この記事では大阪府の
- 公示地価、基準地価
- 土地価格がこれまで上昇・下落した理由
- 今後どうなるのか?
の3点について解説しています。
(なお、本ページはプロモーションが含まれています。該当するサービスには、【PR】と表記しております)(※1)
1、過去5年間の大阪府の不動産の動き
大阪府の土地価格は、この1年間で、住宅地で+0.7%、商業地も+2.5%と、特に商業地で大きく上昇しました。
また、2018→2023年の5年間で見ると、住宅地で+0.9%。商業地で+14.9%と、こちらも商業地での上昇が目立ちますね。
ですが、もちろん地域によって、動きに大きな差があります。
そこで、この5年間の住宅地の変化率を市区町村別に表してみました。
【住宅地】大阪府の5年間の土地価格の変化率
大阪市の区別の変化率(住宅地)
大阪市の中心部にある7区が、特に大きく上昇していますね。これらのエリアは高層マンションが多く、高額な物件が多いのも特徴です。
また、それ以外では北摂エリア(箕面市、豊中市、吹田市など)、堺市北区・堺区・東区あたりが、大きく上昇していました。
また、それ以外のエリアでは、下落しているところが多く見られます。
【商業地】大阪府の5年間の土地価格の変化率
その一方で、商業地では、ほとんどの市町村で上昇していました。
ただし、大阪市、堺市、北摂地区で、特に大きく上昇しているのは住宅地と変わりません。
なぜ大阪府では、大阪市に近いエリアほど上昇してきたのか?
理由は大きく4つあります。
①金利が低下して、高い物件が買えるようになった
そもそも、不動産価格が上昇した最も大きな理由は、金利の低下です。
アベノミクスによる異次元緩和政策が始まった2013年から2020年ごろまでは、固定金利が2%台から0.82%まで、1%以上も下落したのです。
さらに、2022年に入ると、変動金利がさらに下がりました。それまで0.5%前後だった金利が、0.3%台にまで下がったのです。
新型コロナ以降も、都心部や大都市圏を中心に不動産価格は上がり続けていますので、それでも買いたい人が、変動金利を利用するようになり、ついに7割以上が変動金利を選ぶようになっています。
これによって、同じ返済額でも、買える物件の価格が大きく上がりました。
アベノミクスが始まる前の2012年ぐらいまでは、月に約10万円の返済(ふらっと35)で、約3,000万円の物件しか買えませんでした。
ですが、2023年現在、変動金利を選べば、約4,130万円の物件まで買えるようになっているのです。
月10.4万円の返済で、いくらの物件が買えるのか?
今の夫婦は、共働き世帯が多いですから、変動金利で、2人でそれぞれ月10万円を返済すると決めれば、なんと約8,200万円の物件が買えるわけです。
東京23区では、新築マンションが8,000万円を超えていますが、このような事情があるからなんですね。
②建築費が上昇したため、中古住宅の価格も上がった
2つ目が、建築費の上昇です。
新型コロナの感染拡大や、ロシアのウクライナ侵攻によって、世界的にモノ不足が広がった結果、物価上昇が続いています。
日本の建築費も例外ではなく、特に新型コロナ以降は、マンション、戸建てそれぞれ2〜3割も上がっている状況なのです。
マンションの建築費
木造戸建ての建築費
そのため、戸建てやマンション価格も大きく上昇しています。
特に大阪市内の新築マンションの平均価格は、2021年以降、マンション単価が90万円/㎡前後にまで上昇しています。この3年ぐらいで10%以上も上昇しています。
もちろん中古価格も上昇中です。
2018年から比べて、中古マンションでは約38%、中古戸建てでも約17%も上昇しています。
このように住宅価格が上昇した結果、周辺の土地価格も連れ高しているわけです。
③外国人投資家が大阪市の不動産を買っている
3つ目が、外国人投資家による、日本の不動産投資の増加です。
世界的に見ると、日本の不動産は割安と見られており、投資対象として人気化しているのです。
ご覧の通り、高級マンションを海外と比べた場合に、大阪はかなり割安と見られています。
ニューヨークやロンドンなどの欧米の都市だけでなく、韓国のソウルや中国の上海、香港、台湾の台北などよりも安いのです。
そのため、人気が高く、換金しやすい梅田などの大阪市の中心部に立地するマンションへの投資が増えており、価格が上がりやすくなっているのです。
④大阪府では、世帯数が増加している市町村が多い
大阪市の中心部では、海外投資家による購入が大きいとしても、それ以外のエリアの購入者は、一般世帯です。
なので、建築費が上がったといっても、買い手がつかなければ、土地価格も上がりません、
しかし、大阪府では、この5年間で人口は約5.6万人の減っているものの、世帯数は約17.2万世帯も増えているのです。
世帯数が増えていると言うことは、住宅に対する需要が増えているということになります。
では、具体的に、どこで増えているのか?
2017〜22年の5年間で、世帯数がどれだけ増えたのか?を市区町村別に調べてみました。
すると、大阪市北区、西区などの中心部と、茨木市で1万世帯以上も増えているのを筆頭に、かなりの市町村で、世帯数が増えていることが確認できました。
なぜ、これほど世帯数が増えているのに、多くの市町村で下がっているのか?
その理由は、農地の宅地化です。
2010〜20年までの10年間で、約1,600ヘクタールの農地が減少しています。
1ヘクタール=約3,000坪ですから、30坪の戸建てにして、約16万戸分の農地が、工場や宅地などの、他の用途に変わっているのです。
特に、駅から離れた郊外では、農地が新興住宅地に変わって来ているため、古くからある住宅地の買い手がいなくなり、土地価格の下落が進んでいるのです。
というわけで、ちょっと長くなったのでまとめると、
- 金利が下がっていく中で、さらに利息が安い変動金利を選ぶ人が増え、同じ返済額で高い物件を買える人が増えた
- 建築費の上昇によって、新築・中古価格が上昇し、土地価格も連れ高しやすくなった
- 海外投資家による東京・大阪への投資が増えた
- 地方で仕事が減った結果、大阪市周辺に引っ越してくる人が増え、世帯数が増加し、住宅需要が増えた
- その一方で、農地の宅地化が進んでいるため、郊外の古い住宅地の買い手がつかない場所も増えた
と言った理由から、大阪市周辺と北摂エリアでは上昇して来たものの、それ以外のエリアでは下落する、二極化が進んで来たわけですね。
3、これからどうなるのか?
大阪府の今後の土地価格に影響を与えそうなリスクをまとめました。
(1)そろそろ金利が上がりそう
日本では、低金利が長く続いているため、金利の上昇リスクを心配しない人が増えており、7割以上の人が、半年ごとに金利が変わる変動金利を選んでいます。
ですが、本当にこれからも金利は上がらないのでしょうか?
実は、10年〜30年までの長期金利については、すでに上昇し始めています。特にロシアのウクライナ侵攻が始まった2022年ごろから、本格的に上がって来ています。
(参考:財務省)
これによって、変動金利は低いままですが、ふらっと35などの固定金利は上昇を始めています。
なぜ上昇しているのかと言うと、世界的に物価が上昇しているからです。
例えば、アメリカでは、物価が一時、前年比で9%以上も上がったため、政策金利を0.25%→5.25%まで、1年間で5%も引き上げました。
ドイツでも、前年比で11%以上も上がっていたため、こちらも政策金利を0%→3.5%にまで、約1年間で3.5%も引き上げています。
その結果、欧米各国でも、住宅価格が下落をはじめています。
アメリカの先月の中古住宅価格は前の年の同じ月と比べた下落幅(-1.7%)がおよそ11年ぶりの大きさとなり、住宅価格の下落傾向が鮮明になっています。
急速な利上げに伴う住宅ローン金利の高止まりで需要が落ち込んでいることが背景にあります。
欧州連合(EU)域内で、住宅価格が2015年以来初めて四半期ベースで下落に転じた。借り入れコストの上昇(=金利の上昇)が10年近くに及ぶ住宅用不動産ブームに終わりをもたらしている。
EU統計局は4日、22年10〜12月期に住宅価格が前の期と比べ1.5%下落したと発表した。域内27カ国のうち15カ国で下がった。下落幅が最も大きかったのはデンマークとドイツで、それぞれ6.5%、5%低下した。
金利を引き上げたことで、住宅価格が下落しているのです。
ちなみに日本の物価上昇率は、前年比で3.0%の上昇です。
(参考:NHK「2022年度 消費者物価指数 前年度比3.0%上昇 41年ぶり水準」)
そして、日本でも、7月28日に、植田日銀総裁が、政策修正を発表し、事実上の利上げを行いました。
これまでは、10年国債の金利が0.5%以上に上がらないようにコントロールしてきましたが、それを1.0%まで引き上げたのです。
(参考:野村総合研究所 2023.7.28「日銀が長期金利の上昇を容認するYCCの運用柔軟化策を決定(日銀金融政策決定会合)」)
これによって、期間10年以上の固定金利については、今後、徐々に上がっていくことが予想されます。ふらっと35などの、長期固定の住宅ローン金利は上がるでしょう。
変動金利が上がる可能性は?
今回の事実上の利上げは、期間10年以上の長期金利への影響が大きいですが、変動金利への影響は、今のところ、ありません。
ですが、物価上昇が続くようであれば、いずれ短期金利も引き上げざるを得なくなるでしょう。
というのも、そもそも、金利を引き上げている理由は、お金を借りにくくすることで、モノの消費や生産をおさえ、物価上昇を止めるためだからです。
長期金利を引き上げても、物価上昇が止まらないのであれば、短期金利の引き上げも、いずれ視野に入ってくるはずです。
なお、日銀が見込んでいる、今後の物価上昇率は、2024年が年率1.9%で、2025年が年率1.6%です。
(参考:野村総合研究所 2023.7.28「日銀が長期金利の上昇を容認するYCCの運用柔軟化策を決定(日銀金融政策決定会合)」)
もし、今回の利上げでも、現在の年率3%の物価上昇率がおさまらなければ、さらに政策を修正する可能性は高く、その際には、変動金利型の住宅ローンにも、影響が出てくるかもしれません。
1%金利が上がると、不動産価格は15〜20%下がる可能性
ちなみに、金利が1%上がると、住宅ローンの利息は、35年で15〜20%増えます。
例えば、月に約10万円の返済を考えている人であれば、現在なら3,500万円の物件が買えますが、金利が1%上がると、毎月10万円の支払いで、3,000万円の物件しか買えません。
なお、すでに変動金利で組んでいる人については、5年ルールという、当初5年間は、返済額が固定(ただし、増えた利息はあとで支払う)というルールがあるため、すぐに払えなくなって投げ売りが始まるわけではありません。
しかし、新しくローンを組む人は、変動金利でも高い金利になるため、今まで通りの高い価格でローンを組むことが難しくなりますから、価格は下がりやすくなるでしょう。
(2)2024年問題で、建築費がさらに上がる
この2024年問題とは、簡単にいうと、
「建設業・運送業の従業員に対して、残業の規制が厳しくなることで、今まで以上に人件費の負担が上がり、建設費に跳ね返ってくる」
という問題です。
これまで、運送業や建設業は、中小企業が多く、競争が激しかったこともあって、安い価格で建設工事・運送業務を行っていた会社がたくさんありました。
しかし、2024年4月以降は、従業員に同じような働き方をさせることができなくなります。
1日8時間、1週間で40時間、残業は年720時間(運送業は年960時間)という上限が決まり、違反すると雇用者は罰せられることになるのです。
建設業の労働時間の規制
そのため、資材の運搬や、建設の工期の長期化によって、建設費の上昇がほぼ確実に進むことになります。
それ以外にも、省エネ基準への適合が必須に
さらに、25年からは、省エネ基準への適合義務付けが始まります。
これによって、
- 省エネ基準を満たすための建築申請業務が増えるので、その分の人件費・申請費用が、建築コストに上乗せされる
- 省エネ基準を満たすために、追加費用がかかる(主に断熱性能の強化のために、約87万円/120㎡の住宅)
といったことも予想されます。
そのため、一般世帯の戸建て住宅を購入するハードルは、さらに高くなるでしょう。
4、大阪でこれから上がりそうな地域は?
これまで大阪府内の土地価格の動きについて解説して来ましたが、今後上昇する可能性があるエリアは、大きく分けて2つあります。
(1)大阪市の中心部の高層マンション
これは、海外投資家の投資対象となりそうな物件を探す戦略です。
これまでご紹介して来たように、日本の東京、大阪の不動産は、世界的なマーケットの中で見ると、かなり割安だと見られており、海外投資家の分散投資先として注目されています。
それらの投資家の動きに乗る、という戦略ですね。
ただし、これは投資(投機)目的のものであり、リーマンショックのような金融危機が起こった場合には、下落するリスクが大きいです。
また、今後の金利上昇のリスクを考えると、無理をしてローンを組まなければいけないような方ではなく、現金で購入できるような人向けの戦略と言えるでしょう。
(2)北摂エリア(箕面市、茨木市、吹田市など)
2つ目の戦略は、これから人口・世帯数が増えそうなエリアを選ぶと言う戦略です。
先ほどご紹介した世帯数の変化を見ると、世帯数が増えている市町村は多いですが、土地価格も合わせて上昇しているのは、主に北摂エリアになります。
その理由は、市街地に農地が少ないため、新興住宅地ができても、古い住宅地の人気が下がりにくいためでしょう。
また、北摂エリアでは、
- 北大阪急行が延伸されるなど、大阪市方面へのアクセスが便利になっている
- 大阪大学が近いこともあって、企業の研究拠点も増えており、高収入の方々が集まりやすくなっている
といった点もあり、土地価格が上がりやすい条件を満たしていると思います。
結論:売るなら?買うなら?
買うなら:低金利なのでチャンスだけれど、、、
本来であれば、低金利は家を購入するチャンスな訳ですが、建築費が上がっているため、家を建てるハードルも上がっています。
なので、いい物件を探すことがポイントになってきます。
非公開物件=安い物件
不動産を売る理由はさまざまですが、「周りに知られずに売却したい」という売主は一定の割合でいます。
そのような物件は、ネット上にも出回らず「非公開物件」として、特定の不動産会社が取り扱っている場合があります。
当然、このような物件は少ないお客さんにしか目にとまる機会がないため、相場よりも価格の安い可能性が高いです。
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売るなら:低金利のうちに準備を
特に北摂エリアでは、人口・世帯数の増加もあって、長期的に住宅需要は強そうに見えますが、それ以外のエリアは、金利上昇や農地の宅地化、海外投資家が撤退すると買い手がつかない、といったリスクがあります。
そのため、売却を悩んでいるのであれば、金利が低い今が、環境的にも良好なため、早めに準備をした方がいいでしょう。
不動産会社選びを失敗すると、数百万円単位で損をする理由
この記事では公示地価をもとに解説していきましたが、公示地価は「その地域の平均的な価格」なため、実際の取引ではこれ以上に高く、または安く取引されることがあります。
例えば、都島区に「都島北通(みやこじま きたどおり)」という地区があります。
都島駅の北口から出て、東側に広がる住宅地です。
この都島北通の公示地価と実際の取引価格は、
- 公示地価:99万円/坪
- 実際の取引価格:140〜170万円/坪
と、公示地価の約1.4〜1.7倍で取引されていました。
どちらも「第一種住居地域」と呼ばれる、同じような街並みのエリアです。
駅からの距離は多少違いはありますが、これほどの価格差が考えられるでしょうか?
なぜ、これほど売却価格が変わるのでしょうか?
その理由は、不動産会社によって、持っている取引情報に差があるからです。
不動産取引は、株式市場のように、全ての取引情報を管理しているところがないため、
- 自社でどれだけ取引情報を持っているか
- どれだけ買い手のリストを持っているか?
で、評価額も、売れる金額も変わってくるのです。
持っている取引情報が違うため、評価額・売却額が変わる
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