超二極化する日本の不動産市場について | イエ&ライフ

超二極化する日本の不動産市場について

youtube原稿

この記事では、「どんどん買い手が減っていく不動産。これから日本のマンションや戸建てはどうるのか?」ということで、やっていきたいと思います。

 

1、はじめに

3月に今年の地価公示が発表されました。

それによると、全国の土地価格は4年連続の上昇で、住宅地は2.1%の上昇、商業地は3.9%の上昇と、昨年から比べて、さらに上昇率が拡大していました。

 

(参考:NHK)

 

マンション価格についても、同様の傾向を示していて、特に東京都心では、億ションどころか2億円以上のマンションも普通に出てきているような状況です。

このように、不動産関係のニュースを追いかけてみると、日本の景気は良さそうに見えますが、実際のところはどうなのでしょうか?

 

この動画では、いろいろなデータをご紹介しつつ、今後5年、10年後のマンション、戸建て市場について考察していきます。

それでは、参りましょう。

 

2、日本の不動産市場の動き

まずは、マンション、戸建ての価格について、見ていきましょう。

国土交通省が出している、不動産価格指数という指標があります。これをみると、今年4月まで、緑のマンション価格の指数は一貫して上昇していますが、青色の戸建てについては、ここ2年ぐらい横ばいが続いています。

 

(参考:国土交通省)

 

全国的に、大都市のマンションが立ちやすい駅周辺では、土地価格は上がっていますが、地方の戸建て住宅地では下落しています。

2022年のウクライナ戦争以降、全体的に物価は上がっていますが、戸建て住宅の価格が横ばいなのは、建築費の上昇に対して、土地の安いところに戸建てが建てられているため、全体で見ると、価格が横ばいで済んでいるということだと考えられます。

 

 

私の実家は、岩手県の奥州市という、大谷翔平選手の出身地なのですが、中心市街地は思いっきり廃れていて、人口が増えているのは、大谷選手が生まれ育った、田んぼや畑が広がっている地域だけです。

人口が増えている理由は、流石に大谷効果ではなく、バイパスができたからだと思いますが、田んぼだったところを住宅地にしているため、もともとあった住宅地に比べて、かなり安い土地に家を建てられていると思います。

 

全国の戸建て価格が横ばいなのは、こういう全国のケースも含まれているからだと考えられます。

その一方で、マンションは、駅近の建築制限が緩い、限られた場所に建てられるため、人気が集中してしまいがちです。

 

また、最近は土地の取得が難しくなっているからか、マンションの供給戸数もかなり絞られてきています。

 

(参考:ニッセイ基礎研究所)

 

そのため、値崩れが起きず、強気の価格設定が続いているため、値段がさらに上昇し続けているのでしょう。

 

3、日本の不動産はこれからどうなるのか?

では、これから日本の不動産はどうなっていくのでしょうか?

結論から言えば、価格の二極化がさらに進むし、上昇するエリアは、さらに狭まると予想しています。

その理由は、大きく4つあります。

 

(1)買い手が減っていく

1つ目は、住宅購入者が今後さらに減っていくためです。

ご覧の通り、日本の出生数と婚姻数は、ほぼ同じような動きとなっています。

 

(参考:人口動態統計)

 

特に新型コロナ以降、株価や不動産は上がるけど、給料は増えないという状況が長く続いてきたため、結婚する人がさらに減り、出生数も昨年は70万人を割っています。

5年で約2割の減少です。年率4~5%のペースで減っています。

 

政府の人口予測は、合計特殊出生率が1.3倍ぐらいで、これからも続くということを前提にしていますが、実際にはすでにそれを下回っており、2023年時点で1.2倍ですから、全く当てになりません。

 

(参考:Yahoo!ニュース)

 

また、昨年あたりから、初任給を30万円に引き上げる企業が増えていることが話題となっていますが、中高年社員の給料も上がっているわけではなさそうですし、AIが進化していることもあって、黒字でも本社部門の社員のリストラを始める企業も増えています。

 

最近ですと、パナソニックが5000人の国内の間接部門、つまり本社管理部門をリストラすると発表しています。

なので、おそらくですが、企業が払う人件費は、それほど増えるわけではないでしょうし、40代ぐらいでリストラされるリスクはさらに増えていくでしょう。

 

そうなると、高年収だからとか、親からの支援があるとか、投資でうまくいってるなどの、よほど将来に楽観的になれる人でなければ、結婚、出産、そして住宅の購入へと向かう人は減るのではないかと思われます。

その減少する割合は、過去の婚姻数や出生数の減少ペースを考えてみると、5年で2割減るぐらいのイメージだと思います。

 

(2)住宅ローン金利が上がっていく

2つ目は、変動金利の上昇です。

これまでの日本の不動産市場は、低金利の恩恵もあって、特にマンション価格の上昇が続いていました。

 

 

金利が1%違うと、35年で支払う金額は18%ぐらい変わりますので、かなり影響が大きかったと言えます。

ところが、あまりに物価上昇がひどいため、昨年日銀がゼロ金利を解除しました。

 

これによって、変動金利の上昇が始まっています。

ネット銀行では、一時は、0.3%を切る変動金利ローンもありましたが、すでに0.4%ほど上昇しています。

 

日本の物価上昇は全然止まる気配もなく、日銀もこのままいくならば、さらに利上げをする姿勢を見せていますので、変動金利もさらに上昇していくことが予想されます。

変動金利は半年ごとに金利を見直しますので、今後数年間で、少なくとも0.5%から1%ぐらいの上昇はありえそうです。

そのため、特に都心部のマンション購入層にとって、住宅購入のハードルはさらに上がると予想されます。

 

また、現在の変動金利の利用する割合は、マンションほど高く、7割を超えています。

すでに高値で買って、変動金利で組んでいる世帯であれば、今後さらに金利が上昇すると、死活問題となってくる人も増えるでしょう。

 

(3)外国人の購入者が増えていきそう

3つ目は、外国人の購入者の増加です。

日本では、どんどん海外の人を受け入れており、現在370万人にまで増えています。

その中で最も多いのが中国からの方で、2位がベトナム、3位が韓国と続いていきます。やはり近隣の国からの出稼ぎが多いようですね。

 

(参考:出入国在留管理庁)

 

Youtubeでも、いくつかの動画で紹介されていますが、都内では、中国や台湾の方による購入が増えているようです。

特に、23区内の新築マンションは、昨年あたりから、平均価格が1億円を超える月が普通に増えてきていますが、一般のサラリーマンに手が出る水準ではありません。

それを購入できているのは、キャッシュで買える海外の富裕層や投資家でしょう。

 

例えば、中国では、最近不動産バブルで大変なことになっていると言われていますが、ここ何十年と上昇してきたため、北京や上海などにもともと住んでいた人であれば、マンションが2億円とか3億円といったレベルにまで上がっているそうです。

 

(参考書籍のアマゾンリンク)

「ピークアウトする中国」

「シン・中国人」

 

なので、それを売って日本に移住すれば、都内の一等地のマンションを簡単に購入できるのです。

さらに、最近はマンションディベロッパーも、供給戸数を減らしているので、値崩れしにくくなっています。そのため、特に23区内の駅近マンションの立つエリアほど、土地価格の上昇率も高くなっているようですね。

 

(4)子育て世帯が都内から脱出している

4つ目は、日本の子育て世帯の、都内からの脱出です。

外国人がポンポン高額のマンションを購入しているのが、現在の都内のマンション市場となっているため、それについていけなくなった、日本の子育て世帯は、神奈川や千葉、埼玉などの、通勤圏に移住する動きが続いています。

 

(参考:住民基本台帳人口移動報告)

 

こちらのグラフは、東京23区の転入超過数の推移ですが、肌色の部分が0~14歳までの子供になります。

新型コロナのあった2020年以降、0~14歳とその親世代の30~40代の、23区外への移住が増えていますが、これは、マンション価格が上がりすぎたため、近隣3県での住宅購入をする人が増えたためでしょう。

 

23区内でも、中心から離れた区では、そこそこの価格で購入できる住宅もあると思いますが、都心3区などの中心部は、今後さらに富裕層しか買えない状況になっていきそうですね。

 

(参考:住民基本台帳人口移動報告)

 

なお、子育て世帯が、大都市から郊外に流れていく流れは、都内に限らず、大阪や名古屋も同様です。

日本の大都市では、若い世代の賃貸利用と、中心部の高額マンションを購入する国内外の富裕層だけが増えていく、という流れが、今後も進むと予想されます。

 

まとめ

というわけで、今後の不動産市場について、考察してきました。

 

 

不動産は立地に大きく影響を受けるので、例外となるエリアも多くあるとは思いますが、人口や金利の動きなどを考えると、こういった流れになっていくのは、避けられないのではないかなと思います。

 

意外だったのは、円安が進んだ2024年に、外国人が35万人も増えたことです。

昨年は160円台まで円安が進みましたので、出稼ぎ目的で来られる方は減ると思われたのですが、過去最高の増加となっていました。

 

これは、マンションなどの不動産を購入して住む方が、増えているからなのかもしれません。

だとすると、円高になれば、出稼ぎ目的で増えるし、円安になれば、お金持ちの移住目的で増えるということで、どちらにせよ、今後も外国人は増えることになります。

 

そう考えると、今後、駅近のマンションの需要が下がる可能性は少なそうですね。

ただし、一般世帯の購入は、今後確実に減っていきますので、外国人が購入しそうになさそうなマンションや戸建ては、今後さらに買い手が見つかりにくくなると思います。

 

買うなら?売るなら?

最後に、このような予想を踏まえると、住宅購入または売却を考えている人は、どうしたらいいのか?について、考えてみます。

 

買うなら

まずは、買いたい人についてですが、人気エリアのマンションや戸建ては、比較的、需要も高いため、価格の大きな値崩れは、当分期待はできないと思います。

しかし、それ以外の戸建てについては、着工数が低迷していることから、買い手は減ってきていますし、今後はさらに減っていくでしょうから、人気エリアを選ばなければ、安く買える可能性はあるでしょう。

 

 

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売るなら

次に売りたい人についてですが、まず注意したいのは、金利の上昇です。

日銀が利上げを行えば、確実に住宅ローン金利はさらに上がるため、一般世帯が購入するような物件は、マンションであろうが、戸建てであろうが、影響を受けるでしょう。

 

そして、長期的には、想像以上に子供の数が減っていき、相続で空き家も増えるので、住宅需要の減少は、これからが本番になります。

なので、特に戸建てについては、今が高値の地域は、けっこう多いのではないかと思います。

 

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この記事を書いた人
ゴトウ

証券会社で12年間勤務。営業と店舗マーケティングに従事後、2018年から当サイト「イエ&ライフ」を運営しています。

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