【理解不能?】なぜトランプ政権は、アトランティック誌にわざと極秘情報を漏洩したのか? | イエ&ライフ

【理解不能?】なぜトランプ政権は、アトランティック誌にわざと極秘情報を漏洩したのか?

youtube原稿

この記事では、「アメリカ政府の閣僚間の軍事作戦に関するチャットが、漏洩したという茶番。なぜ、こんなことをしたのか?」ということで、やっていきたいと思います。

 

1、はじめに

日本のメディアでも、報道されていますが、アメリカの長官級の人たち、18名が、シグナルというアプリのチャットルームに、アトランティックというメディアの編集長が、謎に招待されて、そのやり取りの一部始終を見てしまった、と事件が話題となっています。

 

(参考:NHK)

 

日本で言えば、LINEのトークルームに、見知らぬ人がいつの間にか招待されていて、それを見てしまったのを自分のメディアで暴露した、という感じでしょうか。

この件は、あまりにも不自然なことが多すぎるため、その裏の意図を解説するよりも、トランプ政権のスキャンダルとして、騒いだ方がわかりやすいと思うので、新聞やテレビなどのオールドメディアでは、表面的な話をうっすらやるだけのように思います。

 

ですが、以前にこちらの動画を作った私としては、この話は、かなり面白い意図が含まれていると思いましたので、今回の記事を作成した次第です。

 

 

最初に結論を言うと、もしかしたら、ガザの紛争は、思ったよりも早く決着がつくかもしれない、と言う可能性が、今回の件で見えてきたように思うのです。

この点について、詳しく考察してきます。それでは、参りましょう。

 

2、今回の事件の概要

まず最初に、今回の情報漏洩について、簡単に箇条書きで、解説したいと思います。

  • シグナルという、ラインのようなチャットアプリの会話に、ヴァンス副大統領や、ヘグゼス国防長官、マルコ・ルビオ国務長官などの、そうそうたるメンバーが参加しており、その中に、アトランティックの編集長のゴールドバーグ氏が、なぜか招待されて会話の内容の一部始終を見ることができた
  • この会話の内容の中では、フーシ派への攻撃計画についても議論されていて、予定時間の記載もあった。ゴールドバーグ氏は、このチャットルームに招待されたことも、そこに入っている参加者が本人たちなのかも、半信半疑だったが、本当にこの時間にフーシ派へ米軍が攻撃したことから、「これマジもんやん」ということで、自身が編集長を務めるアトランティック氏に、暴露記事を公開した
  • しかもアメリカ政府の関係者も、トランプ大統領も「この記事で書かれてる話は、嘘じゃないよ」と答えており、民主党やリベラル系のメディアを中心に、閣僚は辞職しろと大騒ぎとなっている

という感じです。

 

なお、この件については、やまたつさんのこちらの動画が詳しく解説されていますので、もっと詳しく知りたい方は、こちらの動画をチェックされることをお勧めします。

 

 

このように、いろいろと茶番めいた匂いがプンプンする、今回の騒動ですが、大きく2つの疑問があると思います。

それは、

  1. なぜ、トランプ・アンチのメディアの編集長が、この話に入っていたのか?
  2. もし、この騒動が、トランプ政権がわざとやったことだとしたら、その狙いは何なのか?

の2点です。ここから詳しく見ていきます。

 

疑問1:なぜアンチが招待された?

(参考:Atlantic)

 

まず1つ目の疑問である、なぜ、トランプアンチのメディアの編集長が、この話に入っていたのか?ということについてです。

 

 

今回の暴露記事を書いた、アトランティックのゴールドバーグ氏は、これまでのたびたびトランプ氏に対する批判やでっちあげ記事を書いてきた人で、例えば、2020年9月に、「第一次世界大戦で亡くなった米軍兵士を愚か者で、バカものだといった」という記事を出していますが、情報源は匿名ということで、しかも、2018年のことを持ち出してきており、まったく何の信憑性もない話だったようです。

 

それ以前にも、2002年にイラクが大量破壊兵器を持っていたと記事を出して、のちにでっちあげだったこともバレてますし、完全に戦争屋の片棒を担いでいる、そっち側の人なわけです。

 

さらに、今回の暴露記事が出たのは、3月24日なのですが、この件が出てくる前の3月18日に、トランプ氏は、自身のSNSのTruth Socialで、アトランティック誌について、

「『あんたたちは、作り話のでっちあげ記事しか書かないし、記者も気狂いしかいないので、どうせ赤字になって廃刊になるでしょう。それでも、もう少しマシな頭の記者を揃えたのなら、その時はインタビューに答えてやったもいいよ。』と言ってやったよ」と投稿しており、完全に邪魔者扱いして、バカにしていました。

 

(参考:Truth Social)

 

つまり、トランプ政権とは、完全に反対側にいるメディアだと認知させた上での、今回のリークだったことがわかります。

では、なぜこんなトランプ政権と敵対関係にあるような、不利な記事をわざと書くようなメディアの編集長をこんな重要な話し合いに、入れたのでしょうか?

 

理由①暴露情報に対する、信ぴょう性と拡散性

その理由は、私が思うに、大きく2つあります。

1つ目は、今回の暴露情報に対する信憑性と拡散性です。

もし、トランプ応援団のようなメディアが、今回の話をリークしたとすると、まずは、その話が本当なのか?ということで、疑問に思うメディアがたくさん出てくるでしょう。

 

(参考:BBC)

 

また、トランプ政権を応援するメディアを贔屓したということで、それはそれでリベラルメディアが大騒ぎすることになります。

しかし、トランプ政権のアンチメディアが記事を暴露したとなれば、その話は本当だと騒ぐメディアの数の方が多いと思われます。

 

現在のアメリカでも、日本でも、大手メディアの多くが、リベラル系であり、反トランプ色が強く、トランプ氏の政策に批判的な見方をする人たちが多いですから、そのようなメディアの一つが、暴露したとなれば、世界中のリベラルメディアが、横並び的に、今がチャンスだとトランプ政権の落ち度として、情報を拡散するでしょう。

 

それに加えて、今回の暴露記事について、政府高官も「この内容は本当だ」と言ってますので、その信憑性も担保された上で、今回の人たち、特に各国の政府高官が、この情報を本当だと受け止めたと考えられます。

 

理由②アメリカの「本音」を見せたかった

2つ目は、暴露記事という形で世間に出すことで、アメリカ政府の本音を、世界中の、特に世界中の政府関係者に知らせることができるということです。

 

 

今回の暴露は、チャットアプリへの投稿内容という形をとっており、参加者の中だけで共有される会話であり、表に出るはずがなかったものです。

日本でも、不倫現場の証拠として、LINEが流出することがありますが、それを嘘だと考える人はいないですよね。

 

つまり、アメリカ政府の本音を世界中の、特に各国の政府高官に、ダイレクトに伝える、という意図が、今回の暴露の目的だったと考えられます。

 

疑問2:なんでこんなことをしたのか?

では、このような狙いがあったとして、トランプ政権は、一体、誰に何を伝えようとしていたのでしょうか?

これも、私が思うに、2つあると思います。

 

標的①欧州との絶縁宣言

1つ目は、欧州と米国との関係の切り離しです。

 

(参考:VOX)

 

今回の暴露内容は、イエメンのフーシ派に対する攻撃をどうするか?についての議論だったのですが、この議論の中で、副大統領のヴァンス氏は、フーシ派を攻撃するのは、ちょっと待った方がいいのではないか?と投稿していました。

なぜ彼がこのように言ったのか?というと、欧州を喜ばせることになるからだ、と考えたからです。

 

今回、フーシ派が攻撃対象となった理由は、イスラエルが3月に入って、ガザへの攻撃を再開したことを受けて、イスラエルに砲撃を開始したからです。

この砲撃をやめさせるために、アメリカはフーシ派を攻撃しようと検討に入ったわけですが、もし、フーシ派をやっつけると、紅海の航行の安全が戻り、スエズ運河が使えるようになります。

 

ところが、このスエズ運河をアメリカの貿易船が使う割合は、アメリカの貿易総額のわずか3%しかなく、一方で欧州は、欧州の貿易総額の40%も占めているため、ヨーロッパが得になるじゃないかというわけです。

 

(参考:Telegrafi)

 

ヴァンス副大統領は、2月に行われたミュンヘン安全保障会議で、ヨーロッパ各国の関係者に向かって、

「あんたたちは民主主義を守るとか言ってて、犯罪をやりまくる不法移民や、LGBTQの人たちだけ大事にして、一般国民を守らない最低な人間だ。そんな人たちと、アメリカは同じ仲間だとは思えないし、NATOの軍事支援とかもしたくないっすね。」

という感じのことをしゃべって、欧州の関係者に喧嘩を売ってました。

 

それから以降も、何かと欧州に厳しいのが、ヴァンス氏です。

このヴァンス氏が、今回もアメリカが軍隊を出してフーシ派を鎮圧しても、

「結局、経済的に得するのは欧州なんだよなあ」とか

「欧州がこれだけ得するのなら、その分、アメリカに何か払ってもらった方がいいんじゃないか?」とか、言ってました。

 

このような内容が、本音と思われるチャット内容から漏洩し、世界中に伝わったのです。

そのため、世界中の政府関係者や経済人は、アメリカが欧州と、本当に縁を切りたい、というか、迷惑な存在だと考えていると、理解したのではないかと思います。

 

標的②エジプトにガザ住民の受け入れをのませたい

そして、こちらの方がもっと重要だと思うのですが、エジプトに対して、ガザ住民の受け入れを迫ろうというものです。

 

(参考:ロイター)

 

今回のフーシ派への攻撃、そして撃退によって、利益を受けるのは、欧州だけではありません。

スエズ運河はエジプトが所有しており、その収入は、2023年に過去最高の87億6,000万ドルありましたが、昨年はガザ侵攻に抗議するために、シーア派が紅海を通る商船を攻撃するようになったため、南アフリカ経由に切り替える船が続出し、前年比で70億ドル、約1.1兆円も減少したと発表しています。

なので、ざっくり8割減ぐらいだったとようです。

 

それが、1月に一度ガザが停戦となり、フーシ派の攻撃も止まっていたのです。このまま平和が戻れば、エジプトも、スエズ運河の収入が回復し、経済も息を吹き返す可能性がありました。

 

しかし、トランプ政権になって、ガザをアメリカが引き取って復興するから、パレスチナ住民をどこかに移住させたい、と計画を発表したところ、アラブの周辺国が一斉に反発し、トランプ氏はこの案を撤回しました。

そして、3月には、ガザに戻ってきたパレスチナ住民に対して、イスラエルが再度空爆を再開し、トランプ政権は、この動きを前面支援すると発表しています。

 

冒頭にご紹介した動画で解説したのですが、このような人道的に外れているようなトランプ氏の姿勢は、おそらく、周辺のアラブ諸国に対して、

「イスラエルがやべえ国だってことは知ってるだろ?かといって、イスラエルと戦争する度胸もないくせに、そこにガザの人たちを戻そうしたお前らは、罪もないパレスチナ人を戦場に送り出したのと同じだ。」

というメッセージだった、私は考えています。

 

(参考:AL Jazeera)

 

しかし、このようなメッセージだけでは、周辺の国が、パレスチナ人を受け入れることはしないでしょう。

そこで今回のチャットを漏洩することで、エジプトに対する圧力をさらにかけようとしたものだと考えられます。

 

大統領次席補佐官のスティーブン・ミラー氏は、このチャットの中で、このようにも発言しています。

 

「大統領は明確に(フーシ派への攻撃について)『ゴーサイン』を出したが、我々はエジプトとヨーロッパに対し、見返りに何を期待するかをすぐに明らかにする

(参考:AL Jazeera)

 

つまり、ヨーロッパだけでなく、エジプトもスエズ運河が回復して得するわけだから、エジプトからも何かしらの対価を払ってもらおう、

と言ってるわけです。

 

(参考:JICA)

 

エジプトの貿易相手国を見てみると、輸出先としては、サウジ、UAE、そして米国で全体の15%を占めます。

そして、輸入先としては、中国、アメリカ、サウジ、インドで、全体の3割近くを占めます。

 

これらの国々との貿易は、地理的にみると、アメリカを除いて、紅海を通じて行われているものが多いと思われます。

なので、フーシ派が紅海を封鎖し続ければ、スエズ運河の通行収入だけでなく、貿易自体も滞ってしまうため、兵糧戦のような状況になっているのです。

 

ガザ住民の移住提案は、その規模も、内容も、周辺国としては、到底受け入れらることではなく、それをトランプ氏がゴリ押ししても、反発を招くだけだし、大義はアメリカにはないと判断し、さっさと提案を却下しました。

 

ですが、それで諦めたわけではないと思います。

しかし、それを大っぴらに言えるわけもないため、このようなリークという形で、エジプトに対して、

「きっちりとフーシ派を騙させたのちには、対価を払ってもらうからな。それとも、このままフーシ派とドンパチを続けて、紅海を使えなくすることで、兵糧攻めをするのもいいかもな」ぐらいの脅しをメッセージとして伝えようとしたのではないでしょうか?

 

(参考:Times Of Israel)

 

現在、ガザの住民の移住先としては、アフリカのソマリアやエチオピアが候補に挙がっていて、アメリカも交渉を行っているようですが、移転するなら、同じアラブ人の周辺国がいいに決まってます。

なので、複数の受け入れ先を考えていると思いますが、ガザはエジプトと隣り合っているので、アメリカが、エジプトへの受け入れ圧力を止めることはないでしょう。

 

それは、今回のように、一見すると分かりにくいものの、実はエジプトにとって、厳しいものになるのではないかと予想しています。

なので、私の予想としては、エジプトがガザ住民の受け入れをのむのではないかな、と思っています。

この記事を書いた人
ゴトウ

証券会社で12年間勤務。営業と店舗マーケティングに従事後、2018年から当サイト「イエ&ライフ」を運営しています。

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