中東紛争が、日本の不動産価格に与える影響は? | イエ&ライフ

中東紛争が、日本の不動産価格に与える影響は?

この記事では、「日本のエネルギー事情の現状と、中東紛争の継続による、不動産価格への影響」について解説します。

 

1、現在の日本のエネルギー事情

(1)中東への依存度が上昇中

日本では、国内で使われる原油のほぼ全量を外国からの輸入に頼っています。

そして、その内訳を見ると、中東が9割以上を占めています。

中東への依存度は年々上昇傾向にありますが、2023年1〜10月の輸入量の約96%を中等に頼っています。

 

日本の原油輸入国先

(参考:経済産業省 「石油統計」)

 

特に2022年2月に起こったロシアのウクライナ侵攻によって、ロシアからの原油の禁輸を決定したことで、中東への依存度がさらに加速したようです。

このように、現在の日本のエネルギー政策は、中東への依存度がかなり高くなっており、中東で問題が起これば、日本への影響も大きくなるリスクを抱えています。

 

(2)国内の備蓄量は、約8ヶ月

では、もし中東から、原油が全く入ってこなくなった場合には、日本はどれだけ保つのでしょうか?

現在の日本国内にある原油の備蓄は、2023年10月末現在において、国家備蓄・民間備蓄等をあわせて、241日分、約8ヶ月分あるそうです。

 

国内の備蓄量

(参考:資源エネルギー庁)

 

そのため、仮に原油の輸入がストップしたとしても、8ヶ月は保つので、他の国への交渉など、何らかの対策を行う時間はある状況です。

 

(3)中東からの輸入ルートは?

日本の原油の9割以上が中東から来るわけですが、その輸送ルートはアラビア海の港からホルムズ海峡を通って、①マラッカ海峡、②スンダ海峡、ロンボク海峡のいずれかを通って日本にたどり着きます。

 

日本のシーレーン

(参考:北海道石油共同備蓄株式会社 「2_石油はどこで採れて日本に来るの?」PDF)

 

そのため、この海域を囲む国(イラン、イラク、サウジアラビア、アラブ首長国連邦など)で、正常不安が起こると、海上封鎖をされるなどのリスクがあります。

ホルムズ海峡は、幅33kmと、かなり狭い通り道で、ここを通らないと出られないため、封鎖やテロ攻撃などをされると、ひとたまりもない状況となります。

 

2、中東紛争の影響は?

このような日本のエネルギー事情なわけですが、2023年10月7日のハマスによるイスラエルへのテロ攻撃をきっかけに、イスラエル軍がパレスチナのガザ地区への侵攻を開始しました。

 

中東紛争の激化で、バブ・エル・マンデブ海峡が事実上の封鎖状態に

この記事を書いている時点(2023年12月20日)ですでに2ヶ月が経とうとしていますが、近隣諸国にも、その影響が広がっており、ついにバブ・エル・マンデブ海峡の事実上の封鎖が始まっています。

 

バブ・エル・マンデブ海峡

 

イエメンという国の反政府組織である「フーシ派」が、このバブ・エル・マンデブ海峡を通る船を攻撃しているというのです。

イスラエルに関係のある船を対象としているとのことですが、影響はほぼ全ての船にあるようです。

(参考:時事通信ニュース 「商船への攻撃やまず=イエメン沖、海上運送に懸念―親イラン勢力、「ガザ」口実に力誇示」2023.12.18

 

これによって、世界中の海運会社が、「地中海ースエズ運河ーバブ・エル・マンデブ海峡」のルートを使わず、南アフリカの希望峰から迂回するルートへと変更しています。

日本の海運3社が共同出資するコンテナ船会社ONEも、バブ・エル・マンデブ海峡を使うのを止めて、希望峰からの迂回ルートを利用すると発表しました。

(参考:ブルームバーグ「日本のコンテナ船大手ONE、スエズ運河および紅海からルート変更」)

 

遠回りとなるため、費用・日数ともに増加する見込みです。

 

 海運各社は遠回りのアフリカ周回航路での運航を進めている。1回の航海に100万ドル(約1億4400億円)のコストと7-10日の日数が余分にかかる。原油価格は上昇している。

(参考:ブルームバーグ「海運業界、遠回りルート数週間迫られる事態に備え-紅海での混乱悪化」)

 

日本への影響は、今のところなさそう

中東地域で、紛争が起こって、しかも船が止められているとなると、日本の原油輸入にも影響があると心配されますが、今のところは影響がなさそうです。

上の地図の通り、日本への輸入ルートは、ホルムズ海峡を通るものであり、バブ・エル・マンデブ海峡からのものではないからです。

 

ですが、このルートは、アジアーヨーロッパ間の貿易を、スエズ運河を利用して近道できるルートなので、世界貿易の中では、かなり重要なルートです。

世界の水上輸送のうち、約10%がこのルートを使っているのです。

 

そのため、今回の事実上の封鎖によって、

  • ヨーロッパからの輸入品(ブランド商品など)の価格が上昇
  • ヨーロッパへの輸出産業(自動車など)は、売り上げ低下
  • スエズ運河の売り上げ減少で、エジプトの経済が苦しくなる

といった影響が出てくると予想されます。

 

中東紛争よりも台湾有事の方がやばい

日本の原油の輸入ルートを考えると、現在のイスラエル・ハマス紛争による、直接的な影響はなさそうです。

 

ですが、今後、仮に台湾有事が起こるようであれば、状況は変わってきます。

中国が台湾周辺の海上封鎖をする可能性が高く、その場合には、日本に原油が来なくなるからです。

 

台湾有事が起こると、タワーマンションの価格に影響大

日本の原油の備蓄は約8ヶ月分ありますが、もし台湾有事が起こったとして、長期化すれば、電気が使えなくなる時が来ます。

そのため、水道やエレベーターなど、あらゆるものに電気が使われているタワーマンションは、使いものにならなくなるため、価格暴落は避けられないでしょう。

 

最悪のシナリオではありますが、万が一の資産の逃避先としては、適切ではないでしょう。

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この記事を書いた人
ゴトウ

証券会社で12年間勤務。営業と店舗マーケティングに従事後、2018年から当サイト「イエ&ライフ」を運営しています。

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