この記事では、「ポリコレ企業の末路」ということで、海外のポリコレに染まった企業の業績や株価がどうなっているのか?について、解説します。
第2弾の今回は、UBIソフトを取り上げます。
なお、同じ内容で動画も作っています。ざっくり知りたい人は、こちらをどうぞ。
YouTubeでゲーム関連の動画を見ていると、アサシンクリード・シャドウズというゲームが、かなり炎上しています。
奈緒江というくノ一と、弥助という黒人を主人公にしたアクションゲームなのですが、「史実に基づいて作ったゲーム」と謳っておきながら、
- 弥助は伝説の黒人侍として描かれている
- 正方形の畳や、ガードレール、軽トラックがあるなどの、日本のいい加減な戦国時代の描写
- 実在する団体のデザインや、二次利用不可の文化財を無断使用
などなど、日本の文化や人に対する敬意が感じられない内容や対応を行っていることが原因のようです。
そこで、このUBIソフトという会社が、どんな会社なのか。業績や株価、そして、このようなしょうもないゲームを作ることになってしまった理由について、考察していきたいと思います。
1、UBIの株価と業績
(1)UB Iの業績
まずは、UBIの業績についてみていきましょう。
赤色の線画、売上高で、青色の棒が営業利益、つまり、本業での利益です。
売上高は、上昇傾向にあり、2023年に23億ユーロということなので、約3,700億円ぐらいの規模の会社です。
日本ですと、スクエアエニックスあたりが、同じぐらいの規模の会社になりますね。
一方で、営業利益については、たびたび赤字が出ています。
特に、2022年は、600億ユーロ、約1,000億円の赤字を出しています。
人気ゲームの新作タイトルの発売時期によって、売り上げや利益がずれ込んだりするため、かなり浮き沈みが激しい感じですね。
そのため、営業利益については、ほぼ横ばいのような状況だと言えるでしょう。
(2)UBIの株価
このような業績なわけですが、株価はどうなっているのでしょうか?
実は、2021年1月に85ドルの高値をつけて以降、なんと5分の1にまで下落しています。
今回のアサシンクリード・シャドウズで炎上したことで、売り上げが立たないとの見方が出ていますが、実はそれ以前から、株価的には、見限られていたんですね。
2、なぜ、アサクリは、これほどポリコレ全振りになったのか?
では、なぜ、アサクリは、これほどポリコレ全振りの、ユーザーから大顰蹙を買うような作品になってしまったのでしょうか?
私の解釈では、大きく3つあります。
(1)アサクリチームが、元々やべー奴らの巣窟
1つ目は、そもそも、アサクリのチーム自体が、かなりヤバい人たちの集まりだったのではないか?という可能性です。
アサシンクリードというゲームタイトルは、2007年に初タイトルが出て以降、これまで本編だけで13タイトルが発売されている、かなりの人気作です。
スピンオフも含めると、20作品以上にもなります。
日本で言えば、ファイナルファンタジーやドラゴンクエストみたいな、感じでしょうか。
これほど長期のタイトルになると、プロデューサーなどの責任者の権力が強くなり、王様状態になってしまいがちです。
実際、2020年には、アサシンクリードの責任者であるトミー・フランソワ氏がセクハラで退社しています。その後、23年には、この件で逮捕までされています。
フランソワ氏以外にも、アサシンクリードに関わっていたプロデューサーやクリエイターが、何人も退社させられています。
そして、今回のシャドウズを率いているジョナサン・デュモント氏も、以前からのセクハラやパワハラに関わっていた人ということで、多くのUBIの社員が辞めてしまったそうです。
アサシンクリードシリーズは、カナダのケベック州モントリオール?のスタジオが中心となって制作をしています。
カナダの人口は約4,000万人、そしてモントリオールの人口は約180万人ですから、札幌市や福岡市ぐらいの規模感です。
このぐらいの規模感の都市で、優秀な人材が何人もやめたら、次の人材が見つけることは、なかなか難しいのではないでしょうか。
今回のアサクリの炎上の中では、「本当にこれ、ちゃんと調べてるの?」という杜撰なゲーム作りも話題となっていますが、もしかしたら、このように優秀な人がどんどんUBIから出ていっているため、起こっている可能性はありそうです。
(2)投資ファンドのポリコレ圧力
2つ目は、投資ファンドによるポリコレ圧力です。
現在、企業の資金調達において、ESGスコアを活用した債券発行や銀行融資などが増加しています。
ESGスコアとは、(環境、社会、企業統治)の頭文字からとった造語で、①環境的にも、②社会的にも、そして、③働く従業員にとっても、いい会社なのか?という観点から、採点された得点のことを指します。
このスコアが高いと、銀行や投資ファンドから、有利な条件でお金を借りられたり、ファンドに組み込んでもらえることで、株価が安定するといったメリットがあります。
例えば、UBIは、100点満点中、68点のESGスコアとなっています。
ちなみに、スクエニは38点、バンダイナムコは68点でした。
株式市場に上場している、そこそこ大きな企業であれば、ESGスコアを取得しているのではないでしょうか。
そして、このESGスコアが高ければ高いほど、有利な条件でお金を借りられたりするわけですが、スコアを上げる条件の1つとして、ポリコレが関わっているのです。
こちらの記事は、フォックスニュースという、アメリカの保守系メディアのもので、「ワールド・オブ・ウォークラフト」の元チームリーダーである、マーク・カーン氏が、ゲーム業界とポリコレの関係について語っています。
*元記事は英文です。Google翻訳後の画像を載せています
カーン氏によると、このESGスコアを上げるために、スイートベイビーといった、ポリコレのコンサルタント会社と企業が契約し、ポリコレに沿ったゲームを作る必要があったというのです。
このように、ESGスコアが上がることで、ファンドからの融資や債券の発行、銀行からの融資において、有利な条件を獲得することができた、というわけですね。
そのため、UBIソフトは、このスコアを上げるために、アサシンクリード・シャドウズで、あえて黒人を主人公に持ってきた可能性が高いと考えられます。
(3)欧米メディアのポリコレ圧力がひどい
3つ目が、特に欧米のゲーム業界においては、ポリコレ圧力に屈してしまいやすい、ビジネス環境だ、ということです。
いくら、ポリコレのコンサルが好きそうなゲームを作っても、売れなければ、会社が傾いてしまいますから、まともな経営者であれば、そんな博打はやらなそうなものです。
ところが、つい最近、バンダイナムコが、これからのゲームにポリコレの要素を入れるつもりだ、みたいなことを言っている記事が出ていました。
ゲーム業界にポリコレを入れても、売れないんだから、やめるべきだ、という話にはなっておらず、むしろ進んで、ポリコレに入っていく自滅企業が増えているのです。
なぜなのでしょうか?
その理由は、特に欧米では、メディアを含めた、ポリコレ礼賛企業が多いため、そこで叩かれることを怖がっている企業が多いからでしょう。
例えば、最近だと、ポリコレのコンサル契約を断った企業に対して、ゲームメディアが「差別的なゲームだ」といった形で、批判を繰り返しているというニュースがありました。
このコンサル企業はどこか明らかにされてはいませんが、その契約料は10億円とも言われており、それを拒否したゲーム会社が、その後にゲームメディアから、辛辣な批判を受けていました。
また、発売後には、ゲームのレビューサイトを見ても、「登場人物に多様性が足りない」と言った批判から、低い点数をつけるレビューが散見されました。
1つ1つのレビューを見ず、ざっくりと点数だけを見て判断する人であれば、「そこそこのゲームなんだな」と思ってしまうかもしれません。
例えるならば、「ラーメン評論家にお金を渡さないと、いい点数がつかない、グルメサイト」とか、「みかじめ料を払わないと嫌がらせをしてくる怖いお兄さんたちがいる商店街」のような、そんな状況に、ゲーム業界が陥っているんですね。
まとめ
というわけで、UBIがなぜ、これほど酷いポリコレのゲームを作ってしまったのか?というと、
- 開発費の高騰によって、経営的に有利な条件でお金を借りる必要が出てきているため、経営者視点で見ると、ポリコレのコンサルを受けて、ESGスコアを上げるメリットが大きい
- コンサル会社とメディア企業が組んで、ポリコレをしていない企業を叩くようになってきており、ユーザーからの評価よりも、メディアからの風評被害に合わないようにしたくなっている
- 多くの企業では、このポリコレ圧力と、売れるゲームとのバランスを取るために、頑張っているが、以前から続いていたセクハラ、パワハラの不祥事を受けて、多くの優秀な人材が辞めてしまったUBIには、そのようなバランスを取れる人材がいなくなってしまった
いうことではないかと考えられます。
4、UBIがこれからどうなるのか?
では、UBIはこれからどうなるのか?
ということなんですが、おそらく、今後も低迷が続くのではないかと予想されます。
UBIは、中国のゲーム大手のテンセントから、約10%の出資を受けていますが、2030年までは、出資比率を引き上げない、という契約のようですので、買収される可能性も少ないですし、このままの状況が続くと考えられます。
また、欧米のゲームや映画などの、コンテンツ業界におけるポリコレ圧力は、かなり深刻です。
第1弾でディズニーを紹介しましたが、アカデミー賞の受賞基準にも、いろいろな人種や性別などのマイノリティへの配慮が含まれていました。
これによって、いい作品ができるのかといえば、そんなことはなく、優秀かどうかは関係なく、一定割合のマイノリティを採用しなければいけないため、人件費が増えるし、作品の質が落ちてしまって大混乱、という映画やドラマが増えています。
UBIも、おそらく、このような罠から抜け出せない状況にあると考えられますので、ユーザーが評価するようなゲームを作ることは難しいだろうと思います。
一方で、中国や韓国のゲームスタジオでは、このようなポリコレ圧力に屈さずに、我が道をいくようなゲームがいくつも作られています。
これらのスタジオは、中国や韓国、日本などのユーザーが、そのようなものを求めていないことを知っているため、欧米からの批判にも、あまり気にせずに展開できているのでしょう。
逆に、日本のゲームメーカーは、欧米への展開を考えているところが多いからか、これらのポリコレ圧力を受け入れているところが多いですが、あまりに酷い対応を行えば、日本のユーザーも離れてしまう可能性がありそうです。
コメント