今回の動画は、「欧州を道連れにするスペイン。なぜスペインは50万人の不法移民を合法化するのか?」ということで、やっていきたいと思います。
1、はじめに
1/27に、スペイン政府は、50万人の不法移民を合法化する決定をしました。
この決定は、2021年から国民による署名集めが始まり、2024年に議会での審議が始まるなど、5年越しでの決定になります。また、過去にも何度か事例があって、今回で7回目とのことです。

過去にもっとも規模が大きかったのが、2005年で約60万人が合法化されました。
なので、今回の50万人、もしかしたら、最大で80万人ぐらいになるのではないと言われているのですが、20年前と同等の規模で行われるということになります。
不法移民を合法化するなんて、ギョッとするような話に聞こえますが、スペインでは通常運転のようなんですね。
ただ、現在のスペインでそれほど移民が問題になっていないのは、中東経由のイスラム教徒が来ていないことも大きいと思います。

スペインの外国人の国籍を見てみると、1位は、海を挟んだ隣に位置するモロッコであり、それ以降のランキングを見ると、ほとんどがスペイン語を話す中南米諸国になっています。
それ以外のアフリカや、中東はかなり下にランキングされているのです。
ドイツやフランス、イギリスなどで、移民がやらかしているのは、だいたいシリアやアフガニスタン、パキスタンなどの中東系のイスラム教の国です。
この辺りは、アメリカが首領蜂やって戦争状態になったため、過激派として訓練を受けた人も多いですし、英語やドイツ語、フランス語喋れずにくる移民も多いでしょうから、犯罪化して行きやすいのでしょう。
スペインは、そのあたりのやべえ国からの移民が少ないため、あまり大騒ぎになっていないのかもしれません。
しかし、この決定後に、カナリア諸島という、アフリカ大陸の西に位置するスペインの島があるのですが、ここに移民がたくさん来てるから、EU各国で受け持ってくれと要請しました。

つまり、今回の不法移民合法化を受けて、アフリカからの移民が増えそうだから、その分については、欧州の皆さんお願いね、という状況なのです。
なので、欧州各国からすれば、余計なことしやがってというのが、本音でしょう。
また、スペインの若年の失業率は、現在25%にもなります。
この人たちの失業対策を考えずに、犯罪率の高い移民を合法化するというのは、随分と流れが逆行しているように見えますし、さらに、その後に、連立政権に入っている政治家のやべえ発言も話題となっていました。

それがこちらのポデモスという極左政党の政治家のイレーネ・モンテロ氏の発言です。
抜粋しますと、
「私は『置き換え理論』を望みます。
移民を使って、この国のファシストや人種差別主義者を一掃できることを願います。
肌の色がなんであれ、「中国人、黒人、または茶色人」であれ」
以上です。茶色人とは、肌の色はなんでもいいというぐらいのニュアンスでしょうか。
とにかく、今のスペインの白人が嫌だと言ってるようです。
それで、置き換え理論とは、現在の国民を他の国の人たちに入れ替えていくべきだという、イカれた理論です。
そうやって国民を入れ替えていけば、今の国の構造を変えれる考えているようです。
ちなみに、この人は旦那が白人で、3人の子持ちという、生粋のスペイン人です。
なのに、そんな自分たちを否定して、他に入れ替えようぜというのは、どういう頭の構造なのか?よくわかりませんよね。
そこで今回の動画では、わざと欧州にアフリカからの移民を流してこようとしているとしか思えない、イカれたスペインという国について、一体どういうことになってるのか?について、見ていきたいと思います。
それでは、参りましょう。
2、呪われたスペインの歴史

今回、スペインの歴史について、いろいろと調べてみて感じたのは、現在のスペインの左派がイカれている理由は、結構根深いんじゃないかということでした。
そこで、ちょっとスペインの歴史を振り返りながら、なぜこうなったのか?について、みていきたいと思います。

私は中学校の頃は剣道部だったのですが、女子の部活の顧問の先生が漫画好きで、何人かで一緒に先生の家に行って、漫画を貸してもらってました。
その中でおすすめされてハマったのが、青池保子先生の「エロイカより愛を込めて」とこの「アルカサル」でした。
それで、このアルカサルという作品は、14世紀のスペインにあったカスティリャ王国のドン・ペドロという、日本でいえば、織田信長みたいな王様の生涯を描いた作品です。
当時のスペインは、カスティリャ王国だけでなく、アラゴン王国、ナバーラ王国などに分かれていて、しょっちゅう戦争をしていたため、
主人公のドン・ペドロは、富国強兵のために、内政を充実させたり、産業を起こしたり、兵士を訓練したり、戦争したり、たまに侍女やら未亡人にちょっかいを出したりと、まあ忙しい日々を送ってる姿が描かれていました。
つまり、14世紀の当時は、イベリア半島を統一するには、国の力を強くしなければいけないため、しっかりと産業とか、軍備とか、そういう地力をつけなければいけないんだという発想を持っていた時代だったのです。

ところが、その後、スペインが統一され、アメリカ大陸が発見され、中南米のほとんどがスペインの植民地になったことで、主に南米から、大量の銀が手に入るようになりました。
じゃあ、これでスペインが豊かになったのか?というと、全くそんなことはなくて、このお金は、オランダ独立戦争やオスマントルコの戦費に使われたり、教会への寄進などに使われて、しかも、必要な物資は海外から輸入するという状況になってしまったため、スペイン国内の産業の発展に、ちっとも結びつきませんでした。
つまり、今のアメリカと同じ状況になったのです。
南米で採掘された銀は、FRBがスリ散らかすドルと一緒で、掘っても掘ってもいくらでも出てくるものですから、だったら、国内で産業を育てなくても、海外から輸入して銀で払えば良くね?という感じになっていったのです。
そのため、スペイン帝国は、植民地も含めた帝国としてみると、とても大きな国に見えるのですが、現在のスペイン本国だけで見ると、16世紀から19世紀にかけて、どんどん貧しくなっていくばかりでした。

16、17世紀にはペストが流行して、200万人近くが亡くなって、さらにこの頃には、貴族や教会が力を持ちすぎて、全土の2割が教会領になっていました。
さらにさらに、当時のスペインの輸出できる産業は、メリノウールだったのですが、これも北欧の安価な商品が出回るようになって、16世紀には1.6万台稼動していた織り機が、17世紀には400台にまで激減し、輸出産業が壊滅しました。
こんな感じで、ボロボロになっていたところで、1800年代に入って、フランスではナポレオンが皇帝になって、攻められたのですが、スペインの兵士があまりに能力も素行も酷いため、「ヨーロッパ最悪」と馬鹿にされながら、占領されてしまいました。
この頃には、ヨーロッパ一貧しく、遅れた国になったと言われるようになり、4分の3のスペイン人が文盲だったと言います。もうボロボロだったんですね。

実際、スペイン帝国は、1820年代に、中南米の植民地をほとんど奪われたり、独立されたりして、もう本国とキューバなどの一部の国しか残っていませんでした。
そんな没落もいいところまで国力が落ちたので、もう王様に政治やらせても無理じゃね?ということで、それからは、何度も王政を廃止する動きが出てきました。
1820年、1873年、1931年と、3回も共和国としてやっていこうとしてきたのですが、その度に、他の国から攻められたり、国内の王党派が復活したりと、邪魔されてきたのです。
そのため、王政を廃止したい左派は、とうとうブチギレて、1936年からのスペイン内戦では、聖職者7000人と信者数千名が処刑されました。
世界的に見ても、地主が大きな土地を所有して、小作人に作らせている国ほど、共産主義に傾く傾向にあると思います。
政治でちょっとずつ変えるなんて、無理だからです。日本でも戦前の大地主と小作人の制度は、敗戦によって、ようやく手打ちとなったわけですからね。それを止めるには、革命しかなかったというわけです。
ロシアは貴族による農奴制が19世紀までありましたし、中国でも佃戸制(でんこせい)という小作人の制度が中華民国まで続きました。キューバやベトナムのプランテーションも同じようなものですし、スペインでも南部のアンダルシア地方では、ラティフンディオと呼ばれる大土地所有制が続いていました。
こちらの画像は、スペイン内戦の時の共和国と国民党軍の領土の推移です。

内戦が始まった当時の、既得権益側の国民党軍の領土は、ピンク色で表示されています。
赤枠のあたりがアンダルシア地方なのですが、ピンクのエリアがほとんどありませんね。
その多くが、ラティフンディオだったため、農民が共和国側についていたということなのでしょう。
内戦が始まって、農民がラティフンディオの農地を自分のものにしていったということですが、その面積は約100万ヘクタール、青森県とほぼ同じぐらいの規模になりますので、スペインでも、いかに地主がやりたい放題やってきたのかが分かりますね。

しかし、1936年から39年まで続いたスペイン内戦は、結局、ヒトラーやムッソリーニの支援を受けたフランコ将軍率いる国民党側、つまり教会などの既得権益側が勝利しました。
この勝利によって、負けた左派の側は、思いっきり復讐され、15万人とか20万人ぐらいが処刑されたと言われています。
また、農民が分捕った土地も、大地主に返されたり、教会に多額の予算が使われて復興されたりと、まるで中世に逆戻りするような政策をやったのです。
そのため、スペインは内戦後も20年近く、ずっと貧乏な国であり続けました。
第二次世界大戦には参戦しなかったので、それ以上大きな紛争はありませんでしたが、ヒトラーやムッソリーニと仲が良かったので、第二次世界大戦が終わった後も、あっち側のやべえ奴らだということで、世界中から相手にされてこなかったのです。
また、スペインの既得権益者がそのまま居座ったので、ちっとも豊かにならない状況が続きました。

それが変わったのが、1950年代以降です。
アメリカとスペインは、1953年にマドリード協定を結んで、アメリカはスペインに軍事援助をする代わりに、スペイン国内の基地を作らせるという協定を結びました。
これによって、1953年から63年にかけて、15億ドルをこえる経済援助をうけ、54年から82年にかけて、17億ドル以上の軍事援助も行われました。
さらに、59年にアメリカや国連と関係が正常化したことで、海外からの企業が、どっと押し寄せました。
労働組合がなくて、人件費がバカ安いし、フランスやドイツにも近いからと、スペインに工場を建てまくって、そこで働く労働者が増えたことで、オイルショックぐらいまでは、日本につぐ、高い経済成長がもたらされたのです。
しかし、これって要するに、安い人件費のおかげで経済成長ができたわけです。
他の国からいろいろな技術を教えてもらえて、新しい産業や企業も生まれましたが、国内の既得権益側の年寄りどもは、スペイン帝国時代が忘れられない、教会と軍人の、時代遅れのバカばかりですから、若い人が頑張っても、その裾野の広がりには限界があります。
スペインは、欧州の中でも、失業率が高いのが特徴ですが、その理由として、産業が観光業と建設、農業に偏っていて、工業分野が小さいことが挙げられています。
工業が発展するには、理系のエリートの裾野が広がらなければ難しいわけですが、フランコ政権になって中世に逆戻りした国が、現代の工業社会に適応するには、頭が堅すぎました。
現在の貿易収支を見ても、貿易黒字なのは、自動車と食料品ぐらいです。
自動車は、お隣のフランスのルノーなどがスペインで作って輸入するので、その関係で貿易収支が黒字になっているわけで、あとはまともな商売は農業だけです。
つまり、スペインという国は、覇権国として教会や貴族が能力もないくせに偉そうにしてきた時期が長く続いた結果、近代化、工業化が遅れた国だったのです。
そのため、若年層の働く先が作られず、失業率も25%と、かなり高いまま放置されているというわけです。
3、フランコ死後のスペイン政治
また、フランコ将軍は1975年に亡くなったのですが、これほどの独裁政権を続けていれば、次に来る政権も軍部が掌握するだろうと思われていました。
ただ、フランコ将軍は、自分が死んだら王政に戻すべきだと考えていたので、イタリアにいた王族を引っ張ってきて、後継者として育ててきました。それが、前の国王のフアン・カルロス1世です。

フランコは、このフアン・カルロスを、カトリックの保守的な国のままにしておくように教育して傀儡にしたのですが、フランコが死んだあと、なんとフアン・カルロスは、民主化を目指し始めます。
スペイン内戦で粛清した社会労働党を復活させたり、自由選挙をしたりと、フランコ政権までの軍部や教会などの既得権益層に敵対するような政策を取り始めたのです。
その結果、1981年に一部の軍部によるクーデータが起こるのですが、フアン・カルロスは、テレビ演説して、絶対に屈しないと声明を出し、クーデターを失敗させました。
これによって、スペイン国民のフアン・カルロスへの支持率は爆上がりするのですが、これはアメリカによる圧力があった可能性が高いです。
というのも、フランコ政権下のスペイン軍部は、産業をろくに育ててこなかったので、武器も旧式のものばかりだったので、アメリカに頼りっぱなしだったからです。
先ほど触れましたように、アメリカとスペインは、1953年にマドリード協定を結んで、それ以降、多額の経済援助、軍事援助を受けてきました。
なので、フランコ政権というのは、アメリカにおんぶに抱っこの、独裁政権ごっこをやっていた政権だったのです。
なので、こんな雑魚な軍事政権をそのまま生かしたままだと、さらに金を払ってやらにゃあいかん、だったら、もう民主化してもらって、経済成長してもらって、自分の面倒は自分で見ろよということになったのでしょう。
このクーデターが起こった後に、アメリカのヘイグ国務長官は、内政問題だからと、支持も不支持も表明しませんでした。これは一見すると、クーデター派を支援しているようにも見えますが、翌年82年にスペインはNATO加盟を果たしています。
クーデターが失敗したからこそ、NATOへの加盟ができたと考えると、このメッセージは、軍部に対してもうやめろというシグナルだったと思われます。

こんな感じで、フランコ亡き後、スペインは民主化したわけですが、政権与党の推移を見ると、明らかに左派政党の在任期間が長くなっています。
フランコ政権は、左派を弾圧しまくってきましたので、労働組合は非合法化されてましたし、労働者の権利とか、その辺の法整備はかなり甘かったようです。
なので、その後に、社会労働党が、かなり長い期間、政権を維持したのは、そのような労働者向けの政策を強めていったからだと思われます。
しかし、そもそも、スペインのフランコ政権後の民主化は、アメリカによる圧力だった可能性が高いので、左派の社会労働党も、グローバリズム的な政策を取りまくってきました。
左派といえば、バラマキを行うイメージがありますが、1980年代、2010年代と、金融システムが危なくなるたびに、緊縮財政をして乗り切っています。
国が破綻しなかったんだから、いいじゃないか、という見方もできますが、その時々で、犠牲になったのは、若い非正規の労働者でした。
欧州の労働組合は、産業ごとの組合となっている場合が多く、一度正社員になれると組合の力が強いので、ストライキもできて好条件で働くことができますが、
企業はそんな高コストの従業員を大量に雇いたくないので、非正規を増やす傾向にあります。なので、若い人たちから見れば、小泉竹中の構造改革後の、氷河期世代みたいな状況になっていたのです。
その結果、失業率も一気に上昇して、特に若い人たちを直撃しました。
2014年時点でも、若い人の失業率は58%、2025年2月現在でも25.5%となっています。
さらにスペインは、学校の中退率が高く、その割合は3割を超えており、それらの人たちの就職先が見つからないとも言われています。
それなのに、不法移民入れ放題で、それを合法化しようとしているのが、現在の左派政権なわけですから、やはりグローバリズム政党だからと言えるのでしょう。

じゃあ、これに反対する政党はないのか?というと、VOXという政党があって、ここがアメリカのトランプ政権や、ドイツのAfD、フランスの国民連合などのような保守政党として、頭角を表してきてはいます。
若い人を中心に、VOXへの支持が増えているようですが、これは、移民がどうのというよりは、若者の失業率をなんとかしてくれそうな政党が、ここしかないと考えているからのようです。
ですが、ここまで見てきた通り、キリスト教的な価値観を大事にとか、そういった政策は、フランコ政権とかなり価値観的に被ってきます。
そのため、支持率は伸びているものの、フランコ政権の記憶が残っている高齢者の人気は低く、全体でもまだ1割強でしかなく、移民はある程度容認する中道右派の人民党ともうまく連立が組めず、移民反対の保守派が政権を取るのはかなり難しい状況にあります。

また、スペインの政治で特徴的なのは、カタルーニャ地方やバスク地方、そしてナバーラ地方などの、独立や自治を求める政党が乱立しているという点です。
これらの政党は、2023年の選挙でも、高いところは2%の7議席程度取っており、全部合わせると28議席、8%にもなります。
左派は「君達民族主義の人たちも自由だし、移民だって自由だよ」というスタンスのため、これらの民族主義政党は、現在の社会労働党政権と多党連立を組みました。
なので、たとえ現在の社会労働党政権が不人気であっても、保守は2つに分かれていて、連立を組むつもりもなさそうなので、左派が勝ちやすい環境にある、というわけです。
というわけで、ちょっと長くなったので、ここまでの話をざっくりとまとめると、こんな感じになります。


といった感じですね。
スペインの不幸は、歴史的に、保守的な立場にいる側が、ロクでもないことをやってきたということです。
スペイン帝国時代は、本国の産業振興をしませんでしたし、
フランコ政権時代も、軍部と教会だけ大事にして、貧乏なままでした
そして、民主化した後も、過去の蓄積がほとんどないため、工業系の産業の裾野が広がらず、失業率が高い若い世代ほど、燻る人が多いという状況なのです。
そのため、この保守派をなんとかぶっ潰そうとして、スペイン内戦が起こりましたし、
冒頭でご紹介した、イレーネ・モンテーロという置き換え理論賛成という、イカれた思想を持つ人も一定数出てくるのでしょう。
ただ、このモンテーロ氏がいるポデモスという政党は、10年ぐらい前は支持率が1割以上あって、スペインで三番目にデカい政党だったのですが、
あまりにフワフワしたことしか言わなくて現実味がないということで、今は4%程度に支持率が落ちているようですから、みんなの注意を引きたいために、こんなロクでもないことを言ってるのかもしれません。
だからと言って、保守派がいいのか?というと、それはそれで難しくて、移民反対、キリスト教万歳とでも言おうものなら、フランコ時代を知ってる高齢者ほど、毛嫌いするので、支持率が伸び悩み、結果的に移民賛成の左派が政権を握り続けるという状況になっているように見えますね。
このように考えると、スペインを入り口としたアフリカからの移民の流入は、欧州経済そのものがボロボロになって、魅力がなくならない限り、今後も止まらないのではないでしょうか?
欧州各国の移民問題については、今後もこんな感じで、追いかけていきたいと思います。







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