【2030 来たるべき世界】エマニュエル・トッド新刊で語られた、移民・少子化・日本の可能性 | イエ&ライフ

【2030 来たるべき世界】エマニュエル・トッド新刊で語られた、移民・少子化・日本の可能性

youtube原稿

今回の動画は、「エマニュエル・トッド新刊で語られた、移民・少子化・日本の可能性」ということで、やっていきたいと思います。

 

1、はじめに

3/13に、エマニュエル・トッド教授のインタビューが大部分を占める新刊が出たので、今回はこの書籍のご紹介となります。

 

(参考:アマゾン「2030 来たるべき世界」)

 

この新書は、270ページぐらいの分量なのですが、そのうち170ページ分ぐらいがトッド教授のインタビュー集となっています。

残りの100ページ分は、台湾のデジタル大臣をやっていたオードリー・タン氏と、国際政治学者のモニカ・トフト氏へのインタビューなどが入っているのですが、大部分がトッド教授のもので、内容的にもかなり興味深いものだったので、今回の動画ではトッド教授の新刊という扱いで、トッド教授の語っている部分に焦点を当ててご紹介させてもらいます。

 

(参考:Wikipedia「エマニュエル・トッド」)

 

一応、このトッド教授について、簡単に説明すると、フランスの人口統計学者で、歴史学者、そして人類学者でもあるユダヤ人です。

日本でも多数の著作があって、1976年に処女作の「最後の転落」の中で、ソ連崩壊を予言して、見事に当てたということで有名になりました。

 

また、2024年に出した「西洋の敗北」も、日本も含めて、随分と売れたようで、うちのチャンネルでもトッド教授のここ最近の2作品についてご紹介しているのですが、どちらも4、5万再生ぐらいしてて、結構関心を持っている人が多い印象です。

一応、今回の新刊については、概要欄にアマゾンのリンクを貼っておくので、興味を持てた方は、チェックしてみてください。それでは、ここからが本題です

 

2、トッド新刊で興味深かった3つのポイント

今回の新刊では、もちろんトランプ政権についての批判も大きく取り上げられているのですが、個人的にはちょっと違うなと思っていまして、今回の動画では省きましたが、それ以外のポイントとして、3つほど、なるほどなと思わせられることがあったので、それらをご紹介していきたいと思います。

 

(1)ニヒリズム

1つ目は、ニヒリズムについてです。

前前作の「西洋の敗北」でも、このニヒリズムについて、いろいろと考察されていたのですが、今回の新刊では、この点について、さらにいろいろと話をしていたので、最近の欧米のイかれた人たちを理解するのに役立ちそうだなと思いました。

 

ニヒリズムとは、虚無主義と訳されるのですが、

人生に意味とかねえし、死んだら何も残らないとか、

人間が作ってきた道徳とか心理とか、目標とか、価値とか、そんなものには意味がないという感じの、

不貞腐れた考え方です。19世紀に活躍した哲学者のニーチェが有名ですね。

 

それで、このニヒリズムというのは、どうやってできるのか?というと、宗教が衰退することで生まれるとトッド教授は捉えています。

トッド教授は、これを3つの段階で捉えていて、私なりに解釈すると、神の救済というゴールと、道徳や規範などのルールの2つの要素があって、それが一つ一つなくなっていくことで、ステージが進むものと見ているようです。

 

 

1つ目のアクティブは、神の存在も信じてるし、救済されるために、教会でお祈りするとか、聖書に書かれていることを実践するとか、そういった道徳や規範を守って生きる人たちを指します。なので、宗教を信仰する人たちと言えるでしょう。

 

2つ目のゾンビとは、神は信じていないけど、宗教時代の規範は残っているという状況です。人様に迷惑をかけてはいけないとか、お天道様が見ているとか、こんなことをしたら恥ずかしいとか、特定の宗教を持ってなくても、そういう規範とかモラルのようなものを持っている状態ですね。

なので、だいたいの日本人はここに当てはまるでしょうし、欧米の常識的な人たちも、ここに入ってくるでしょう。

 

そして3つ目がゼロ、つまりニヒリズムの状態で、神なんていないし、意味なんてないんだから、何やってもOKじゃね?みたいな人たちです。

欧米のイカれた左翼リベラルは、ここに入ってきますね。

 

人権人権と吠えながら、たくさん移民を入れてみるものの、それで何がしたいというわけでもなく、犯罪がどんどん増えてもお構いなしみたいな、まるで社会がぶっ壊れるのを求めてるような人たちがいますが、そういう頭が悪い人たちがここに入ります。

それで、こういう頭がイカれた人たちというのは、欧米諸国の中でも、イギリスやアメリカ、そして北欧に多いのですが、その理由は、プロテスタントが原因ではないか?というんですね。

 

(参考:wikipedia「プロテスタント宗教改革と対抗宗教改革における芸術」)

 

もともとプロテスタントというのは、カトリック教会が腐敗しまくって、免罪符という出鱈目な紙切れを「これを買えば今までの罪を軽くできるよ」と、まるで新興宗教が壺を売るみたいな、きったないことをやってたことにブチギレた人たちが始めた宗教でした。

なので、

「こんなバカなローマ教皇とか教会とか、そんな邪魔くさいものは全部いらねえよ!聖書読め!聖書!神様と俺たちの間に、余計なものを挟む必要なんてない!」

というわけで、教会に飾っていた綺麗な聖像などをぶっ壊していきました。

 

その結果、プロテスタントの国では、教会に宗教絵画のようなものがあまり残っておらず、また新しく作られることも少なくなったため、公共の場で、芸術作品のようなものに触れる機会が少なくなったというのです。

ヨーロッパの美術を見に行こうと思ったら、思い浮かぶのってイタリアとか、フランスとか、その辺のイメージありますよね?これらの国はカトリックで、宗教的な芸術作品がたくさん残っている国ですが、北欧とかドイツとか、あまりイメージがわかないのは、プロテスタントの歴史的なものだったようです。

 

それで、現在のヨーロッパでは、宗教を信じる人が減っているわけですが、カトリックの国においては、教会やら美術館、博物館またはテレビ番組などでも、こういう芸術作品に触れる機会が多いので、現世に美が残っているという感覚が持てるそうなのですが、

プロテスタントの国で、宗教的な意識も規範もなくなると、ただのつまんねえ古い街並みとビルしか残らないというわけです。

 

日本で例えるなら、ビルとマンションしかないような都会の真ん中で、ゲームや漫画に触れさせられることもなく、受験戦争を押し付けられて、大学に入学したはいいけれど、やりたいことが見つからない状態の大学生みたいな感じでしょうか。

そういう人たちがいっぱいいるのが、プロテスタントの国だというのです。

 

だからこそ、

「こんな世界、ぶっ壊れたっていいよね?

 だって、つまんないものしかないんだもの。」

となってしまいがちだというわけです。

 

(参考:Al Jazeera)

 

それが現れているのが、現在のヨーロッパの政治家です。

ウクライナ戦争では、ロシアに勝てもしないくせに、ロシアに制裁だ!ウクライナを全面的に支援しろ!と吠えているのは、左翼リベラルな政治家です。

極右と非難される政党や政治家は、自分たちには守るものがあるという意識がありますが、大事にしたいものが見つからない左翼リベラルは、正義という、何を指すのか自分でもよくわかっていない言葉を使って、絶対許すな!戦争だ!と騒いでいるというわけです。

 

 

なので、日本は、そういうニヒリズムに陥る人は少ないと見ているようですね。

日本でも、明治に入って廃仏毀釈が起こりましたが、今でも多くのお寺や神社が残ってますし、漫画やアニメもたくさん生み出してきました。

 

また、最近ではYouTubeなどの動画で、廃墟とか、今までだったらあまり注目されてこなかったようなものにまで、美を見出す人たちが生まれて、活躍しています。

そのため、こんな国ぶっ壊しちまえ!みたいなヤケクソな思想にかぶれずに済んでいるというわけですね。この指摘は、なかなか面白いなと思いました。

 

その一方で、韓国はなんとプロテスタントを信じる人の割合が2割もいるのだそうです。

そのため、宗教意識がなくなってしまうと、ニヒリズムに陥りやすい人が、東アジアの中では多いと思われます。

韓国では、出生率が0.7倍代と、日本以上に低いことや、過激なフェミニストが暴れているため、女性を嫌う男性が6割近いという調査もあるぐらいなのですが、その背景には、プロテスタントからニヒリズムに転げ落ちてしまった人が多いからなのかもしれません。

 

(2)移民の受け入れ方のコツ

そして、トッド教授の指摘で面白かった、2つ目のポイントは、移民の受け入れ方です。

日本は昨年36万人の外国人を受け入れて、昨年末で413万人まできました。この3年で100万人増加という、驚異的なペースで増えており、これから高市政権がシャットアウトするかどうかは微妙な感じになっています。

 

(参考:産経新聞)

 

それで、トッド教授はフランス人なので、フランスがこれまで移民を受け入れ続けてきた経験から、日本はこうすべきでは?という提言をしています。

それは、簡単にいうと、二段階で受け入れをすべきだということです。

 

最初に受け入れる外国人は、貧しい国の若い移民なので、元いた国の文化・習慣と日本のそれとのギャップでどうしても摩擦が生まれてしまいます。そのため、この第一世代は、無理に同化をさせようとすると、ハレーションを起こしがちだったそうです。

なので、結局は、家族や同じ国籍の人たち同士でつるむのは、ある程度やむを得ないというのです。

 

問題なのは、第2世代です。

生まれた子供を小さい頃から日本人として育てていくことで、少しずつ親世代も含めた日本への同化が進められるというんですね。

 

しかし、この時に、日本人の子供もそれ以上にいなければ終わってしまいます。子供時代に日本的な教育や価値観、そして友人を作る機会を失ってしまうからです。

だからこそ、少子化は対策しなければいけないのですが、今のところ、これはうまくいってないので、これをどうやっていくのか?が今後の課題と言えるでしょう。

 

(参考:社会実情データ図録)

 

なお、日本の歴史を見ていくと、大きく人口が伸びた時期は、大きく2つあって、1つ目は、戦国時代から江戸時代にかけてで、もう一つが明治期以降でした。

明治期以降については、西洋医療が入ってきて、衛生状態が改善されたことで、人々の寿命が伸びたことが大きいです。

 

ですが、もう一つの戦国時代から江戸期にかけては、自作農の増加、つまり、独立した世帯主が増えたことが大きかったと言います。

これ以上寿命が伸びても、子供が増えるわけでもないので、もし日本人の出生数を増やしたいのであれば、戦国から江戸時代にかけて増えた時のように、経済的に自立した世帯主が増えるしかありません。

 

それが

①男の稼ぎを増やすようにすることなのか、

②女性が世帯主としての意識を持つようになるのか、

それとも、

③結婚や出産を、経済的な奴隷状態からの解放というメリットと結びつけることなのか、

いろいろと考え方はあると思いますが、いずれにせよ、何らかの制度変化、意識変化が必要になっていくのでしょうね。

 

(3)経済学だけだと、国が滅ぶ

3つ目は、経済学だけでいくと、国が滅ぶ、ということです。

今の日本では、タイパとかコスパとか、どんなことでも損得勘定でモノを考えることが普通になってきつつあります。

 

 

ですが、このように、お金でも時間でも、何かを最大化しようとする考え方をみんながするようになると、最終的に国が滅びます。

というのも、経済的に考えると、子供を持つことは、最も非合理なことになってしまうからです。世話の時間もかかるし、養育費などのお金も余計にかかりますからね。

 

これまで経済学は、「利己的な人間こそが、経済を発展させる」というホモ・エコノミクスという人間像をもとに、世界を説明しようとしてきました。

ですが、このような利己主義万歳の経済学だけでなく、その一方で、利他主義的な何らかの考え方をバランスさせなければ、国は滅ぶだろうというわけです。

 

ちょっと前に、欧米の若い人たちの間で、宗教に回帰する動きが生まれているということを紹介した動画を作りましたが、このような動きも、利己主義だけで考えることに疲れた人たちが、人生のバランスを取ろうとしているのかなと思いますね。

というわけで、今回はほぼトッド教授のインタビューで占められていた新刊「2030 来るべき世界」から、私が面白いなと思ったところをご紹介させていただきました。

 

個人的には、前前作の「西洋の敗北」とセットで読むと、より理解が深まるのではないかと思います。特に、欧米のリベラルのイカれ具合をニヒリズムという視点から理解したい人にはおすすめです。

どちらもリンクを貼っておくので、一度チェックしてみてください。

(アマゾン「2030 来たるべき世界」)

(アマゾン「西洋の敗北」)

この記事を書いた人
ゴトウ

証券会社で12年間勤務。営業と店舗マーケティングに従事後、2018年から当サイト「イエ&ライフ」を運営しています。

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