今回の動画は、「反ユダヤを煽ってきた英国。シオン議定書を大々的に印刷した英国政府の目的とは?」ということで、やっていきたいと思います。
1、はじめに
ここ最近のうちの動画は、フランス革命やら、世界大戦やらで、イギリスの悪行を暴くことをテーマに出しているのですが、「それってイギリスじゃなくて、ユダヤ人だろ?」みたいなコメントを結構いただいています。
そこで今回は、その辺りについて、ちょっと考察していきたいと思います。

というのも、この動画の2つ前の共産主義の嘘と、3つ前のフランス革命の嘘という動画で参考にした記事のタイトルが、「イギリス人はいかにして共産主義を発明し、そしてそれをユダヤ人のせいにしたか?」というものなのに、まだ「ユダヤ人のせいにした」という部分について、語っていなかったからです。

1つの記事で、3つの動画を作れるという、かなり擦ってる感じはしますが、この部分についての話も、結構興味深いですし、あまり語られていないように思いますので、動画にする価値はあるかなと思いまして、今回やってみたいと思います。
それでは参りましょう。
2、反ユダヤが広まったのは、いつからか?
まず最初に、反ユダヤ主義が広まった時期について、特定していきます。
日本でも、ユダヤ人が世界を支配しようとしているとか、フリーメーソンとか、イルミナティがどうのといった話は、陰謀論界隈、都市伝説界隈で、たびたびネタにされていると思うのですが、この辺の話が広まってきたのは、1920年代でした。

反ユダヤ的な思想を持っている人はそれより以前よりいたようですし、ユダヤ人に対する迫害も以前からあったようですが、世界的に広まってきたのは、この時期です。
というのも、1920年代に入って、「シオン賢者の議定書」という、ユダヤ人が世界征服を企んでいるということを告発した書籍が、英語、ドイツ語など、幅広い言語で出版されたからです。
このシオンの議定書は、作者は不明とされていて、原著も1800年代の後半から1900年代初頭と諸説あるのですが、初めて出版されたのは、1903年のロシア版とのことです。
それで、この本は1920年代に広まったのですが、それは1920年に、英語版やドイツ語版が出版されたためです。

では、この英語版を作ったのは、どこかというと、エア&スポティスウッドという印刷会社なのですが、ここは、欽定訳聖書を印刷している王室御用達の会社なのです。
日本で言うところの、徳間書店や宝島社みたいなところではないのです。岩波書店が出しているような感じでしょうか?
しかも、この英語版の初版は3万部ということで、これは1920年代を代表する小説であるグレート・ギャッツビーの初版を上回るほどの部数となっていました。
つまり、英国政府が、この陰謀論を拡散したくて、大量に印刷して、ばら撒こうとしたのです。

また、この英語版を訳したのは誰かというと、ジョージ・シャンクスとエドワード・G・G・バードンという2人が担当しました。
シャンクスの方は、ロシア人でイギリスに亡命してきた人で、バードンは元英国軍人で、少佐までいった人です。
このバードンは、統一ロシア協会という、なんだか聞いたことがありそうな響きの団体の代表をしていました。
この団体は、英露関係の改善を目的とした団体で、当時ソ連になって英露関係が悪化していた時期だったので、この書籍を英語版で出版することで、当時のユダヤ人がたくさんいて、やりたい放題やっていたソ連のボリシェビキ政権を批判するために、作ったと言われています。

そして、この書籍が出るタイミングで、当時陸軍大臣だったチャーチルが、イラストレーテッド・サンデー・ヘラルドという新聞に、ユダヤ人が世界を支配しようとしているという記事を投稿しました。
抜粋しますと、
「ボリシェビズムの創設とロシア革命の実際の実現において、これらの国際的で、ほとんどが無神論者であるユダヤ人が果たした役割を誇張する必要はない。(中略)指導者の大多数はユダヤ人である」
「人口に占めるユダヤ人革命家の割合を考えると、彼らの破壊活動はロシアだけでなく、ヨーロッパ全土において驚くべきものだ」
以上です。
当時のソ連の首脳陣は、トロツキーを筆頭に、有名な人たちが7人ぐらいユダヤ人でしたので、確かにユダヤ人だらけではありました。
チャーチルは、良いシオニストと、悪いボリシェビキという形で、ユダヤ人にもいい奴と悪い奴がいると言ってはいましたが、抜粋した内容の印象からは、どちらかというと、ユダヤ人のネガキャンに聞こえるような感じですよね。
こんな感じで、1920年以降、多くの新聞がシオン議定書をテーマに連載を行なっていき、広めていったのです。
じゃあ、なぜイギリス政府は、こんな反ユダヤ的なキャンペーンを、書籍や新聞記事などを通じて、大々的にやろうとしたのでしょうか?

これはおそらく、1917年のロシア革命が影響していると思われます。
以前にこちらの動画で詳しく解説しましたが、1917年のロシア革命は、二月革命においては、英国大使のブキャナンが皇室や高級官僚をニコライ二世から離反させてクーデターを成功させて、その後の10月革命では、トロツキーとレーニンを送り込んで、臨時政府をひっくり返すという、二度にわたるクーデターを仕掛けました。
そのため、イギリスの関与がバレバレだったので、ロシアから亡命してきた人たちによって、ロシアはイギリスに仕掛けられてやられた!と話す人が増えたのです。
そのため、イギリス政府は、それを誤魔化すために、
「ロシア革命はユダヤ人のせいだ!」
「あいつらは共産主義者なんだ!」
「世界征服を企んでいるんだ!」
と、大騒ぎすることで、一般市民をそちら側に誘導しようとしたんですね。

では、なんでユダヤ人が目立つのでしょうか?
以前に、東大准教授の鶴見太郎先生の「ユダヤ人の歴史」という本をご紹介したことがありますが、その中で書かれていた内容の中で、関係がありそうだなと思ったことは、
①ユダヤ教では、教会に行くと信者が聖書を朗読する必要があったため、昔から識字率が高く、官僚や商人などの分野で成功する人が多かった
②キリスト教では利息が禁止されていたので、金融業をユダヤ人が担当するようになり、お金持ちが生まれやすかった
③その一方で、住んでる国では少数派だったので、たびたび暴動などで被害にも遭ってきた
などでした。
つまり、頭がいい、根無草な人が、他の人種よりも多いので、利用しやすかった人が多かったのではないかと思います。
もちろん、超大金持ちのビッグネームが何人もいますので、そういう人たちの影響もあったとは思いますが、こういう世界史の表舞台に出てくる、ユダヤ人の割合が多いのは、こういう理由も背景にあるのではないかと思いますね。

それで、他の国はどうかというと、例えば、ドイツでも1920年1月に、「シオン賢者の秘密」というタイトルで出版されているのですが、1938年までに22刷りまで版を重ねており、ドイツ国内でもかなり読まれていたようです。
これは、第一次世界大戦の敗北や、帝政の崩壊によって、誰かをスケープゴートにしたいという雰囲気があって、その矛先としてユダヤ人が標的になりやすかったため、それを補強してくれる、このような書籍が広まったようですね。

また、アメリカでも、フォードモーターの創業者のヘンリー・フォードが、イギリスで出版されたシオンの議定書を読んで、感銘を受け、新聞連載をしてまとめた書籍を「国際ユダヤ人」という名前で出して、これが欧米で50万部も売れました。
これはイギリスが猛プッシュしたわけではありませんし、フォード自身が勝手に感銘を受けて、出したものが広まったものです。
3、なぜ世界的に広まったのか?

では、なぜこれほどフォードのこの国際ユダヤ人が売れたのでしょうか?
その理由は、おそらくですが、つい2年前に終わった第一次世界大戦が、わけのわからない戦争だったと思っていた人が多かったからだと思います。
例えば、
①なぜ、オーストリア帝国の皇太子が暗殺されただけで、世界大戦にまで発展したのか?
②なぜ、勝利国のロシアまで革命で倒れてしまったのか?
③なぜ、英米などの最強国が参戦したロシア内戦で赤軍の方が勝ったのか?
といった、理解に苦しむ疑問に対して、何かしらの答えを求めていた人が多かったのでしょう。
そんな時に、これは「ユダヤ人の陰謀だ」という答えをくれる、フォードの「国際ユダヤ人」に飛びついた人が多かったのだと思います。
私はこのあたりの疑問について、これらの動画で考察しているのですが、まあ、イギリスの裏工作、スパイ工作らしきものが、いっぱいありました。
こういうことは、ネットが発達して、いろいろな情報が調べられる今だからこそ考察したり、点と点を結ぶことができますが、100年以上前の限られた情報媒体の中で、その根拠を探し、考えることは無理だったでしょう。
なので、ユダヤのせい、ということで、受け入れられてしまったのだと思います。

さらにここに、イギリスは悪ノリして、イルミナティとか、フリーメーソンとか、そういう話を乗っけていきました。
ネスタ・ヘレン・ウェブスターというイギリスの作家は、シオンの議定書が出たタイミングで、「ユダヤ人の危機」と題して、オカルトめいた考察へと展開していきました。
しかも、この考察をチャーチルが絶賛したものですから、ユダヤ人悪玉論がさらに信ぴょう性を持つようになりました。
ウェブスターは、どさくさに紛れて、フランス革命もフリーメーソンのせいにしてましたが、以前にフランス革命の嘘という動画で考察した通り、フランス革命もイギリスの関与が濃厚なので、昔からやってきたイギリスの悪事をなんでもユダヤとかフリーメーソンとか、そういう話で隠蔽しようとしたんですね。
というわけで、今回はシオンの議定書を広めたのは、イギリス政府だったということで、反ユダヤすら、イギリスがその着火点だったことを見てきました。
おそらく、そうはいっても、◯◯家とか、そういうところが裏で手を引いてるのは間違いないだろ?と思う人もいるでしょう。
もちろん、その可能性は高いでしょう。
ですが、私たちが思っている以上に、戦前であればイギリス政府が、そして、戦後であれば、英米の政府の貢献度は大きいと思います。
そしてそれを隠すために、陰謀論を広めて有耶無耶にするという手も積極的に使ってきたのだろうと思いますね。

以前にUFOや宇宙人の話が広まったのは、ソ連の核開発を探知するための、米軍の秘密作戦を隠すためだったという動画を出しましたが、これもそうなのでしょう。
私は、都市伝説系の動画は、これまであまり見てこなかったのですが、このような視点で見ていくと、実は都市伝説と言われているものも、どこかの国が何かを隠すために広めてきたネタが、あるような気がしますね。
そういう証拠が見つけられたら、また改めて、動画にしてみたいと思います。







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