【1ドル120円シナリオ2025年7月】7月崩壊の予言、ハズレる説 | イエ&ライフ

【1ドル120円シナリオ2025年7月】7月崩壊の予言、ハズレる説

youtube原稿

今回の動画では、「1ドル120円シナリオ第9回目。7月崩壊の予言、ハズレる説」ということで、やっていきたいと思います。

 

1、はじめに

昨年11月から月1ペースで解説を続けている、1ドル120円シナリオの検証シリーズの9回目で、今回は2025年7月版になります。

 

(参考:Google Finance)

 

始めた当初は、154円ぐらいでしたので、8円ほど円高ドル安に進んできています。

この動画を作っている7月11日現在で、ドル円は147円前後となっており、先月から比べても、3~4円ぐらい円安となっていますが、ほとんど横ばいといった感じです。

 

今月7月9日には、トランプ相互関税の一時停止期限も切れて、本格的に荒れると予想していましたが、今のところ、そういう動きはなさそうです。

そこで、今回の動画では、相互関税の今後の行方や、BRICSサミットの内容など、いろいろと整理していきながら、ドル円相場のシナリオに修正が必要なのかどうかについて、考察していきます。

それでは、参りましょう。

 

2、1ドル120円シナリオの根拠

毎回見ている方には申し訳ないのですが、まず最初に、私が以前から1ドル120円まで円高になると言っている理由について、簡単に説明したいと思います。

4月の相互関税が本気だったことによって、気づく人が増えてきたのではないかと思いますが、トランプ政権は、米ドルを中心とした、これまでの基軸通貨システムを止めようとしています。

 

(参考:Visual Capitalist)

 

この基軸通貨システムとは、簡単にいうと、「アメリカはドルという紙切れをくれてやるから、他の国は、俺様に色々な商品やサービスを売り込みに来い」というシステムのことです。

一見すると、アメリカにとってメリットが多そうに見えますが、デメリットも結構あります。それは、金融業などの一部の業種では、儲かるものの、他の国と競合状態になる製造業では、どんどん衰退してしまうということです。

 

その結果、どうなっているのかというと、いざという時に薬も車も、武器、弾薬も作れない、ポンコツの国になりつつあります。

2002年から2022年までの20年間で、アメリカでは45,000社以上の製造業の会社がなくなりました。

 

増えた業種は、酒、タバコ、食品、そして化学の3業種だけで、PCや電子部品、自動車部品などの、高付加価値の製造業は軒並み減少しているのです。

なので、もしこれからリーマンショックのような金融危機が起こったりしたら、お店の棚から商品が消えて、生活が成り立たなくなる可能性すらあるのです。

 

(参考:AEI)

 

しかも、軍事力でも中国に勝てるかどうか、怪しいところまで来ています。

2023年にシンクタンクが出したレポートでは、戦艦や兵器の製造能力、資源の生産量、ミサイル、AIなど、けっこうヤバめの分野で中国に負けていると分析されています。

そのため、軍事的にも経済的にも、アメリカを復活させるには、国内の製造業を復活させる必要があります。

今までアメリカにどんどん輸出してきた国との貿易を減らして、アメリカ国内に工場を作らせなければいけません。

 

だからこそ、トランプ政権は、相互関税を発動したのです。

「アメリカで商売したいなら、アメリカの工場を作れ」「関税を下げて欲しいなら、輸出に有利な通貨安政策をやめろ、日本は円安政策をやめろ」というわけですね。

そのため、日本も含めた世界各国は、アメリカの要請を受けて、1985年のプラザ合意のような、ドル売り、円買い介入を行うため、円高へ進むのではないか?というのが、私が1ドル120円ぐらいには行くのではないか?と考えている理由となります。

 

3、今回は反省会

では、ここからが今月の動画の本題です。

今回の話は、簡単に言うと、私の予想が今のところ外れていることの反省会と、シナリオの修正です。

以前の動画でも、注目していたのが、今月の相互関税の一時停止が終わる7月9日前後のタイミングでした。

 

(参考:ピクテ)

 

この頃までに、各国はアメリカと貿易関係の話だけでなく、円買い介入をして円高に誘導しろとか、米国債をもっと買えとか、そういう話の決着をつけると予想していたからです。

しかも、その前々日には、BRICSサミットがありました。

4月の相互関税宣言以降、トランプ政権は、5月に訪米した南アフリカのラマポーザ大統領に対して、「お前らの国は、白人を差別するひでえ国だから、仲良くするつもりはねえな」みたいなことを報道陣の前で、トランプ氏はやり始めました。

 

(参考:BBC)

 

スクリーンに白人差別をしている黒人政治家の動画を流したり、WEB記事のコピーを何十枚ととって、それを見せたりと、かなりの念の入りようでした。

こんな目にあったら、普通はもうアメリカなんかに近づきたくないと思うでしょう。

 

また、中国は中国で、ASEANと中東諸国を集めて、サミットをやるなど、脱アメリカを見据えた動きをしていました。

なので、BRICS諸国が団結して、アメリカに対して絶縁宣言ぐらいするのではないか?と期待していたのです。

 

ところが、今回14カ国に新たな関税内容の通知がされましたが、その内容を見ると、カンボジアやラオスなどの、一部の国では、大きく関税率が引き下げられていますが、日本も含めた、それ以外の国では、ほとんど変わっていませんでした。

関税を下げることを条件に、円買い介入をするなどの交渉をしていたと思っていたのに、むしろ1%関税が上がってます。これでは、円買い介入をする必要もないし、何の進展も期待できそうにありません。

 

(参考:ピクテ)

 

さらに、BRICSサミットの方も、習近平主席は欠席するなど、アメリカを挑発することはせず、これまで通り、仲良くやっていこうね、という感じの、大人な対応で終わりました。

なので、為替市場を見ると、日本円や韓国ウォンなど、今回発表があった国の通貨は、とりあえずのところ、ドルに対して小幅で安くなっています。

 

 

私は7月に円高くるぞ!と予想してきましたが、今のところ、ナーンの動きもありませんね。ノストラダムスの大予言も、私が見た未来という漫画も、私のドル円崩壊シナリオも、全部7月という予想でしたが、全部外れてますね。

7月の予言は、当てにならないようなので、皆さんも気をつけてください。

 

4、次のシナリオは、2段階作戦

では、今回のトランプ政権の動きは、どのようなシナリオが考えられるのでしょうか?

私ももう一度、じっくりと考え直してみたのですが、もしかしたら、2段階作戦になっているのではないか?と言うのが、今のところの結論です。

 

具体的には、

第1段階は、各国の関税を引き上げること、そして、BRICS諸国とアメリカを切り離すことで、アメリカと貿易する国を絞ること

第2段階は、貿易相手国を絞った上で、為替介入をさせること

の2段階作戦です。

 

 

と言うのも、1985年のプラザ合意では、当時の先進5か国(日本、アメリカ、フランス、イギリス、西ドイツ)による、協調介入だったわけですが、当時と比べると、アメリカとの貿易相手国は、当時よりも格段と増えているからです。

しかも、一番アメリカが貿易を抑えたい中国は、ベトナムやメキシコなどに工場を移転させて、迂回取引をしています。

 

(参考:日経新聞)

 

なので、協調介入をさせても、それに参加しない国が抜け道になって、アメリカへの輸出が止まらない可能性が十分にあるんですね。

そのため、まずは、中国の迂回取引をさせないように、BRICS諸国、途上国との取引をかなり制限しようとしているのではないでしょうか?

 

そう考えると、最近のアメリカの各国との貿易交渉でやっていることにも、ガッテンが行きます。

いくつか例を挙げます

 

①ベトナム

(参考:ダイヤモンド・オンライン)

 

・ベトナムとの貿易交渉では、関税は20%に決まったが、中国からの迂回取引に当たるものについては、40%と設定することで、中国経由のものをストップさせた

 

②ロシア

(参考:朝日新聞)

 

・ロシアと仲が悪くなったと演出して、経済制裁をかけると発言しているが、これも中国とロシアは仲が良いので、迂回取引に使われないように、わざと関係悪化を維持している

 

③ブラジル

(参考:BBC)

 

・BRICSサミット後に、議長国のブラジルに対して、4月時点では10%と言っていた関税を50%に引き上げた。これによって、ブラジルは、完全にBRICS経済圏へ舵を切らざるを得なくなってきた

 

④BRICS諸国

(参考:Business Insider)

 

・BRICS加盟国に対して、10%の追加関税をかけるとも発言している。これによって、BRICS加盟国は、さらに脱アメリカ、脱ドルに舵を切らざるを得なくなっている

と捉えることができますね。

 

このような準備が整った上で、2段階目として、協調介入に応じてくれる国に為替介入をさせるのではないでしょうか。

中国やインド、日本、韓国、EU、カナダ、オーストラリアなどの、かなり貿易相手国が絞った上で、これらの国との協調介入を行えば、世界におけるドルレートの修正がうまくいくと考えているのではないかと思います。

 

 

もし、この見立てが正しいとすると、トランプ政権はこれからも、「そうだ。京都行こう」みたいなフワッとしたノリで、いろいろな国に追加関税をかけようとするでしょう。

その理由は、かなりアメリカとの貿易量を減らすことと、中国やグローバル企業による迂回取引をやめさせて、アメリカ国内に産業を戻さざるを得ない状況へと追い込むためです。

 

(参考:Politico)

 

なお、今回の関税引き上げによって、トランプ政権は年間3,000億ドル、約50兆円の関税収入が入ってくると試算されています。

選挙時の公約では、関税収入で製造業の復活のための公共事業やインフラ整備に充てると行っていましたので、「どうだ。奴らから、関税でこれだけ取ってきてやったぞ。みんなに分けてやるからな」という政治的なアピールにも使えますから、もしかしたら、為替介入は数ヶ月とか1年ぐらい先になる可能性はありそうですね。

 

こんなことを言うと、このチャンネルで以前の予想動画を見ていた人から「そんな単純なことなら、なんで気づかなかったんだよ」と突っ込まれそうです。

本当、そんな気がしてきます。

 

(参考:日経新聞)

 

一応、言い訳を言わせてもらうと、5月1日に行われた米国と台湾との貿易交渉で、台湾ドルが2日で6%以上も台湾ドル高になったことが、大きかったです。

これで、アメリカは台湾に対して、ドル安政策を要求していると言うことがわかったので、日本や他の国にもやってくるだろうと確信してしまったのです。

 

5、なぜ、アメリカは、こんな面倒くさいことをしたのか?

とまあ、言い訳はここまでにして、問題は、なぜ始めから関税を引き上げることが目的だったとしたら、3ヶ月猶予を与えるとか、個別に交渉もOKだとか、そんなことを言ったのでしょうか?

赤澤経済再生担当大臣なんて、何回アメリカに行ったと思ってるんですか?

 

 

あれが全部、始めから下げるつもりがなかったのだとしたら、アメリカは、付き合うつもりがないのに、その気にさせて金を貢がせてたキャバ嬢みたいじゃないですか?

私が思うに、理由は2つあります。

 

①トリプル安でビビった

1つ目は、4月2日のトランプ関税の宣言後に、株価もドル円も、米国債も全部下がってしまったので、慌てて、ちょっとストップと宣言したという可能性です。

 

(参考:日経新聞)

 

それで、3ヶ月ストップして、各国と交渉してまーす。

今回発表しましたけど、始めるのは8月1日からでーす、

まだ交渉の余地もありまーす。

と状況が常に変えられる余地を残しておくことで、マーケット関係者を安心させようとしていたのではないでしょうか?

 

実際、5月末ぐらいには、トランプ氏はTACOと言われていました。

Trump Always Chicken Out の略で、「トランプは必ず逃げる」という意味だそうです。

こう思われたことで、4月頭の暴落以降、株式市場は目立った暴落もなく、どんどん上がっていき、米国債の金利も4.3%台で横ばいとなって落ち着いています。

 

実際には、自動車関税は25%で始まってるし、日本に対して25%の関税が8月1日から始まりますから、自動車は50%もの関税をかけられることになるので、本当はシャレになってない状況です。

しかし、トランプはTACOだ、とバカにされるように見せることで、着々とトランプ政権の当初の目的通りに進めているように見えますね。

 

②ドル離れさせたい

そしてもう1つが、アメリカ、そして米ドルに対する信頼の失墜です。

米ドルは、まだ取引で50%以上も使われる基軸通貨ですから、何もしないでも、ドルを欲しがる国はたくさんあります。

 

 

しかし、こんな感じで、人をバカにしたような貿易交渉をやって、さらに、その日の気分で関税を上げ下げさせられたら、輸出する会社は計画なんて立てられません。

そのため、さらにアメリカとの貿易が減っても大丈夫なように、世界中の国々が脱アメリカへと移っていくので、特にアメリカに本社があるグローバル企業は、アメリカへと工場を移さざるを得なくなるのを狙ったのではないでしょうか?

 

と言うわけで、1ドル120円シナリオは、基本的に変わっていませんが、プラザ合意の時のような円買い介入は、半年とか1年とか、もう少し先になる可能性が高くなってきた感じがします。

8月1日に相互関税が正式に始まりますが、雇用統計とか、金利差とか、これまでドル円相場を動かしてきた、経済指標や金利の方が、影響が大きい時期が続きそうな感じですね。

 

 

ただ、中期的には、ドル円はこんな感じであまり動かないかもしれませんが、イーロン・マスク氏がアメリカ党を結成すると宣言したことで、この数年以内に、トランプ政権が崩壊するシナリオが明らかになってきた感じがします。

これについては、次回の動画で詳しく解説したいと思いますが、中長期的に1ドル120円へ向かうシナリオは変わらないと思っています。

この記事を書いた人
ゴトウ

証券会社で12年間勤務。営業と店舗マーケティングに従事後、2018年から当サイト「イエ&ライフ」を運営しています。

不動産価格の動きの理解や今後の予想は、金融マーケットの知識があると理解しやすいため、読者のお役に立てるのではないかと、サイトを運営しています。

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