トランプとゼレンスキーの大喧嘩は茶番。動き出したトランプのNATO撤退計画 | イエ&ライフ

トランプとゼレンスキーの大喧嘩は茶番。動き出したトランプのNATO撤退計画

コラム

この記事では、「動き出したトランプのNATO撤退計画」ということで、やっていきたいと思います。

 

1、はじめに

2月28日金曜日に、ホワイトハウスに招かれたウクライナのゼレンスキー大統領は、トランプ大統領とヴァンス副大統領との三者会談を行いました。

 

(参考:BBC)

 

目的は、ロシアとウクライナ停戦に向けて、ウクライナの鉱物資源をアメリカ企業と一緒に開発することに合意することで、アメリカ企業が活動しているウクライナにこれ以上、攻撃をしてこないようにすることでした。

 

テレビ中継も入っていた、この会談では、最後の10分ぐらいのところで、3人の口論が始まり、結局、鉱物資源を一緒に開発するための合意署名もされず、前代未聞の事態となりました。

そして、その2日後の日曜日に、ロンドンで開かれた欧州の首脳会議にゼレンスキー氏は参加し、ウクライナを全面的に支援するということの確約をもらいました。

 

このサイト・YouTubeチャンネルでは、以前からこちらの動画などで、トランプ政権がNATOから撤退すると予想してきました。そして、今回の動きも、その延長線上にあるように見えます。

 

 

そこで、この記事では、これまでのトランプ政権がNATOから撤退しようとしてきた理由と、今回の大げんかの意味、そして、欧州はこれからどうなるのか?について、考察していきます。

それでは、参りましょう。

 

2、なぜトランプは、NATOから撤退したいのか?

まず最初になぜトランプ氏が、アメリカをNATOから撤退させたいのか?について、簡単に説明します。

こちらの動画で詳しく解説したのですが、これまでのバイデン政権までのアメリカは、中東やアフリカ、ヨーロッパなどの小国に、「民主主義を広めるため」という名目で、軍事介入という名の弱いものいじめをやり続けることで、軍事予算を膨らませ、兵器産業を儲けさせてきました。

 

 

ところが、このように軍事費を増やしてはいるものの、アメリカの軍事力は、金に見合った強さを持っていません。

例えば、トランプ政権の国防次官を務める予定の、エルブリッジ・コルビー氏は、2012年から18年までに、整備が必要な軍艦のうち、3分の1しか整備が完了していなかった、ということや、航空機のスペアパーツが足りない状況などについて、こちらのインタビューで語っています。

 

(参考:The Nes Statesman)

 

また、イーロン・マスクしが政府効率化省のトップに任命され、これまでのアメリカの公務員の無駄遣いを調べており、その中には、米軍を統括する国防総省の杜撰な実態も暴露されてきています。

ステルス戦闘機の-35や、大陸間弾道ミサイルのICBMなどは、時代遅れの金食い虫との評価を受けているようですが、兵器産業の言いなりになっている政治家による反対によって、毎年何十億ドルもの無駄が続けられているとのことです。

 

つまり、金はかけているけれども、本当に意味のある軍事支出ができない、ポンコツな国になってきているというのです。

そのため、コルビー氏は、中国を以前のソ連のような、仮想敵国とみなして、大国同士の戦争になった場合に、本当に必要な軍事力を身につけるべきだと提言していますが、それは、このようなダラけた米軍をもう一度鍛え直す必要があるという意味なのでしょう。

 

NATOの役割はもう終わっていた

そもそも、NATOは、ソ連が共産主義を他の国にまで広めていくのを防ぐために作られたものです。

 

(参考:外務省 *PDF)

 

しかし、1990年にソ連が崩壊し、ロシアも世界経済の中に組み込まれていますので、その役割はすでに終わっています。

現在のロシア・ウクライナ戦争は、アメリカがウクライナに武器や資金を提供し続けてきたことで、戦争の火種を作ろうとしてきたのに過ぎません。

 

なので、トランプ政権から見れば、NATOは必要ないし、むしろ、アメリカがNATOを率いている限り、例えば、次の選挙で民主党が政権を取ったら、まあた、NATOをおもちゃに、ヨーロッパで戦争を起こす可能性だってあるのです。

そうすると、アメリカ国民は、また無用な戦争に巻き込まれ、税金を浪費させられ、本当に必要な防衛力すら欠けているような、ポンコツな国に逆戻りしてしまいます。

 

そのため、未来永劫、アメリカが世界に迷惑をかけないように、そして、自国を守る力をきちんと身につけられるようにするには、NATOから完全に撤退する必要があると、考えているのでしょう。

 

3、マクロンだけが本気だった

このようなトランプ政権の意向は、実は第1期政権の頃から、たびたび発言していました。

ですが、これをまともに受け止める人は、ほとんどいませんでした。

 

(参考:BBC)

 

そんな中、唯一、トランプ氏の意向をまともに受け止め、そして、賛成していたのが、フランスのマクロン大統領です。

2019年のNATO70周年に、マクロン氏は「現在のNATOは脳死状態だ」と発言し、物議を醸していました。

「アメリカ様におんぶに抱っこの状態がずっと続くわけがねえだろ。自分たちの国は、自分たちで守らなければダメなんだよ。いい加減、気づけよ。」というわけです。

 

フランスは、1966年のドゴール大統領時代に、一度NATOを脱退しています。

アメリカが欧州を牛耳るのが、気に食わなかったからでしょう。

2009年に再度、NATOに加盟しましたが、フランス国内の米軍の駐留兵数は、100人程度しかおらず、3万人以上いるドイツや、1万人規模のイギリスやイタリアに比べても、アメリカへの依存度がかなり低いことがわかります。

 

また、フランスは常任理事国であり、核兵器保有国でもあります。

他国から攻められないような抑止力を持っているため、アメリカがいなくても、例えば、現在脅威と見做されているロシアに対しても、十分に対抗できると、マクロン氏は思っているのでしょう。

 

こんな感じで、トランプ氏はNATOから撤退したくて、マクロン氏は、NATOを引き受けるべきだと以前から思っていたわけです。

しかし、仮にトランプ政権がNATOから脱退しても、次に民主党政権になったら、またNATOに復活する可能性があります。

 

アメリカの戦争屋が復活した時に、乗っ取られないためには?

なので、アメリカがNATOを脱退するだけでは、足りないのです。

アメリカがNATOに入りたくても、入れないようにする必要があるのです。

 

では、どうすればいいのか?

それは、欧州各国による軍事力の増強です。アメリカに頼ろうとする国があるからこそ、アメリカのNATO再加入の可能性が消えないわけですからね。

 

(参考:NHK)

 

トランプ氏は、NATO各国に対して、GDPの5%まで防衛費を引き上げろと言ってます。

もちろん、そんなにあげたら、財源が持たないとか、福祉に金が回らないとか、そんなに引き上げるぐらいなら、ロシアと仲良くしたほうがいいんじゃね?とか、いろいろな意見が出てきています。

 

特に、「ウクライナ戦争前までは、ロシアと普通に貿易してきたんだから、仲直りすればいいじゃん」という意見が、真っ当だと感じるのですが、欧州各国の首脳は、ロシアとの徹底抗戦を現在も主張しています。

 

一見すると、これは本当に、気狂いじみた考え方のように見えます。

実際、2月に行われたドイツの総選挙では、移民反対、ロシアと仲良くしよう、という政策を掲げた「ドイツのための選択肢」略称AfDが、前回に比べて、約2倍の得票率となり、第2位の政党に躍進しました。

 

(参考:ル・モンド)

 

ドイツの方の気持ちとしても、もう戦争はいいよ、ロシアと仲良くして、以前の生活を取り戻そうよ、という人が増えているのがわかります。

 

では、なぜ、NATOの首脳は、ロシアとの徹底抗戦を主張しているのか?

私は初め、アメリカにずっと従ってきたヨーロッパが、今更後に引けないから、ヤケクソでウクライナを応援しているのではないか?と思っていました。

 

実際、ミュンヘン安全保障会議で、アメリカのヴァンス副大統領が、「何やってんの?あんたたち、トランプ政権は、これから180度方向転換して、まともな政策をやるからね。ヨーロッパはヨーロッパで、自分で考えて、ちゃんとやりなさいよ」と説教したため、

この会議の議長だったドイツのホイスゲン氏が、閉会宣言の時に、「こんなことってないよー」と泣いてしまいました。

なお、こちらの動画で、詳しく解説しています。

 

 

しかし、その後、マクロン氏がニコニコ顔で、欧州首脳をパリに呼んで、反省会をやって、それでも徹底抗戦の姿勢を変えないという結論に至ったということで、

 

(参考:Ukraine Crisis MC)

 

これはもしかしたら、ロシアへの対決姿勢の目的が変わったのではないか?と思うようになりました。

 

ロシア対決の目的をこっそり転換した?

では、その変わった目的とは何か?

それは、徹底抗戦の姿勢を続けることで、各国の軍事予算を引き上げ、アメリカに頼らない防衛体制を築くことです。

 

(参考:CNN)

 

今後、アメリカが民主党政権に変わったり、共和党内で戦争屋が乗っ取ったりした場合に、再度アメリカがNATOに入りたいと言ってきた時に、「アメリカさんがいなくても、僕たちだけでやっていますから、いりませんよ」と拒絶できるようにしようとしているのではないでしょうか?

 

これは、現在のアメリカが、中国に対して取っている戦略と同じです。

中国をアメリカのライバルとみなすことで、自国の防衛力と経済力を復活させようというシナリオですね。詳しくはこちらの動画で語ってます。

 

 

これを欧州とロシアでもやろうとしているのだと思われます。

このように考えた場合に、今回のゼレンスキー氏とトランプ氏の大喧嘩も、茶番だったことが分かります。

 

テレビ中継がされ、世界中の人が見ている前で、アメリカ政府を怒らせたわけですから、アメリカとしても、堂々とウクライナ支援から撤退できる口実ができました。

そして、その2日後に、欧州がウクライナを徹底支援すると表明したことで、アメリカと欧州が、正反対の姿勢となりました。

 

(参考:AP通信)

 

これに先立ち、 2月24日に国連で、ウクライナ戦争に対する決議において、アメリカがロシアの肩を持ち、これまでの民主主義陣営から完全に離脱したことを印象付けましたが、今回の一連の出来事によって、欧州とアメリカとの分裂は、決定的になった感じがあります。

 

おそらく、欧州は、これからウクライナを支援すると言いながら、軍事費を増やし続けることになるでしょう。

今回のドイツの選挙で第1党になったCDU・CSUの党首のメルツ氏も、軍事費を増やし、フランスやイギリスの核の傘に入り、アメリカに頼らない、欧州の独立を目指すと表明していますが、これはその決意の表れだと考えられます。

 

(参考:Euroactiv)

 

なので、これからの欧州は、一見すると、軍事国家へ向かうような印象に見えることが、たびたび起こると思いますが、その目的は、欧州の自立であり、戦争屋のアメリカが、二度と欧州に戻ってこないようにすることだと捉えることが、正解な気がしますね。

 

これから、トランプ氏は、プーチン大統領との会談を予定しています。

プーチン氏は、ロシア系住民の多い東部4州の併合を求めるでしょうが、トランプ氏の要求は、どのようなものになるのか?正直、よく分かりません。

 

(参考:ガーディアン)

 

ですが、そこでなされる合意の最終的な目的は、アメリカがNATOから完全に撤退するためのものにつながっていると予想されます。

この見立てが合っているのかどうかについては、今後の動画で追いかけていきたいと思います。

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この記事を書いた人
ゴトウ

証券会社で12年間勤務。営業と店舗マーケティングに従事後、2018年から当サイト「イエ&ライフ」を運営しています。

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