今回の記事では、「ガーシー化するトランプ政権。暴露を恐れたアメリカ政府職員が一目散に逃亡し、世界に平和が訪れそう」という件について、見ていきたいと思います。
1、はじめに
1月20日にトランプ大統領が就任し、政府効率化省を立ち上げる大統領令に署名をしました。
この政府効率化省は、就任前からその構想について、イーロン・マスク氏がたびたび発言していましたが、2026年7月4日までの期間限定の組織であり、約1年半で、政府の中にある無駄な組織や職員の削減を通じて、予算の削減を勧めるプロジェクトです。
目標としては、政府の年間予算の約3割にあたる、2兆ドル、日本円で約300兆円の削減を目指すと以前から言ってましたので、かなりの規模の削減をするのだろうと予想されていました。
しかし、政府職員というのは、公務員ですから、簡単に首が切れるわけではありません。
政府効率化省ができたからといって、各省庁の人事権を握ったわけでもありませんし、どうやってクビを切ることができるのでしょうか?
政府効率化省の権力の源泉
今回の政府効率化省に関する大統領令を見てみると、第一条の目的に関する部分で、
この大統領令は、連邦政府の技術とソフトウェアを近代化して政府の効率性と生産性を最大化することにより、大統領の DOGE アジェンダを実施するための政府効率化局を設立する。
とあります。
つまり、政府機能のシステムをより効率化することで、政府の無駄を削減しようという組織なんですね。
そしてさらに、第四条のC項では、このような記載もあります。
政府機関の記録やシステムへのアクセスを提供することに対する障壁となる可能性のある、これまでのすべての大統領令および規制に代わるものである。
つまり、政府職員が何をやっていたのか?について、機密扱いのもの以外の、全ての記録やシステムにアクセスできる権限を持つということなのです。
そうです。イーロン・マスク氏率いる、政府効率化省は、トランプ氏のお墨付きをもらって、これまでのアメリカ政府がやってきた、ムチャクチャなことを調べて、暴露して、修正する権限を持つことができるようになったんですね。
日本で言えば、ガーシーが、日本の官公庁を調べて暴露する権力を持ったようなものなんです。
この動画では、トランプ政権が始まって、この3週間弱の間に、どれほどのことが暴露され、暴露された人たちがどうなっているのか?について、解説していきたいと思います。
それでは、参りましょう。
2、参考となるXアカウントのご紹介
今回の記事は、主に政府効率化省の活躍についての紹介になりますが、この政府効率化省が何をやっているのか?については、Xに政府効率化省のアカウントがあり、そこで毎日の成果について投稿されています。
また、政府効率化省のトップである、イーロンマスク氏も、かなりの頻度で投稿しています。
テスラのCEOでもあるイーロン・マスク氏のXのアカウントのプロフィール欄は、現在「ホワイトハウスの技術支援」とだけ記載されており、完全に政府の人って感じですね。
どうしても、オールドメディアを通じてのものですと、政府の今までやってきた悪事や、バカバカしい無駄の暴露になってしまうので、報道の内容が甘くなってしまいがちです。
実際に起こっていること、発覚したことをダイレクトに知るには、政府効率化省やイーロン・マスク氏が直接発表しているものを追っかけた方がいいでしょう。
もちろん、英語での投稿ではありますが、Chrome上で使うと簡単に翻訳もできるようになっています。お使いのブラウザやアプリによって、環境が違うかもしれませんが、一度チェックしてみる価値はあると思います。
3、暴露されたエピソードを5つ
それでは、個別の投稿と、メディアの報道をもとに、どんな話が出ているのか?について、見ていきましょう。
面白いトピックを5つご紹介します。
(1)DEI関連予算の削減
1つ目は、DEI政策関連の予算の削減についてです。
DEI政策とは、Diversity ,Equity , Inclusionの略称で、日本語ですと、多様性、公平性、包括性を満たした採用計画のことになります。
アメリカでは、1960年代に黒人差別に反対する公民権運動が盛り上がり、それによって、黒人という理由で雇用を拒否したり、給料や福利厚生を低くしたりといった差別を撤廃する動きが進みました。
そして、それまで不利な立場にあった黒人を引き上げるために、アファーマティブ・アクションと呼ばれる、黒人やネイティブアメリカンなど、人種によって、入学できる人員枠を設ける大学が増えていきました。
このような動きが、それから数十年間、エスカレートしていった結果、能力がないのに人種や性別が、黒人や女性など、「白人男性でない」というだけで優遇され採用や昇進が進んでいきました。
その最たるものが、LGBRQですね。
男性でも自分は女だと自認するだけで、女性のスポーツ大会に出れるようになったり、女性専用のジムに入会できたり、一緒にシャワーを浴びたりすることができるようになったのです。
トランプ大統領は、そのようなムチャクチャな政策を進めてきたバイデン政権を批判し、実際に就任日に大統領令で、アメリカには男性と女性の2つの性別しかない、ということを公式化しました。それに伴い、これらのDEI政策を撤廃する大統領令にも署名をしました。
この大統領令を受けて、政府効率化省は、各省庁のDEI政策を洗い出し、その予算をストップさせたのです。
それが、こちらの2月1日の投稿なのですが、なんと約12.6億ドル、1,900億円ものお金が、DEI関連予算として計上されていました。すでに使われていた分もありましたが、ストップさせたことで、約10億ドルの無駄を削減できたということです。
なお、このDEI政策については、こちらの動画で詳しく解説しましたが、DEI担当者は、この大統領令を受けて、自分の肩書きを変えて、素知らぬ顔で逃げ切ろうとしている人がたくさんいるみたいですね。
それをX上で、「あいつもDEI担当者だったのに、シレッと肩書き変えてるよ」というユーザーの暴露祭りが行われてたりしてます。各省庁の担当者だけでなく、大学などにもいるようなので、全米で数千人規模で、これらの役職の人たちが、今後クビになるだろうと言われています。
(2)海外援助機関USAIDの停止
2つ目が、海外援助の停止です。
米国国際開発庁、略称USAIDという政府機関があります。
この機関は、1961年にケネディ大統領が、非軍事の海外支援を目的として設立されました。
現在、USAIDは、年間400億ドル、約6兆円もの予算を持っており、1万人以上の職員がいます。そして、そのうち3分の2以上の人が、米国外で勤務しています。
政府効率化省は、この機関の査察に入り、システムにアクセスしようとしたところ、上級職員2名が抵抗し、その場でこの2人は休職扱いになってしまいました。
なぜ、この2名の職員は、システムにアクセスされることに反対したのでしょうか?
そうですね。もちろん、ムチャクチャなことに金を使っていたことがバレるのが嫌だったからです。
こちらの画像は、ホワイトハウスが公表した、USAIDの無駄な支出の例です。
いくつか抜粋してみますと、
- セルビアの職場とビジネスコミュニティにおけるDEIの推進のために、150万ドル
- アイルランドでのDEIミュージカル政策に7万ドル
- グアテマラの性転換とLGBT活動に200万ドル
- 武漢研究所の研究に携わっていたエコヘルスアライアンスに数百万ドル、これは、コロナの疑惑のあった生物化学研究所のことですね。
- シリアのアルカイダ系戦闘員への、何十万食もの食事
などなどです。
この公表分には、
「リストは文字通り延々と続きます。そして、これらは全て何十年も続いてきました」
という文言が続いています。
いかに、アメリカが海外に無駄な金をばら撒いていたのかがわかりますよね。
また、USAIDは、海外でのバラマキだけでなく、国内のメディアに対しても、ばらまきをしていたようです。
ニューヨーク・タイムズや、AP通信、Politicoなどが挙げられていますね。
ちなみに、ポリティコというメディアは、トランプ氏をナチスとか、ファシズムとかと関連付ける記事をたくさん投稿しているメディアでもあります。
選挙期間中に、このようなイメージダウンを狙った記事を量産していたのは、バイデン政権からお金をもらっていたということなのであれば、納得もいきますよね。もちろん、ニューヨーク・タイムズもそうです。
このような実態を受けて、USAIDは、約1万人の職員のうち、本当に海外貢献をしている297名を除いて、97%の職員を休職扱いとしました。
(参考:japan times、USAID)
海外で働いている職員は、30日に以内にアメリカに帰国するようにとの命令も出ています。USAIDのHPを見ると、もうこちらの画面しか出てきません。職員向けに、早く帰ってこい、と表示されているだけなのです。
あっという間に、何兆円もの金をばら撒いていた、1万人以上の政府機関が閉鎖に進んでいるのです。
(3)財務省
3つ目は、財務省です。
お金の流れを把握するのであれば、財務省を調べることは避けられません。
ところが、ここでも、財務省の高官が、政府効率化省の職員によるシステムへのアクセスに抵抗して、その場で退職してしまいました。
何も悪いことをしていないのであれば、なぜ退職するのでしょうか?
普通に考えると、給料だってなくなるわけですし、訴訟するなどして、もっと抵抗するようなイメージがありそうですよね。
まるで、SMAPの中居くんのような退場の仕方ではないですか?
悪いことをしていないなら、引退なんかしないで、記者会見すればいいのに。
ちょっと脱線しましたが、このように政府効率化省が財務省にアクセスできるようにすることで、誰が、またはどこの企業が、政府からどういった名目でお金をもらっているのかを把握できるようにしようとしています。
ただし、この件については、プライバシー違反ということで、訴訟に発展してきたため、政府効率化省によるアクセスは一時停止となりました。
そのため、財務省を通じての暴露が起こるのは時間がかかりそうですが、高官が1人辞めてますし、やはり叩けば埃がたくさん出てきそうだと、アメリカ国民は思っているようです。
(4)200万人の公務員に退職勧奨
4つ目が、約200万人の職員に対する、退職勧奨です。
トランプ大統領は、1月28日に、約300万人いる政府職員のうち、200万人に対して、9月までの給与を保証した上での、退職勧奨を行いました。
裁判所が応募期限の延期の判決を出していますが、この動画を作っている2月7日現在、約6万人が応募しているということです。
昨年12月5日に、アイオワ州選出の上院議員である、ジョニ・アーンスト氏が、政府職員の勤務実態についての報告書を発表しました。
その内容を見てみると、
- 政府職員の90%がテレワークを行なっており、そのうち3分1が、完全リモート勤務になっている。コロナ以前は、この数値は3%だった
- テレワークになった官僚のうち、2割から7割近くが、オフィスから遠く離れた場所に住んでいて、不要な地域手当ももらっている
- ワシントンの主要機関のオフィスの稼働率は、わずか12%で、これらの政府庁舎の維持管理に、年間約160億ドル、2.4兆円の費用がかかっている
という、驚くべき無駄が暴露されていました。
このような背景があったため、じゃあ、もう半分以上の職員って、いらなくね?ということで、200万人への退職勧奨が行われたのでしょう。
トランプ政権は、10%ぐらいは辞めるんじゃないか?と見積もっていたようですが、今のところ、3%程度の6万人しか応募がないようです。
しかし、今後は勤務評価が低い職員のリストアップを進めていくということですので、さらに辞めざるを得ない状況へと追い込まれる、何もしていない職員が増えていくのでしょう。
(5)あのCIAも、全職員に対して退職勧奨
そして、最後の5つ目が、CIAの全職員への退職勧奨です。
諜報機関であるCIAは、先ほどの200万人の対象には入っていませんでしたが、今回CIA長官に就任したジョン・ラトクリフ氏の判断によって、CIAも対象に入れたそうです。
職員は約2万人とのことですが、そのほかに非正規職員や派遣職員など、スパイ活動に従事する人もいるため、どれぐらいの人を対象にしているのか、よくわかりませんが、全職員を対象としているということなので、ほとんどの作戦について、必要ないと判断しているのではないかと思われます。
今回のトランプ政権は、閣僚もかなり早い段階で指名しており、アメリカ第一主義を基本的な価値観においています。
国務長官のマルコ・ルビオ氏の指名公聴会で、このような発言をされています。
米国の外交政策に対する全ての支出と取り組みは、3つの単純な質問異対する答えによって、正当化されなければならない。
それはアメリカをより安全にするのか?
それはアメリカをより強くするのか?
それはアメリカをより豊かにするのか?
以上です。
CIAの活動は、他国の情報収集だけでなく、政権の転覆などにも関与していたと言われています。CIAのWikipediaを見てみると、例えば、イラク戦争に導いたのは、CIAだとされていますね。
イラクが大量破壊兵器を保有しているという口実で始まったわけですが、そんなものはなくて、のちにパウエル国務長官が謝罪する結果となりました。
他にも、海外の政権のクーデターに関与していたり、金正恩氏の暗殺を試みたりなど、その活動内容は、基本的に変わっていないと思われます。
しかし、このような海外の政権を転覆させて、アメリカ好みの政府にしようとする行動は、先ほどのマルコ・ルビオ国務長官がいっていたような、アメリカを安全に、より強く、そしてより豊かにするのでしょうか?
例えば、アメリカはこれまで南米やアフリカからの不法移民に悩まされてきましたが、これって、これらの国の政情が不安定になって、貧乏なままだから、アメリカに殺到してきてるんですよね?
南米からの不法移民だと、一番多いのはベネズエラですが、2002年にCIAは、クーデター未遂を起こしています。
そして、その後は経済制裁を続けており、ベネズエラの経済が破綻状態になった結果、アメリカへ難民として、何百万人と流入しているのです。
そう考えると、CIAがやっている活動は、アメリカ第一主義を掲げるトランプ政権から見ると、余計なことと捉えられるものが、かなり多いのではないかと思われます。
全職員に対して、退職勧奨を行なっているということも、このようなアメリカという国の方針転換による影響ではないかと思われます。
4、まとめ
というわけで、この2、3週間で、トランプ政権と政府効率化省がやってきた、アメリカ政府のリストラ計画とその暴露の内容について、追っかけてみました。
たったこれだけの期間で、これほどの大きな期間が閉鎖に追い込まれたり、リストラにあったり、政府高官が逃げ出したりなど、かなり劇的な動きとなっています。
しかも、これが議会などでの採決をしないでできているという点です。
大統領という強力な権限がバックにあるということもそうなのでしょうが、それまでブラックボックスだった金の動きにアクセスをして、暴露した、ということだけで、政府高官が逃げ出してしまったり、政府機関の実質的な閉鎖に追い込んでいることを見ると、案外に日本のデジタル庁なんかでも、参考にできることがありそうですよね。
システムにアクセスできるということは、全ての情報とその仕組みが明らかになるわけですから、非効率なお金の使い方をしてるとか、そういうことを暴露してくれてもいいんじゃないかなと思ってしまいます。
今後、現在政権与党に食い込みそうな国民民主党ですが、ポストをもらうのなら、デジタル庁も案外、面白いのではないかなと思います。
というわけで、ここまで、トランプ政権による、これまでのアメリカ政府職員の悪行の暴露について、見てきました。
今後は、ケネディ大統領やキング牧師暗殺に関する機密解除もされる予定なので、本当にびっくりするようなニュースが、これからもどんどん出てくると思います。
そして、このような動きがさらに進めば、アメリカが関与していた、これまでの世界中の紛争に資金が行かなくなりますから、もっと平和な世の中になっていくのではないでしょうか?
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