この記事では、「フランスで起こっている、イカれた3つのことと、その理由と目的」について、考察していきます。
1、イカれた3つのこと
昨年あたりから、フランスでは、日本人が知ったら、「フランスって、イカれてるんじゃないの?」と思うようなことが3つ起こっています。
(1)フランス議会選挙で、わざと与党が大敗北
1つ目は、昨年の6月から7月に行われた、フランスの議会選挙です。
フランスの議会選挙は5年に一度なので、本来であれば、2027年に行われるものでした。
しかも、6月頭に行われた、欧州議会選挙では、マクロン大統領が属する会派が大負けして、マリーヌ・ルペン氏が率いる国民連合の会派が大勝ちしていたんです。
普通に考えれば、自分たちが負けた1ヶ月後に、国内の選挙をやり直せば、負けるに決まってますよね?それをマクロン大統領はやったんです。
案の定、マクロン大統領が率いる中道派は、議席数を大きく減らし、負けてしまいました。
ただし、左派連合が、候補者を一本化したことで、左派の議席数が大きく伸びて、そこと連立政権を組むことができました。
なので、マリーヌ・ルペン氏率いる、右派の国民連合に政権を取られることは防げましたが、選挙前よりも状況が改善したのか?と言われると、全くそんなことはありません。
実際、その後に首相に任命されたバルニエ氏は、3兆円の増税と、6兆円の歳出削減を盛り込んだ予算案を通そうとしましたが、野党だけでなく、連立を組んだ左派連合からも反対に遭い、大人に追い込まれています。
しかも、その後に任命されたバイル氏も、全く同じ内容の予算案を出しており、完全に詰んでいる状況です。
なぜ、わざわざ、自滅すると分かっていて、こんなことをやったのでしょうか?
(2)マリーヌ・ルペン氏への国政捜査
2つ目は、マリーヌ・ル・ペン氏への国政捜査です。
今回のフランス議会の総選挙では、議席数は3位だったものの、得票数では1位になった国民連合ですが、その党首のルペン氏に対して、検察が捜査を行い、横領の罪で、2027年の大統領選挙への立候補を禁止すると求刑しました。
ルペン氏は、2027年の大統領選挙に対する世論調査で、1位の政治家です。
また、前回の2022年の大統領選挙でも、事前の世論調査では、マクロン大統領を上回る人気ぶりでした。
ルペン氏率いる国民連合は、メディアからは極右政党と呼ばれて嫌われているため、今回のアメリカ大統領選挙でのカマラ・ハリス氏を推すオールドメディアとは、正反対の状況だったのです。
そのような政治家を横領の罪で起訴し、2027年の大統領選挙の立候補を禁止するというのは、外から見ると、本当に民主主義が機能している国なのか?と疑問に思ってしまうのは、私だけではないと思います。
(3)ティエリー・ブルトン氏の独裁的な振る舞い
そして、3つ目は、ティエリー・ブルトン氏の独裁者的な振る舞いです。
ブルトン氏は、昨年9月まで、欧州委員会の委員で、デジタルサービス法、略してDSAの責任者だった人です。
Googleやアップル、Facebookなどのデジタルプラットフォームに対して、フェイク情報を拡散したり、個人情報を取得して迷惑広告を出している、と言った問題に対して、ユーザーを保護するために作られた法律です。
違反すると、最大で年間売り上げの6%の制裁金が課される可能性もある、かなり厳しい法律となっています。
昨年8月に、イーロン・マスク氏とトランプ氏がX上で対談を行いました。
マスク氏には、X上で、1億人以上のフォロワーがいますので、トランプ氏と対談すれば、全世界の人がそれに注目しますし、トランプ氏が何を考えているのかを知ることができます。
ところが、この対談に対して、当時欧州委員会の委員だった、このブルトン氏が、「その対談は、ヨーロッパ人を混乱させる可能性があるからやめろ」と警告文を送ったのです。
なんでアメリカの大統領選挙の活動をヨーロッパの政治家が止める権利があるのでしょうか?
さらに、今年に入って、ルーマニアの大統領選挙が、裁判所によって無効になるという事件が起こりました。
当選しそうだった候補者は、メディアからは極右と言われているジョルジェスク氏です。
フランスでいえば、ルペン氏のような立ち位置の政治家ですね。この人が当選しそうだと分かった途端に、裁判所が無効判決を出してきたのです。
なんで、国民の民意を裁判所が覆す権利があるのでしょうか?これまた、国民の怒りを買うものとなり、暴動になっています。
そして、このバックに、ブルトン氏がいたDSAがやったと、ブルトン氏本人が言っているのです。
しかも、2月に行われるドイツの議会選挙においても、もし、極右と呼ばれている政党の「ドイツのための選択肢」略称でAfDが、得票数を伸ばすようなことがあったら、選挙を無効にするだろうとも発言しています。
これヤバくないですか?
誰が、何の権利があって、このようなことを認めているのでしょうか?普通に考えれば、民主主義の国ではなく、独裁政治みたいに思えてしまいますよね。
しかも、これを発言しているのが、フランス人のブルトン氏なのです。
一体、フランスで、何が起こっているのでしょうか?
今回の動画では、現在フランスで、これら3つのイかれたことが起こっている理由を考察しながら、今後のフランスについて、予想していきたいと思います。
それでは、参りましょう。
2、全ては、フランスがNATOを引き継ぐため
最初に結論を言っておきます。
これら3つのヤバい事件は、実はある目的と、全て繋がっていると思っています。
それは、NATOのアメリカからの独立と、フランスがアメリカを引き継いで、EUとNATOのリーダーになる、という目的です。
私がこう考える理由を3つご紹介します。
(1)トランプ政権の動き
1つ目は、これから始まるトランプ政権の動きです。
以前にこちらの動画で詳しく解説しましたが、今回のトランプ政権は、アメリカ第一主義的な政策を実行に移し始めていると考えられます。
これは、アメリカの保守政党が、歴史的に持っていた考え方で、モンロー主義と呼ばれます。
トランプ氏自身も、2018年の国連の演説で、自分はモンロー主義者だというような発言をしています。
では、このモンロー主義とは、何かというと、
「ヨーロッパは、アメリカに手を出すな。アメリカもヨーロッパに手を出さないから」ということです。
最近、トランプ氏は、カナダを51番目の州にするとか、グリーンランドをデンマークから購入するとか、パナマ運河を取り戻すとか、メキシコ湾をアメリカ湾に改名するとか、ギョッと思うような発言をしています。
アメリカは、170カ国に軍事基地を展開しており、ぶっちゃけた話をすれば、世界中がアメリカの支配下にあるような状況です。
つまり、わざわざ「ここは俺のもんだ!」みたいなアピールをしなくてもいいのに、あえてやっているわけです。
では、その意図は何なのか?といえば、それは、俺はアメリカとその周辺だけを大事にするから、それ以外からは手を引きますよ、というモンロー主義ではないかと思います。
実際、第1期のトランプ政権で、すでにNATOからの撤退について、政府内で何度も話題に挙げていたということです。
また、高官だった、エスパー氏が、産経新聞からのインタビューで、「トランプ氏は、在韓米軍を撤退させたいと言っていたが、私が2期目にやりましょう。と諌めて、納得してもらった」と言ったことを語っています。
(参考:産経新聞「「2期目」に在韓米軍撤退 トランプ氏固執と高官回顧」)
このように、トランプ氏は、第1期の頃から、在韓米軍、NATOからの撤退について、政府内で話をしていたんです。また、在日米軍についても、非公式発言とか、ちょっと言葉を濁していますが、撤退についての話をしていたようです。
なので、今回、トランプ氏が再戦を果たしたことで、いよいよ、世界中から米軍基地の撤退が始まります。
四年後に民主党が勝てば、この計画は中止になる可能性もありますから、おそらく、これから1年~2年の間に、NATO、韓国、そして日本などの、駐留兵数の多い国からの撤退を決めていくでしょう。
NATOは、どこか一つの国が攻め込まれたら、他の国も参戦するという約束の軍事同盟となっていますので、ウクライナ戦争で15兆円以上もの無駄金を使ったと思っているトランプ氏からすれば、厄介な約束以外の何者でもありません。
そのため、NATOから脱退して、ヨーロッパの安全保障は、ヨーロッパのどこかの国に担ってもらいたい、というのが本音だと考えられます。
(2)NATOを引き継げるのは、フランスだけ
2つ目は、ヨーロッパでNATOを担えるのは、フランスしかない、ということです。
NATOをヨーロッパのどこかの国が引き継ぐと考えると、まず思い浮かべるのが、ドイツだと思うのですが、ドイツは、第二次世界大戦で負けているため、核兵器を保有していません。
もともと、NATOは、ソ連の封じ込めと、ドイツの監視を目的として作られた軍事同盟ですので、経済規模や工業力で言えば、1番大きいのはドイツですが、ロシアと対等な関係を持とうとすると、どうしても核の保有国である必要があると思われます。
じゃあ、イギリスだってそうなのでは?と思うかもしれませんが、イギリスは、ロシアと仲が悪く、今回のウクライナ戦争の長期化も、イギリスが裏で手を引いていた可能性があります。
昨年、ジャーナリストのタッカー・カールソン氏がプーチン大統領と対談しましたが、その時に出た話として、ウクライナ戦争は、2022年4月に停戦の話をロシアとウクライナで話し合おうとしていたが、ボリス・ジョンソンがウクライナにやってきて、停戦協議を辞めさせたと語っています。
ボリス・ジョンソン氏は、この内容を激しく否定していますが、最近、イギリスのスターマー首相がウクライナのゼレンスキー大統領と、100年同盟を結ぶと発表しました。
目的は、ロシアとの徹底抗戦であり、年間数千億円規模の軍事援助を行うとしています。
こんな感じで、イギリスは戦争狂いの国なので、NATOを任せてしまったら、ヨーロッパが戦争になりかねません。
なので、そう考えると、アメリカからNATOを引き継ぐのは、フランスしかないということになると思われます。
(3)マクロン大統領は、まともだし、やる気もある
3つ目は、現在のマクロン大統領は、案外まともだし、NATOを引き受ける気もある、ということです。
以前にイギリスとドイツについて、それぞれ動画を出しましたが、この2国については、左翼リベラルの政策が酷すぎて、経済も社会もボロボロになっています。
移民の大量受け入れもそうですし、厳しい環境規制によって、国内の産業が破壊されている状況などもそうです。
*参考の「長崎大」は間違いです。正しくはこちら↓
ですが、現在のマクロン大統領は、これらの政策から、ある程度の距離を置いてやっています。
例えば、移民の受け入れ数を見てみると、年間20万人前後で、安定しています。
ドイツは、2015年と2022年に100万人以上を受け入れ、大変なことになっていますが、ここまで酷い状況にならないように、コントロールしているように見えます。
また、ウクライナへの軍事支援にしてもそうです。
2022年にウクライナ戦争が始まって以降、アメリカ、ドイツ、イギリスの順に、何兆円規模もの軍事支援を行っていますが、フランスは約1.4兆円と、ドイツの5分の1以下、日本よりも少ないのです。
前回のドイツの動画では、ドイツの自滅的な政策が、これまでのアメリカ民主党の政策と瓜二つだということを指摘しました。
産業を破壊する環境規制や、社会を破壊する移民の大量受け入れ、LGBTQの推進、そして、ウクライナ戦争への積極的な支援などなどです。
これらの政策から、一定の距離を置いていたのが、マクロン大統領だったんですね。
このように、アメリカの民主党政権から距離を置きつつ、トランプ政権が行うであろう、NATOからの離脱については、以前から覚悟していたように思います。
例えば、2019年にマクロン大統領は、今のNATOは脳死状態で終わってる、とNATO批判を行っています。
先ほどご紹介したように、トランプ氏は、NATOについての撤退の話も、第1期の頃にしてましたので、これに対応して、ヨーロッパの各国は、アメリカ抜きの安全保障体制を作るべきだと発言していたのです。
なので、この頃から、マクロン大統領は、NATOをフランスが引き受けるつもりだったのでしょう。
実際、昨年12月に、トランプ氏とマクロン大統領、そしてウクライナのゼレンスキー大統領が、フランスで三者会談を行いましたが、その時にも、マクロン大統領は、ウクライナにフランスなどから治安維持部隊を派遣すると約束しており、トランプ氏に賞賛されていました。
これは、欧州の安全保障は、欧州で何とかするということをトランプ氏に伝えるものであり、「アメリカがNATOから出て行っても大丈夫ですよ」というシグナルを送っているのだと考えられます。
3、イカれた3つの事件が、どう繋がるのか?
このように、フランスがアメリカ撤退後のNATOを引き受けるという流れがあると仮定した場合に、冒頭でご紹介した、フランスで起こっている3つのイかれた事件は、どのように繋がっていくのでしょうか?
順に解説していきます。
(1)なぜわざと選挙で負けたのか?
1つ目は、なぜマクロン大統領は、わざと選挙で負けたのか?ということですね。
これは、おそらくですが、ルペン氏率いる国民連合の議席数を増やして、最終的には、連立与党を組むためだと考えられます。
ルペン氏率いる国民連合は、ヨーロッパで広がっている、反グローバリズムの流れの中で、最も国内の支持率が高い政党です。
ドイツのAfDも、イギリスのリフォームUKも、得票率でいうと、15%前後なのに対して、ルペン氏率いる国民連合は、3割以上の得票率となっており、ヨーロッパの国々の中で、もっとも与党になる可能性が高い保守政党となっているのです。
そして、国民連合の政策は、トランプ政権とかなり似ており、国内産業を保護して、無駄な公務員を削って、必要な分野に公共投資を行うなど、既得権を切り崩して経済を活性化させるものとなっています。
マクロン大統領も、本音としては、そのような政策を取りたいものの、移民を追い出すなど、一部、過激なことも言ってますし、現在の既得権層である官僚機構に歯向かうような政策も入っているため、なかなか組みにくい相手なのでしょう。
マクロン大統領は、おそらくですが、ドイツやイギリスが、左翼リベラル政党の政策を採用したことで、国がメチャクチャになってしまっていると認識しています。
実際、連立与党を組んでいる左派連合からの首相指名をしておらず、政策決定の主導権を握らせないようにしています。
また、12月に3兆円の増税と、6兆円の歳出削減が盛り込まれた予算案が否決され、バルニエ首相が辞任しましたが、その後に就任したバイルー首相も、再度同じ予算案を出しており、連立政権が全く機能しない状況へと誘導しています。
このまま予算案が通らなければ、政府機能が止まってしまうため、国内が混乱に陥ってしまいますから、そういうギリギリになったところで、ルペン氏率いる国民連合と連立を組んで、危機を回避するというシナリオなのではないでしょうか?
(2)なぜルペン氏に対する司法捜査をするのか?
2つ目は、ルペン氏への国策捜査ですね。
こちらは、フランスの既得権益の一員である、官僚機構による嫌がらせの可能性もありますが、仮にマクロン大統領がこれを指示したとしたも、それなりの理由が考えられます。
それは、ルペン氏がいない方が、国民連合と組み易いということです。
ルペン氏についての書籍は、日本でも何冊か出ていますが、その演説の内容を見ると、かなり共感できるというか、フランス人だったら奮い立たされるんじゃないか?と思われるようなものになっています。
*参考に「Politico」は間違いでした。正しくはこちら↓
2022年の大統領選挙でも、一時は、マクロン氏よりもルペン氏の方が上回っていました。
このことからも、国内での人気も相当高いでしょうし、カリスマ性もあるでしょう。逆を言えば、そのアクの強さが、メディアや既存の政党から嫌われているものと考えられます。
なので、逆を言えば、ルペン氏さえいなければ、現在の中道政党も、国民連合との連立が組みやすくなるということです。
自民党と国民民主党のような関係のように、主導権はマクロン氏のいる中道政党が握っているように見えつつも、採用する政策は、国民連合の案を通していくことで、フランスの建て直しを図っていく、という方向に持っていこうとしているのかもしれません。
トランプ氏も、おそらくマクロンを望んでいる
また、これはおそらく、トランプ政権の意思でもあると思います。
というのも、ルペン氏率いる国民連合は、イギリス、フランス、ドイツといった、ヨーロッパの先進国の中で、もっとも得票率が高く、政権を取れる可能性が高い政党なのですが、トランプ氏はルペン氏と仲が良くありません。
政策的には、フランスファーストで、移民反対、環境規制反対、EUからも、そしてNATOからも離脱したいといった、トランプ政権に似た政党になっています。
なので、普通に考えたら、トランプ氏とルペン氏は、交流があっても良さそうなものですが、それがあまり見られないのです。
例えば、2017年1月に、トランプ氏が大統領に就任する直前に、ルペン氏はトランプタワーに会いに行きました。
わざわざフランスからNYまで、しかも大統領に会いに行ってるわけですから、事前にアポも取れての訪問だったはずです。ところが、会えなかったというわけですから、ドタキャンをくらったと考えられます。
そして、その後も関係はギクシャクしたままで、今回の大統領選挙でトランプ氏が当選確定した後も、マクロン大統領他、世界中の首脳が、トランプ氏の勝利を祝うメッセージを出しましたが、ルペン氏は、ほとんど反応していませんでした。
トランプ氏から嫌われていると思っているのでしょう。
イーロン・マスク氏もルペン氏と距離を置いている
それだけではありません。
今回のトランプ政権に入って、いろいろと活動しているのが、イーロンマスク氏ですが、マスク氏は、イギリスのリフォームUKに寄付を申し出たり、ドイツのAfDのアリス・ワイデル党首と対談を行ったりして、盛んに支援活動を行っているのですが、ルペン氏率いる国民連合に対しては、ノータッチなのです。
これはおそらくですが、トランプ氏から、ルペン氏を応援するなと、釘を刺されているのでしょう。
ルペン氏は、NATOからも脱退したいと言ってますので、もしルペン氏の国民連合が政権をとって、NATOから脱退されると、アメリカがNATOから撤退できなくなります。
ドイツは、敗戦国でアメリカの言いなりでやってきて抑止力になる核兵器も持ってませんし、イギリスがシャシャリ出て、仕切るようになったら、まあたウクライナ戦争みたいなことに、ヨーロッパを引き摺り込む可能性がありますからね。
なので、フランスには、頑張ってもらうしかないと思っているのでしょう。
(3)なぜブルトン氏のムチャクチャを放置しているのか?
そして、3つ目のティエリー・ブルトン氏の独裁的な対応です。
これは、フォン・デア・ライエン氏率いるEUの解体を目指しているものだと考えられます。
ヨーロッパの各国は、軍事同盟はNATOでアメリカが仕切っていますが、政治と経済については、EUであり、この事務局は、ベルギーのブリュッセルにあります。
そして、このEUを仕切っているのが、欧州委員会の委員長であるフォン・デア・ライエン氏なのですが、この人は、メルケル元首相に引っ張り上げてもらった人で、選挙では勝ったことがなく、汚職疑惑でいろいろと批判されている、あまり質の良くない政治家です。
そして、EUの厳しい環境政策や、ウクライナ戦争への徹底支援など、アメリカの民主党に歩調を合わせるような政策を推進してきたことからも、トランプ政権とは相性も良くなく、ぶっちゃけ、ヨーロッパ各国の首脳も、さっさと辞めてほしいと思ってるような政治家だと思います。
一方で、やばい発言の多いティエリー・ブルトン氏ですが、この人は、ゴリゴリの官僚出身の人ではなく、アメリカでソフトウェア会社を起業して事業経験を積み、フランスのトムソンという家電メーカーや、通信会社のフランステレコム、日本でいえば、NTTのような大企業の建て直しをしたりと、かなり有能な経営者であり、政治家なんです。
日本で言えば、おそらく、JALを立て直した、京セラの稲森会長のような、そんな能力と、存在感を持った人だと思います。
そんなブルトン氏が、昨年8月に、イーロン・マスク氏がトランプ氏とX上で対談の直前に、「その対談は、ヨーロッパの民主主義に対して迷惑だからやめろ」と意味不明な警告文を送り付けたわけです。
しかも、その翌月、フォン・デア・ライエン氏と喧嘩になって、欧州委員会を辞任しています。
さらに、今年1月に入って、ルーマニアの選挙妨害は、EUがやったと告白し、ドイツでもAfDが当選しそうになったら、選挙を無効にしてやると、テレビ番組で発言しています。
彼は、テレビ番組で、このように発言しています。
「我々は、やるだろう」と。
いやいや、あんた、もう欧州委員をクビになってるじゃないですか?それなのに、我々はやるって、どういうこと?と思いませんか。
つまり、これはフォン・デア・ライエン氏がやっている、EUでの悪事の暴露ということなんだと思います。
だからこそ、8月のマスク氏への警告文を出した翌月に、フォン・デア・ライエン氏からクビを宣告されているわけですからね。「なに余計なことをしているんだよ」と、そういうことなのでしょう。
このように、さもEUの当事者のような立ち位置にいるフリをして、陰でコソコソと各国に圧力をかけているような、欧州委員会の悪事をバラしていくことで、アメリカの民主党に毒された、欧州委員会の力を弱めていこうとしているのだと思われます。
4、まとめ
というわけで、フランスで起こっている、これら3つのイかれた事件をまとめると、このようになります。
- NATOからアメリカが撤退することに合わせて、フランスがその役割を引き継ぐ準備を始めている
- しかし、フランス国民は、ルペン氏率いる国民連合の政策への支持が広がっている。彼らが政権を取ると、NATOすら脱退する勢いなので、その後にイギリスがNATOをぎゅうじってしまったら、まあた欧州で戦争が始まってしまうので、それは絶対に止めなければいけない
- そのため、国民連合と連立を組んで、政策に反映させていくことで、国民に納得してもらうしかない。ところが、ルペン氏は、メディアや既得権益層からの受けが悪いので、連立を組もうとするとメディアが騒いでうざい。なので、ルペン氏には、有罪判決で、ちょっと引っ込んでもらいたい
- それと、アメリカ民主党の影響力が大きい欧州委員会も、どうにかしなければいけないので、ブルトン氏が当事者的立場で、欧州委員会のやばい行いを暴露してもらうことで、欧州委員会の権威や影響力を下げて、もっと各国が独自の政策をできるように整えていこうとしている
ということではないでしょうか?
かなり私の憶測で喋ってることが多いですが、これからトランプ政権も始まりますし、けっこう早い段階で、答え合わせができるのではないかと思います。
その時には、改めて動画を作る予定です。
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