この記事では、「投資詐欺に気をつけろ。誰もが騙される生成AI時代に押さえておくべき、詐欺の見分け方」と言うことで、やっていきたいと思います。
1、はじめに
先日、googleが発表した生成AIモデルVeo3が話題となっています。
これまでもYouTube上では、生成AIを活用したイラストや画像、動画が数多く投稿されてきましたが、そのレベルが2つも3つも上がったような感じです。
具体的には、
・生成された動画のリアルさが、まるで映画並み
・しかも、音声もそれに合わせて生成できるようになった。人物の声や、風の音、車の音など、本当にその場で撮ったようにしか見えない
・有名人に喋らせることもできるようになったので、本当に言っているように聞こえる
・1枚の画像から、動画にして、喋らせることも可能
と言ったことができるようになっています。
具体的に見ていきましょう。
たとえば、こちらの左側の記事にある画像は、よく使われるネットミームとなっているものです。
これが、veo3を使うと、このように動画化され、しかも、セリフまで喋ってくれるようになりました。
Popular Meme brought to life with Veo3 + Audio pic.twitter.com/Qh78UAy4Ky
— meme that make you smile (@fun_club_137) May 26, 2025
やばくないですか?音声が入ると、一気にリアル感が増しますよね。
今回、Veo3を取り上げているYouTuberの動画をいくつか拝見しましたが、多くの人が「絶対騙される」と言ってました。
それほどに、衝撃的な進化だったと、私も思います。
そして、これによって、おそらくですが、詐欺広告の被害が、爆発的に増えていくのではないかと思われます。
そこで、今回の動画では、これからどんな詐欺広告が出てきそうなのか?
そして、それらの詐欺から身を守る対応方法について、考察していきたいと思います。
それでは、参りましょう。
2、詐欺被害の現状
まず最初に、投資詐欺の被害の実態について、簡単に押さえておきましょう。
警察庁のHPに、「特殊詐欺対策ページ」があります。ここに、被害の実態が詳しく書かれているのですが、被害の中心は50代以上の方が7割以上を占めています。
私のYouTubeチャンネルの視聴者さんの半分以上が50代以上の方なので、投資詐欺広告が表示される頻度も多いのではないかと思いますが、やはり若い世代よりもお金を持っているので、集中的に狙われているのではないかと思います。
そして、どこで最初に接触しているのか?というと、LINE、インスタ、facebookが男女ともに圧倒的に多いようですね。
Facebookとインスタの親会社のメタは、金のためなら何でもやるような、本当に碌でもない会社だと思うので、絶対に広告のクリックはしないことをお勧めします。
また、LINEも多いみたいですね。
LINEは以前は韓国が親会社でしたが、今はソフトバンクグループのヤフーの傘下にあります。
なので、日本人が運営している企業なわけですが、詐欺被害については、放置状態のようなので、家族や友人とのコミュニケーションツールとして割り切った方が、いいと思います。
そして、被害時の連絡ツールは、9割以上がLINEとなっています。
このことから、適当なアカウントで連絡して仲良くなったり、詐欺広告で誘導する先には、必ずと言っていいほど、LINEでの連絡が待ち構えているので、「投資案件とLINE」という組み合わせは、100%詐欺だと思いこむぐらいの方が、無駄な回り道の人生を送らずに済むと思います。
3、なぜ騙されるのか?3つの基本パターン
では、なぜみんな投資で騙されるのか?ということですが、これは、大きくは3種類あると思います。
(1)「儲かってる証拠」があると信じてしまう
1つ目は、儲かった、とアピールする人や証拠が出回っているため、その言葉を信じてしまうパターンです。
2008年にナスダックの元会長だった、バーナード・マドフ氏が詐欺で捕まりました。
被害額は、500億ドルから650ドルと、当時のレートで見ると、だいたい5~6兆円にもなる、史上最大の詐欺事件でした。
被害者の中には、スティーブン・スピルバーグなどの有名な人もいれば、野村證券やあおぞら銀行などの、日本の大企業も名を連ねていました。
金融機関まで騙されるとか、おそらく、自分の頭で考えることができなかった人たちなのでしょう。
やっていたことは単純で、要は預かったお金を適当に投資をするふりをして、儲かったとアピールして、さらに他の人からお金を集めるという、いわゆる「ねずみ講」、ポンジスキームと呼ばれるものです。
1960年代から、ねずみ講をやっていたのですが、その時々で、都合の良い投資方法をでっち上げて、お客さん向けの明細書にも、「こうやって儲けました!」という内容のものを送っていたので、みんなすっかり騙されてしまったのです。
SECはそれまで何度も、マドフ氏の会社の監査に入っています。
ですが、その都度、完璧な書類を用意したり、捜査の穴をついたりして、50年近く逃げ続けることができました。
そして、最終的には、リーマンショックで金が必要になった投資家が殺到したことで、降参したというわけです。
このことから分かる通り、儲かったとか、すごい投資法とか、そういうものは、体裁を整えれば、なんとでもなるのです。日本の大企業だって、普通に騙されているんですからね。
現在、SNSで行われている詐欺についても、PCやスマホに表示される利益額とか、貯金の残高とか、そういうものを証拠として出して信じさせようとしますが、こういう画面だって、いくらでも作れます。
なので、ネット上の儲け話は、100%ウソと思っておいて、間違いないと思います。
何かに乗るなら、最低1年以上、その人の情報発信を追っかけるぐらいの、慎重さが必要だと思います。
(2)有名人が言うと、信じてしまう
2つ目は、有名人やインフルエンサーが言ってるように見えるからです。
SNSが普及したことで、多くのインフルエンサーが生まれています。それらのインフルエンサーは、YouTubeであれば、広告収入が入りますが、それだけではやっていけない人も多いと思います。
なので、企業からの宣伝依頼を仕事にもらうわけですが、投資案件を引き受ける人も結構います。それが、結構怪しい場合もあるわけです。
無断利用も増えている
また、有名人の画像を無断で使って、これだけ儲かったと宣伝する業者?というか、犯罪集団も増えています。
今年に入って、ミャンマーで日本人が監禁された状態で、電話やLINEで詐欺の勧誘を行う「かけ子」をさせられているということが、ニュースになって話題となりました。
日本語で出している詐欺広告の多くが、このような海外を拠点とした、どこかの国のやべえ人たちが仕切っているものなので、「日本人ならこんなことはしないだろ」みたいな、モラルのラインを簡単にぶっちぎってきます。
日本人のモラルが通用しなくなってる
私が個人的に、ここ1、2年で衝撃を受けたのが、フェイスブックに出てた、森永卓郎さんの入院中の写真を添えた、投資勧誘広告です。
あまりに手口が気持ち悪くて、スクショは残してませんが、こんな感じの写真と共に、私の命はもう長くないので、最後に皆さんのために恩返しがしたい。みたいな文章が投稿されていて、登録を誘導するようなものでした。
Facebookは、2023年の夏ぐらいから、前澤さんの写真が勝手に使われた詐欺広告が出回って、前澤さんも被害を訴えていましたが、この頃からfacebookの売り上げが、急激に伸びています。
おそらく、審査基準を緩くした結果、犯罪広告でもやりたい放題になったためでしょう。それで、海外の犯罪集団が、暗躍しているのだと思います。
(3)不安を煽る系コンテンツの方が、よく見られるようになっている
3つ目は、不安を煽るコンテンツの方が、よく見られるからです。
新型コロナで緊急事態宣言が出されたり、ウクライナ戦争が始まって物価上昇が止まらなくなったり、トランプ政権が始まって、相互関税で株価が暴落したり、リストラをするところが増えたりと、社会がどんどん不安定化してきていますから、YouTube上でも、そういう関係のニュース解説が、再生数が高いように思います。
特に、日本は終了系の動画は、投資に繋がりやすいです。
財政破綻とか、少子高齢化で日本崩壊とか、そういう話を信じてしまうと、「じゃあ、海外にお金を逃すしかありませんよね」という結論に辿り着きやすくなりますからね。
私も、20年以上前に、証券営業をやっていましたが、当時の日本の借金が確か600兆円ぐらいあって、GDP比で100%をすでに超えていました。
それで「このままだと日本やばいですよ。オーストラリアドルで高金利の債券を買いましょう」みたいな営業トークを使っていましたし、そういった話で海外投資をしたお客さんは、結構いたと思います。
昨年から新NISAが始まって、結構な額のお金が、海外投資に向かっていますが、物価上昇が止まらないことから「本当に日本はやばいかも」と思う人が増えているのでしょう。
なので、不安を煽った上での投資勧誘は、むしろ今の方が効果的なのかもしれません。
4、これから、どんな手口が出てくるのか?
では、今回のGoogleのveo3によって、どんな手口が出てくるのでしょうか?
私が今のところ思いつくのは、3つあります。
(1)有名人に喋らせる動画が流行る
1つ目は、皆さんが予想していることと思いますが、有名人が喋る投資詐欺の動画広告ですね。
先ほど、森永卓郎さんの例をご紹介しましたが、経済評論家と呼ばれる人は、YouTube上でもたくさんいます。
私のYouTubeのおすすめ欄には、エルミン・ユルマズさんや、ホリエモン、高橋洋一さん、三橋貴明さん、朝倉慶さんなどが出てきますが、こう言った人たちが喋っている詐欺広告が、間違い無く出てくるでしょう。
特にFacebookとinstagramは、スラム街のような場所になってるので注意が必要です。
なので、たとえ知り合いと繋がっている大事な場所だとしても、スラム街で友達と待ち合わせをしているんだ、ぐらいに思うぐらいで、ちょうどいいのではないかと思います。
(2)ショッキングな動画で、信じ込ませる
2つ目は、有名人が病気になっている姿を見せるというような、そういうショッキングな映像や音声とともに、詐欺広告が作られるでしょう。
先ほどの、森永さんの入院写真とともに投稿された詐欺広告も、かなりインパクトがありました。がんでやつれた姿を見せられると、第一印象で「かわいそう」とか「頑張ってほしい」とか、そういう感情が動かされます。
そして、その投稿を本物だと感じてしまいやすくなります。感情が動いたという事実は、その人にとってはリアルだからです。
なので、「死ぬ前に皆さんに~」みたいな投資勧誘をしてくれば、それは確かにコロッと行く人も出るだろうなと思いますよね。
このような、人の不幸や命をダシにして、騙して金を取ろうという感覚は、普通の日本人の想像をはるかに超えています。
おそらく、どこかの国のやべえ人たちが、金を持ってる日本人を狙って、やっているのでしょうし、それで広告料を取っているフェイスブックなどの会社は、止めることはしないでしょう。
なので、どんな人が何を喋っていたとしても、それが投資につながるのであれば、100%詐欺だと考えるぐらいで、ちょうどいいと思います。
(3)フェイクニュースをでっちあげる
3つ目は、フェイクニュースを活用した投資勧誘ですね。
たとえば、NHKのニュース番組の体裁で、「アメリカが財政破綻宣言をした」とか、そういうフェイクニュースの動画が出回ったりする可能性は十分にあります。
さすがにこれは、他のニュースなどをみて確認できるので、難しいかもしれませんが、「どこかの国で、金鉱が発見された」といった、ちょっとあまり知られていないニュース動画とともに、これに私たちと一緒に投資をしませんか?みたいな勧誘が出てきそうな気がします。
化粧品も絶対にやられる
それ以外にも、シミが消える成分が発見されました!みたいな、フェイクニュース動画とともに、化粧品の勧誘をする広告も増えるでしょうね。
そこに出演しているシミが消えたと喜んでいる女性は、すべて生成AIで作られたものになっていきます。
本当に、Facebookやインスタは、注意した方がいいでしょう。
まとめ
というわけで、今回は生成AIの進化とともに、詐欺広告がひどいことになりそうだ、ということについて、考察してきました。
最近よく感じるのは、
・生成AIの進化のスピード、と、
・どこぞの国の犯罪に対するモラル、が、
日本で普通に生きている私たちにとって、想像のはるか上を行ってるなーということです。
「さすがにこんなことは起こらないだろ」
「日本人なら、こんなことしないでしょ」
みたいな期待は、簡単に打ち砕かれていくので、注意していきましょう。
合言葉は、
「ネット上の投資話は、全部詐欺」
「LINE、インスタ、Facebookは、友人や家族と会えるスラム街」
です。
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