今回の動画は、「トランプのカロリーゼロ理論。ホルムズ海峡でのミニ戦争は、戦争じゃないからセーフ」ということで、やっていきたいと思います。
1、はじめに
5/4月曜日から、アメリカでは、プロジェクト・フリーダムという作戦が始まりました。これは、ホルムズ海峡に米軍がたくさん集結して、ホルムズ海峡をタンカーが通れるようにしつつ、イラン軍の攻撃やイラン船籍の航行を妨害しようというものです。

この作戦には、誘導ミサイル駆逐艦や100機以上の戦闘機、無人の船やドローン、そして1.5万人の兵士などが投入されることになっています。
イラン戦争は2/28から始まって、大統領権限で行えるのは60日間までと決まっていますので、5/1以降もドンパチやるなら、議会による承認が必要となります。

しかし、4/8から2週間の停戦に入って、期限切れ後も、特に米軍から攻撃をせずに、グダグダな長期戦になっていました。
そのため、5/1以降も、もう戦闘状態終わってるし、議会承認いらないよね?とトランプは主張してきました。
そのため、5/4から始まった、このプロジェクト・フリーダムもイランに喧嘩をうる軍事作戦ではなく、ホルムズ海峡から外に出れないタンカーを救出することが主目的であって、
これほど軍を集めたのは、「もしイラン軍側が攻撃してきたら、それを返り討ちにするために必要なもの」という建て付けだったようです。

ところがです。
この作戦が宣言された5/4当日に、アメリカ中央軍は、イランの小型ボートを攻撃するために、ヘリコプターを使用したと発表しました。
また、イラン側もアラブ首長国連邦UAEにミサイルを3発、オマーンにも1発打ち込んで、やり返してきました。
もう戦闘が始まってしまったのです。
しかし、トランプはこれはミニ戦争だから、戦争じゃない!セーフだと言って、そのままスルーしている状況です。
日本では、お笑い芸人のサンドウィッチマンが、ドーナツは真ん中に穴が空いているから、ゼロカロリーだ、などのカロリーゼロ理論という素晴らしい理論を打ち立ててますが、トランプも、ミニ戦争は戦争じゃないというゼロ戦争理論を打ち立てたようです。

とまあ、こんな感じで始まったプロジェクト・フリーダムなのですが、なんとわずか1日で作戦を一時停止してしまいました。
一応封鎖は、継続するものの、イランの出方を見たいということのようです。
アメリカはイランにミニ戦争を仕掛けて、UAEはとばっちりの攻撃を受けてと、実害がすでに発生しているわけですが、トランプは一体何をやりたいのでしょうか?
今回はこの点について、考察していきます。
それでは、参りましょう。
2、ホルムズ海峡の現状について
まず最初に、現在のホルムズ海峡の状況について見ていきましょう。
4/8にアメリカはイランと2週間の停戦に入りましたが、その間に和平交渉が行われてきたものの、双方の意見が一致せず、平行線のまま期限が過ぎました。

ですが、この期限が過ぎた後も、イラン、アメリカ双方とも戦闘を開始してこなかったため、グダグダな状況が続いてきました。
そんな中で、ホルムズ海峡内に止まっていたタンカーはどうなっていたのか?というと、イラン側は通行料を要求し、断ったら攻撃するというスタンスでした。
一方で、アメリカ側は、イランに通行料を払ったタンカーは拿捕すると表明してきました。
つまり、現在のホルムズ海峡は、イランとアメリカのどちらの条件も満たすことは不可能な状況にあるのです。
そして、もしこのような護衛もなかったとすれば、これはイラン軍への通行料を支払っていたか、政府間の交渉があったと考えた方が自然だと思います。
イランに通行料を払えば、米軍に捕まり、イランに払わなければ、なんとか逃げ切るしかないという、無茶苦茶な無理ゲーなはずなのに、日に5隻、10隻と通過しているという、本当に訳がわからない、ブラックボックスとなっているのです。
じゃあ、なんでこんなグダグダなことをしているのか?というと、理由は大きくは2つあると思っています。

1つ目は、ロンドンの保険市場を乗っ取るためです。
ロンドンは、昔から海上貿易が発達してきたため、海上保険のロイズオブロンドンなどの、300年以上の商売を続けている保険会社があります。
ロンドンは、海上保険の3割、戦争リスク保険の9割を占めており、ホルムズ海峡などの、特定のリスクの高い場所を通るだけで、別に保険料を請求してきます。
なので、中東は不安定な方が保険料をたくさんもらえる商売なのです。
1979年のイラン革命では、イラクにいたホメイニ師をフランスに移住させ、BBCがインタビューを行い、イラン国内に救世主としてアピールして報道したことによって、イランの最高指導者に仕立て上げました。
このようにして、イランが反米国家になったことで、ホルムズ海峡での保険料を割高に請求することができるようになりましたし、イラン革命後に原油の減産を行うことで、原油価格を爆上げさせ、石油企業を大儲けさせました。
ロンドンは、原油取引の7割を占めてもいますので、中東を不安定化させることで、保険料の吊り上げと、原油価格の上下で儲けてきたのです。

今回、ヘグゼス長官とケイン統合参謀本部議長が、記者会見でプロジェクト・フリーダムについて説明していましたが、この中で、ヘグゼス長官は、こんなことを言ってます。抜粋しますと、
「イランによる違法な支配を打破することで、数十カ国の船員の生命と生活を守り、世界のエネルギー輸送路を確保し、世界で最も貧しい人々を最も苦しめるエネルギー不足を防いでいます。
(中略)
イランよ、罪のない船舶の自由な航行を許可しろ。この国際水域は全ての国のものであり、イランが課税したり、通行料を徴収したり、支配したりするものではない」
以上です。
今回イランは、ホルムズ海峡を通るための通行料を課そうとしていますが、すでに、イギリスがイラン革命でやべえ政府を作り上げたことで、ホルムズ海峡を不安定にして、ホルムズ海峡を通るたびに、余計な保険料を徴収してきてたんです。
ヘグゼス長官はイランに対して言ってますが、これは暗にイギリス、特にロンドンに対して言ってるようにも聞こえますよね。多分、狙って言ってると思います。
なので、トランプとしては、世界中が不安定になった方が儲かると思ってる、舐めたロンドンをぶっ潰した方が、エネルギー価格の引き下げにつながりますし、国内の製造業の復活にもなりますし、調子に乗ったイギリスを黙らせることにもなるので、やる理由は大いにあるのです。
今回のプロジェクト・フリーダムも、米軍を結集させてはいるものの、海運会社から見ると、米軍はイランからの攻撃を上手く捌けていない、ポンコツ仕様だと見ているようで、世界最大級のコンテナ海運会社のハパックロイドは、海峡通過は無理なので、様子見ですと声明を出していました。

これは一見すると、トランプ政権の作戦が効果がなく、失敗しているように見える一方で、ロンドンによる保険リスク評価が機能不全のままであることも示しています。
もしこれから、イランとアメリカがグルになって、両国が裏でOKを出した船しか出せない、ブラックボックスのような状況が続けば、アメリカの護衛付きの保険でしか通れなっていきますので、ロンドンの海上保険を乗っ取れるかもしれません。

2つ目は、代替ルートの開拓と石油価格の引き下げです。
今回のホルムズ海峡の封鎖によって、日本も含めて、世界経済に大きな影響が出ています。そして、各国、各企業が、これをなんとかするために、あれこれと動き始めています。
例えば、イラクでは、ホルムズ海峡が封鎖されたことで、隣のシリアやトルコ、ヨルダンなどのパイプラインの建設工事が再開したり、延伸工事も始まっています。
パイプラインは、近隣国との関係がうまくいかないと機能しないので、協力関係が生まれますし、ホルムズ海峡リスクを分散させる効果もあります。

また、今回の海峡封鎖で原油収入が止まってしまった産油国のうち、アラブ首長国連邦UAEは、OPECを脱退しました。
そして、アブダビ国営石油会社は、今後550億ドルを2028年までに投資することを発表しました。
これまでOPECは、供給量をコントロールすることで原油価格を高めにコントロールしてきましたが、UAEがその流れを壊そうとしているのです。
UAEは、イスラエルとも仲が良く、産油国の中でも、トランプ政権に近い国です。石油価格が高い状況は、自国を有利にする一方で、他の国がエネルギー代が負担になって豊かになれませんから、そろそろ価格を引き下げていかないと、アメリカの製造業が復活しないし、第三世界の経済成長にも繋がりません。
昨年5月にトランプは中東訪問をした際に、UAEとの投資協定を結びましたが、その時に、AIデータセンターや半導体、エネルギー、バイオテクノロジーなどなど、多くの米国企業への投資を許可しています。
UAEも、通帳の残高が増えるだけよりかは、アメリカの先端技術を導入して、自国の産業力を向上させた方がいいという判断なのでしょう。
3、なんで今、新しい作戦やるの?
このように、イラン戦争をグダグダと長引かせることも、それなりの目的があると思われるトランプ政権の動きなのですが、今回、新たに立ち上げたプロジェクト・フリーダムには、どんな狙いがあるのでしょうか?
私が思うに、これも2つあります。

1つ目は、大統領権限での戦争が60日間と決まっているため、議会承認を受けずに、全力でイランをぶん殴れる体制を作り直したかった、ということです。
2月28日から始まったイラン戦争ですが、5月1日以降の戦争継続には、議会の承認がいるというのが、アメリカという国の建て付けとなっています。
しかし、トランプはもう戦闘状態は終わったから、議会承認を受ける必要はないと突っぱねています。
今回のプロジェクト・フリーダムも、あくまでホルムズ海峡封鎖で、ペルシャ湾内に閉じ込められているタンカーを救出するためのものであり、イランに戦争を仕掛けるものではないと説明しています。
ところが、この作戦が始まった途端に、イランも米軍も抗戦状態に入りました。
すぐに収まったものの、これって戦争ですよね?という記者の質問には、ミニ戦争なので、ノーカウントだ!まだ停戦中なんだ!と答え、
じゃあ停戦が解除されるのは、どう言った状態なんですか?と聞けば、それはトランプの胸の内にあるという、訳のわからない状態となっています。
ただ、今回の作戦を始めるために、誘導ミサイル駆逐艦や100機以上の戦闘機、無人の船やドローン、そして1.5万人の兵士などが追加されましたので、
米軍から大規模な攻撃は仕掛けることはなさそうではありますが、イランが舐めたことをやってきたら、いつでもブチギレてぶん殴りにいく体制を整えたと言えるでしょう。

2つ目は、中国への脅しです。
5/14、15日に、米中首脳会談が行われる予定ですが、中国が話したい議題は、
「台湾有事とか言って、戦争を煽るな!」ということだと言われています。
しかし、今回のプロジェクト・フリーダムは、無人ドローンやら戦闘機、艦隊などをたくさん集めて、どこまでやるのか分かりませんが、ホルムズ海峡周辺での軍事活動も行われると予想されます。
すでに、2隻のアメリカ船籍がホルムズ海峡を通過したと発表していますが、この通過に伴って、米軍による誘導作業が行われたようです。
なので、ここである程度、ドローンを使った連携攻撃などができるようになれば、それは台湾海峡にも使えるということを示すことになります。
ホルムズ海峡は幅が、狭いところだと30~50kmほどなのに対して、台湾海峡は130kmぐらいとのことなので、台湾海峡の方が広いですが、台湾の人々を守るために、システムを売り込むことで、中国を挑発することが可能になります。
こんな感じで、中国の嫌がることをわざとやって、中国にイランの面倒を見させるとか、そういう交渉材料にしようとしているのではないでしょうか?
実際、ベッセント財務長官は、中国に対して、ホルムズ海峡の再開に向けて、外交努力をしてほしいと求めているようです。
すでにアメリカがイラン船籍のタンカーを封鎖しているので、中国からの経済的な支援はかなり減っていると思いますが、例えば、現政権に降りてもらうように圧力をかけろとか、そういうことを言ってるのではないかと思います。
ベッセント氏は、今年は4回の米中首脳会談を予定していると言ってたので、今回で決まることはないかもしれませんが、夏に習近平氏が訪米する予定とのことですので、これから3、4ヶ月かけて、話を詰めていくのかもしれませんね。
ということで、今回は、トランプによるプロジェクト・フリーダムが、どんな展開になりそうなのか?について、あれこれ考察してみました。
来週の米中首脳会談までは、こんな感じで様子見の状況が続くのではないかと思いますが、陸上戦を視野に入れた空挺部隊も、今回の援軍には含まれているということなので、それ以降にまたドンパチが始まる可能性もありそうです。
イラン戦争については、今後も追いかけていきたいと思います





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