今回の記事では、「なぜイギリスは、歴史上の人物を全員黒人にしたがるのか?」ということで、やっていきたいと思います。
1、はじめに
フランスのゲームソフト会社のUBIソフトが、先日決算を発表し、株価が20%近く暴落しました。
UBIソフトは、昨年から話題となっている、アサシン・クリードシャドウズというゲームで、日本を舞台としたアクションゲームの主人公に、日本人ではなく、黒人侍の弥助を登場させ、しかもこれが史実に基づいたモノであると主張して、炎上騒ぎとなっていました。
それで、ゲーマーからのボイコットもあったからか、売上本数は開示せず、業績も売上が前年同期比で2割近く減少し、赤字を計上するハメとなりました。
このアサクリ・シャドウズは、3月20日に発売されたのですが、初動があまりにもひどかったのでしょう。
1週間後の3月27日には、アサシンクリードやファークライといった、同社の売れ筋タイトルを、テンセントと一緒に出資した子会社に移管することも発表され、あまりにひどいUBIソフト本体から脱出させるような動きとなっています。
UBIソフトは、フランスの会社で、昨年はオリンピックのやべえ開会式もありましたし、個人的にはフランスって、やべえ国なんだなという印象に変わったのですが、それを上回る国がありました。
それがイギリスです。
今、イギリスでは、学校の教科書で、黒人がイギリスを作ったというような記述が広がっているというのです。
今回は、頭が逝かれたイギリスについて、ご紹介しつつ、なんでこんなことになっているのか?についても、考察していきたいと思います。
それでは、参りましょう。
2、イギリスの中学校の歴史教育の実態
今回ご紹介するのは、イギリスの保守系シンクタンクである、ポリシー・エクスチェンジという団体が最近出した、「イギリスの中学校の歴史教育の現状」というレポートです。
このポリシー・エクスチェンジという団体は、2002年に保守党議員のニック・ボールズ氏によって設立された団体で、HPを見ると、月に数本のペースで、各種政策についてのレポートを出しています。
ちなみに、今回のレポートの直前に出したレポートが、「ビルド・ベイビー・ビルド」というタイトルでした。
犯罪が増えすぎてるので、刑務所をバンバン建てようぜ、という内容です。
これは、トランプ大統領が原油生産の規制緩和を掲げていたときに、「ドリル・ベイビー・ドリル」というフレーズを使っていましたので、それをモジッたタイトルだと思われます。
保守系ということもありますし、トランプ政権の政策に対して、親近感を持っている団体なのでしょう。
脱植民地化された歴史教育とは?
それで、今回の中学校の歴史教育において、何が書かれているのか?というと、「脱植民地化された歴史教育」です。
イギリスは、18世紀から第二次世界大戦まで、覇権帝国として、世界に君臨してきたため、いろいろな国を植民地化したり、戦争をしてきました。
そのため、歴史教育においても、この期間に起こったことを評価する場合ことは、なかなか難しくなっています。
アフリカから奴隷を持ってきたとか、インドを植民地化したとか、中国に戦争を仕掛けたとか、ムチャクチャやってきましたし、現在のイギリスは、インドや中国、アフリカからの移民の方もたくさんいますからね。
さらに、2020年にアメリカでブラック・ライブズ・マター運動が起こり、イギリスにも波及しました。ジョージ・フロイドさんという黒人男性が、白人の警官に捕まえられて、そのまま死んでしまったということで、「いつまで黒人に対して、白人はひどいことをし続けるんだ!」と暴動が広がったのです。
これによって、イギリスのブリストルという街では、奴隷商人で政治家だった、エドワード・コルストンの銅像が倒されたり、オックスフォード大学でも、南アフリカを占領して、ダイヤモンドのデビアス社を作ったセシル・ローズの銅像を撤去しろという学生運動が起こりました。
こんな感じで、これまでの偉人たちをどう扱っていいかわからなくなったのです。
日本で例えるなら、明治維新の立役者の一人で、初代総理大臣にもなった伊藤博文について、日韓併合をやった張本人だし、どう評価するのが適切なの?みたいな議論が、一人一人に対して起こるような感じでしょうか。
やばい教育①通史をやらなくなった
では、具体的に何が起こっているのか?というと、やばいのが2つあります。
1つ目は、通史をやらなくなった、ということです。
このレポートでは、イギリス全土の500の中学校に対して、歴史の教育内容についての情報開示請求をしています。
それで、歴史の授業で、どんな内容を教えてますか?という質問に対して、奴隷貿易や産業革命、清教徒革命などについては、ほとんどの学校で教えているものの、
ナポレオン軍を倒したトラファルガーの海戦や、南アフリカのボーア戦争、フランスとの百年戦争中にあったアジャンクールの戦いなど、は1割から2割程度の学校でしか、教えていないというのです。
これは、脱植民地化された歴史教育のために、イギリス帝国時代を手厚めに教えたり、植民地政策についてだけ、個別に深掘りをしたりなどしているためだとしています。
その結果、イギリス全体の歴史の流れや、その時期、その時期の海外との関係などの理解ができない、狭いテーマだけ知っている子どもたちが増えているようなのです。
日本で言えば、室町や戦国時代などが、すっぽりと抜けているような感じなのでしょう。それって中学校でやるべき、歴史の授業なんですか?って、感じですよね。
そのため、このレポートでは、イギリス建国年である1066年から1989年までの、英国史を網羅したものを教えるべきだと提言しています。
やばい教育②黒人だらけの歴史
そして2つ目が、やべえ資料を材料に教えてる、ということです。
ブラック・ライブズ・マターをきっかけとして、脱植民地化された歴史教育がエスカレートしているため、黒人に対して遠慮するような記述の教材が、中学校で使われているようなのです。
このレポートで挙げていたのが、こちらの「Brilliant Black British History」です。
この本は、ナイジェリア人のアティヌケという作家の本で、その主張は「はじめにブリテン島に来たのは、黒人であり、ストーンヘンジを作ったのも黒人だ。なので、今いる白人のイギリス人が、現在のイギリスに住んでいるのは、ごく短い期間でしかない」というものです。
表紙を見てもらうと分かる通り、白人のイギリス人は真ん中に一人いるだけで、あとは、それぞれの時代、職業の人たちすべてが黒人となっています。
この本に書かれている内容を一部抜粋しますと、
“約 12,000 年前、現代人が英国に定住しました。当時の西ヨーロッパ人全員がそうであったように、彼らは黒人でした。約 6,000 年前、褐色の肌の人々が英国に移住しました。彼らは農地を購入し、ウィルトシャーにストーンヘンジを建設しました。最初の白人の英国人が英国に移住したのは約 4,500 年前です。それ以前の 7,500 年間、英国は黒人の国でした。”
ということです。
つまり、「イギリス人は、昔は全員弥助だった」というのです。これは、なかなか衝撃的な主張ですよね。
UNIソフトのアサクリシャドウズどころの話ではありません。
では、なぜこんなことを言えるのか?というと、チェダーマンと呼ばれる、約1万年前の人骨をDNA分析をして、復元してみたところ、色がこんな感じで黒かったから、というのです。
この復元像は、2018年にメディアによって、「最初のイギリス人」として報道されました。実は、そんなことはなくて、もっと古い現代人の化石があるのにです。
オールドメディアは、イギリスはもともと黒人が住んでいた国だったんだ、と言いたかったようなんですね。
しかし、このチェダーマンのDNAは、アフリカ由来ではなく、中東由来のものらしく、先ほどの本のような、何から何まで黒人が歴史を作ってきたんだ、という主張とは、かなり違います。
そして、アマゾンのレビューを見てみると、星1と5とで、クッキリと分かれてますね。デタラメいうな、という星1評価と、素晴らしすぎる!という星5評価です。
アメリカの政治を見ているようですが、イギリスでも同じ感じのようです。
というわけで、一応、証拠らしい証拠は1つあるものの、それをすべてイギリス全土、全歴史に当てはめるのは、どう考えても無理があるだろ!という内容の書籍が、ノンフィクション児童書の部門で、2024年の最優秀賞を取っているというんですね。
そして、これを元に、中学校の歴史を教えられていると、そういうわけです。
イギリスでは、これ以外にも、それまで白人だと思われていた歴史的な人物を黒人に置き換えるとか、再解釈?しようとする動きがいくつもあるようです。
こちらは、アン・ブーリンという、16世紀の王妃ですが、2021年のテレビドラマでは、ジョディ・ターナー・スミスというアフリカ系の女優が演じたもののようです。
また、最近ですと、ハリーポッターのスネイプ先生役の人が、黒人の方に変わったと発表されていましたね。
こんな感じで、日本から見ると、不自然な黒人推しのように見えますが、ブラック・ライブズ・マターの影響が、イギリスでは、まだまだ残っているのかもしれません。
アメリカも同じ穴のムジナ
ちなみに、アメリカでも、2019年にニューヨーク・タイムズが、1619プロジェクトというキャンペーンを始めました。
これは、1619年がアメリカに黒人奴隷が初めて連れてこられたということで、奴隷にされてきた黒人の目線から、アメリカを再解釈していこうという目的で行われました。
その中での主張は、
・独立戦争は、アメリカの奴隷制を維持するために行われたのだ、とか、
・アメリカの資本主義の精神というのは、黒人奴隷をこき使うプランテーションから始まったものであり、ろくなものではない
みたいな感じの、現在のアメリカという国のあり方を再解釈、というか否定しようとしたキャンペーンのように見えます。
このキャンペーンのひどいところは、歴史的な事実ではないことを真実のように主張している点です。
致命的なのは、1619年は黒人奴隷が初めてアメリカに来た年ではないということですね。
歴史家のジェームズ・オークスは、このプロジェクトを「奴隷経済の歴史を台無しにし、北部の経済発展の起源を誤解し、奴隷制度廃止の歴史を消し去り、奴隷解放を無意味なものにしてしまった」と、ほぼほぼ全否定しています。
また、今回トランプ政権に変わって、ジェンダーとか人種で優遇する政策が撤廃されたので、現在は下火になっているとは思いますので、余計にイギリスの黒人推しが目立つ感じになっているように思います。
ということで、イギリスの中学校が、証拠があやふやな黒人起源説をもとに、歴史を教わっているという現状についてみてきました。
日本は敗戦したので、中国や韓国に賠償金を払ったりしてきましたが、どう考えても、アメリカやイギリスの方がひどいことやってんじゃん、と思ったことがある人は多いと思います。
ところが、イギリスは、帝国主義でやりたい放題やっていた時代のことで謝罪したり、賠償をしたケースはほとんどありません。
あまりに略奪がひどすぎるため、償おうにも償い切れないから、スルーしているのでしょう。
ですが、それゆえに、罪悪感を持っている人や、国内で燻っている人たちが、こういう奴隷制度や人種問題をネタに、大暴れして、手がつけられなくなっているような印象を受けます。
イギリス人もいい加減、キレてきた?
今回、イギリスの地方選挙では、リフォームUKという、イギリス版のトランプ政権のような政党が大勝しましたが、大量の移民受け入れと治安の悪化だけでなく、このような意味のわからない教育制度にも、ムカついてきたからなのかもしれませんね。
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