピンク色の地点が見られます。刈谷市の全域で10%以上の上昇となっていますが、特に駅周辺が高いですね。

知立市でも、三河知立駅の近くでピンク色のマークが見られます。
安城市は、全部オレンジ色のなのでわかりにくいですが、安城駅、新安城駅のあたりで、3割近い上昇をしているところがあり、やはり駅周辺ですと、そうでないところよりも10%ぐらい、多めに上がっている印象です。
(5)西三河地区②(豊田、岡崎、西尾)
次は、西三河でも豊田市から岡崎市、西尾市と、南へ向かってみていきましょう。
豊田市では、豊田市駅などの中心部で高い感じですね。中心部から離れると、田んぼも増えていきますから、けっこう下落しているところが目立っていますね。

岡崎市でも、東岡崎駅や岡崎駅などの駅周辺ほど高いこともそうですが、国道248号線沿いも高い印象ですね。私も以前、岡崎で何年か住んでましたが、この辺りは、車での通勤がメインとなりますし、国道沿いに多くのお店が並んでますから、この辺りの住宅需要が強いのでしょう。
そして、西尾市です。
西尾市は、西尾駅より北側のエリアでは上昇していますが、旧幡豆郡の3町のあたりは、下落が止まりませんね。南海トラフ地震について、定期的にニュースで注意喚起されるので、全国的に、沿岸部の土地価格は下がりやすい傾向にあると思います。
また、安城や岡崎に住んでた人が、こっちに越してきて、家を買うのであれば、どうしても、北側に需要が集中してしまうのでしょう。
(6)東三河地区(蒲郡、豊川、豊橋)
次は、東三河地区の蒲郡、豊川、豊橋です。
蒲郡市は、蒲郡駅の周辺で上昇してますね。駅周辺では、8%以上の上昇をしている地点もあり、駅周辺ほど強いことがわかります。

一方で、西浦温泉のある西浦駅のあたりは、下落が止まらないようです。これも、南海トラフの影響なのでしょうか。
豊川市は、上昇エリアと下落エリアが混在している印象です。ここまで来ると、名古屋までの通勤はしんどいと思いますし、あまりマンションも立たないので、駅に近いから上昇という傾向はなさそうです。
そして、豊橋市です。
新豊橋駅の周辺で、オレンジ色のマークが集中していますね。豊橋市は、中心部の再開発に動き出しているため、その影響もあって、土地価格が上昇しているのでしょう。
ですが、それ以外のエリアについては、上がってるところもあれば、下がってるところもあって、という混在している感じです。
(7)一宮市周辺(一宮、稲沢、清洲)
最後に、一宮市とその周辺を見てみましょう。
一宮市は、名鉄一宮駅の周辺でピンク色のマークがいくつも見られます。駅周辺の再開発で、土地価格が大きく上昇しているようです。

稲沢市も、稲沢駅の周辺では上昇していますね。ですが、一宮市と同じく、西側の尾西線沿いは、名古屋市に行かないため、需要が少ないようです。
そして、清須市です。清洲駅、新清洲駅、枇杷島駅のあたりで、オレンジ色のマークが目立ちますね。名古屋市にも近い南側ほど、上昇率が高い印象です。
と言うわけで、ざっと見てみた印象では、名古屋市とその近郊での土地需要は強いため、これらの地域では結構上がっています。
ですが、それ以外のエリアでは、駅周辺は安定しているものの、駅から離れると、結構下がっているところが多いような感じですね。
3、これからどうなるのか?
ここまで愛知県内の土地価格の動きについて見てきましたが、今後はどうなっていくのでしょうか?
基本的には、ここまで各都市について、ご紹介してきたように、名古屋市とその近郊では、さらに上昇または安定するでしょうが、そうでない地域は下落しやすいという、二極化が進むと思われます。
その理由は3つあります。
(1)名古屋市への人口集中
1つ目は、名古屋市への人口集中です。
圏外から引っ越してきた人と、出ていった人を差し引いた、転入超過数というデータがあります。

愛知県全体で見ると、中部の中心部ということもあって、若い人の人口流入が継続的にありますが、最近は若い人の流入は減っており、むしろ、外国人の割合の方が高まっています。
青色の部分が、15から29歳の若い世代で、灰色が外国人となっています。青色、灰色、いずれも大きくプラスになっていますね。
また、名古屋市だけでみてみても、この傾向は変わりません。ただ、外国人と若い人の割合は、半々ぐらいにまで縮まっているような感じですね。
名古屋市においては、若い人の人口流入が、ほとんど変わっていないということは、それ以外の街で、若い人が愛知県外へ出て行く人が増えていると考えられます。
他の街も見てみましょう。

名古屋市近郊の春日井、小牧、犬山を見ると、やはり増えているのは外国人が大半で、日本人はむしろ減少していました。特に、春日井市、小牧市では、肌色と紫色の部分の、子育て世帯が減少しています。
今度は、名古屋の東側です

長久手、尾張旭、瀬戸のいずれも、子育て世帯の流入が見られます。家を建てるなら、こっちに来る人が多いようですね。
一方で、瀬戸市では、若い人の人口流出が、継続的に続いており、若いうちは名古屋に住んで、そのうちの一部が戻ってきているという感じなのでしょうか。
次は、西三河の刈谷、知立、安城です。

こちらは、子育て世帯は減少してますが、若い世代の流入が目立ちますね。西三河地区は、製造業の工場が多くあるので、仕事を求めて引っ越してくる人が多いのでしょう。
次は、豊田、岡崎、西尾です。こちらは、製造業の工場が多いので、外国人の流入が多いですが、特に豊田市では、子育て世帯の流出が多いですね。

東三河の蒲郡、豊川、豊橋も、外国人が増えていますが、蒲郡と豊橋は、若い世代が出て行ってますね。

そして最後に、一宮市周辺です。

一宮市は、外国人の増加が目立ちますね。また、子育て世帯が増えて、若い世代が減ってますが、清須市は、その逆のような印象です。
というわけで、全体的に、名古屋市に近いエリアほど、若い世代が引っ越してきますが、その後、住宅購入をきっかけに、子育て世帯が、さらに土地の安いエリアに引っ越すような動きが見られます。
ただし、日本人のそのような動き以上に、外国人の流入が全域で目立っており、仕事のある場所では、賃貸需要が盛り上がっていそうな印象ですね。

今年に入って、トランプ政権は、世界中に相互関税をかけましたが、トヨタは国内生産の縮小を予定しておらず、今のところ、あまり影響はなさそうです。
ここ数年の愛知県は、年間2万人以上の外国人の移住者を受け入れていますが、この傾向は、今後も続きそうなので、賃貸需要は増えていきそうです。
(2)未婚化、少子化が進むので、住宅需要はさらに減る
2つ目は、未婚化、少子化がさらに進むので、家の需要はさらに減っていくということです。
2018年から23年までの5年間で、愛知県では出生数が21%減ってます。
私の地元の岩手は、5年で29%も減ってしまってて、かなり悲惨なのですが、それと比べると、まだマシなものの、それでも出生数の減少は止まりません。
結婚する人も、子供を産む人も減っているわけですから、持ち家の需要はさらに減っていきます。
昨年、政府が5年に1度の人口推計を出しましたが、この推計のメインシナリオでは、合計特殊出生率が1.3倍がずっと続くことを想定したものでした。
ですが、実際にはすでに1.15倍となっており、すでに現実と予想が乖離しています。

こちらのグラフは、今のペースで、年率5%程度の出生数の減少が続いた場合の、0~14歳の人口の予想です。
青が政府予想で、赤が私が作成したものですが、このままいくと、これから10年で2割以上減ると考えられます。
人が家を買う理由は、結婚や出産で、今の住居が狭くなってきたからということが大きいでしょう。
ですが、そのような人がさらに減っていくわけですから、住宅に対する需要はさらに減っていくと考えられます。
(3)死亡者数、相続件数の増加で、売り物が増える
3つ目が、死亡者数、相続件数の増加です。
今年は2025年問題ということで、団塊世代が75歳以上の後期高齢者に突入したことで、医療費や介護などの社会保障費用の増加がさらに進むと騒がれています。

それとともに、日本国内では、死亡者数も増えています。高齢化が進んでいるわけですから、亡くなる人が増えるのは自然なことと言えます。
ですが、死亡者が増えるということは、もし相続人が一緒に住んでいなければ、その家は空き家になってしまいます。
ここ数年の不動産価格のさらなる上昇によって、不動産の相続税評価はさらに上がっています。
そのため、相続税を支払う人の割合は、約1割にまで増えています。
また、愛知県では、2010~20年の10年間で、約9,000ヘクタールの農地が減っています。1ヘクタールは、3000坪ですから、30坪の戸建てで、約90万戸分の農地がなくなった計算になります。

その多くが、宅地や工場、店舗などに転用されているわけです。
今年は、米不足で米が2倍になりましたが、農家の平均年齢は70歳近くにまで上がっているので、これからさらに農地が減ってきて、宅地化されていきます。
そのため、買い手がつくような人気エリアであれば、問題ありませんが、そうでないエリアであれば、売るに売れなくなってくる困った人は、今後増えていくと予想されます。
結論
というわけで、結論です。

愛知県の土地価格についてまとめるとこうなります。
・若い人や外国人が名古屋市に移住する流れは変わらず、家賃は上がりやすく、銀行も金を貸すので、人気エリアほど、価格が上がりやすい状況は続く
・その一方で、未婚化、少子化がさらに進むため、買い手はさらに減っていく
・さらに、死亡者もさらに増えるため、売り物件は増えていく
つまり、売り手は増えるけど、買い手は減っていくので、買い手がつきにくいエリアはさらに増えるというわけです。
なので、人気エリアではない、駅から遠い戸建てほど、今後はさらに厳しくなっていくでしょう。
買うなら?売るなら?
最後に、このような予想を踏まえると、住宅購入または売却を考えている人は、どうしたらいいのか?について、考えてみます。
買うなら?
まずは、買いたい人についてですが、人気エリアのマンションや戸建ては、比較的、需要も高いため、価格の大きな値崩れは、当分期待はできないと思います。
名古屋市の中心部や、名古屋市近郊の町の駅周辺などは、なかなか下がらないでしょう。

しかし、それ以外の戸建てについては、買い手は減ってきていますし、今後はさらに減っていくでしょうから、人気エリアを選ばなければ、安く買える可能性はあるでしょう。
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売るなら
次に売りたい人についてですが、名古屋市周辺では、住宅の需要は強いので、高く売れる可能性は高いでしょう。
ですが、基本的に、今後増えるのは、地方からの若い世代と外国人ですので、主に賃貸需要です。
婚姻数の減少や出生数の低下はさらに進みそうですので、持ち家の需要は下がりますから、賃貸物件を建てやすい場所であれば、まだまだ上がるかもしれませんが、そうでなければ、買い手を探すのに苦労する可能性は上がっていきそうですね。
また、名古屋市周辺ではない場合は、今後さらに買い手の減少と、売り手の増加によって、売れにくい戸建ては増えていくと考えられます。
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周りで売り土地がそのまま放置されているとか、新しい家が立たないとか、人口が減少しているなどのエリアでは、公示地価を参考にしても、なかなか売れないといったこともあるので、注意が必要です。

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