今回の動画は、「公示地価、おかしくね?なぜ再開発中止地区の周辺でも、地価が上昇しているのか?」ということで、やっていきたいと思います。
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1、はじめに
一応、うちのチャンネルは、もともと不動産や土地価格の解説から始まったものですので、たまには不動産の話をしていきたいと思います。
3/17に、国土交通省は2026年の公示地価を発表しました。

それによると、全国の全用途で2.8%の上昇と、1992年以降、最大の伸び率となっていました。
地域別に見ていくと、
東京圏が+5.7%
大阪圏が+3.8%
名古屋圏が+2.3%
地方大都市の札幌、仙台、広島、福岡の平均が+4.5%と、
前年の伸び率よりも高くなっていたのは、東京圏と大阪県で、地方や名古屋は上昇率が鈍化していました。
今年の上昇の背景として、国内外の投資マネーが増加したことが挙げられていました。
2025年の不動産投資額は、過去最大の6.5兆円ということで、2024年に比べて1兆円近く増加したということで、投資対象エリアになりやすい東京や大阪ほど、大きく上昇したというわけです。

しかし、YouTubeで、昨年の不動産関係の動画を見てみると、話題となっていたのは、全国各地で再開発が相次いで中止しているという話でした。
建築資材の高騰や、人件費の上昇で、建設費が予定よりも爆上がりしたため、諦めたという内容のものが多かったです。
人手不足で延期という話ならまだわかりますが、建築費が上がりすぎて中止したということは、これって、たとえばテナントの家賃を上げるとか、マンションの価格を上げるとか、そういった形で価格に転嫁できないからやめたということですよね?
現在の価格で土地を買っても、商売ができない、だからこそ、中止になっているだとすれば、今年も土地価格が上昇しているって、なんかおかしくないですか?
今回は、昨年から話題となっている、再開発中止エリアの周辺の土地価格の変化率を追いかけていきながら、現在の日本の不動産市場に何が起こっているのか?考えていきたいと思います。
それでは、参りましょう。
公示地価とは?
最初に、公示地価について、ちょっと簡単に説明したいと思います。
公示地価とは、国土交通省から毎年3月の中旬ぐらいに発表される土地価格のことで、全国約2.5万地点の価格が公表されます。

それで、この公示地価は、固定資産税評価額や、路線価を出す際にも利用されています。
だいたい、固定資産税評価額は、公示地価の70%の価格で、路線価は80%の価格になっています。
これによって、毎年の固定資産税や、相続税の計算に使われるわけです。
また、この2.5万地点の価格をどうやって出しているかというと、1つの地点につき、2人の不動産鑑定士という人が担当して、周辺の土地価格や家賃相場などから、だいたいこれぐらいじゃね?と計算して出しています。
しかし、実際の不動産の取引では、更地の土地での取引がたくさんあるわけではありません。土地の上に家があったり、工場があったりなど、建物が残ったまま取引されることもありますので、それらの建物の分を割り引いたりして、もしこの場所が更地の土地だったとしたら、これぐらいだろうということで、価格を出すというわけです。
それと、2.5万地点の住所は、毎年それほど変更があるわけではありません。
今年新しく追加されたのは、612地点で、全体の3%弱なので、それほど入れ替わりが激しいわけでもなく、10年以上前の価格も遡れる地点もあります。
なお、このような情報は、不動産情報ライブラリという、国土交通省が運営しているサイトで調べることが出来ます。不動産鑑定士の鑑定結果も見ることができるので、それぞれの地点の価格が、どのようにして決まったのかを確認することもできます。
不動産情報ライブラリについては、こちらから見れますので、興味のある方は一度チェックしてみてください。

それで、ここ2、3年の公示地価の変動率がかなり大きい理由についてですが、建築費の上昇が大きかったと思っています。
こちらの左のグラフは、2014年から26年までの、東京23区の前年比の変動率です。
新型コロナでおかしくなる前は、東京オリンピックへの期待から、都心部では大きく土地価格が上がりました。
しかし、その当時のピークだった2019年から2020年に比べて、2024年から26年までの方が、より大きく上昇していることがわかりますよね。
この時期に大きく変化があったのは、建築費の上昇です。
ウクライナ戦争以降、円安や海外の資源価格の上昇がありまして、建築費が大きく上がったままです。右下のグラフは、戸建ての建築費指数の推移ですが、ウクライナ戦争前後から大きく上昇して、そのままどんどん上がっていることがわかります。
これによって、新築物件の価格が上がり、新築が買えない人が中古物件に流れ、中古住宅の価格も連れ高しました。
住宅地というのは、中心部の人気エリアもあれば、郊外の取引の少ないエリアもあり、商業地に比べて範囲がかなり広いです。
なので、市単位、区単位でならしてみると、それほど上がらない傾向にあるのですが、建築費の上昇によって、建物そのものの価値が上がったため、広範囲の住宅地の評価が上がり、土地価格も連れ高しているのが、ここ2、3年の動きといえます。

こちらの地図は、中野区の公示地価の変化図です。左側が2018〜19年、右側が2025〜26年です。
それで、それでこの地図でピンク、オレンジ、緑などのマークがありますが、これは公示地価のある地点で、前年比での変化率に応じて色分けしています。
ご覧の通り、2019年は駅から遠い住宅地では、あまり上がっていませんが、2026年は大きく上昇しているエリアが広範囲に広がっています。
中古住宅の価格が上がっているため、住宅地は連れ高しているのでしょう。
2、再開発中止案件と周辺の土地価格の動き
というわけで、ここからは、8つの地域の再開発中止、または延期案件とその周辺の公示地価の動きを見ていきましょう。
なお、この1年間の工事原価は、木造戸建て、マンションいずれにおいても、5~6%上昇していますので、土地価格もそれなりに上がりやすい状況にあることを踏まえて、見てください。
(1)新宿区(新宿駅西南口)
1つ目は、新宿区です。
新宿区では、新宿駅の西口と西南口での再開発計画が進められていましたが、西南口は現在、更地になって空き地のまま放置されている状況です。

こちらの地図を見てもらうとわかる通り、新宿駅からすぐ目と鼻の先にあります。
YouTuberの、のぶりんさんという方が、この件について動画にしているので、気になる方は見て欲しいのですが、この計画が頓挫している理由は、もちろん人手不足と建設費の高騰です。
西口側で緑色の地点が2つ見えますが、これらの再開発地区に近い場所にありますね。
これらのエリアは前年比で5%前後の上昇と、周りに比べると低めなのは、建設できなくて放置されている場所が近くにあることが影響していると思われます。
(2)中野区(中野サンプラザ)
2つ目は、中野区の中野サンプラザです。
中野サンプラザは、中野駅の北側に位置する多目的施設です。当初計画では、62階建てで、7000人収容できる多目的ホールやオフィス、住居などが入る計画で、2600億円で作る予定だったのですが、3500億円にまで上がってしまい、計画が白紙になりました。

3/10に、中野区の方から、2030年着工、2034年完成を目標とするスケジュールが発表されましたが、ホールについては3000~5000人規模に縮小するということなのですが、事業者はこれから集めるということなので、本当にこれで手をあげる業者が出てくるのか未知数な状況です。
このように、中野駅の顔となっていた場所がどうなるかわからない状況なのに、周辺の土地価格は絶好調で、前年比2割以上上がっているところがザラにあります。
中野サンプラザは、多目的ホールの建設が条件となっているので、このホールの採算性が悪いために建設できなかっただけで、普通にマンションや商業施設をつくれば、余裕で儲かるような立地だったということなのでしょうか?
周辺の土地価格が年率2割で上がっているのは、そのような判断なのかわかりませんが、再開発中止などお構いなしで、評価額が爆上がりしている状況となっています。
(3)品川区(TOCビル)
3つ目は、品川区の五反田TOCビルです。
この施設は、1970年にできた商業施設、展示場、事務所等が入った複合施設で、当初計画では、地上30階、地下3階の事務所、店舗、住宅、催事場などの複合施設を計画していました。

ですが、こちらも建設費の高騰で2033年まで延期することになり、テナントをすでに追い出してしまっていたので、ガラガラのまま営業するようです。
建設費が下がってきたら、分譲マンション案も含めて、再検討するということですね。
ただ、周辺を見てみると、どこも前年比で10%以上の上昇をしており、かなり絶好調のようです。
品川区全域で見ても、駅から遠い住宅地であろうが、駅近の商業地であろうが、全ての地域で、前年比10%以上の上昇という、凄まじい状況となっているため、あまり関係がないようですね。
(4)札幌市(札幌エスタ)
4つ目は、札幌市の札幌駅前エスタの再開発の見直しです。
北海道新幹線が札幌駅にまで延伸されるということで、札幌駅近くに位置する商業施設であり、バスターミナルでもあるエスタの再開発が計画されていました。

しかし、こちらも建設費の高騰で、当初予定よりも倍以上になってしまい、計画は見直しとなり、新築工事は2027年からとずれ込んでいます。
さらに、札幌エスタの南側に位置する西武百貨店の跡地も現在建設中で、現在の札幌駅周辺は、かなりスカスカになっているようです。
このように、人の流れが止まってしまっている中でも、周辺の土地価格は前年比で5%以上の上昇しているところが多いですね。中止というわけではなく、延期と見直しということなので、札幌駅周辺がまだ盛り上がりそうだという期待が残っているのでしょう。
(5)仙台市(旧さくらの百貨店跡地)
5つ目は、仙台市の仙台駅前の旧さくらの百貨店跡地です。
旧さくらの百貨店は、仙台駅より西側に位置していた百貨店で、2017年に閉店後、ドンキホーテの親会社が取得し、2020年に再開発を計画していましたが、コロナ、建設費の高騰により計画を断念しました。

現在、建物の解体は進んでいますが、その後の用途は決まっていません。
また、この南がにあるEDENも2024年に閉店したのですが、その後の利用計画は未定となっています。
このように、この辺りの新たな用途が決まってない土地が2区画もあるのですが、その近くの地点は、前年比で2.7%の上昇と、周辺に比べると、さすがにちょっと低めでした。
(6)習志野市(モリシア津田沼)
6つ目は、千葉県習志野市のモリシア津田沼の中止です。
モリシア津田沼は、野村不動産が高層マンションと商業エリアの複合施設を計画していましたが、建設費高騰で計画を撤回した案件です。

当分、建設費が下がらなそうだということで、2028年から閉店した商業部分や駐車場、ホールを再開して、10年ぐらい営業するという長期戦を考えているようです。
それで、この津田沼というエリアは、隣の新津田沼駅すぐのところにイオンモールがありまして、これによって、ヨーカドーやミーナ津田沼、津田沼パルコなどの商業施設が相次いで閉店してしまっているエリアでもあります。
それにもかかわらず、周辺の土地価格は、前年比で5%以上の上昇しているところばかりになっていますね。
ただ、習志野市の公示地価は、津田沼駅の周辺に限らず、JR沿線より南側のエリアは、だいたい5%以上の上昇をしているため、地域全体が底上げされているような状況のようです。
(7)名古屋市(名鉄百貨店)
7つ目は、名古屋市の名鉄百貨店の再開発の見直しです。
名鉄百貨店は、現在の場所に加えて、南側500m分のエリアを一体開発することを発表し、2020年の着工を目指していたのですが、コロナの見直しが入り、建設費の高騰もあって、白紙撤回となりました。

当初計画では、2000億円の予算だったそうですが、8880億円にまであれよあれよで膨らんで、ノックアウトした模様です。
また、名鉄名古屋駅の利用者は、2019年に5475万人いましたが、2023年には4932万人へ約1割減と、駅の利用者も減少している状況でかなりの逆風が吹いているような状況のようです。
とまあ、こんな景気の悪い感じもあって、流石に土地価格はあまり上がっていませんでした。天下の名古屋駅の周辺にも関わらず、前年比で1.5%~4%ぐらい上がっているところが大半でした。
(8)福岡市(博多駅空中都市プロジェクト)
8つ目は、福岡市の博多駅空中都市プロジェクトの中止です。
博多駅は、在来線の線路上に駅ビルを建設するという、「空中都市ブロジェクト」を計画していましたが、建設費の上昇によって、当初予定の予算から2倍に上がったために、撤退することになりました。

博多駅から近いところの上昇率は、低めなものの、ちょっと離れたところは10%以上の上昇を示すピンクのマークが広がっていますね。
博多駅の乗車数は、JR、地下鉄ともに、過去最高水準にあるため、駅周辺の商業施設の利用者は増加傾向にあると思うのですが、それでも、建設費が2倍になってしまうと、撤退せざるを得なかったようです。
また、駅周辺は緑色のマークが多く、昨年から今年にかけては、それほど上昇していなかったようですね。この辺りは、坪単価が1500万円を超える高価格帯であり、空中都市プロジェクトの中止もあって、期待が剥がれたのかもしれません。
3、なぜ上がってるのか?
というわけで、全国の8つの再開発計画の中止と、周辺の土地価格の動きを見てきました。
この動画を作る前までは、再開発が中止になって、周りで土地開発をしたい人なんていなくなってるだろうから、土地価格も下がるとか、評価額が下がるんじゃないか?と思っていたのですが、
新宿や仙台、名古屋、福岡のように、周りよりも上昇率が低めのところはあるものの、下がっているわけではないですし、他のところは、そんなことはお構いなしに、5%、10%と上昇していて、完全に当てが外れました。
では、なぜこのように、再開発が中止でも、特に近隣の商業地において、大きく上昇しているところが、結構あるのでしょうか?
考えられる理由は、2つあると思っています。

1つ目は、再開発案件は、一等地にあって、近隣の取引事例が少ないため、他地域の取引事例を引っ張ってきているから、ということです。
先ほど、不動産情報ライブラリで、不動産鑑定書が見れると言いましたが、たまにこんな感じで、中野区の公示地価を計算するために、近隣で似たような土地がないために、新宿区や渋谷区、豊島区、港区などの、全然違う場所の、似たような立地の土地取引を参考に公示地価を算出しているケースを見かけることがあります。
再開発が中止された案件は、駅近の一等地が多いので、周辺の不動産取引もそれほど多くないでしょうから、参考にできる取引事例があまりないので、他の市や区の似たような立地条件の取引をもとに、計算せざるを得ないという事情があるのでしょう。
ということは、昨年は海外投資家が、マンションやオフィスビル、商業施設などをドカンと買っていましたので、そういう取引事例をもとに、じゃあ、あそこも似たような場所だし、もっと評価は高いよね、という感じで、連鎖的に評価額が上がっていった可能性は十分にありそうな気がします。

そして2つ目が、新築コストが高すぎるため、既存物件へ人気が集中した可能性です。
ここまで見てもらった通り、再開発案件が中止しているのは、建設費があまりにも上がってしまったためです。
普通に考えれば、何も建てられていない土地の横が空いていたとして、その土地を去年よりも高い価格で買おうと思う人はいないでしょう。
なのに上がっているのは、その隣がだいたいの場合において、更地ではなく、ビルやら何やらが建っているからです。
建設費が上がっている今、新しいことをやろうとしたら、ハードルが高すぎる新築を選ぶよりも、ちょっとぐらい上がってても中古物件を買って勝負した方が、まだマシです。
また、海外投資家による不動産購入の多くが、オフィスやマンション、そして大規模な商業施設などの、既存物件です。これらへの大型投資によって、既存物件の価格があがっているため、それが周辺にも広がっているのではないでしょうか?
建築費上昇→公示地価上昇はまだ続きそう
というわけで、全国的に再開発の中止が続出している割に、周りの土地価格が上がっている理由について考察してみました。
大型の再開発案件の建設費は、企業の当初予想の2倍以上に膨れ上がっているケースが結構ありますので、これから当分、デカい再開発案件は難しそうですね。

また、オフィスビルでも戸建てやマンションでも、建設費の上昇は現在進行形で進んでいますので、中古物件を使っていく流れが進んでいきそうな気がします。
特に今年に入って、イラン戦争が始まったことで、原油価格が90ドルを超えて、以前より5割近く上がっていますから、さらに中古物件の価格の上昇から、公示地価の上昇へとつながっていくのでしょう。
ですが、そうやって評価額が上がっても、未婚化、少子化で、家を購入する世帯は減っていきますから、公示地価は高いけど、売りたくても売れないとか、実際には値下げしなければ売れないとか、そういう場所は今後増えていくのではないかと思います。
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