東京都の土地価格の推移と今後の見通し | イエ&ライフ

東京都の土地価格の推移と今後の見通し

東京都の土地価格の推移と今後の見通し東京都

この記事では東京都の

  1. この7年間の土地価格の動き
  2. 新型コロナの影響を含め、今後どうなるのか?

の2点について解説しています。

 

1、過去8年間の東京都の不動産の上がり方の特徴とは?

東京都の住宅地は、アベノミクス効果もあって、この8年間で14.5%上昇しました。

ただし、コロナの影響もあり、今年の住宅地は前年比0.6%のマイナス商業地は1.9%のマイナスとなっていました。

 

東京都の公示地価

(参考:国土交通省 地価公示)

 

もう少し詳しく、市区町村別に見てみましょう。

 

2013〜20年の公示地価の変化率(住宅地)

変化率:赤色(+30%以上)>オレンジ色(+10〜29.9%)>緑色(+0〜9.9%)>青色の↙️(ー0.1%〜5%)

(参考:国土交通省 地価公示)

 

ご覧の通り、千代田区、中央区、港区などの都心部の区ほど上昇率が高く、郊外へ向かうほどに低くなっていることがわかりますね。

 

なぜ東京都では、中心部のエリアほど上昇しているのか?

最初に結論をまとめておきます。

  1. 金利が低下したことで、同じ返済額でより高い物件が買えるようになった
  2. 共働き世帯が増えたことで、職場に近い都内に住みたい人が増え、駅近エリアを中心に土地価格が上昇してきた
  3. その一方で、農地の宅地化が進んでいるため、多摩地区(東京市部)の郊外では、古い住宅地の買い手がつきにくくなっている

ということで、駅近エリアと郊外とで、土地価格の二極化が進んでいたと考えられます。

 

では、これから1つずつ詳しく解説していきます。

 

①金利低下によって、買い手の購買力が上がった

そもそも、全国的に土地価格が上昇しているのは、金利の低下によるところが大きいです。

2013年4月から始まった日銀の異次元緩和によって、金利が大きく低下したのです。

 

住宅ローンの金利

(参考:ARUHI住宅ローン フラット35金利の推移 財務省 国債金利情報)

 

ザックリ言うと、この7年間で買い手は、同じ返済額で2割高い物件を買えるようになったということです。

例えば、フラット35で期間35年・月々の返済額が10.4万円とした場合、購入できる不動産は3,000万円から3,500万円まで上がったのです。

 

同じ返済額で購入できる物件価格が2割上昇した

 

月々の支払額は増やさずに、約2割高い物件を買える。しかもその物件が人気化しているとなれば、値段が高くても買おうとする人は増えますよね。

そのため、人気のエリアほど、土地価格が上昇してきたのです。

 

 

②共働きの増加によって、職場に近い都内に住みたい人が増えた

それに加えて、共働き世帯の増加によって、通勤、買い物、子育てに便利な都内の駅近エリアに住む人が増えました。

この7年間の人口を見てみると、23区内の総人口は、約60万人も増えているのです。

 

東京23区の人口の推移

(参考:総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」)

 

これだけ人口が増えれば、住宅に対する需要は高まりますので、勤務先に近い区ほど土地価格も上昇しやすかったわけですね。

 

また、多摩地区(東京市部)でも、この7年間で総人口は約9万人ほど増えていました。

 

東京多摩地区の人口推移

(参考:総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」)

 

なので、本当であれば、多摩地区でも土地価格が大きく上昇してもおかしくなかったのです。

では、なぜ一部のエリア、特に駅近エリアしか上昇してこなかったのでしょうか?

 

③農地から宅地への転用が進んでいる

その理由は、農地の宅地化です。

実は、この10年で、東京都内の農地は、約2,000ヘクタール(ha)も減っているのです。

 

東京の農地面積の推移

(参考:農林センサス 「2−8 経営耕地の状況」)

 

1haで約3,000坪ですので、30坪の戸建てに換算すると、約20万戸分の農地が住宅や、道路、工場、倉庫、ショッピングモールなどに変わっているのです。

 

農地の宅地化によって、今ある住宅地の人気が低下

農地の宅地化

 

農地が残っているエリアは、駅から離れた郊外に分布していることが多いです。

23区だと世田谷区や練馬区などのごく一部の区だけですが、多摩地区には多くの農地が残っています。

 

そのような農地が宅地化されると、数十戸単位の新しい街並みになるため、人気が集中する反面、それ以外の古い住宅地の需要が減ります。

その結果、宅地化されやすい農地が残っている郊外のエリアほど、土地価格が下がりやすくなっていたわけですね。

 

新型コロナの影響で、住宅地でも下落

昨年から今年にかけての土地価格を調べてみたところ、23区、多摩地区それぞれにおいて、幅広いエリアで下落していました。

しかし、逆に上昇しているエリアもあり、具体的に港区、目黒区、大田区、世田谷区のあたりと、多摩地区では中央線、京王線の沿線あたりがあまり影響がなかったようです。

 

東京都の住宅地のコロナによる影響(2020年→21年の変化率)

変化率:オレンジ色(+0.1〜2.9%)>緑色(変化なし)>青色の↙️(-0.1〜 -2.9%)>紫色の↙️(-3%以下)

(参考:国土交通省 「土地総合情報システム」)

 

今回のコロナによって影響を受けているのは、主に飲食店や観光業、ホテルなどの一部の業種ですので、商業地では大きな影響を受けています。

ですが、住宅地に限って見てみると、それ以外の業種で勤めている人の住宅に対する需要はそれほど下がっておらず、通勤に便利な都心に近いエリアほど影響が少なかったようです。

 

3、これからどうなるのか?

東京都の今後の土地価格に影響を与えそうなリスクをまとめました。

 

(1)この低金利はいつまで続くのか?

地域によって上がった場所、下がった場所の違いはあるものの、日銀の異次元緩和政策で生まれたこの超低金利は、土地価格を押し上げるプラス要因でした。

そして、これ以上は、金利が下がらない水準まで来ています。

むしろ、その副作用の方が話題になることが増えました。

 

例えば、預金者のお金を国債で運用していた地銀は、この異次元緩和によって、金利が低下したことで利息収入が減り、半数以上が赤字になっています。

 

赤字の地銀がどんどん増えている

地銀の決算状況

(金融庁:地域金融の課題と競争のあり方)

 

赤字が続けばいずれ倒産してしまいますから、いつまでも続けるわけにはいきません。

 

では、具体的にあとどれぐらいなのか?

2018年6月に、ブルームバーグが経済の専門家45人にアンケートをしたところ、半数以上が2〜3年以内に限界が来ると予想していました。

つまり、2020〜2021年ごろと考える専門家が半数以上もいたのです。

 

「日銀の低金利政策はいつ頃まで続きますか?(2018年6月)」

異次元緩和はいつ終わるか?

(参考:ブルームバーグ「2年以内で限界」が半数弱、現行の長短金利操作-日銀サーベイ)

 

ちなみに、長く続かないと考えられている理由は、

  • 日本の借金が1,000兆円を超えてきており、国債を買おうという投資家がいなくなるから
  • 超低金利を続けると、地銀が潰れてしまい、経済が大混乱するから

あたりでしょう。

 

金利が上昇すると、住宅ローンの返済額が増えるため、価格は確実に下がります。

 

金利が上がると、同じ返済額でも買える価格が下がる

金利上昇で下落

 

そのため、今後の経済状況次第では、金利上昇による不動産価格の下落も考えておいた方がいいでしょう。

 

 

(2)新型コロナが長期化するとどうなる?

新型コロナ以降の、多摩地区の住宅地の動向を見てみると、稲城市で上昇している他は、調布市、府中市、武蔵野市が横ばいで、それ以外では下落していました。

 

稲城市の周辺と武蔵野市を除いて、前年比マイナス

多摩地区の公示地価の前年比変化率

(参考:国土交通省 地価公示)

 

多摩地区で影響が少ないエリアの特徴は、

  • 23区に近い東側のエリア
  • 通勤に便利な駅近エリア

に集中していました。

 

新型コロナで買い手が減少していることから、これまで人気が低かったエリアほど影響を受けていると考えられます。

そして、今後も収束までに時間がかかるのであれば、さらに買い手は減っていきますので、都心や駅から遠いエリアほど、影響が大きくなっていくと考えられます。

 

 

(3)2022年問題で、郊外の戸建てはヤバイことになりそう

この2022年問題とは、簡単にいうと、

「都市部にある税金を優遇されていた農地(生産緑地)が、優遇期間が切れることで宅地として放出され、土地価格に影響を与える」

という問題です。

 

生産緑地

(出典:ウィキペディア cory.2005.Seisan Ryokuchi)

 

実は、この生産緑地は、東京が1番多いのです。その面積は、約3,200ヘクタール、30坪の土地で約32万戸分にもなります。

そして、その分布はどのようになっているのかというと、このようになっています。

 

東京の生産緑地の分布図:東京都下に多く分布している

東京都の生産緑地の分布図

(参考:国土交通省 都市計画区域、市街化区域、地域地区の決定状況)

 

ご覧のように、東京の多摩地区に生産緑地が集中しています。

この制度は1992年に作られた制度で、「30年間ずっと農業をするなら税金を安くするよ。」というものでした。

当時この制度を利用した農家の方も、おそらく70〜80代に達しています。

 

この30年で農家の方も400万戸からほぼ半分に減りました。

多くの農地が今後は宅地に変わっていくのではないかと言われています。

で、この生産緑地は、市の中心部よりも郊外のエリアに多いため、駅近のマンションよりは郊外のニュータウンなどのエリアに大きな影響が出てきます。

 

東京都の土地価格は、23区では戸建てエリアでも上昇していますが、23区外のエリアだと、駅前以外では下落しているところもけっこうあります。

 

特に都心から離れた八王子市や町田市、立川市ぐらいのエリアでは、郊外の土地価格の下落が目立ちます。

生産緑地も多い地域ですし、かなり影響は大きいのではないでしょうか?

 

4、東京でこれから上がりそうな地域は?

この1年間は、新型コロナの影響もあって、幅広いエリアで土地価格の下落が起こりましたが、逆に上昇している地区もいくつかありました。

新型コロナの収束まで時間がかかりそうですし、この1年間に起こった動きは、まだまだ続きそうですよね。

 

先ほどご紹介した、コロナ前後の変化率のマップを参考に考えてみると、やはり駅近エリアの住宅地では人気は継続しそうです。

具体的には、

  • 23区の西側:港区、渋谷区、目黒区、大田区の駅周辺
  • 23区の北側:荒川区、足立区の駅周辺
  • 多摩地区(京王線):調布市、府中市、稲城市の駅周辺
  • 多摩地区(中央線):立川市、国分寺市の駅周辺

あたりですね。

 

正社員の方々の通勤需要はなくならないため、これらのエリアの土地価格は安定しそうです。

 

結論:売るなら?買うなら?

というわけで、東京都の土地価格は、

  • 株式市場が大きく上昇したことや、職住近接の流れから、都内の人口が増え、勤務地に近いエリアほど住宅地の価格が上昇してきた
  • その一方で、農地の宅地化も進んできたため、郊外の戸建てエリアでは需要が弱い二極化が進んでいた
  • 新型コロナが長期化した場合でも、勤務地が変わるわけではないため、通勤と買い物や子育てのバランスの良い環境が求められるだろう

と言えそうです。

 

買うなら:商業地の周辺は様子見、それ以外は買い

新型コロナの影響が大きい商業地の周辺では、今後も影響が出ますので、坪単価が高いと感じられる場合には、まだ様子見の方がいいでしょう。

しかし、それ以外のエリアでは今が買い時の可能性が高いと思われます。

 

例えば、坪100万円ぐらいの土地が欲しいとすると、20坪で2,000万円前後になります。

仮に新型コロナで今より大不況になったとしても、住宅地の価格が1割下がるには最低でも2〜3年はかかります。

 

数年で1割下げたとしても200万円安くなる計算ですから、

「その間の家賃と比べてどうか?」

「さっさと広い家で暮らした方が、家族とのいい時間を長く過ごせるのではないか?」

の2点を考えてみると、よほど高いエリアでなければ、購入を考えてもいいのではないでしょうか。

 

また、現在は住宅ローンがかなり安いため、月々の返済負担が軽いのもチャンスです。

ですから、もし家を買おうと思っているのならば、土地価格が下がるのを待つよりも、金利が上がる前の今のうちに買った方がいい場合もあります。

 

非公開物件=安い物件

不動産を売る理由はさまざまですが、「周りに知られずに売却したい」という売主は一定の割合でいます。

そのような物件は、ネット上にも出回らず「非公開物件」として登録されます。

また、売主はあまり相談する相手を広げたくないため、まずは建てたメーカーに相談する場合が多いです。

 

非公開物件の実態

 

当然、このような物件は少ないお客さんにしか目にとまる機会がないため、相場よりも価格の安い可能性が高いのです。

 

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タウンライフ家造り

 

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売るなら:金利が上昇する前に準備を

土地価格が上昇した地点、下落した地点のどちらにおいても、これまでの金利低下は土地価格の追い風となっていました。

 

ですが、金利はこれ以上は下がりようがありません。

逆に金利が1%上がれば、ローン負担は15〜20%増えるので、不動産価格は確実に下がることになります。

 

そのため、よほど人気のエリア以外では、今が1番高い時期と言えるでしょう。

 

 

公示地価を信じると損をする?

この記事では公示地価をもとに解説していきましたが、公示地価は「その地域の平均的な価格」なため、実際の取引ではこれ以上に高く、または安く取引されることがあります。

 

例えば、大田区に「久ヶ原(くがはら)」という、千鳥町駅から久ヶ原駅にかけて広がる住宅地があります。

 

こちらの公示地価と実際の取引を比べてみると、

  • 公示地価:173万円/坪
  • 実際の取引価格:110〜220万円/坪

と、公示地価の約0.6〜1.3倍で取引されていました。

最高価格は、最低価格の2倍です。

 

どちらも「第一種低層住居専用地域」と呼ばれる同じような街並みのエリアです。

駅からの距離は多少違いはありますが、これほどの価格差が考えられるでしょうか?

 

【大田区久ヶ原の公示地価】

大田区久ヶ原の公示地価

  • 千鳥町駅から750mの距離、徒歩約9分(1分=80m)
  • 524,000円/㎡ × 3.3(㎡/坪) =173万円/坪

(参考:国土交通省地価公示・都道府県地価調査)

 

【大田区久ヶ原の土地取引(過去2年間)】

大田区久ヶ原の土地取引

  • 千鳥町駅から徒歩5〜11分のエリアで、110〜220万円/坪で取引されている

(参考:国土交通省 不動産取引価格情報検索)

 

このような感じで、全国の公示地価と実際の取引を調べてみたのですが、やはり公示地価と実際の取引ではかなりの価格差があることがわかりました。

 

同じ地域なのに、

「公示地価の3割増し、場合によっては2倍以上の価格で取引されている」

といった取引がゴロゴロ見つかったのです。

 

都道府県住所公示地価/坪取引価格/坪公示地価の何倍?
東京都23区千代田区神保町485万円300〜990万円0.62〜2.04倍
東京都23区中央区佃644万円530〜970万円0.82〜1.51倍
東京都23区港区白金台409万円240〜470万円0.59〜1.15倍
東京都23区新宿区下落合189万円190〜280万円1.01〜1.48倍
東京都23区文京区千石241万円85〜350万円0.35〜1.45倍
東京都23区台東区池之端227万円170〜300万円0.75〜1.32倍
東京都23区墨田区東向島111万円150〜290万円1.35〜2.61倍
東京都23区江東区永代179万円300〜390万円1.68〜2.18倍
東京都23区品川区東五反田330万円350〜520万円1.06〜1.58倍
東京都23区目黒区下目黒229万円200〜370万円0.87〜1.62倍
東京都23区大田区久ヶ原173万円110〜220万円0.64〜1.27倍
東京都23区世田谷区代沢228万円200〜310万円0.88〜1.36倍
東京都23区中野区東中野187万円220〜310万円1.18〜1.66倍
東京都23区杉並区松庵170万円200〜270万円1.18〜1.59倍
東京都23区豊島区千川195万円210〜290万円1.08〜1.49倍
東京都23区北区西ヶ原151万円48〜300万円0.32〜1.99倍
東京都23区荒川区西日暮里190万円220〜360万円1.16〜1.89倍
東京都23区板橋区高島平108万円96〜140万円0.89〜1.3倍
東京都23区練馬区石神井町132万円94〜160万円0.71〜1.21倍
東京都23区足立区谷中99万円140〜170万円1.41〜1.72倍
東京都23区葛飾区西亀有125万円74〜280万円0.59〜2.24倍
東京都23区江戸川区北葛西111万円95〜170万円0.86〜1.53倍

 

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東京23区

 

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