ウッドショックはいつまで続くのか?家を建てる時の注意点 | イエ&ライフ

ウッドショックはいつまで続くのか?家を建てる時の注意点

木材 コラム

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2022年7月17日に、大手住宅メーカーのダイワハウスが、戸建て住宅の再値上げを発表しました。

(参考:日経新聞「大和ハウス、住宅再値上げ 10月にも」)

21年3月から始まったウッドショック(世界的な木材価格の高騰)ですが、1年以上経った現在も、まだまだ値下がりをする気配は見られていません。

 

この記事では、ウッドショックの現状と、今後の予想について解説していきます。

 

1、ウッドショック以降の木材価格の現状

まずは、国内で流通している木材価格の現状を確認してみましょう。

2021年3月ごろから上昇し始めた木材製品の価格は、21年10月ぐらいまで急上昇した後、上昇の幅は緩やかになってはいるものの、依然として価格は上昇傾向にあります。

 

木材製品の国内企業物価指数

(参考:日銀)

 

このように、どんどん上昇している傾向は変わっていないため、ダイワハウスでも10月からの値上げを発表したわけですね。

 

なぜウッドショックが起こったのか?

そもそも、21年3月にウッドショックが起こったのは、アメリカの木材価格の急上昇を受けてのことでした。

 

アメリカの木材先物価格

(参考:Investing.cm)

 

背景にあったのは、新型コロナウイルスの感染拡大によって、都市部から郊外へ移住する人が増え、住宅需要が急激に増えたためです。

また、アメリカではコロナ以降の失業手当がかなり手厚く、州にもよりますが、1ヶ月で30〜40万円の失業手当をもらえる人が増えたため、そのお金が、いろいろな分野に流れた時期でもありました。

 

日本でもコロナ以降、自宅で過ごす時間が増えたことで、テレワーク関係の機材が売れましたが、アメリカでも自宅をより快適に過ごしたいというニースが増え、リフォームによる木材需要が増えたのです。

 

このような急激な需要の増加によって、木材価格も急騰し、価格上昇のきっかけを作ったわけです。

 

なぜ、木材価格が下落しても、上昇が続いているのか?

ですが、上のチャートを見てもらうとわかるように、一時期は大きく上昇していたものの、その後は落ち着いていますよね。

なのに、木材価格の上昇が止まらないのは、大きく2つの理由があります。

 

①新型コロナで世界的に物流が停滞

1つ目は、新型コロナで港湾労働者が減ったため、荷物を運んでも荷下ろしに時間がかかるようになったためです。

例えば、ロサンゼルス港では、荷物を積んだコンテナ船が荷物を下ろせなくて、一時期は100隻以上の船が並び、2週間以上も待たされることもありました。

(参考:ブルームバーグ「米西海岸でコンテナ船ラッシュ続く、入港待ち時間平均16.9日に延びる」)

 

2022年7月現在、20隻程度まで減ってはいるものの、まだまだ解消される見通しは立っていません。

 

また、中国でも今年5月まで、上海ロックダウンの影響もあって、上海周辺の港で働く人が減ってしまい、物流が停滞していましたし、ロシアがウクライナへ侵攻したことで、世界中の貿易が混乱したままの状態なのです。

 

日本の海運大手3社が、船賃の上昇を受けて、業績を上方修正

このような状況を受けて、日本の大手海運3社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)が、7月21日に業績の上方修正を行いました。

いずれも当初よりも1.5倍以上の利益予想となることから、当分の間は、船賃も高止まりすると見通しているのでしょう。

 

大手3社の営業利益(本業の儲け)の見通し

(単位:億円)

  22年4〜9月 22年4〜3月
  修正前 修正後 修正前 修正後
日本郵船 970 1,500 1,870 2,500
商船三井 300 470 460 700
川崎汽船 250 390 410 570

 

日本の海運会社の業績が急激に上昇してきたのは、まさに今回起こったウッドショック以降です。

世界的な木材価格の上昇も、もちろん影響がありますが、それ以上に輸送コストの増加が、国内の木材価格を押し上げてきたと考えられます。

 

大手海運3社の営業利益

(参考:各社HPの決算資料より)

 

②円安が止まらない

さらに、円安が進んでいることも、輸入価格の上昇につながっています。

7月には一時は1ドル139円をつけ、98年以来の水準にまで来ました。これほど円安が進めば、輸入品の価格にも影響が出ます。

木材価格のここ数ヶ月の上昇は、むしろ円安による影響が大きいと考えられます。

 

円ドル相場

(参考:yahoo finance)

 

では、なぜこれほど急激に円安に進んでいるのでしょうか?

その理由は、世界各国の利上げの動きです。

 

米国債と円ドル相場

(参考:FRByahoo finance

 

7月25日現在、アメリカの10年国債の金利は2.9%台で推移していますが、一時は3.3%台にまで上昇していました。

それに対して、日本はゼロ金利のままですから、日本円をドルに替えて、米国債へと投資をする動きが出ているのでしょう。

 

さらにアメリカでは、これから1年で5〜7回は金利を引き上げると予想されていますので、さらに米国債の魅力が高まります。

(参考:JETRO 「米FRB、政策金利0.25ポイント引き上げ、2022年利上げは7回見込み、前回3回見込みから大幅増」)

 

その一方で、日本では金利を引き上げる動きはありません。

日銀の黒田総裁は3月下旬から、10年国債が0.25%以上に上がらないように、それよりも安い水準で市場に出ている全ての国債を買い上げを開始しています。

(NHK:日銀 国債無制限買い入れ実施 あすから初の「連続指値オペ」へ)

 

つまり、日本はゼロ金利が続くと分かっているため、投資家は安心をして高い金利の米国債へと投資を行うことができるわけです。

その結果、アメリカの金利が上がるのに合わせて、円安もどんどん進んでいると考えられます。

 

2、家を建てる場合の注意点

当初は、アメリカの需要が急激に増えたことによる木材価格の上昇でしたが、ロシアのウクライナ侵攻や、新型コロナによるロックダウンの動きなどもあって、どれか1つが解消したら、問題が落ち着くという状況にはありません。

 

また、注文住宅の契約を行う際には、「もし、木材価格が上昇した場合には、仕入れのために追加料金をいただきます」という内容のオプション契約がついてくるケースが増えているようです。

 

そのため、これから住宅購入を検討しているのであれば、「今後も木材価格は上昇する」というつもりで、計画を立てた方がいいでしょう。

 

①安く土地を仕入れる→未公開物件が狙い目

ですが、なるべく総費用を安くしたいですよね。

その1つの方法として、未公開物件を探すという方法があります。

 

不動産を売る理由はさまざまですが、「周りに知られずに売却したい」という売主は一定の割合でいます。

そのような物件は、ネット上にも出回らず「未公開物件」として、ある特定の不動産会社が取り扱っている場合があります。

 

未公開物件

 

当然、このような物件は少ないお客さんにしか目にとまる機会がないため、相場よりも価格の安い可能性が高いです。

 

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②安いメーカーを探す方法

もう1つは、実際に住宅メーカーや工務店に、建築費用の見積もりを取ってみることです。

ウッドショックで木材価格は上昇しているものの、メーカーによって仕入れ先が違うため、価格上昇の影響を受けにくい会社もありますからね。

 

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この記事を書いた人
ゴトウ

証券会社で12年間勤務。営業と店舗マーケティングに従事後、2018年から当サイト「イエ&ライフ」を運営しています。

不動産価格の動きの理解や今後の予想は、金融マーケットの知識があると理解しやすいため、読者のお役に立てるのではないかと、サイトを運営しています。

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