金価格が1グラム2万円越えへ。インフレ時代の生き残り方 | イエ&ライフ

金価格が1グラム2万円越えへ。インフレ時代の生き残り方

youtube原稿

今回の動画は、「金価格が1グラム2万円越えへ。インフレ時代の生き残り方」ということで、やっていきたいと思います。

*この記事は、YouTube動画の元原稿になります。

 

 

1、はじめに

金価格の上昇が止まりません。

この動画を作っている10月8日現在で、1オンス4,000ドルを超え、日本での小売価格も、1グラム21,000円台を付けました。

 

(参考:田中貴金属)

 

特に、9月以降の上昇は凄まじく、この1ヶ月半で2割前後の上昇となっています。

ドルベースの金価格の上昇と、円安が進んだことで、これほどの価格上昇となっているようです。

 

(参考:ブルームバーグ)

 

そんな止まらない金価格の上昇を受けて、投資銀行のゴールドマンサックスも、来年末の価格予想を、1オンス4,300ドルから4,900ドルへ引き上げました。

中央銀行による旺盛な金購入と、FRBの利下げによって、金利がつかない貴金属への相対的な魅力が高まるという見方のようです。

 

 

なお、この間に、自民党の新総裁が高市氏に決まったことで、日経平均株価も大きく上昇し、高市トレードと言われてますが、この時期に金価格も負けずに上昇しています。

高市氏が成長戦略を描くだろうから、企業の業績も伸びて、株価が上がると見る人が多いようですが、同時期に金利も配当もつかない、金価格が上がっているのはなぜなのでしょうか?

 

これはひょっとして、経済成長期待ではなく、インフレ期待、どころか、インフレへの恐怖による上昇なのではないでしょうか?

この動画では、現在の金価格上昇の背景を解説していきながら、これからさらに進むであろう、インフレの波を乗り切る方法について、考察していきたいと思います。

それでは、参りましょう。

 

参考記事について

なお、今回考察するにあたり、参考にした記事をご紹介します。

それがこちらの、エルサレム・ポストというイスラエルのメディアの記事です。

 

(参考:Jerusalem Post)

 

イスラエルという国は、迫害されてきたユダヤ人が作った国なため、いつでも持っていける資産に対する興味のアンテナが、日本人よりも高いのだと思います。

そのため、このエルサレム・ポストでは、金や銀についての、投資に関する記事が、結構な頻度で紹介されています。

 

今回の記事は、貴金属アナリストのジェシー・コロンボさんという方のもので、ジェシーさんのブログから転載されたものになります。

(参考:ジェシーさんのブログはこちら*同じ内容の記事です)

 

2、金価格が上昇している背景

まず初めに見ていただきたいのが、こちらのグラフです。

 

(参考:Jerusalem Post)

 

これは、2007年から現在にかけて、各国の通貨建の金価格がどれだけ上がったのかを表しています。

日本円の線は、緑色のものなので、下から2番目になりますね。

この記事は、今年の9月のものなので、約6倍になっていますが、10月現在に直すと、約7倍の上昇となります。

1グラム3000円から21,000円台になってますからね。

 

(参考:Jerusalem Post)

 

そして次のグラフは、先ほどのグラフを上下逆にしたような感じのものですね。

2007年時点の金価格をその時々の金価格で割ったものになります。

金とは、利息や配当を産みませんから、本来であれば、価値は変わらないはずです。

戦後のブレトンウッズ体制の頃は、金は1オンス35ドルに固定されていました。

 

ところが、金価格が上がっているということは、これは見方によっては、通貨の価値が下落していると見ることができます。それを示したグラフになります。

そう考えると、日本円は、2007年から比べて、8割下落した計算になるわけですね。

 

(参考:Jerusalem Post)

 

では、なぜ金価格の上昇、言い換えると、各国の通貨の価値が下がっているのでしょうか?

その理由は、カネの刷りすぎです。

 

2007年から2025年にかけて、世界のお金は、38兆ドルから115兆ドルに増えています。3倍以上に膨れ上がっているんですね。

この間、リーマンショックがあって、日銀などの中央銀行が、お金を刷りまくって国債を買いまくりましたし、新型コロナ以降は、各国の政府がコロナ支援金とか言って、やはり国債を大量に発行して、中央銀行に買わせました。

そんなこんなで、お金の量がどんどん増えていったんですね。

 

(参考:Jerusalem Post)

 

このお金の量と、金価格を並べてみると、こんな感じになります。

黒い線がお金の量M2で、黄色い線が金価格です。

お金の量が増えるのに合わせて、金価格も上昇していますが、2024年あたりから、その上がり方が急激になっていることがわかります。

 

(参考:The Jerusalem Post)

 

昨年の11月ごろに、金価格についての動画を出したのですが、その時も、このエルサレム・ポストの記事を紹介しました。

その内容は、欧米の金融機関が、金価格を下げるために空売りをずっとやっていて、中国がロンドン貴金属取引所の会員から脱退した数ヶ月後から、金価格が本格的に上がり始めたというものでした。

 

その後、トランプ政権になる直前にロンドンからアメリカへ金が大量に輸送されたり、ベッセント長官が財務省の金価格の評価替えをするのでは?と言った話が出てきたりと、

もう金価格を低いままで押さえつけることができなくなってきており、金価格の上昇が止まらなくなっているような印象ですね。

 

3、インフレでおかしくなってきた世界

高市氏が新総裁になったことで、積極的な財政政策を行うと期待されていますし、欧州、特にドイツでは、軍事費を捻出するために、5000億ドルを新たに借金で作り出すとしています。

フランスは、緊縮財政をやろうとしていますが、今年に入って3人目の首相が、わずか26日で辞任に追い込まれました。

 

なので、フランスも財政赤字がどうのと言ってられなくなって、結局借金を増やして、お金の量を増やすことになるでしょう。

そうなると、世界中の特に先進国においては、借金がさらに増えるので、さらにお金の量が増えていきます。金価格もそれに合わせて、上がっていくことになると予想されます。

 

ハイパーインフレで何が起こったか?

このように、カネを刷りまくるので、金価格の上昇も止まらない状況にある訳ですが、これがさらにエスカレートしていくと、どうなっていくのでしょうか?

例えば、第1次世界大戦後のドイツでは、ハイパーインフレが起きて、物価が1兆倍にまで上がりました。

 

 

日本でも、戦後間もない頃は、激しいインフレが起こりましたが、そのような状況になると、お金に対する信用がなくなるので、

①物々交換

②カネをモノに変える動き

③国外に脱出、資本逃避

そして④気が狂う、なんてことが起こりました。

 

そして、現在の世界においても、このようなインフレへの不安から起こっている出来事と捉えられるものがいくつも見られます。

 

(参考:Modern diplomacy)

 

例えば、1つ目の物々交換ですが、これは脱ドル化と現地通貨取引の拡大がそれにあたると思います。

BRICS諸国を中心に、ドルを使わない、二国間の現地通貨による取引が増加していますが、これは相手側の商品と自分の国の商品が交換できることを前提に行われます。

 

例えば、中国とロシアは、中国は工業製品、ロシアは天然資源との交換が期待できるため、元とルーブルでの取引が可能になっています。

これまで米ドルさえあれば、どこの国でも通用したので、アメリカは別に商品を作らなくてもやっていけました。しかし、そのドルが信用できなくなったことで、国家間の物々交換に近いことが起こっている訳です。

 

(参考:CNBC)

 

2つ目の、カネよりモノに殺到という点については、AIや不動産への過剰な投資です。

最近AIバブルについての動画を出したのですが、チャットGPTを運営するオープンAIという会社に対して、アメリカの企業やソフトバンクがたくさん投資をしています。

その額は、契約ベースで100兆円以上です。

100兆円ですよ?

 

今年のオープンAIの売り上げは、2兆円ぐらいで、1兆円以上の赤字らしいのですが、どんだけ強気なんだよって思いますよね。

明らかに狂ってると思うのですが、これからさらにインフレになるから、現金よりもデータセンターを持ってた方がいいという理屈なのかもしれません。

 

(参考:日経新聞)

 

そして、3つ目の資本逃避については、新NISAによるオルカン投資の急増です。

新NISAとは、売却したときに税金が掛からない投資への優遇税制のことですが、特に海外の株式に投資するオールカントリー、略してオルカンへの資金流入額が、2兆円を超えています。

 

これなんかは、2022年以降、円安と物価上昇がキツくなってきて、もう日本円に信用しない人が増えてきているのでしょう。

最近の投信の流入額を見ても、国内株は売越の一方で、オルカンのような海外投資は順調に増え続けています。

 

 

そして、4つ目のインフレで気が狂うという件については、これから起こるかもしれません。

例えば、1兆倍になった第一次大戦後のドイツでは、インフレでお金の単位が、兆単位になってしまったため、頭の中がバグってしまった人がたくさん現れたそうです。

 

特に帳簿に売上とかを記録していた会計や簿記の人は、どの項目を書くときにもゼロを10も20も書かなければいけなかったため、自分は100億歳だ、とか、私は40兆人の子供がいるとか、そんな数字の感覚がおかしくなる人がいたそうです。

流石に、現在ここまでのインフレにはなっていないので、こんな人は出てきていませんが、ハイパーインフレになった場合には、こういう人が出てくるかもしれません。

 

4、インフレでおかしくなってきた政治

というか、お金をどんどん刷り続けることで、インフレが止まらなくなってきているため、桁数がバグってしまう人はまだいないものの、「どうせインフレして、お金の価値が吹っ飛ぶんだから、適当にやっても良くね?」と考える政治家が増えているような気がします。

最近の世界の政治の中で、そう感じるものを3つご紹介します。

 

(1)フランスの政権崩壊

1つ目は、フランスでの相次ぐ首相辞任です。

 

(参考:BBC)

 

フランスでは、今年に入って3人目の首相が辞任しています。しかも、最近指名されたルコルニュ首相は、指名を受けてわずか26日、閣僚を発表してわずか半日で辞任しました。

その理由は、3人の首相が、緊縮財政一点張りで、節約節約と同じような予算案を出してくるため、右派、左派ともに、反対に回ってしまったからです。

 

そもそも、右派と左派が反対に回るだけで、予算案が通らない状況を作ったのは、昨年7月に負けると分かっていてやった解散総選挙のせいです。

この解散総選挙が行われる1ヶ月前に、欧州議会選挙があって、ルペン氏率いる国民連合にマクロン氏率いる中道政党は大負けしていました。なのに、その1ヶ月後に、解散総選挙をやるなんて、相手に勝ってくれと言ってるようなものです。

 

私と同い年で、しかも同じ年増好きのマクロン氏が、ただのイカれた政治家な訳がなく、

おそらく、国民連合の政策を取り込まざるを得ない状況を作るか、国民連合に政権を譲るために、わざと自滅的な政策をやっているのだと思いますが、その根底には、「どうせインフレでユーロもぶっ壊れるだろうから、わざと政治を混乱させて、さっさとリセットした方が良くね?」という狙いがあるように思います。

 

(2)NATOの軍備拡張

2つ目は、NATOの軍備拡張です。

 

(参考:Bloomberg)

 

今年6月に、NATOサミットにおいて、NATO加盟の欧州諸国は、トランプ氏に、2035年までにGDPの5%まで軍事費を引き上げることを約束させられました。

しかし、各国の現在の軍事費を見てみると、スペインやポルトガル、イタリアなどの南欧諸国では特に、軍事費が2%以下のところが目立っています。

 

こんな話になっているのは、ロシアとの徹底抗戦をドイツやフランス、そして北欧諸国が叫んでいるからです。

これだって、バイデン政権の頃は、そんな騒いでなかったのに、トランプ氏が当選して、アメリカはウクライナ戦争から手を引くと言い始めてから、小さいワンコみたいにキャンキャン吠え出したのです。

 

なので、特にスペインやハンガリーなどでは、アホらしいと反対を表明してますし、おそらく、大半の国が、口では約束したけれども、やる気はないのでしょう。

あと数年もすれば、この約束も瓦解するものと予想されます。

 

(3)日韓EUの対米貿易交渉

そして、3つ目は、アメリカと日韓EUの貿易交渉です。

 

(参考:ロイター)

 

今回、新総裁になった高市氏が、5500億ドルの対米投資について、再度見直しの交渉をすると表明していますが、日韓EU各国が、アメリカと結んだこの契約内容は、報道当初から、いろいろツッコミどころが満載でした。

 

例えば、韓国とEUは、アメリカからLNG、液化天然ガスを数千億ドル単位で購入する契約となっているのですが、現在のアメリカは、それだけの液化天然ガスを生産してません。

現在のアメリカの輸出分を全部韓国とEUに割り振って、なおかつ、現在の生産量を2倍にまで増やして、ようやくなんとかなる契約なのです。

 

そういういい加減な内容の契約を結んで、トランプ氏は「やったやった!あいつらから、何千億ドルもの金を引っ張ってやったぞ!」と国民にアピールしているわけです。

これなんかも、日韓EUの当局者から見れば、「どうせ、こんな契約できっこないんだから、まあ、トランプおじいちゃんの言いたいように言わせておこうか」ということなのだと思います。

 

5、インフレ時代のサバイバル術

というわけで、金価格の上昇、そしてインフレ不安から起こっている社会変化、そして、各国のいい加減な動きを見てきましたが、では、私たち一人ひとりで考えた場合に、どのような対策が考えられるのでしょうか?

 

資産運用という意味であれば、金や株式投資をするという方法もあるでしょう。

また、インフレがさらに進むのであれば、借金の価値が目減りするので、今のうちにたくさん借金をするという猛者もいるかもしれません。

 

理屈と過去の経験で言えば、それはそれでアリなのかもしれませんが、まあ、うまくいく人もいれば、そうでない人も出てくるでしょうから、そこをお勧めするつもりはありません。

私が今のところ、思いついているのは、2つあります。

 

(1)繋がりを作る

1つ目は、いろんな人たちと繋がりを作っておくということです。

 

 

親や子供と仲良くするとか、友達と飲みにいくとか、行きつけのお店で、もう少し余計にものを買っておくとか、ご近所付き合いを少し増やしてみるとか、YouTubeやSNSで、登録者を増やすとか、そういうことです。

結局、インフレが進んで貨幣価値が目減りしていけば、生活が苦しくなる人がさらに増えますし、生産者の撤退も増えていきます。

 

特に、農業については、自民党が今まで無茶苦茶やってきたので、農家で食える家はほとんどありませんから、平均年齢も七十歳近くなってますし、作られていない田んぼや畑が、うちの実家の岩手でも、群馬や栃木あたりをドライブしてても、けっこう見られるようになっています。

そうなると、今まで当たり前だと思って手に入ってたものが、これから手に入らなくなってくる可能性が増えていきます。

 

金の価値がなくなってくるのであれば、最後は人間関係になりますし、誰がどこで助けてくれるかわかりませんので、なるべく人間関係は大事にした方がいいように思いますね。

 

(2)商品やサービスを作る

2つ目は、商品やサービスを生産するということです。

インフレというのは、モノの量に対して、お金の量が多すぎることで起こる現象ですので、売れるモノを作る人がたくさん増えれば、理屈上は、インフレはおさまります。

 

 

この動画の最初の方でも、お金の量が増えすぎたために、金価格が上がったと解説しましたが、増えたお金の量と同じだけ、取引される商品やサービスが増えれば、そして、その金が一部の人たちでなく、多くの人に行き渡れば、値段は上がりません。

ですが、厄介なのは、欲しいものって何なのか?ってことですよね。

 

平成バブル崩壊から、失われた30年とか言われていますが、景気が悪かったにせよ、そこそこ豊かな社会で生きてこれたのは確かですから、何が欲しいのか?よくわからなくなっている人も多いのではないでしょうか?

私もこの点について、いろいろと考えてたのですが、今の所の結論は、「関係性」です。

 

友達、恋人、家族、仲間、知り合い、サークルのメンバーなどなど、一緒にわちゃわちゃしたり、おしゃべりしたり、目標に向かって一緒に何かをやったり、などなど、そういうことができる関係性が欲しいのではないか?ということですね。

私の動画にも、おかげさまで多くの人からコメントをいただいています。

 

おそらく、そこでやり取りされているアレコレが、そういう関係性となっているのではないか?みんなが集まれる場になっているのではないか?

そんなことを思いながら、動画を作っています。

 

私の場合は、今のところ、このYouTubeですが、他のSNSでそういうことをやっている人もいるでしょうし、昔だったら、スナックとかがそういうものだったのでしょう。

どこの街に行っても、スナックってありますからね。

ネットに限らず、リアルでも、そういう関係性を作る商売が、求められているんじゃないかなと思います。

 

なお、YouTubeに関しては、以前にこちらの記事で、この点について詳しく解説したので、興味のある方は、一度チェックしてみてください。

ユーチューバーがこれから有望な3つの理由
この記事では、「あぶれた大卒、リストラされたおっさん達のためのYouTuberのススメ」ということで、やっていきたいと思います。1、はじめに前回の動画では、世界的に大卒が増えすぎて、特にアメリカでは、リベラルの大学生の間引きが進んでいる、と...

 

というわけで、今回は金価格の上昇は、金のすりすぎで起こっていて、これからも金をする動きは変わらず、社会も政治も、ヤケクソモードになっているということと、その中でのサバイバル方法について考察してみました。

今後も金価格の動きは、金を刷りすぎて、社会がおかしくなっていくことのバロメーターでもあると思っているので、引き続き、追いかけていきたいと思います。

 

この記事を書いた人
ゴトウ

証券会社で12年間勤務。営業と店舗マーケティングに従事後、2018年から当サイト「イエ&ライフ」を運営しています。

不動産価格の動きの理解や今後の予想は、金融マーケットの知識があると理解しやすいため、読者のお役に立てるのではないかと、サイトを運営しています。

また、2024年からYoutubeチャンネルも始めました。
こちらも、よろしくお願いします。

ゴトウをフォローする
youtube原稿
タメになったと思ったらシェアしてくれるとウレシイです

コメント