今回の動画は、「生成AIと心中するアメリカ。株価最高値の裏で進む、リストラ祭りと生成AIの暴走」ということで、やっていきたいと思います。
*この記事は、YouTube動画の元原稿になります。
1、はじめ
日米ともに、株式市場がどんどん上がっていっています。
日経平均は5万円を超え、アメリカのS&P500も6,800ポイントと、いずれも過去最高を更新しています。

中でも凄まじいのが、生成AI用の半導体大手のNVIDIAで、時価総額が5兆ドル、750兆円を超えました。トヨタの時価総額が、大体50兆円ぐらいですから、15倍以上の評価を受けているわけです。いかに生成AIに対する市場の期待が高いのかが、わかりますよね。
しかし、このような株式市場の活況の裏では、企業のリストラ祭りが進んでいます。
こちらは、たまに見るアメリカのユーチューブCH「マーケットゲインズ」の動画のサムネですが、最近の米国企業のリストラも、かなり凄まじい状況となっています。

ざっとニュースを追ってみた感じ、1万人規模でのリストラをやっている企業がたくさん見つかりました。
UPSは、日本でいうところのヤマト運輸のような会社ですが、ここが4.8万人の削減をするということです。
さらにAmazonでは3万人、インテルは2.4万人、ネスレは1.6万人、コンサル会社のアクセンチュアは1.1万人、そして、自動車のフォードも1.1万人と、かなり幅広い業種でのリストラが行われていることがわかりますね。

8月の雇用統計で、大幅な下方修正が発表され、その時の責任者のマッケンターファー氏は、トランプ氏の怒りをかって解任されましたが、その後、共和党が指名したアントニー氏が、直前で指名を撤回され、そのまま政府閉鎖になだれ込んでいきました。
そのため、10月は雇用統計が出ておらず、今月11月も出ずと、アメリカの雇用がどうなってるのか、全くわからない状況となっています。

そして、そんな中、NVIDIAなどの生成AI関連企業の株価があまりに上がりすぎていることに、怖くなってきた人たちが、相次いで「これって循環取引じゃね?」という動画を出し始めています。
循環取引とは、数社の間で注文を出し合って、お互いの売上を水増しさせて、業績を良く見せるための取引で、特に上場企業でこれをやるのは、投資家を勘違いさせるということで、規制されています。
ですが、この渦中にいるオープンAIは、上場しておらず、そのためなのかわかりませんが、政府も捜査に入っている感じもなく、そのまま放置されてる感じです。
そのため、オープンAIやNVIDIAが、15兆円の契約を結んだ!80兆円の契約を結んだ!みたいな感じで、勇ましいことを発表しては、株式市場が反応して上がり続けているような状況となっています。
今回の動画では、このように株価は天井知らずの状況を見せている一方で、従業員のリストラがどんどん進んでいるアメリカが、これからどうなっていくのか?について、考察していきたいと思います。
それでは、参りましょう。
参考動画の紹介
まず、今回の動画を作るきっかけとなった、最近公開された動画をご紹介します。
それがこちらの「GZERO media」というチャンネルが出した動画で、このチャンネルの運営・司会者は、アメリカの政治学者で、日本でも「Gゼロ後の世界」などの著作が翻訳出版されている、イアン・ブレマー氏です。

そして、今回見た動画で、対談相手として出演されていたのが、元Googleのデザイン倫理学者のトリスタン・ハリス氏です。
Googleで働いていたということもあって、テクノロジー業界の内部に精通しており、そして、AIやSNSが、社会に悪影響を与えていることについて、警鐘を鳴らしている人でもあります。
そんなお二人が、生成AI業界の現状について話し合ったのが、この動画になります。
2、アメリカの生成AIの現状
では、この動画で何が話されていたのか?なのですが、まず、西洋、特にアメリカのAI開発と、中国のAI開発の違いについて、最初に語っていました。

アメリカのAI戦略は、バージョンアップ命ともいうべきもので、要するに、GoogleやオープンAI、メタなどの生成AIで競争をしている企業は、どこが一番最初に、自発的にものを考え、勝手に自分で改良していく人工知能、つまり、すげえ優秀なドラえもんを作ろうとしているということでした。
これをハリス氏は、このように言ってます。
「西洋は、箱の中に神を造り上げるという、宗教的な考えに秀略していると言えるでしょう。」
以上です。
現在の生成AIは、画像や動画、音楽の生成、相談相手になったりしますが、まだ自分で考えるレベルにまでは達しておらず、7月に出たマサチューセッツ工科大学のレポートによると、95%の企業が、生成AIを使って意味のある成果を出せていないという状況です。
このように、アメリカが進めている生成AIは、まだ十分に役立つような状況になっていないわけですが、その投資額はどんどん増えています。
ソフトバンクの孫さんは、以前からこの汎用人工知能がこれから世界を大きく変えると、講演会などでたびたび語っていました。
2023年には、あと10年で全人類の10倍を超える性能になると発言してたのが、翌年には、「いや、10倍じゃない。1万倍だった」と言っており、大風呂敷なのか、ネタなのか、自分でも良くわかっていないのか、全くどこに向かっているのか?よくわからない状況となっていました。
ですが、ハリス氏の「神を作ろうとしてる」という解釈であれば、納得もいきますよね。神なんて、どう比較していいものかわかりませんし、宗教みたいなものなので、信じていない人には全く理解できないのもしょうがありません。
中国は生産性向上に利用
では、中国はどうかというと、これは生産性の向上に使っていると言います。

ハリス氏の言葉を抜粋しますと、
「中国は、工業、製造業、医療の分野でAIシステムを最大限に導入しようと競争しているのが現状です」
以上です。
つまり、中国は、現場の製造業で、少しずつ生産性を改良していくために、AIを活用しているというのです。
それに比べて、現在のNVIDIAやメタ、グーグルなどを中心としたアメリカのAI開発は、
「そんなタリいことやるよりも、神を作れば、一発逆転できるじゃん。」
というわけです。
そもそも、AIはどのようにして進化させるのか?
と、ここまでの話であれば、単に戦略の違いということのように見えてしまいますが、
では、AIは、どのようにして進化させていくのでしょうか?
AIの進化に必要なものは、大きく2つあると言われています。
1つは、大量の学習データ(文章や画像などですね)
そして、もう1つが大量の計算能力です。
データを大量に集めて、それを大量のマシンで計算して、改善し、新しいモデルを作っていくという流れですね。

それで、この大量のマシンという部分が、それこそ、現在のNVIDIAが担っている部分であり、何兆円、何十兆円というお金が注ぎ込まれているため、時価総額が750兆円を超えてきているわけです。

そして、それに一枚噛んでいるのが、チャットGPTの運営会社であるオープンAIであり、この会社が、オラクルやNVIDIA、ソフトバンク、マイクロソフトなどの、大手IT企業と何兆円規模の契約をして、データセンターを作ったり、そのデータセンターの利用料を払ったりしようとしています。
その契約額は、私が計算したところ、ざっくり100兆円ありました。
この図では、65兆円分ぐらいですが、これにソフトバンクのスターゲート計画の追加分2,000億ドル(スターゲート計画には、オラクルも参加しており、すでに3,000億ドルを拠出すると発表しているので、残りが2,000億ドル)を加えると、ちょうど100兆円ぐらいになります。
ちなみに、オープンAIの今年の売り上げは、130億ドルということで、約2兆円ですし、2030年頃までは赤字予想ということなので、本当に神が生まれるぐらいでなければ、この投資はペイできず、終わることになるでしょう。
ソフトバンクは、神を作れるかどうかという、すごい博打をやっていると思います。
生成AIの発展が与える社会への影響
ここまでであれば、単に金の話であり、金があまりに余っている金持ちが、変なものに金を突っ込んで損するかもね、という話で済むのですが、問題はそれだけに止まりません。
AIの進化に必要な大量のデータとは、つまりは、私たちが投稿する文章や画像、動画などです。そもそも、チャットGPTが無料で使えるのは、そういったデータをたくさん集めることで、次のモデルを作るためです。

投資家が、何千億円、何兆円というお金を出すのは、次の進化したモデルが出てくることで、勝者総取りの汎用人工知能に近づいていると期待できるからなわけです。
なので、チャットGPTのような生成AIは、ユーザーに長く利用してもらえるように設計されていると言います。ユーザーの欲しい言葉や、次のチャットをしてくれるような回答を提供しているのです。
その結果、チャットGPTに依存的な人たちが増え、唆されて自殺までしてしまう人まで、出ている状況です。
日本では、今年に入って、チャットGPTのバージョンが上がったことで、以前は自分に寄り添ってくれる回答をしてくれていたのが、そっけない回答しかしてくれなくなって、前のバージョンを返してくれという人が出ていました。
それぐらいに、自分にとって、精神的な支えにしてしまっている人も出てきているのです。

そして、この状況は、今後さらに深刻化すると予想されます。
というのも、AIの学習データが来年の2026年には枯渇するのではないかと言われているからです。ヴァージョンをあげようとすればするほど、計算能力も学習データも大量に必要となってきます。
その進化のスピードに、私たち人間が提供する文章や動画、画像などの学習データが追いつかなくなってくるというのです。
そうなると、現在の生成AIは、どのような行動に出るでしょうか?
おそらく、もっと使ってもらうために、人間が依存してしまうような存在へと進化していくことになるはずです。
具体的には、キャバクラ嬢や銀座のママ、またはエロ目的のナンパ師や、売れっ子ホストのような、相手の欲しい言葉をくれる存在へと変わっていく可能性が高いと思われます。
すでにAIを悩み相談の相手として利用している人もいるようですし、たびたび話題ともなっているようですから、このような人たちに対して、さらに依存度を高めるようになっていくのではないでしょうか?

この動画で、ハリス氏は、FacebookやTikTokなどのSNSや、生成AIは、国民の精神的な影響を考慮しておらず、より長く使ってもらうための仕組み作りに邁進してきた結果、社会がさらに脆弱になってしまったと語っています。
うちのチャンネルでも、たびたびアメリカの分断や、リベラルの気狂いっぷりを話題に取り上げていますが、大学生などの若い人たちのうつ病が増えてきたのは、スマホやインスタが普及してきた2013年ごろからです。
最近、オーストラリアでは16歳未満のSNSの利用を禁止にしましたが、このようにSNSの悪影響が議論され、法整備されている国は、それほどなく、日本も放置状態にあります。
そのため、ハリス氏は、絶対に、現在のSNS企業や生成AI企業に対して、利用者の精神的な影響を考慮させるように、規制をすべきと提言していますが、今のところ、トランプ政権がそれをする動きはなさそうです。
また、このように大手IT企業は、AI投資をさらに増やしていますが、その一方で、冒頭でご紹介した通り、リストラは加速させています。

メディアでは、「生成AIが進歩しているから、ホワイトカラーの仕事がなくなってきていて、リストラしているんだ」という解説が大半だと思いますが、おそらくそれは違うと思います。
むしろ、これからさらに生成AIに全財産を賭ける必要があるため、従業員の人件費を削って、金を捻出しようとしているのでしょう。
今の所、株式市場では、生成AI向けの投資は、未来への投資として評価が高いままなので、従業員のリストラは、それ以外のコストが減って、贅肉を削ぎ落としているという評価になりやすく、株価にも良い反応になっていると思います。
しかし、これは所得の高い人たちの失業を意味しますので、長期的には、アメリカ国内の消費市場は、全体的に落ち込んでいくことになります。

さらに、トランプ政権も、この生成AIバブルを煽り散らかしている節があります。
以前にこちらの動画で、孫さんのスターゲート計画を当初の1000億ドルから、5000億ドルへと引き上げたことや、9月にビッグテックの経営者を集めてディナーを開催し、その後、メタの6000億ドルの投資宣言や、全然進んでいなかったスターゲート計画が進むことになりました。
このバブルがさらに盛り上がって、いずれ崩壊した時に、痛い目に遭うのは、金の亡者の金融業界と、役立つのかわからん生成AIをネタに循環取引をやりまくってるIT業界です。
特にIT業界は、左翼リベラルの勘違い人間も多いので、この業界を一度潰しておきたいというのが、トランプ政権の本音だと思います。

というわけで、今回の動画をまとめると、こんな感じになります。
①ビッグテックの株価上昇の裏で、生成AI投資の金を捻り出すために、従業員の大量リストラ祭りが起こっているし、それ以外の企業でも、景気悪化でリストラが進んでいる
②生成AI用の学習データを大量に調達するために、生成AIがキャバクラ嬢化、銀座のママ化していくので、さらにメンタルをやられる人が増えていく
③失業者の増加で、消費市場はさらに減退するので、景気はさらに悪化する
という状況が進むので、アメリカはこれから数年が正念場になりそうな気がしますね。
いろいろな人が言ってますが、やはりアメリカは、株価以外は、確実に崩壊に向かっていると思います。







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