この記事では、「ポリコレ企業の末路」ということで、海外のポリコレに染まった企業の業績や株価がどうなっているのか?について、解説します。
第1弾の今回は、ディズニーを取り上げます。
なお、動画で見たい方はこちらをどうぞ。
1、そもそもポリコレとは?
今年に入って、新NISAが始まったことで、海外、特に米国株への投資に興味を持つ人が増えていると思います。
特に、Googleやアップル、エヌビディアなどの、ビッグテックの業績が凄まじいので、アメリカ株はこれからも上がりそうだ、と考えている人って、多いと思うんですよね。
ですが、その一方で、アメリカでは今、深刻な対立が起こっています。それが、ポリコレ戦争です。
ポリコレとは、「ポリティカル・コレクトネス」の略称で、「政治的正しさ」などと訳されます。
差別や偏見を悪いものとし、社会的弱者の権利を引き上げて、すべての人が生きやすい世の中を作っていこう、という考えのことです。
ですが、これが行き過ぎることで、反発が起こったりしています。
例えば、最近日本でも広がってきた言葉に、LGBTQがあります。
レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クイアといった、性的嗜好が少数派な人たちのことをまとめたものですが、こういった人たちがもっと生きやすくしていこう、という政策の一環として、渋谷区では、男女の別のない共用トイレが設置されました。
「男性でもなく、女性でもないと感じている人もいるんだから、みんな同じトイレを使ったほうが、平等だ」という考え方から、生まれた政策のようです。
これに対して、「男女の区別がないと、性犯罪が起こる可能性があるし、安心して使えない」という反発が上がって議論となったりしています。
こんな感じで、すべての人を平等に、という考え方に反対する人はいなくても、それを具体的に行動に移したり、表現していく中で、反感を受けてしまう、というケースが、特にアメリカにおいて、たくさん生まれています。
その結果、業績が下がり、株価が暴落してしまっている企業がたくさん出てきています。
このような実態を知らないで、米国株に投資をしてしまうと、いつの間にか、あれよあれよとポリコレ戦争に巻き込まれて、持っている株が半値に、、、なんてリスクがあるのです。
そこで、この記事では、ここ数年でポリコレが原因で暴落してしまったディズニー社をご紹介しながら、「なぜ、こんなことが起こってしまうのか?」「これから投資をする場合には、どこが危なそうか?」などについて、考察していきたいと思います。
それでは、参りましょう。
2、ディズニーの株価と業績
日本では、東京ディズニーランドの熱狂的なファンも多く、オリエンタルランドの業績、株価も好調なので、意外に思うかもしれませんが、本場アメリカのディズニー社の株価は、2021年のピークから、半値にまで落ちています。
その理由は、業績が落ち込んでいるためです。特に動画配信サービスのディズニープラスで赤字が続いていることが、主な原因です。
2019年までは、毎年1兆円以上の利益を出していましたが、ここ4~5年は、利益が3分の1以下になっているのです。
では、なぜ2020年以降、ディズニーの業績が良くないのかというと、ディズニープラスが赤字続きだったからです。
こちらのグラフの緑色の部分が、ディズニープラスを中心とした動画サービスの損益なのですが、つい最近まで赤字がずっと続いていました。
3ヶ月で500~1,000億円ぐらいの赤字が続いていたんですね。
また、赤色の部分が、映画作品の損益ですが、2022~23年にかけて、赤字続きだったことがわかります。
では、なぜディズニープラスで赤字続きなのかというと、ディズニー+用に、独自コンテンツをたくさん作った割に、会員数が伸びていないからです。
例えば、ディズニーのコンテンツにかける予算は、2022年は330億ドル、2023年は270億ドル、2024年は250億ドルと、毎年4~5兆円も使っています。
ところが、会員数は思うように伸びず、ここ2~3年は、約1.5億人で横ばいです。
しかも、制作される映画コンテンツが、ポリコレ要素満載で面白くなく、ほとんど爆死しているため、思ったよりも会員数が伸びていないからです。
例えば、2023年にリトル・マーメイドの実写映画を公開しましたが、この映画の主人公は、黒人女性で、元の作品が白人をベースとしたキャラクターだったこともあって、大荒れとなりました。
こんな感じで、これまで白人の主人公が多めだった状況から、黒人やアジア系など、他の人種の俳優をキャスティングさせることだけでなく、ゲイやレズビアンなどの要素を入れ込むことが増えています。
しかも、全く新しい作品として作るわけではなく、過去に売れた原作やシリーズもので、無理やり入れてしまっているケースが多いため、原作ファンからの反発が大きいようです。
3、なぜ、やめないのか?
では、なぜこれほどやばい状況が続いているのに、ディズニーはポリコレをやめないのでしょうか?
私の解釈では、大きく2つの理由があります。
(1)アメリカのエリートがみんなポリコレ化してる
1つ目は、アメリカ社会の、特にエリート階層における同調圧力です。
北朝鮮からの脱北者で、アメリカのコロンビア大学に留学されたパク・ヨンミさんという方がいますが、彼女の大学時代は、ポリコレの同調圧力が強く、「北朝鮮よりもひどい」ぐらいの思想統制があったといいます。
例えば、「アメリカ人は、黒人を奴隷として使い、ネイティブアメリカンをたくさん虐殺してきた、罪深い存在なのだから、自分たちの文化に誇りを持つなどとは、もっての他だ」みたいな感じですね。
このような考え方を、批判的人種理論と言うそうですが、これがコロンビア大学という、アメリカの東大や京大、早稲田、慶應に当たるような、一流大学で広まっている思想なのです。
パク・ヨンミさんは、2016年にコロンビア大学に入学しています。
この時期に、すでにこのような状態だったのであれば、アメリカの一流大学出身の20~30代の社会人は、これが当たり前だと考えている人が多いと思われます。
トランプ氏が、リベラル系のメディアから散々叩かれていますが、それは、雑誌や新聞社、メディア企業で働くような、頭のいい人たちの多くが、このような思想を持っているからなのでしょう。
「Make America Grate Again」略してMAGAという言葉が、トランプ氏のキャッチフレーズになっていますが、この言葉とトランプ氏がこれほど嫌われるのは、「白人である、自分たちに誇りを持とう」と考えること自体が、エリート大学においては、タブーだからなのでしょう。
ちょっと回り道をしてしまいましたが、このような状況の中で、もしディズニーが、白人が主人公の人魚姫や白雪姫、スターウォーズの新作を作ってしまうと、「ポリコレに染まったエリートが運営する新聞、雑誌、WEBメディアなどから、大批判をうけてしまう」という怖さを感じているのかもしれません。
(2)映画業界もポリコレ化してて、依頼先がほぼ全滅
2つ目が、たくさんコンテンツを作りたくても、映画や動画制作をするスタッフが、やばい人しかない、という問題です。
ディズニーは、2019年ごろから、本格的に動画配信サービスに力を入れ始めましたが、すでに業界トップにネットフリックスがいました。
そのため、ネットフリックスに追いつき、追い越せとばかりに、莫大なコンテンツ関係の予算を投下してきました。毎年4~5兆円規模なのですから、かなりの数のコンテンツを作ることが可能です。
ところが、今の映画業界は、ポリコレの影響で、使えない人材ばかりを採用しなければいけないというのです。
例えば、今年からのアカデミー賞の基準が新しくなりますが、その内容の中には、出演者や監督、脚本家、制作スタッフ、マーケティング担当者などなど、映画の制作に携わる人たちの中に、一定程度のマイノリティの人種、女性、LGBTQの人、障害者などを入れないといけなくなっています。
この発表は2020年にありましたので、その頃から、徐々に製作陣に多様性を盛り込むようになってきたようです。
つまり、ある映画を作るとして、優秀なスタッフを100人使おうと思っても、この基準を満たすために、さらに50人雇う必要があったりするわけです。
さらに、そうやって雇った人にも、仕事を振らなければいけませんので、実力のない人が脚本を作ったり、演技をしたりと、制作に携わってしまうようになってしまったため、お客さんが喜ばない作品が量産されてしまっているというんですね。
この辺りの話は、ぷく太の世界時事ニュースさんが、こちらの動画で詳しく解説されています。興味のある方は、ご覧になってみてください。
というわけで、ディズニーが、ポリコレを続けて、赤字を垂れ流しているのは、
- 学歴の高い人ほど、ポリコレの同調圧力の強い大学時代を過ごしているため、社内の優秀な人の多くが、ポリコレ思想に染まっている
- ハリウッド界隈のような、映画業界でも、ポリコレに則ったルールが強まっており、実力ベースではなく、いろいろな国籍、属性の人を余分に雇わないといけないため、品質が落ちたものしか作れなくなっている
と考えられます。なかなか、根が深い問題だと思います。
4、今後のディズニーについて
では、ディズニー社は、これからどうなっていくのでしょうか?
おそらくですが、この傾向は、変わらないと思われますので、少しずつ衰退していくのではないかと予想されます。
今年の4月に行われた株主総会で、現在の経営体制を批判していた、大株主のネルソン・ペルツ氏が、自分の意見を反映させるために、取締役会に役員を派遣することを認めさせようとしていました。
仮に、これが実現できていれば、現在のディズニープラスのリストラや、ポリコレまみれのコンテンツ制作の体制が変わると予想されていました。
ですが、株主投票の結果は、現在の経営陣の続投を承認するものとなり、ペルツ氏は負けてしまいました。そのため、持ち株を全部売却しています。
これによって、あとはおとなしい株主だけとなりましたので、今まで通りの経営体制が続くと予想されます。
ディズニー社は、映画やディズニープラスだけでなく、ディズニーランドや、ABCというアメリカ有数のテレビ局も持っていますので、よほどのことがなければ、赤字になったりすることもありません。
そのため、コンテンツでは赤字続きでも、倒産することはありませんので、名前は売れてるけれども、収益性の低い会社として、長い間、存続することが可能だと思います。
ただし、テレビ局の収益は、日本のテレビ局もそうですが、ネットサービスに押され気味ですので、少しずつ衰退していくことになるでしょう。
また、米国のテーマパーク事業も来場者が回復しておらず、ディズニープラスの会員数も頭打ちのような状況にあります。
(参考:Wikipedia 「Disneyland」「Walt Disney World」)
そのため、ディズニー社に対する評価は、「ポリコレで客離れが起きてるけど、過去の遺産で食っていけてる、収益性の低い会社」というところに落ち着くのではないでしょうか。
なお、現在のディズニーのPER(株価収益率)は、約35倍であり、配当利回りも1%を割っていますので、成長が期待できない会社だと見られた場合、この株価の評価は、かなり割高に見えるはずですので、もう一段の下落余地はありそうです。
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