今回の動画は、「デスノート化するアメリカ。政府閉鎖で、プロジェクト2025がさらに進みそう」ということで、やっていきたいと思います。
*この記事は、YouTubeで公開した動画の元原稿です。
1、はじめに
10月1日からアメリカでは、政府閉鎖が起こり、公務員はタダ働きか、一時休暇か、首を切られるかのいずれかに追い込まれています。


この動画を作っている10月13日現在で、首を切られる連邦職員は、約4,000人程度ということですが、一時休暇扱いになっている数十万人についても、このまま閉鎖が長引けば、解雇することになるだろうとヴァンス副大統領は警告しています。
今回の政府閉鎖のことの発端は、民主党が不法移民向けの医療保険の補助金を、トランプ政権が入れないと言っているため、予算案に反対の立場を取り続けているからです。
この状況は、約2週間経った今も、全く平行線のままであり、当分続きそうな感じです。これまでの政府閉鎖の最長期間は、第1期トランプ政権の2018年12月の35日間でしたが、それを超えるかもしれませんね。
そして、今回の政府閉鎖をきっかけに、政府職員の首切りだけでなく、民主党が通した事業の補助金を次々と潰しに行っています。
政府閉鎖の翌日2日には、NYの交通インフラへの180億ドルの補助金が停止され、民主党支持州の16州に対する再生エネルギー関係の補助金、約80億ドルも止められました。
政府閉鎖から数日後に、トランプ氏は、予算局長のラッセル・ヴォート氏との打ち合わせをしたという投稿をしましたが、その時に、このヴォート氏を説明するために、プロジェクト2025に携わっていた、ということをあえて付け加えています。


プロジェクト2025とは、保守系シンクタンクのヘリテージ財団が中心となってまとめた提言書で、920ページにもなる計画書です。
この中には、共和党が政権を取ったら、すべきことはこれだということを事細かく書かれており、国務省はこうすべきだ、国防総省はこうだ、というように、各省庁についても、かなり詳しく改革案が述べられていました。
その内容の過激さゆえに、昨年の大統領選挙では、民主党側がトランプ氏を叩く際に、「この計画書に沿ってアメリカを変えようとしている、トランプはとんでもないやつだ!」みたいな感じで、ネガティブ・キャンペーンが貼られていたほどです。
トランプ氏も、選挙中は、この計画書については、全く自分とは関係ない、見たこともないみたいな感じで誤魔化していましたが、今回の政府閉鎖の数日後に、この計画書をあえて持ち出して、リストラ責任者のヴォート氏と話し合うという投稿をしたわけですから、「この計画通りにこれからやっていくぞ」というメッセージを出したとも受け取れると思います。

プロジェクト2025を見ると、その多くが、組織や法律、役人の削減、廃止を行うものです。
昔、日本でもデスノートという漫画、映画が話題となりましたが、そのノートに名前を書かれた人は、死んでしまうという内容のものでした。
そして、プロジェクト2025は、トランプ政権がマジで取り組んでいることから考えても、まさにアメリカ政府版のデスノートと言えるのではないかと思います。
そこで、今回の動画では、このプロジェクト2025で書かれていることは一体何なのか?そして、どんな人たち、組織がこれから犠牲になっていくのか?について考察していきたいと思います。
それでは、参りましょう。
2、プロジェクト2025について
最初にご紹介するのは、プロジェクト2025の進捗を追いかけているWEBサイト「プロジェクト2025トラッカー」です。

このサイトは、900ページ以上あるプロジェクト2025に書かれている提言内容を組織ごと、項目ごとに分類し、それがすでに達成しているのか?途中なのか?未着手なのか?がわかるように整理されています。
318項目あるうち、119項目がすでに終わっており、現在着手しているのが、66項目ということなので、政府閉鎖前から、すでにトランプ政権は半分以上の項目について、取り組んできたことがわかります。
また、途中のものについては、その3、4割ぐらいが、裁判所によって差し止められたものとなっており、民主党系の裁判官の邪魔が入らなければ、この多くが、そのまま進んでいったものと思われます。
このプロジェクト2025については、この計画書以外にも、180日のプレイブックというものもあるらしく、これについては非公開なのですが、就任後180日間で優先して着手すべきことについて、書かれているそうです。
トランプ政権は、1月20日の就任初日から、かなりのハイペースで大統領令やら何やらを出してきて、世界中を引っ掻き回してきましたが、おそらく、この間になされたことの多くが、このプレイブックに書かれていた項目だったと思われます。
プロジェクト2025の内容
では、どんなことが書かれているのか?について、ちょっと見ていきましょう。
こちらは、米国国際開発庁、USAIDについての提言6項目が表示されています。

海外への人道支援を名目に、テロ組織への支援や、海外政府の転覆活動、海外のLGBTQ推進のための費用助成など、世界中に迷惑もかけてきた組織であり、こんなクズみたいな組織はさっさと潰してしまえと、プロジェクト2025でも書かれていたわけですが、見事に6項目を完了し、100%達成と表示されています。
赤い部分で囲まれたところをクリックすると、プロジェクト2025の中で提言されているページを確認できますし、完了している場合は、それが完了したということがわかるメディアの記事も確認することができます。
①すでに完了済みの項目
では、実際にトランプ政権がこれまでやってきたことのうち、どのようなものが、プロジェクト2025に書かれていたのでしょうか?
119項目をざっと見てみた感じ、達成しているのは、相続税などの減税や、不法移民対策、環境関係の補助金の停止、DEI政策の廃止、WHOからの脱退などですね。

USAIDの廃止も入っていましたし、日本でも話題になった、トランプ政権のあれこれの政策の多くが、このプロジェクト2025での提言に沿ったものだということがわかります。
②現在着手している項目
次に、現在進められている66項目についてはどうかというと、環境規制の廃止、連邦職員の労働組合の弱体化、聖域都市という不法移民を匿う街への補助金の停止、そして、日本も大きく振り回されてきた、トランプ相互関税もこの中に入っていました。

現在、中国が交渉中なので、着手中という項目に入っていますが、これらのことも全て、事前に計画していたことだったんですね。
③未着手の項目は、かなり過激な内容
では、まだ手付かずの、残っているものはどういうものでしょうか?
これがなかなか過激な内容です。

例えば、世界銀行やIMFからの離脱や、トランスジェンダーの教育を学校の先生がやったら逮捕するとか、欧州の米軍を縮小とか、そして、FRBの廃止まで入っています。
トランプ政権が、このプロジェクト2025を全て達成することを目的としているのかどうかは、わかりません。
特にFRBの廃止については、日本で言えば、日銀を潰すということなわけですから、それってどういう国の形になるのか?よくわからないものもあります。
ですが、ここにあるものの大半が、何もしていないというわけではなく、外堀を埋めている最中だと捉えられます。
欧州の米軍の縮小については、欧州のNATO諸国にGDPの5%まで軍事費を上げるように約束させてますし、FRBについても、トランプ氏の子飼いのミラン氏が理事に入りましたから、これからいろいろとFRBに手を突っ込んでいくでしょう。

ただ、不法移民を逮捕して、強制送還するために、民主党地盤の大都市への、州兵派遣をトランプ氏は戦争とか、内戦とか言ってきましたが、このような強引な治安維持については、さすがに書かれていませんでした。
また、イスラエルに関することも項目にはなく、外交関係については、今後どのようにやっていくのかは、未知数のところが多いですね。
3、アメリカはどこに向かおうとしているのか?
これらの300以上の項目をざっとみていくと、このプロジェクト2025の目指す、国のあり方の方向性がなんとなく見えてきます。

それを私なりに解釈すると、
・キリスト教国家としての復活
・移民はもういらない
・世界ではなく、アメリカを優先
・小さな政府、補助金とか規制とかは、なるべく減らす
・世界のリーダーとかうざい、だから世界銀行やIMF、WHO、国連などから脱退したい
と言った感じで、アメリカ大陸だけでやってくから、お前らはそれぞれの大陸で、勝手にやってくれ、というモンロー主義を理想としているように思います。
要するに、半分鎖国みたいな、そんな感じですね。
ちなみに、日本に対しては、何を言ってるのか?というと、中国に対抗するために、日本にもっと金を出させるべきだとか、貿易黒字は日本の非関税障壁が原因だとか、すでに今までに言われていたことばかりで、これからさらに新しいことを要求されるようなものはありませんでした。

ここまで見てきたように、このプロジェクト2025は、半分鎖国のような状況へアメリカを持っていくことを目的としていますので、世界戦略がどうのといった、これまでの覇権国アメリカとしての何かを目指すようなものは、ほとんどない印象です。
そして、9月に出された、国防総省、現在は戦争省という名前を使っていますが、ここが出した防衛計画では、アメリカ国内を優先するということで、中国の脅威云々という話は、かなりトーンダウンしています。
なので、現在のトランプ政権の動きは、このプロジェクト2025よりも、さらに内向きになっているような印象を受けますね。
また、それがはっきりと分かってくるのが、今月28日ごろに行われる、高市新総裁とトランプ氏との会談だと思われます。
つい先日、ガザとイスラエルが停戦になって、人質も解放されましたが、もし中東がこれでひと段落つくのであれば、あとはアメリカ大陸に興味関心が絞られてきそうな気がします。
実際、シカゴやポートランドなどの民主党の都市の不法移民や、極左のアメリカ人を捕まえて、ベネズエラにちょっかいを出してなど、軍を使った新たな動きを見ると、アメリカ大陸に集中しているように見えるからです。
なので、日米首脳会談では、
①中東が片付きそうな中、トランプ氏が中国に対して、どのような姿勢で臨むのか?
②日本にどのような貢献を求めるのか?
③そして、高市氏は、5500億ドルの対米投資の見直しをちゃんと提案するのか?
この辺りが、焦点となるのではないでしょうか。
前回の動画では、政府閉鎖のドサクサで、アメリカ国内でリストラやら、大都市への軍の派遣やら、見えないところで暗闇デスマッチが始まったようだと解説しましたが、今後はこのプロジェクト2025の進捗も見ながら、今後のトランプ政権の動きを追いかけていきたいと思います。













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