新型コロナ禍でも、日経平均株価がバブルになれば不動産価格も上がるのか? | イエ&ライフ

新型コロナ禍でも、日経平均株価がバブルになれば不動産価格も上がるのか?

株式バブルと不動産 コラム

(本ページはプロモーションが含まれています。該当するサービスには、【PR】と表記しております)

 

 

この記事を書いている2020年12月現在、日本の株式市場は、日経平均株価が29年半ぶりの高値を更新する勢いとなっています。

(日経新聞「日経平均続伸、終値2万6537円 29年半ぶり高値更新」)

 

投資家が儲かると、不動産市場にもお金が流れやすくなるので、不動産価格も上がりそうな気もします。

ですが、その一方で、新型コロナの感染者数が増加していることもあって、北海道や首都圏、大阪でも飲食店に自粛要請があるなど、決して景気は回復傾向にあるわけではありませんよね。

 

この現象をどう捉えればいいのでしょうか?そして、これから不動産価格はどのような動きをするのでしょうか?

この記事では、新型コロナ以降の不動産価格と株価の動きを詳しく見ながら、今後の動きについて予想していきたいと思います。

 

1、2020年の日経平均株価と不動産価格の動き

新型コロナによって、日本の株式市場は2月から3月にかけて、大きく下落しました。

1月末には23,000円台をつけていた日経平均株価が、3月末には19,000円を割り、実に2割近い下落をしていたのです。

 

さらに4月には全国的に緊急事態宣言へと突入し、飲食店やホテルなどの観光業はほぼ営業停止、鉄道の利用率も半分以下にまで落ち込みました。

つまり、実体経済においても、かなりの影響が出ていたわけです。

 

このような状況の中で、不動産価格がどういう動きをしていたのでしょうか?

 

日経平均株価と不動産価格指数

(参考:国土交通省 不動産価格指数)

 

ご覧の通り、全国ではほぼ横ばい、東京都内では徐々に下落傾向の動きをしていました。

8月には日経平均株価も1月の水準まで戻していたにもかかわらず、東京都では逆に下落傾向にあったわけですね。

 

(1)幅広い企業で、4〜9月決算が赤字

実際、大企業の4〜9月期決算を見てみると、自動車や電機、ITなどの一部の企業を除いて、売り上げ・利益ともに大幅な減少や赤字に見舞われていました。

 

産業 企業名 4〜9月売上(前年同期比) 損益(億円)
航空 全日空 -72.4% -1,885
鉄道 JR東 -48.2% -2,644
百貨店 三越伊勢丹HD -41.8% -368
飲食 ワタミ -36.8% -72
自動車 トヨタ -26.0% 6,293
電機 日立 -10.9% 2,508

(参考:各社の決算発表資料より)

 

このような状況にあったため、日本国内の経済状況は決して良くはなく、特にこれまで土地価格が大きく上昇してきた東京都では、値下がりしたら買おうという人が増えたのだと思われます。

 

(2)今回の株高の原因は?

このように、足元の経済状況は決して良くはないのに、なぜ株価がこれほど上がっているのでしょうか?

理由は大きく2つあります。それは、

  1. 中央銀行がお金をバンバン刷って国債を買ったので、お金の行き場がなくなった
  2. アメリカのIT企業の業績が絶好調で、アメリカの株価が大きく上昇しているため、投資家が他の国の株も買い始めたから

です。順に解説していきます。

 

①中央銀行がお金をバンバン刷って国債を買ったので、お金の行き場がなくなった

今回のコロナによって、世界中でロックダウンが起こったことで、たくさんの失業者が生まれました。

国が何もせずに、ただロックダウンを国民に押し付ければ、お金がなくなって住むところを失う人も出てきますし、暴動へと発展する可能性もありました。

 

そのため、各国の政府は、失業した人に対して給付金を出しました。日本でも10万円もらいましたよね。

しかし、日本も含めてですが、政府に十分なお金がある国はほとんどありません。そのため、今回の給付金を出すために、政府は借金をしなければいけませんでした。

その政府にお金を貸したのが、各国の中央銀行です。日本で言うところの日銀ですね。

 

アメリカの中央銀行はFRBと言われますが、このFRBがアメリカ政府が発行した国債をバンバン買って行ったわけです。

3月の時点では、国債を最低5,000億ドル(約50兆円)、住宅ローン担保証券を2,000億ドル(20兆円)購入すると発表していました。

 

FRBの資産

(データ出所:FRED Economic Reseach)

 

ところが、実際にFRBの資産残高を調べてみると、3月に比べて290兆円も増えていました。

日本でも同じようなことが起こっていますが、これほど大量に中央銀行が国債を買ってしまうと、金利が下がります。

 

企業や金融機関だったら、なるべく高い金利で買おうとしますが、中央銀行は金利をもらうために国債を買うわけではないので、低い金利でも政府を助けるために、とにかく買いまくってしまうからです。

 

そうするとどうなるかと言うと、それまで国債で運用していた金融機関は、他の運用先を探さなければなりません。

それが回り回って、株式市場にまで流れ込み、株価が上昇してしまったわけですね。

 

②アメリカのIT企業の業績が絶好調で、それが日本にも波及してきた

また、今回の株価上昇では、アメリカの大手IT企業が大きく牽引しました。

高級百貨店や、ショッピングモールに行けなくなったため、代わりに通販で商品を購入する人が増えたためです。

 

そのため、アメリカの株式市場を見てみると、幅広い業種を組み入れたNYダウ30種平均よりも、IT系企業の組み入れの多いナスダック指数の方が、かなり大きく上昇していました。

 

NYダウとナスダック

(データ出所:Investing.com)

 

代表例としては、日本でも展開しているアマゾンがそうですね。今年1月から比べて、6割以上も上昇しました。

また、電気自動車のテスラは、この1年間で株価が6倍以上になりました。このように、IT技術を駆使した企業の業績が伸び、株価も大きく評価されてきたわけです。

 

その結果、日本の株式市場にもお金が流れ込んで、日経平均株価も大きく上昇してきたんですね。

 

2、これからの不動産市場はどうなるのか?

このような動きを受けて、これから日本の不動産市場はどうなるのでしょうか?

薄々感じている方もいるかもしれませんが、仮に株式市場がこのまま上がり続けたとしても、不動産市場にはあまり恩恵がないものと思われます。

 

このサイトでは、都道府県別、市町村別に500以上のエリアの土地価格の動きについて分析してきました。

エリア別に上昇してきた主な理由をまとめると、このようになります。

 

  上昇した主な理由
東京 外国人観光客の増加、大企業の業績好調
埼玉・千葉・神奈川 東京への通勤需要
愛知 トヨタ関連企業の業績好調
大阪 外国人観光客の増加
札幌
福岡
広島 マツダが好調の増加

 

これらを見てもらうとわかりますが、どの地域でも、調子のいい商売があったからこそ、不動産価格も大きく上昇してきたわけです。

ですが、今回の新型コロナによって、外国人観光客はまだ当分戻ってきそうにありませんし、企業の業績についても、良い業種もあれば、悪い業種も混在している状況です。

 

そのため、「多少高くても家を買おう」と言う人の絶対数は、減ってくるでしょう。

今はまだ派遣社員や契約社員をリストラしているだけですが、この状況が長引いてくれば、有望な買い手である正社員にもリストラの波が押し寄せてきますので、時間と共に全体的に下落傾向へと進んでいくものと思われます。

 

株価がバブルになったとしたら?

全体的な傾向としては、この通りなのですが、お金あまりによって、株価がさらに上昇してくる可能性もあります。

その場合にはどうなるでしょうか?

 

通勤需要から都心3区は堅調かもしれない

株価が上昇すると潤うのは、証券会社などの金融機関です。

そのため、金融機関の本社が集中する都心3区への通勤需要から、これらのエリアのマンションは引き続き上昇する可能性はありそうです。

また、都心3区は、投資家によるマンション売買も活発なエリアなため、資金が流入してくる動きも多少は見込めるでしょう。

 

一方で、日本国内にもIT系の企業はたくさんありますが、こちらはリモートワークも可能な業態なため、これまでIT系企業が集中してきた渋谷周辺では、逆にオフィスの解約の動きも出ているようです。

(参考:エコノミスト「「もう渋谷にいる必要がなくなった」スタートアップ企業が続々と渋谷のオフィスから撤退している理由)

 

そのため、渋谷などの西側エリアでは、バブルの恩恵を受けにくいと思われます。

 

3、売るなら?買うなら?

 

買うなら:下落を待つよりも低金利の今がベスト

狙っているエリアの坪単価が高いエリアでは、まだまだ様子見の方がいいかもしれませんが、現時点でも失業するリスクが低いのであれば、購入を検討してもいいかもしれません。

その理由は2つあります。

 

①土地価格の下落分よりも、待っている間の家賃の方が高くつく

例えば、坪50万円ぐらいの土地であれば、30坪でも1,500万円程度で買えます。

仮に数年で1割下げたとして150万円ぐらいしか安くなりませんから、その間の家賃を考えると、早めに買った方がトクになります。

 

②異次元緩和で低金利の今がチャンス

また、現在は住宅ローンがかなり安いため、月々の返済負担が軽いのもチャンスです。

ですから、もし家を買おうと思っているのならば、土地価格が下がるのを待つよりも、金利が上がる前の今のうちに買うのがベストでしょう。

 

ただし、購入を検討する場合には、今後の金利上昇を想定しておかないと大変なことになるので、「フラット35」「10年以上の固定金利」でも返済ができるかどうかで予算を考えるべきでしょう。

 

非公開物件=安い物件

不動産を売る理由はさまざまですが、「周りに知られずに売却したい」という売主は一定の割合でいます。

そのような物件は、ネット上にも出回らず「非公開物件」として、ある特定の不動産会社だけが取り扱っています。

 

非公開物件の実態

 

当然、このような物件は少ないお客さんにしか目にとまる機会がないため、相場よりも価格の安い可能性が高いです。

 

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売るなら:金利が1番低い今がチャンス

アベノミクス以降のこの7年間は金利の低下によって、買い手が月々の返済額を引き上げなくても値上がりした家を買える時期でした。

不動産を売るなら、金利の低い今が1番のチャンスと言えます。

 

特にコロナショックの影響は、長期間になる可能性もあり、景気が悪化するほど買い手が減っていきますので、今のうちに準備をしておいた方が後悔しないはずです。

 

公示地価を信じると損をする?

売却を考える場合に、まず思いつくのが公示地価だと思いますが、公示地価は「その地域の平均的な価格」なため、実際の取引ではこれ以上に高く、または安く取引されることがあります。

 

例えば、「代田(だいた)」という、世田谷代田駅の周辺に広がる住宅地があります。

 

こちらの公示地価と実際の取引を比べてみると、

  • 公示地価:221万円/坪
  • 実際の取引価格:220〜290万円/坪

と、公示地価の約1.0〜1.3倍で取引されていました。

最高価格は、最低価格の1.3倍です。

 

どちらも「第一種低層住居専用地域」と呼ばれる、高層マンションは建てられない、主に戸建てが立ち並ぶエリアです。

駅からの距離は多少違いはありますが、これほどの価格差が考えられるでしょうか?

 

【世田谷区代田の公示地価】

世田谷区の公示地価

  • 世田谷代田駅から850mの距離、徒歩約11分(1分=80m)
  • 670,000円/㎡ × 3.3(㎡/坪) =221万円/坪

(参考:国土交通省地価公示・都道府県地価調査)

 

【世田谷区代田の土地取引】

世田谷区の土地取引

  • 世田谷代田駅から徒歩6〜11分のエリアで、220〜290万円/坪で取引されている
  • この取引情報のアンケート回収率は約2割のため、実際の取引数はこの5倍程度ある

(参考:国土交通省 不動産取引価格情報検索)

 

このような感じで、全国の公示地価と実際の取引を調べてみたのですが、やはり公示地価と実際の取引ではかなりの価格差があることがわかりました。

 

同じ地域なのに、

「公示地価の3割増し、場合によっては2倍以上の価格で取引されている」

といった取引がゴロゴロ見つかったのです。

 

都道府県住所公示地価/坪取引価格/坪公示地価の何倍?
東京都23区千代田区神保町485万円300〜990万円0.62〜2.04倍
東京都23区中央区佃644万円530〜970万円0.82〜1.51倍
東京都23区港区白金台409万円240〜470万円0.59〜1.15倍
東京都23区新宿区下落合189万円190〜280万円1.01〜1.48倍
東京都23区文京区千石241万円85〜350万円0.35〜1.45倍
東京都23区台東区池之端227万円170〜300万円0.75〜1.32倍
東京都23区墨田区東向島111万円150〜290万円1.35〜2.61倍
東京都23区江東区永代179万円300〜390万円1.68〜2.18倍
東京都23区品川区東五反田330万円350〜520万円1.06〜1.58倍
東京都23区目黒区下目黒229万円200〜370万円0.87〜1.62倍
東京都23区大田区久ヶ原173万円110〜220万円0.64〜1.27倍
東京都23区世田谷区代沢228万円200〜310万円0.88〜1.36倍
東京都23区中野区東中野187万円220〜310万円1.18〜1.66倍
東京都23区杉並区松庵170万円200〜270万円1.18〜1.59倍
東京都23区豊島区千川195万円210〜290万円1.08〜1.49倍
東京都23区北区西ヶ原151万円48〜300万円0.32〜1.99倍
東京都23区荒川区西日暮里190万円220〜360万円1.16〜1.89倍
東京都23区板橋区高島平108万円96〜140万円0.89〜1.3倍
東京都23区練馬区石神井町132万円94〜160万円0.71〜1.21倍
東京都23区足立区谷中99万円140〜170万円1.41〜1.72倍
東京都23区葛飾区西亀有125万円74〜280万円0.59〜2.24倍
東京都23区江戸川区北葛西111万円95〜170万円0.86〜1.53倍

 

つまり、あなたの不動産はもっと高い評価額の可能性があるのです。

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この記事を書いた人
ゴトウ

証券会社で12年間勤務。営業と店舗マーケティングに従事後、2018年から当サイト「イエ&ライフ」を運営しています。

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